恐怖の恋仲解消 ⅳ(脚本)
〇住宅街
生瀬涼子「氷河くん・・・」
生瀬涼子「あの、私・・・私は・・・」
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「生き霊さんだけが知っている情報は、 本体さんにも伝わるんですか・・・?」
生瀬涼子「い、いえ・・・それはありえません・・・」
生瀬涼子「私と氷河くんの今までの記憶も、 私だけが覚えている記憶です・・・」
生瀬涼子「で・・・ですが・・・ 私が受けた心の影響については・・・」
生瀬涼子「本体にも変化を及ぼしている 可能性は・・・高いです・・・」
北極氷河「・・・それを聞いて安心しました」
北極氷河「好きでもない相手の元に 向かわなければならない生き霊さんに・・・」
北極氷河「申し訳ないですから・・・」
生瀬涼子「氷河・・・くん・・・」
北極氷河「生き霊さん・・・こんな俺に いつも優しくしてくれて・・・」
北極氷河「本当に・・・ありがとうございました・・・」
生瀬涼子「・・・・・・」
〇一戸建て
〇一人部屋
北極氷河「はぁ・・・」
北極氷河「終わった・・・完全に・・・」
北極氷河(いや、北極氷河・・・ 何を今さら落ち込んでるんだ・・・)
北極氷河(元より叶わぬ恋だって、 悟ってたんだろ・・・?)
〇体育館裏
生瀬涼子「氷河くん・・・!」
〇一人部屋
北極氷河「・・・・・・!!」
北極氷河「ふふふふ・・・」
北極氷河「ははははは・・・!」
北極氷河「あんなに怖がっておいて・・・ いなくなったら寂しくなるのか・・・」
北極氷河「本当に俺は・・・ どうしようもない男だ・・・!」
〇大きな木のある校舎
〇体育館裏
北極氷河「今日は不良も絡んで来なかったな・・・」
北極氷河「昨日、あれだけ派手にやっつけたんだ・・・ 当然といえば当然か・・・」
北極氷河(不良も来ない・・・ 生き霊さんも来ない・・・)
北極氷河(なんだか・・・急に独りぼっちに なったような気持ちになるな・・・)
北極氷河(いや・・・それは元からか・・・)
氷河くん・・・!
北極氷河「えっ・・・!?」
北極氷河「その呼び方は・・・まさか!?」
北極氷河(だ・・・)
北極氷河(誰だこの子・・・!?)
木ノ瀬和良「あなたは、北極氷河くんですね・・・?」
木ノ瀬和良「私はオカルト研究会の 木ノ瀬和良(わら)と申します・・・」
木ノ瀬和良「以後、お見知り置きを・・・」
北極氷河「は、はぁ・・・」
北極氷河(なんなんだいきなり・・・!? オカルト研究会・・・!?)
北極氷河(なんで俺は、そんな女の子に 声を掛けられてるんだ・・・!?)
木ノ瀬和良「突然、声を掛けられ 驚かれたかと思います・・・」
木ノ瀬和良「ですが、私はどうしても あなたに伝えたいことがあった・・・」
北極氷河「つ、伝えたいこと・・・? 一体、それはなんなんですか・・・?」
木ノ瀬和良「生き霊について・・・です」
北極氷河「・・・・・・!!」
木ノ瀬和良「ここ最近、私はずっと あなたのことを見ていた・・・」
木ノ瀬和良「あなたからは、生き霊の気配が 漂っていましたから・・・」
木ノ瀬和良「取り憑いていたのは・・・ あなたのクラスの生瀬涼子さんですか?」
北極氷河(生瀬さんの生き霊さんのことを、 こうも的確に言い当てるなんて・・・!)
北極氷河(この子の目的はなんなんだ・・・!? 分からない・・分からないが・・・)
北極氷河(生瀬さんの生き霊さんのことは、 話さない方が良いんじゃないか・・・!?)
北極氷河「い、いえ・・・ 何かの間違いじゃないですか?」
北極氷河「俺には生き霊なんて 憑いていませんから・・・!」
木ノ瀬和良「まぁ、確かに今は生き霊の 気配は感じませんね・・・」
木ノ瀬和良「あなたの近くには・・・ですが・・・」
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「用件はそれだけですか・・・? なら、失礼します・・・!」
木ノ瀬和良「フフフ・・・」
木ノ瀬和良「さて、次は何を仕掛けるか・・・」
〇まっすぐの廊下
北極氷河「はぁ・・・はぁ・・・」
北極氷河「木ノ瀬和良・・・何者なんだ・・・?」
北極氷河「今まで生き霊さんの姿は、 俺だけが認識していた・・・」
北極氷河「あの子も、生き霊が見えている・・・? でも、俺に声を掛ける理由は・・・?」
北極氷河「駄目だ・・・何も分からない・・・ 分からないから、怖い・・・」
北極氷河「ん・・・?」
北極氷河「この廊下、こんなに長かったか・・・?」
北極氷河「恐怖のあまり気が動転して、感覚が おかしくなっているのかもしれないな・・・」
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「いや、絶対におかしい・・・!」
北極氷河「もうかなり歩いているのに、 廊下から・・・抜け出せない・・・!?」
北極氷河「いや、今来た道を戻れば・・・!」
〇ビルの地下通路
北極氷河「ますます変な場所に来た!!」
北極氷河「なんだこの状況・・・!? めちゃくちゃ怖い・・・!!」
北極氷河「ど、どこか抜け道は・・・!?」
北極氷河「オ ラ ァ ッ !!」
北極氷河「いや、いくらなんでも 壁なんか破壊出来る訳ないだろ!?」
北極氷河「冷静になれ・・・そうだ・・・ 外に助けを求めよう・・・!」
北極氷河「誰か、この声が聞こえたら 返事をしてください・・・!!」
北極氷河「気が付いたら、 閉じ込められてしまって・・・」
北極氷河・・・
北極氷河「・・・・・・!?」
この空間は外から断絶された異世界・・・
お前の声はどこにも届かない
助けに来る人間もいない
北極氷河「な、なんだと・・・!? だ、誰なんだ・・・お前は・・・!?」
お前は誰からも必要とされていない
お前を愛する人間なんて存在しない
お前はこの空間で、孤独に死を迎えるんだ
北極氷河「誰だ・・・やめろ・・・」
北極氷河「やめて・・・くれ・・・!」
フフフ・・・
フハハハハハハハッ!!
そんなことありません!!
北極氷河「・・・・・・!!」
北極氷河「生瀬さんの生き霊さん!?」
北極氷河「ど、どうやってこの空間に!?」
生瀬涼子「あら、氷河くんは知ってますよね?」
生瀬涼子「生瀬涼子があなたを想い続ける限り・・・」
生瀬涼子「私はどこでも、いつだって現れるって!」
北極氷河「い、生き霊さん・・・!」
生瀬・・・涼子・・・!
生瀬涼子「よくも私の大切な氷河くんを、 怖い目に遭わせましたね・・・」
生瀬涼子「氷河くんは返してもらいますよ・・・!」
〇まっすぐの廊下
北極氷河「も、元の世界に戻った・・・!」
生瀬涼子(氷河くんを異世界に閉じ込めた犯人は・・・ すでに立ち去ったようですね・・・)
生瀬涼子(あんな世界を作り出すなんて・・・ 相当強い思念を持つ悪霊か・・・)
生瀬涼子(あるいは・・・)
北極氷河「うっ・・・」
生瀬涼子「氷河くん・・・! 大丈夫ですか・・・!?」
北極氷河「す、すみません・・・ 安心したら、ちょっと気が抜けて・・・」
北極氷河「生瀬さんの生き霊さん・・・ 助けてくださり、本当に ありがとうございます・・・!」
生瀬涼子「いえ、氷河くんが無事で、 本当に良かった・・・!」
北極氷河「あの・・・生き霊さん・・・」
北極氷河「どうして・・・ 俺の所に来てくれたんですか?」
北極氷河「だって俺は・・・生瀬さんの 好みのタイプとは真逆なんですよ・・・?」
生瀬涼子「さぁ? 私にも分かりません!」
北極氷河「えっ・・・!?」
生瀬涼子「確かに、あなたは私の理想とは違った そして、私はその事実に動揺しました」
生瀬涼子「でも・・・」
生瀬涼子「それ以上に、私の本体は・・・ あなたのことが好きみたいですよ・・・?」
北極氷河「・・・・・・」
生瀬涼子「まぁそれは、本体にあなたの 本性がバレてないから・・・ かもしれませんけど・・・!」
生瀬涼子「だって、私は氷河くんが弱虫で 本当にガッカリしたんですから・・・!」
北極氷河「うっ、す、すみません・・・」
生瀬涼子「本体にそのことがバレてしまったら、 今度こそ嫌われてしまうかもしれませんね〜」
北極氷河「うぅっ・・・」
生瀬涼子「・・・・・・」
生瀬涼子「氷河くん・・・強くなりたいですか?」
北極氷河「え・・・? も、もちろん・・・」
生瀬涼子「ニヤリ・・・」
生瀬涼子「なら、特訓しましょう♡」
生瀬涼子「強い男になれるように、ね♡」
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「・・・え?」
生霊の存在がバレそうになって、新キャラも増えてますますきになります!
北極くんが好きなのって生霊?それとも本物の涼子さん?
木ノ瀬和良さんも登場し、”何者か”により異世界に閉じ込められ、新展開という様相ですね!
窮地に駆けつけてくれる生瀬さんの生き霊さん…ステキ!