恐怖の蜘蛛退治 ⅲ(脚本)
〇体育館の裏
※蜘蛛の大きさは5cmくらいです
北極氷河(虫が苦手な生瀬さんのためにも、 俺が速やかに蜘蛛を追い払わなくては!)
北極氷河「ひっ・・・!?」
北極氷河(や、やっぱり怖い! 気持ち悪い!)
生瀬涼子「ほ、北極くん・・・」
北極氷河(生瀬さんが期待の眼差しで 俺のことを見つめている・・・!)
北極氷河(北極氷河! しっかりしろ! 相手はただの虫だぞ! やれる!)
北極氷河(デ、デカい・・・!)
北極氷河(あまりの迫力に、実際の大きさよりも 巨大に見えているかのようだ・・・)
北極氷河(惑わされるな・・・! そんなのはただのまやかし!)
北極氷河(蜘蛛を傷付けないように、 この木の枝に乗せて運べば・・・)
北極氷河「な、なにィ・・・!?」
北極氷河「蜘蛛の周りに張り巡らされた 巨大な蜘蛛の巣が、棒にくっついて・・・!」
北極氷河「これじゃ棒に乗せることすら困難!」
生瀬涼子「ほ、北極くん・・・ 無理しなくて良いから・・・!」
北極氷河「いえ、このまま蜘蛛を放っておいたら、 ここを綺麗に掃除することが出来ません!」
北極氷河「俺は、学校のためにも、 蜘蛛をどかせてみせますから!」
生瀬涼子「ほ、北極くん・・・!」
北極氷河「うおおおおおおっ!! やってやるううううう!!」
北極氷河「俺が蜘蛛をどかすんだあああああ!!」
北極氷河「はぁ・・・はぁ・・・!」
北極氷河「や、やった・・・」
生瀬涼子「ほ、北極くん・・・!」
北極氷河「ははは・・・生瀬さん・・・ もう大丈夫ですよ・・・!」
北極氷河「蜘蛛は向こうへ逃がしましたから・・・」
生瀬涼子「あ、あれ・・・!」
北極氷河「え・・・?」
※蜘蛛の大きさは5cmくらいです
北極氷河「ふ、増えた・・・だと・・・」
北極氷河「そんな・・・馬鹿な・・・」
北極氷河(たった1匹でも、必死の思いで 逃がしたというのに・・・)
北極氷河(こんな数・・・もう無理だ・・・ 俺は・・・心が折れた・・・)
生瀬涼子「北極くん・・・」
北極氷河(ふっ・・・良い機会じゃないか・・・)
北極氷河(ここで生瀬さんには、 俺の本性を目に焼き付けてもらおう)
北極氷河(そして、俺は今まで通りの 冴えない日常へと戻るんだ・・・)
氷 河 く ん !!
北極氷河「えっ!? な、生瀬さん!? 今、俺を呼びましたか・・・!?」
生瀬涼子「い、いえ、私は何も・・・」
生瀬涼子「氷河くん、頑張ってください!」
北極氷河(生瀬さんの生き霊さん!)
生瀬涼子「氷河くんは、ゲームでも 蜘蛛を追い払ってくれました!」
生瀬涼子「たとえリアルだって、 氷河くんならやれます!」
生瀬涼子「北極くん・・・!」
生瀬涼子「氷河くん・・・!」
北極氷河(・・・・・・)
北極氷河(好きな女の子が、生身と生き霊で 応援してくれているんだ・・・)
北極氷河(今の俺に、出来ないことなんてない!!)
北極氷河「あっちへ・・・行け!」
北極氷河「はぁ・・・はぁ・・・」
生瀬涼子「ほ、北極くん・・・」
北極氷河「な、生瀬さん・・・ すみません・・・手間取りました・・・」
北極氷河「これで、心置きなく掃除が出来ますね・・・」
北極氷河「良かったら、俺も手伝いますよ・・・!」
生瀬涼子「う、うん・・・あ、あの・・・ あ、あり・・・ありが・・・」
涼子〜!
生瀬涼子「・・・!」
矢田玲奈「いや〜、職員室行ったらさ〜 まさかの人違いで呼ばれてたんだよ〜」
矢田玲奈「もうマジでふざけんなって感じよね〜」
矢田玲奈「あれ・・・? あんたまさか、 まだ蜘蛛にビビってたの・・・?」
生瀬涼子「蜘蛛なら北極くんが追い払ってくれて・・・」
矢田玲奈「はぁ・・・?」
北極氷河「ど、どうも・・・」
矢田玲奈「何を蜘蛛ぐらいでイキってるのよ・・・」
矢田玲奈「ダッサ・・・」
矢田玲奈「まぁ、蜘蛛がいなくなったんなら、 早く掃除終わらせちゃいましょ」
矢田玲奈「ほら、北極氷河も掃除されたくなかったら、 さっさとどこか行きなさいよ・・・!」
生瀬涼子「れ、玲奈、そんな言い方しなくても・・・」
北極氷河「いえ、生瀬さん・・・良いんです・・・」
北極氷河「いろいろとお騒がせしました・・・」
生瀬涼子「北極くん・・・」
不良A「クソ・・・北極氷河め・・・ 女子と良い雰囲気なんかになりやがって!」
不良A「気に入らねぇ・・・あいつさえいなければ、 俺はこの学校のトップになれるのに!」
フフフ・・・
不良A「な・・・!?」
北極氷河が憎いか・・・?
不良A「だ、誰だ・・・!? 一体どこから声が・・・!?」
お前に力を与えてやる・・・
そして、北極氷河を排除しろ
不良A「だ、誰だか知らねぇが・・・」
不良A「気が合うじゃねぇか・・・」
〇空
〇住宅街
北極氷河「ふぅ・・・今日もなかなか ハードな1日だった・・・」
北極氷河「でも・・・」
氷河くん・・・
北極氷河「生瀬さんの生き霊さん・・・!」
北極氷河「ど、どうしたんですか・・・? そんな悲しそうな顔をして・・・」
生瀬涼子「だ、だって・・・せっかく 氷河くんが私を助けてくれたのに・・・」
生瀬涼子「私の本体は、お礼も言わないなんて・・・!」
北極氷河「ははっ・・・!」
生瀬涼子「ひょ、氷河くん・・・!?」
北極氷河「大丈夫ですよ・・・!」
北極氷河「だって、生き霊さんは、 生瀬さんの強い想いで 俺の元に現れるんですよね?」
生瀬涼子「あっ・・・」
北極氷河「だったら、それだけで もう俺は十分ですよ・・・!」
生瀬涼子「・・・・・・」
生瀬涼子「でも、言わせてください・・・」
生瀬涼子「ありがとう・・・氷河くん・・・!」
北極氷河「ど・・・」
北極氷河「どういたしまして・・・」
北極氷河「・・・・・・」
北極氷河「・・・そういえば、この場所でしたね」
北極氷河「初めて生き霊さんと出会ったのは・・・」
生瀬涼子「えっ・・・!?」
生瀬涼子「なんのことでしょうか・・・?」
生瀬涼子「私は氷河くんの家へ直行したので、 ここで出会うことはないはずですが・・・」
北極氷河「えっ・・・!?」
北極氷河(そ、そんな馬鹿な・・・!? じゃあ、あの時、 俺を追い掛けてきた黒い影は・・・!?)
北極・・・氷河ァ・・・
北極氷河「お、お前は、いつもの不良・・・!」
北極氷河「いや、なんか雰囲気が・・・ というか髪の色が違うような・・・」
不良A「お前を・・・」
不良A「殺す・・・!」
北極氷河「何・・・!?」
北極氷河「ぐっ・・・!?」
生瀬涼子「氷河くん!!」
北極氷河(な、なんなんだこいつ・・・!? 喧嘩を売られるのはいつものことだが!)
北極氷河(打撃の威力と速度が・・・ 段違いに上がっている・・・!?)
不良A「へへへへ・・・!」
不良A「今まで手も足も出なかった北極氷河を、 この俺が圧倒しているぞ・・・!」
不良A「ひゃははははははははッ!!」
北極氷河(い、いつもと違う・・・! 痛くて、怖い・・・! やめてくれ・・・!)
北極氷河(これ以上、殴らないでくれ・・・!!)
生瀬涼子「・・・・・・ッ!!」
生瀬涼子「ひょ、氷河くんを・・・」
生瀬涼子「傷付けるなァ!!」
不良A「な・・・なんだこれは・・・!?」
〇黒背景
不良A「こ・・・ここは・・・!?」
許さない・・・
不良A「・・・・・・ッ!?」
氷河くんを傷付けるあなたを・・・
私は、絶対に許さない・・・
許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない
不良A「ひっ・・・!?」
〇手
絶 対 に 許 さ な い
不良A「うわああああああああッ!?」
〇住宅街
不良A「や、やめろォ! こっちに来るなァ!」
北極氷河「な、何が起こったんだ・・・!?」
氷河くん・・・!
生瀬涼子「今のうちに、決めてください・・・!」
北極氷河「わ、分かりました・・・!」
北極氷河「オ ラ ァ ッ !!」
不良A「が、がは・・・」
北極氷河「はぁ・・・はぁ・・・」
生瀬涼子「氷河くん・・・!」
生瀬涼子「だ、大丈夫ですか・・・?」
北極氷河「生瀬さん・・・」
北極氷河「本当に・・・すみませんでした・・・」
生瀬涼子「なんで・・・謝るんですか・・・?」
北極氷河「見ていて分かりましたよね・・・?」
北極氷河「俺は・・・本当は強くなんかない・・・」
北極氷河「たくましくも・・・ワイルドでもない・・・」
北極氷河「喧嘩の最中に殴られて、痛くて怖くて・・・ それが嫌で泣き出してしまうような・・・」
北極氷河「情けない・・・男なんです・・・!」
生瀬涼子「氷河・・・くん・・・」
フフフ・・・
あの男、存外役に立ったな・・・
そうだ・・・北極氷河・・・
もっと醜態を晒せ・・・!
情けない本性を、
包み隠さず見せてしまえ!!
フハハハハハハハッ!!
3話もてんぽ良くサクサク読めました!
蜘蛛撃退シーンは大きいのかと思ったら5センチ!でも苦手な方からしたら凄く大きく見えますよね
そしてその後の3匹には笑いました😂
蜘蛛を追い払うという単純な行為が、ここまで激アツなバトルシーンになってしまうとはww 氷河くん、本当によく頑張りましたね!
好きな女の子の生身と生霊の声援を同時に受ける…!男に生まれたからには一度は体験してみたい胸が熱くなるシーンでした(笑いました😂)いやこれは凄い発想ですね🤣🤣🤣!!