カルキノス

安藤・R・ゲイツ

第9話 『双子の姉妹』(脚本)

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〇黒
梵嵐「凪は静かに壊れた」
梵嵐「私が気づかないうちに、音もなく、粉々になっていた」
梵嵐「・・・こんなことになるなら、いつまでもふたりでいるべきだった」
梵嵐「私の手の中で、ずっと・・・」

〇大きな木のある校舎
  4年前──

〇まっすぐの廊下
  学校の廊下を嵐が必死に走っていく。

〇女子トイレ
梵嵐「待ちなさい!」

〇教室の外
  入道雲の浮かぶ晴れた夏の空の下、凪と嵐は日陰の校舎裏に座っていた。
  嵐は凪の乱れた髪を整えながら言う。
梵嵐「あいつら・・・凪がなにしたっていうの・・・」
梵凪「・・・・・・」
梵嵐「なんで、凪ばっかり・・・」
梵凪「でもね、私にも悪い所があるから、仕方ないんだ」
梵嵐「そんなことない!」
梵凪「ううん。私が悪いの。 私がちゃんと皆の前で喋れないから」
梵凪「だから『教育』なんだって」
梵嵐「わけわかんないよ!!」
梵凪「でも平気だよ? 私・・・」
  そう言いながら、凪の頬をぽろっと一滴の涙が伝って落ちた。
梵凪「あれ・・・?」
梵凪「え・・・やだ・・・なんで」
梵嵐「嫌なんでしょ、本当は」
梵凪「そ、そんなこと・・・」
梵嵐「じゃあなんで泣くの!?」
梵嵐「凪、充分頑張ったもん。 もう我慢しなくていいの」
梵凪「・・・・・・」
梵嵐「・・・学校、行くのやめよう。 私も一緒にやめる」
梵凪「えっ」
梵嵐「大丈夫だよ、これからも凪のことはずっと私が守ってあげるから」

〇高級一戸建て

〇おしゃれなリビングダイニング
  嵐がリビングにやってくると、テーブルの上に一万円札が無造作に置かれていた。
  嵐は黙ってお札をポケットの中に入れる。

〇女の子の二人部屋
梵凪「すぅ・・・すぅ・・・」
梵嵐「凪、朝だよ」
梵凪「・・・嵐・・・おはよう」
梵凪「・・・今何時?」
梵嵐「八時半」
梵凪「遅刻──」
梵嵐「平気。もう学校なんか行かなくていいの」
梵凪「・・・あ」
梵嵐「初めてあの人たちが親でよかったと思った。 ま、私たちのことなんてどうでもいいんだろうけど」
梵凪「・・・ママは?」
梵嵐「もう出てった。これ今日の生活費」
梵凪「・・・そっか」
梵嵐「ほら、朝ご飯にしよう」
  凪はテーブルの上に視線を移す。
梵凪「わ、わー・・・」
梵嵐「む、これからうまくなってくんだから今は我慢して──じゃなくて」

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