第10話 『凪の秘密』(脚本)
〇女の子の二人部屋
布団にくるまり静かに寝息を立てる凪の隣で、嵐は眠れずにスマホをいじっていた。
スマホの光を受けて、暗闇に嵐の顔が青白く浮かび上がっている。
〇黒
凪のSNSアプリ画面には「志木さん」と連絡相手の名前が書かれていた。
嵐は素早くメッセージを打ち込んでいく。
ティピ「志木さん。起きてますか?」
ティピ「お話したいなって思って」
志木さん「起きてるよ~。原稿中です」
ティピ「あ、ごめんなさい!」
志木さん「大丈夫! 手が止まってたからね(;;)」
ティピ「次も楽しみにしてます! 志木さんの小説、私すっごく好きです!」
志木さん「ありがとう~、ほんとティピちゃんが応援してくれるから頑張れるよ」
志木さん「で、どうしたの? またお家で何かあった?」
ティピ「家っていうか、姉の事なんですけど」
ティピ「最近すごく元気なんです」
志木さん「ん? いいことじゃないの?」
ティピ「いいこと、なんですけど」
〇女の子の二人部屋
嵐はスマホから顔を上げて、静かに寝息をたてている凪の顔を見つめた。
梵嵐「・・・・・・」
〇豪華なベッドルーム
梵凪「私ね、学校、行ってみようと思うんだけど。 ・・・蕗子さん、どう思う?」
鎧坂蕗子「応援してる。凪なら絶対大丈夫よ」
梵凪「私、変われるかな?」
梵嵐「・・・・・・」
〇黒
ティピ「ちょっと浮かれすぎてるって感じで」
ティピ「ずっとある人の後を追っかけてるっていうか」
ティピ「心配です」
志木さん「ティピちゃんはお姉さんが大切なんだね」
ティピ「はい。ふたりだけの姉妹だから」
志木さん「なら、離れてみるってのも時には必要って私は思うかなあ」
志木さん「あ、ごめん、なに様って感じだよね。 話聞くしかできないのに・・・」
ティピ「志木さんの本にもそう書いてありましたよね」
志木さん「やめて~! 恥ずかしい!!」
ティピ「恥ずかしくなんかないです、私いつも志木さんの本に励まされてます」
志木さん「照れる・・・」
志木さん「でも、ティピちゃんに届いたならよかった」
〇女の子の二人部屋
嵐はスマホから顔を上げると、振り向いて凪を見つめた。
梵嵐「・・・離れてみる、か」
〇女の子の二人部屋
梵凪「行ってくるね」
梵嵐「凪!」
梵凪「?」
梵嵐「・・・行ってらっしゃい」
梵凪「蕗子さんも応援してくれてるんだもん。 私、頑張るよ」
梵嵐「・・・私だって応援してる」
梵凪「ありがとう嵐。 また一緒に学校行こうね」
梵嵐「今更だし。私はいい」
梵凪「・・・そっか。じゃあ行ってきます!」
〇黒
梵嵐「凪にとって学校は、自分が変わるための最大の壁だったんだと思う」
梵嵐「凪が離れていく」
梵嵐「でも私は耐えた。 それがお互いの為になると信じて」
〇黒
ティピ「姉がいなくなっちゃいました」
嵐は一度コメントを送信したあと、慌てて削除して打ちなおす。
ティピ「姉が学校へ行っちゃいました」
ティピ「姉が・・・、・・・、・・・」
ティピ「・・・、・・・、・・・」
ティピ「・・・、・・・、・・・」
〇黒
ティピ「志木さん」
ティピ「姉の様子が変」
ティピ「なんかずっとぼんやりしてる」
〇女の子の二人部屋
梵嵐「・・・起きてる?」
梵凪「うん」
梵凪「ねえ嵐・・・明日から一緒に学校いかない?」
梵嵐「・・・どうしたの急に。 学校でなにかあった?」
梵凪「・・・っ」
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