第3話 旅の小休止(脚本)
〇林道
ライラ「山賊さんたちが足止めしてくれているうちに、早く行かなきゃ!」
ビンス「我の大きさを戻すのを忘れておらぬか?」
ライラ「そ、そそそんなことないよっ!?」
ライラ「ビンスくんは、サイズが小さくてもかわいいなあって思っていただけ!」
ビンス「ライラ・・・」
ビンス「・・・本当に戻せるのだろうな?」
ライラ「ほ、本気出したら、戻せるに決まっているじゃない!」
ライラ「でもほら、もうすぐ隣り町に着くでしょ?」
ライラ「このままの方が目立たないし、いいんじゃないかなーって」
ライラ「もとのサイズだと、すぐに聖騎士が飛んできちゃうから!」
ビンス「確かに、一理あるが・・・」
ライラ「そうと決まれば、隣り町まで急ぐよ!」
ライラ「もうすぐ日が暮れるけど、できれば屋根のあるところに泊まりたいよね」
ライラ「そのサイズで歩くのに疲れたら、私が抱っこしてあげるから」
ビンス「こ、子ども扱いするでない!」
ライラ「きゃあ、雷!?」
〇林道
ライラ「ちょっ、急にすごい雨!」
〇林道
ビンス「見よ、あそこに屋敷があるぞ」
ビンス「雨宿りさせてもらおう」
〇立派な洋館
〇洋館の玄関ホール
ビンス「廃墟か?」
ライラ「誰も住んでいないみたいね」
ビンス「外は土砂降りだ。 今夜はここに泊まるしかあるまい」
ライラ「えっ!」
ライラ「ここに泊まるの・・・?」
ビンス「ライラの希望通り、屋根もあるしな」
ライラ「そういう意味でいったんじゃないから!」
「うわあっ!? 何の音(だ)!?」
ビンス「・・・もしかして、お化けが怖いのか?」
ライラ「・・・ビンスくんこそ、魔王のくせに怖がりなんじゃない?」
ビンス「ライラ、お主の後ろで──」
ライラ「ひっ!」
ビンス「ウマちゃんが踊っておる」
ライラ「・・・・・・」
ウマ「ウ〜マ、ウマ〜」
ライラ「ちょっと、驚かさないでよ!」
ビンス「なんだ、やはり怖いのではないか」
ライラ「うっ、それは・・・」
ライラ「ビンスくんこそ、足が震えているよ」
ビンス「ま、魔王の我が、お化けを怖がるわけないではないか」
ビンス「ま、まあ? 幽霊は魔力をもたぬから、近くにいても気づかぬからな」
ビンス「ゆえに、ほんのちょびっと、びっくりするだけだ」
ライラ「・・・それって、怖いってことじゃないの?」
ビンス「そんなことはないぞ。びっくりするだけだ」
ライラ「ふーん?」
ライラ「じゃあビンスくんは、危険がないか屋敷内の見まわりをお願いね」
ビンス「なっ!」
ライラ「私は夕食をつくっておくから」
ライラ「ビンスくんは魔王様だから、大丈夫なんだもんね?」
ビンス「ぐぬっ」
ウマ「ウマッ!」
ビンス「何と、ウマちゃんが行ってくれるのか?」
ビンス「すまぬ、ウマちゃん・・・」
ライラ「じゃあ、ビンスくんは私のボディーガードね」
ビンス「お主には必要ないのではないか?」
ライラ「か弱い女の子を一人にする気!?」
ビンス「どこが、か弱いのだ!?」
ライラ「いいからいいから」
〇城の会議室
ライラ「ウマちゃん、戻ってこないね・・・」
ビンス「うむ・・・」
ライラ「私たちの分の食事もつくりおわったし、」
ライラ「ウマちゃん用の食事も用意したのに・・・」
ライラ「あれ? そもそも、ビンスくんって人間用の食事でいいの?」
ビンス「我は好き嫌いなく、何でも食べるぞ」
ビンス「見た目は人間と変わらぬしな」
ライラ「そっか」
ライラ「まあ封印って、本当は食べものがいらないはずなんだけどね」
ライラ「ビンスくんの場合、中途半端に出てきちゃっているから・・・」
ビンス「お主がいうか・・・」
ビンス「まあおかげで、ビンのまま食事ができるがな」
ライラ「ウマちゃんも口があるし、多分食事を摂れるよね」
ライラ「道すがら摘んできたお花が新鮮なうちに、食べてもらいたいけど・・・」
「・・・・・・」
「ちょっと見てくる」
ライラ「ふふっ。ビンスくんって、魔王様のわりに心配症よね」
ビンス「お主こそ、魔物の心配をするなど変わっておるな」
ビンス「人間は、魔物を一方的に悪だと決めつけているだろう」
ライラ「それは、聖教の考え方なだけ」
ライラ「私個人は、魔物かどうかだけで判断しているわけじゃないもの」
ライラ「行こう、ビンスくん!」
〇要塞の廊下
ライラ「ウマちゃ〜ん、どこ〜?」
ビンス「おらぬな」
ライラ「どこ行っちゃったんだろうね?」
ライラ「もう日付が変わっちゃったよ」
ライラ「何の音!?」
ビンス「ウマちゃんかもしれぬ。急ぐぞ」
〇貴族の部屋
ライラ「ウマちゃん、いるの〜?」
ライラ「きゃあっ!? 丸太が!」
ビンス「こ、これがポルターガイストというヤツか!?」
ライラ「や、やっぱり、ここはお化け屋敷だったのよ」
ビンス「こうなると、ウマちゃんの身も危険か・・・」
ビンス「早く見つけださなければ!」
ライラ「ひっ!」
ビンス「こら、ライラ! 我をわしづかみにするな!」
ビンス「苦しい!」
ライラ「あ、ごめんごめん」
ライラ「でも今の声、何・・・」
ビンス「き、気にするな・・・空耳かもしれぬ」
〇要塞の廊下
女性「あら? どうしたの、こんなところで?」
ライラ「ひえっ」
ライラ「『我と言葉を交わせしもの──』」
ビンス「ストップ、ストップ! 封印するでない!」
女性「あなた一人で来たの?」
ライラ(何だ、人間の女の人か・・・)
ライラ(ビンスくんは見つかると面倒だから、ポケットに隠しておこう)
ライラ「ええ、雨宿りでお邪魔しました」
ライラ「もしかして、ここの住人の方でしたか?」
女性「そうね。ここで暮らしているわ」
ライラ「勝手にお邪魔してしまって、すみません!」
女性「いいのよ」
魔物「あなた、美味しそうだから」
ライラ「きゃああ、お化け!」
ライラ「あ・・・」
ビンス「ライラ! しっかりせよ!」
魔物「何? どこから声がっ!?」
ビンス「こやつはお化けではなく、魔物だ!」
魔物「何、このビン? 邪魔ね」
ビンス「我は魔王ヴィンセント」
ビンス「この娘は、我の連れだ。見逃してやってくれ」
魔物「こんな見すぼらしいビンが、魔王様なわけないだろう」
魔物「バカも休みやすみいえ!」
ビンス「くっ!」
ビンス「ウマちゃんといい、ここまで我がわからぬとは・・・」
ビンス(だが、まずいぞ)
ビンス(今の状態では、ろくに魔法が使えぬ)
ビンス(何とか封印を解かねば!)
ビンス「ぬううう・・・」
魔物「そのビン、割ってやるよ!」
ビンス(せめて、封印が緩んでくれれば・・・!)
ビンス「ふおおぉ・・・!」
魔物「ビンが大きくなった!?」
ビンス「封印が緩んだ!?」
ビンス(ライラが気絶しているせいか・・・?)
???「ウマ!」
魔物「くっ!」
魔物「何で、丸太が!?」
ビンス「ウマちゃん!」
ウマ「ウマウマウマ!」
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今回も楽しかったです❣️「わからん」でございます❤️
ギフトも送らせていただきました❣️
いやー、回を追うごとに楽しくなって来てますね❣️ワクワク
ウマちゃん超ポジティブシンキングだし、
特にあの3姉妹は可愛い💕🩷😍
ところであの美しいピアノ曲は元々tapnovelにあるBGMなんですか❓タイトルは何ですか❓使った事私は無いですね🤔ではまた❣️
久密さん
こんにちは!ホラー回も楽しませて頂きました!
幽霊ちゃん達無害なようで可愛かったですが、なんとあの丸太は彼女達による仕業でしたか(笑)
鷲掴みビンス様とホームシックではなくシスターシックになる弟、お気に入りです!
まさか、丸太で生前も遊んでいたのだろうか😨
弟くん、完全にお姉ちゃんの掌の上かと思いきや、彼も結構強いですねw