恋に落ちたスライム

在日ミグランス人

第10話 願い(脚本)

恋に落ちたスライム

在日ミグランス人

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〇森の中
ライム「殺じてやるぅあぅっ谿あコ縺励※繧?k縺?≦縺」縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅャ!!!ッ!!!」
リヴァル「くっ!」
リヴァル(スライムが変身だと!?)
リヴァル(それに、大した威力ではないが魔法まで!?)
リヴァル「そうか⋯⋯」
リヴァル(あの時に、水から魔力を吸収していた!?)
リヴァル(それとも、これが本来のチカラなのか?)
リヴァル「見境無し⋯⋯」
リヴァル「怒りで我を忘れたか」

〇けもの道
侍女「静か過ぎる⋯⋯」
リン「動物達の気配がない⋯⋯」
町人「ひ、姫さ⋯⋯ 王女殿下⋯⋯」
リン「貴方は?」
町人「私は⋯⋯ その⋯⋯」
町人「魔物の⋯⋯ 討伐に⋯⋯」
侍女「無抵抗の? ですか?」
町人「いや、それは⋯⋯ その⋯⋯」
リン「冷静になりなさい」
リン「本当に魔物が徒党を組んで、計画的に街を襲ったと思うの?」
町人「それは、スライムがスパイをして⋯⋯」
リン「魔法も使えないスライムが、どうやってこの短期間の間に、」
リン「街と森を往復して情報を伝えたと言うの?」
町人「それは⋯⋯」
リン「仮にそうだったとして⋯⋯」
リン「森に住む魔物が、我が国を制圧するメリットは何?」
町人「それは⋯⋯」
町人「⋯⋯」
リン「アンシー王国、王女リンが命じます」
リン「直ちに兵を引きなさい」
リン「今なら不問にします」
リン「他の者にも伝えなさい」
町人「は、ははあ!」
侍女「リン様⋯⋯」
リン「今は先を急ぎましょう」

〇森の中
リヴァル「かああああああッ⋯⋯」
ライム「!?」
リヴァル(思った通りだ⋯⋯)
リヴァル「どうした?」
リヴァル「お前の友達はもっと強かったぞ?」
リヴァル(姿形は変わっても、所詮はスライム)
リヴァル(大した事はない)
「リヴァルッ!!」
リヴァル「リン様⋯⋯」
リン「!?」
侍女「水の⋯⋯ ドラゴン?」
リン「⋯⋯違う」
侍女「え?」
リン「ライム⋯⋯ でしょ?」
侍女「ライム様? でも⋯⋯」
リン「わからない。でもそんな気がする⋯⋯」
リヴァル「お下がりください。リン様」
リヴァル「そいつは危険な魔物です」
リン「くっ⋯⋯」
リヴァル「リン様!」
リン「いいわ⋯⋯」
リン「私が目を覚まさせてあげる!」

〇森の中
リヴァル(くっくっく⋯⋯ いいぞ⋯⋯)
リヴァル(邪魔者同士で戦ってくれている)
リヴァル(相打ちになってくれれば、一切の手間が省ける)
リヴァル「味方同士で争っている場合ではないと思うが⋯⋯」
リヴァル「それとも?」
リヴァル「お前にも、あのドラゴンがスライムに見えるというのか?」
侍女「⋯⋯」
侍女「⋯⋯わかりません」
侍女「しかしリン様がそう仰るなら、そうなのでしょう」
リヴァル「あのドラゴンがスライムだったとして、」
リヴァル「俺に剣を向けても良い理由にはならんと思うが?」
侍女「リン様の邪魔はさせません」
リヴァル「ちっ⋯⋯」

〇森の中
リン「ライム⋯⋯」
リン「私、貴方の事、全然見えてなかった⋯⋯」
リン「たかがスライムだと侮って⋯⋯」
リン「ちゃんと見てなかった⋯⋯」
リン「蔑むつもりなんてなかった⋯⋯」
リン「でも、心のどこかで見下してた⋯⋯」
リン「貴方はいつも真剣だったのにッ⋯⋯」
リン「真っ直ぐだったのに!」
リン「ごめんなさい⋯⋯」
リン「くっ⋯⋯」
リン「今度は向き合うから⋯⋯」
リン「貴方の事が知りたいから⋯⋯」
リン「貴方とお話がしたいから⋯⋯」
リン「お願い⋯⋯」
リン「元に戻って!」

〇森の中
リヴァル「いつまでそうしている気だ?」
侍女「放っておけば、貴方はライム様を攻撃するのでしょう?」
リヴァル「当たり前だ」
リヴァル「主君を危険に晒しているんだぞ?」
リヴァル「お前の方がどうかしている」
侍女「⋯⋯」
リヴァル「リン様の勘違いだったら、どうするつもりだ?」
リヴァル「あのドラゴンがスライムなどではなく、」
リヴァル「本物のドラゴンだとしたら?」
侍女「⋯⋯」
リヴァル「⋯⋯もう良い」
リヴァル「聖樹の花が⋯⋯」
侍女「聖樹の花⋯⋯」
リン「あれが⋯⋯」
リヴァル「離れろ!」
リヴァル「そいつはお前如きが持っていて良いものじゃない!」
リヴァル「バカな⋯⋯」
リン「花が⋯⋯」
侍女「揃った?」
リヴァル「最後の一片はどこに⋯⋯」

〇花模様
  願いを言うが良い⋯⋯
  どんな願いでも叶えてやる⋯⋯
ライム「ブタさん!?」
ベーコン「よく会うな」
ベーコン「面白きスライムよ」
ベーコン「これは最早運命である」
ライム「何がどうなってるの?」
ベーコン「うぬは聖樹の花を揃えた」
ベーコン「故に、花の精たる我が願いを叶える」
ライム「ブタさんが、花の精?」
ベーコン「左様である」
ライム「⋯⋯何で花の精なのに、ブタなの?」
ベーコン「それは、何故うぬはスライムなのか?」
ベーコン「と、同じ意味の質問である」
ライム「???」
ベーコン「⋯⋯まあ良い」
ベーコン「願いを言え」
ベーコン「と言っても、うぬの願いなど決まっているか⋯⋯」
ライム「⋯⋯どんな願いでも良いの?」
ベーコン「無論だ。さあ、言うが良い⋯⋯」
ライム「ぼくの願いは⋯⋯」

〇森の中
リン「何がどーなってんの? あれ⋯⋯」
リン「ライムが元に戻ったと思ったら⋯⋯」
リン「何か、ブタと一緒に浮いてるし⋯⋯」
侍女「あれがライム様の言っていたブタさん?」
リヴァル「それより何故、聖樹の花が⋯⋯」
リヴァル「奴が最後の一枚を持っていたというのか⋯⋯」
侍女「持っていたのに、気が付かなかった?」
リン「いや、そもそもどこに持ってたのよ⋯⋯」
リン「隠せる場所なんて⋯⋯」
「えええええええええええええええーーッ!?」
リヴァル「あれは⋯⋯ 心臓じゃないのか?」
侍女「冷静に考えたら、ハート型の心臓なんておかしいですね⋯⋯」
リン「てっきり、魔物だからそういう形なのかと⋯⋯」
リン「そうか⋯⋯」
リン「ライム、草食だから⋯⋯」
リン「知らないうちに食べちゃってたんだわ⋯⋯」
リヴァル「非常識な⋯⋯」

〇花模様
ベーコン「なっ⋯⋯ 何だとっ!?」
ベーコン「本気か?」
ライム「うん。ぼくの願いは⋯⋯」
ライム「『ダチを生き返らせてほしい』」
ベーコン「人間になれなくても良いのか?」
ライム「いい」
ライム「だってぼくはスライムだし、」
ライム「ダチの方が大切だもの」
ベーコン「自ら恋を捨てるというのか?」
ベーコン「スライムのままでは、人の子と⋯⋯」
ライム「『ダチを生き返らせて』」
ベーコン「⋯⋯」
ベーコン「相分かった」
ベーコン「うぬがそこまで望むなら⋯⋯」
ベーコン「その願い、聞き届けよう」

〇森の中の沼
ダチ「⋯⋯」

〇花模様
ベーコン「願いは叶えてやった⋯⋯」
ライム「ありがとう」
ベーコン「では、さらばだ。面白きスライムよ」
ベーコン「いや、ライム⋯⋯」
ベーコン「真っ事、魅力のあるますらおであった⋯⋯」

〇森の中
リン「ライム⋯⋯」
侍女「ライム様⋯⋯」
リヴァル「おい⋯⋯」
リヴァル「ふざけるなよ⋯⋯」
リヴァル「俺の願いはどうなる?」
リヴァル「たかがスライムを一匹生き返らせる?」
リヴァル「そんな下らない事の為に、俺の野望は潰えるのか?」
ライム「ぼくの友達をバカにするな」
リヴァル「一度願いを叶えたら、花はもう一度集め直しだ」
リヴァル「最初からな」
ライム「横取りしちゃったみたいだけど⋯⋯」
ライム「貴方はダチの命を奪った⋯⋯」
ライム「おあいこだよ」
リヴァル「⋯⋯」
リヴァル「⋯⋯す」
ライム「?」
リヴァル「もう殺すッ!!」

次のエピソード:最終話 恋を実らせたスライム

コメント

  • 再読・コメントに時間というか期間がかかってしまいました💦クライマックで良いところだったのに。
    暴走主人公を止めるヒロインの王道展開✨…だけど、情の訴えで解決するんじゃなく、聖樹の花に展開を持っていくとは………自分はライムのハート、気付けなかったから悔しい‼花びらに見えるのは納得なんですけど、悔しい!
    ライムの願いが、ダチの蘇生になってスライム人生決定になったのは、個人的にはおいしいです👍

  • うおおおお「ダチのことかぁっ!!!!」
    花びら揃ってよかったですよー!
    ダチ生き返ってよかったー!!!!

  • うわー!
    まさかライム君の体の中にこんな秘密があったなんて!
    イラストを活用しての仕掛けにワクワクがとまりません!
    とても好きな展開です👍

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