タッドポウル

山本律磨

最終話(脚本)

タッドポウル

山本律磨

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〇密林の中
  ・・・え?
  ウソだろ?
  行き止まり。
  道も消えた。
  川も消えた。
  全部・・・消えた。
  ここで終わり。
音哉「ははっ・・・」
音哉「ははははは・・・」
音哉「・・・」
  馬鹿みてーだな。
  何が水源だ。
  何がアーティストだ。
  終わり。
  ここで終わり。
  これで・・・終わりだ。
音哉「・・・」
音哉「・・・?」
  ・・・水たまり?
  まさか・・・ここが?
  これが水源?
  こんな暗い、行き止まりが?

〇黒

〇密林の中
  雫?
  苔から・・・雫・・・

〇黒
  行き止まり
  石と
  苔と
  雫と
  ・・・
  ・・・音?
  ド、レ、ミ
  ミ、レ、ド

〇密林の中
音哉「聞こえる」
音哉「俺だけの音」
音哉「いや、違う」
音哉「森の音」
音哉「俺だけの音じゃない」
音哉「でもやっぱり俺だけの音」
音哉「これが音楽」
桜歌「見て、音哉」
桜歌「水たまりにオタマジャクシが沢山・・・」
音哉「それどころじゃない!」
音哉「聞こえるんだ!」
音哉「聞こえてるんだ!」
音哉「・・・覚えないと」
音哉「このメロディ・・・覚えねえと」
音哉「伝えたいんだ。俺だけの音を」
音哉「俺だけが感じる、世界の音を!」
音哉「畜生、忘れちまうよ」
音哉「忘れたくねえな」
桜歌「ホラ、言わんこっちゃない。楽譜書けないからこうなるのよ」
桜歌「ちゃんと勉強し直そうって言ったでしょ」
桜歌「私達はまだ卵なんだから」
音哉「卵か・・・」
音哉「ははっ。せめてオタマジャクシくらいにはなってるだろ・・・」
音哉「・・・」
音哉「・・・」
音哉「じゃあな、桜歌」
音哉「さあ、また始めようか」
  誰でもいい。
  伝えたいんだ・・・俺の音を。

〇密林の中
  伝えたいんだ・・・俺に響くこの音を。
  俺以外のみんなに。

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