勇者にはほしい才能がある

東龍ほフク

7/こえだめとウサギと…マジかよぉ、この旦那(脚本)

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東龍ほフク

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〇草原の道

〇荷馬車の中
  俺達は、定期馬車便に乗って北を目指していた。
馬車の御者(バツイチ)「うわっ! 魔物だっ‥‥‥!」
ギン「おぉ、行ってきま‥‥‥」
???「いい。私が行く」
???「お前は小説書いてろ」
馬車の御者(バツイチ)「お客さん???!!! ちょっ‥‥‥ええぇ????」
ギン((一刀両断してる俺より、破裂させてる  あいつの方がとんでもなくね?))
ギン「‥‥‥‥」
???「よそ見しとらんで、書け」
ギン「‥‥‥はい‥‥‥」
  まぁ、おかげさまで‥‥‥
  なんだかんだで前よりも多く執筆時間を
  確保しながら旅をする事が出来た。

〇荷馬車の中
ギン「あ」
???「どうした」
ギン「俺、ここで降りたいなぁ‥‥‥」
???「あ?」
ギン「ここ、アレだよ!  ほら! 知らないか?」
???「‥‥‥」
???「ここは‥‥‥」

〇草原の道
???「ノココ・エミュダの農園‥‥‥?」
ギン「そう! あの『こえだめ農業ガール』の農園だぜ!」
  ノココ・エミュダとは、国報紙にて
  自身の農業エッセイを連載している女性作家である。
  連載当初はお固かったが、ある日
  『畑を荒らしに来たイノシシと取っ組み合いをして肥溜めに落ちた』辺りから
  何かが吹っ切れたのか、のびのびと執筆するようになり人気になってきた作家である。

〇荷馬車の中
ギン「「肥溜めに落ちたから“ウン”が付いて人気が 出た」だなんて言われててさ‥‥‥」
ギン「ちょっとした観光名所になってるんだぜ?」
ギン「肥溜めが」
???「‥‥‥肥溜めをわざわざ見に行くのか‥‥‥?」
ギン「ちょっとくらい、いいじゃん」
馬車の御者(バツイチ)「私も1回、ここの『農業体験』ついでに 肥溜めを見たんですけど‥‥‥」
馬車の御者(バツイチ)「その2日後に、地元の食堂で 『1万人目のお客様』としてメシ無料券 30枚もらっちゃいましたよ〜!」
ギン「行くっきゃねぇな!!!!!! ゲン担ぎ!!!!!」
???「正気かよ」
ギン「正気だよ」
ギン「どうしました? 何かありましたか?」
今日はついてない馬車の御者「すみません、お客さん! また魔物に道を邪魔されて‥‥‥!」
今日はついてない馬車の御者「何か‥‥‥それも大量で‥‥‥」
ギン「えぇ〜?」

〇草原の道
「ピギーピピギーィイイ!」
  「なんだよ、うっせーなァ」
  「こいつ! 魔物の言葉を喋れるのか?!」
  ※ギンは『キキギ語辞典』という、
  魔物の言葉を網羅した本を読んだ事が
  あります(1話参照)
  「用件あるなら、言えよ」
  「人の子よ‥‥‥。
   この辺りは我々の土地である‥‥‥」
  「消え失せやがれませよ‥‥‥」
  「はぁ?
   この辺りは、とある女性の農場だぞ」
  「その人のエッセイいわく
   "親子代々、ウン百年続く土地"で
   お前らが先住民なわけないだろうし」
  「お前らのような奴らがいた記述もないぞ」
  「いいえ。我々やボスがここら一帯に
   小便をおまきになられたので、
   ここは我々の土地になりましたのです」
  「‥‥‥よし、お前ら」
ギン「駆除してやんよ!!!!!!!!」
???「おぉ、なんだなんだ。うさぎいじめか」
ギン「あいつら! ここらに小便まいて ナワバリ主張してやがるんだよ!」
???「‥‥‥」
???「こういう場合「そもそも、ここはあいつらの 住む土地だった」的な流れじゃないのか‥‥?」
???「たまにありますけどね 『動物の先住民がいるのに人が 乗り込んできて〜』みたいな」
ギン「現実は醜いもんだ!」
ギン「‥‥‥にしたって、数が多くてキリがないな‥‥」
???「こんな大量にいる、という事は どこかに巣があるのでは?」
ギン「そ れ だ」
ギン「お 前 ら ぁ あ あ ・・・ !」
ギン「よし! 脅せば巣に帰るだろ!」
ギン「巣ごと、ぶっ潰したらぁ!!!!!」

〇林道

〇洞窟の入口(看板無し)
うさぎ魔物「ボスぅ、ボスぅう〜 助けてぇええ〜!」
うさぎ魔物「ボスが小便まいたから、ここはオイラ達の ものなのに!」
ギン「意味わかんねぇ事、言ってんじゃねぇ!」
ギン「この中にまだ、うさぎとその例の 小便垂れのボスが‥‥‥?」
ギン「‥‥‥」
ギン((‥‥‥とある方法を思いついたけど、  やっちゃって大丈夫かなぁ‥‥‥?))
ノココ・エミュダ「畑の周りがどうも騒がしいと思ったら、 一体なんなんで‥‥?!」
ギン「ノ‥‥‥ノココ先生だぁあ!!!!!」
  ※本にある、著者近影の似顔絵と
  そっくりだったので秒でわかった
ノココ・エミュダ「あ。はい、ノココです‥‥‥???」
ギン「ノココ先生! ここの洞窟って何かに使ってたりするんです?」
ノココ・エミュダ「な、何にも使ってないし‥‥‥ むしろ最近では畑を荒らす魔物が のさばってて困っている限りで‥‥‥」
ギン「わかりました! じゃあ、潰していいですね?!」
ノココ・エミュダ「ほぇ‥‥‥?!」
ギン「‥‥‥」
ギン「Θα σε θάψω ζωντανό!!!」

〇黒
  と、いうわけで洞窟は見事に崩れた。
  中のうさぎも例の小便垂れボスも、
  どうなったかは知らね。
  どんなボスだったのか知らね。
  知ったこっちゃないっす。

〇西洋風の部屋
ノココ・エミュダ「通りすがりの方、前々から畑を荒らしていた 魔物を退治してくれてありがとう‥‥‥!」
ノココの旦那「私からも礼を言わせてください。 本当にありがとうございました!」
ギン「いえいえ、そんな。 あいつらがたまたまケンカふっかけて きたものですから‥‥」
ギン「‥‥‥」
ギン「あの‥‥‥」
ギン「『イノシシとのこえだめバトル』から 人気が出始めましたが‥‥‥」
ギン「個人的にはその前からの、緊張している 丁寧な感じの農業文も好きです!」
ノココ・エミュダ「あ、ありがとうございます 初期の頃の文は固くて、そんなに面白味 なかったと思うから‥‥‥」
ギン「あれはあれで、農業の真剣さや緊迫感が 伝わってきて素晴らしいものがありましたよ!」
ノココの旦那「遥か遠方の人から、お前の文章が 「好き」だと言われるなんてなぁ」
ノココの旦那「やっぱり、お前の文って凄いんだな! そんなに面白いのか?」
ギン「奥さんのエッセイ、読んでないんですか?」
ノココ・エミュダ「あ〜‥‥‥主人は読み書きを学んでないの」
ギン「‥‥‥‥‥‥」
ギン「エ、エッセイの方の続きも楽しみです! 害虫駆除編のクライマックスで‥‥‥」
ノココ・エミュダ「それが‥‥‥国報紙での連載は、 しばらく止める事にしたの」
ノココの旦那「魔物たちに荒らされた畑を 修復しないといけないから‥‥‥」
ノココ・エミュダ「そう、それに──」
ノココ・エミュダ「あのうさぎにタックルされて右手を 骨折してるから‥‥‥執筆はしばらく無理なの」
ギン「そ、そんな‥‥‥」
ノココ・エミュダ「実は『アググ・リシュケ大賞用』に 小説も書いていたんだけど‥‥‥ それも無理そうなのよね」
ギン「なおさら‥‥‥お気の毒に‥‥‥」
ギン「いやいや、オイオイ」
ギン「お前の魔法で骨折を治してやれよ!」
???「は?」
ギン「いや〜、回復魔法が使える奴がいて 良かった良かった」
???「イヤだね」
ギン「‥‥‥‥‥あ?」
???「お前、話を聞いてなかったのか?」
???「彼女はアググ大賞を狙ってるんだぞ?」
???「つまり、お前のライバルになりかねない存在なんだぞ」
???「折れたまんまでいいだろ、右手」
ギン「ク‥‥‥クズが‥‥‥!」
???「もう少し補足する」
???「そんな意地悪をしなくても、 お前の作品の勝ちに問題はないと思う」
???「ただ、例えば審査員に『女を贔屓して 高得点をつける奴』がいたとすると、 お前の勝ちは難しいだろ?」
???「じゃあ、彼女がいない方が お前の勝つ確率は上がる」
ギン「ひ、非情さを出した後に急に褒めるなよ‥‥‥」
ギン「俺の情緒をめちゃくちゃにするな‥‥‥」
ギン「‥‥‥ノココ先生、すみません うちのヒーラーがゴミカスサイコパスで‥‥‥」
ノココ・エミュダ「いえ、彼の言うとおりよ」
ノココ・エミュダ「ライバルの右手なんか『折れててラッキー』ってなもんよ」
ノココ・エミュダ「災害・天災・不幸に遭う‥‥‥ 運も実力のうち、で私は負けたのよ」
ノココ・エミュダ「「幸運の肥溜め」なんて、嘘ね」
ノココ・エミュダ「というか、あなたも物書きさんだったのね! 怪我なんてしないよう、頑張ってね!」
ギン「いや、勝敗なんて気にせず‥‥‥ 純粋に参加者全員の作品を俺は見たいっすよ‥‥‥」
ギン「‥‥‥‥」
ギン「おい、旦那ぁ!!!!!!!」
ノココの旦那「ななななな何ですか?????」
ギン「お前が代わりに書けよ!!!!!!!!」

〇牧場
めちゃおこギン「ノココ先生が口にした文章をアンタが紙に 書き起こしていけばいいだろがよ!」
めちゃおこギン「代筆しろ、代筆!!!!!」
ノココの旦那「へぇ?! 何言ってるんですか? 僕は読み書きが出来な‥‥‥」
むちゃくちゃ言うギン「うるせぇな! いい機会だから出来るようになれよ!」
むちゃくちゃ言うギン「アンタ、好きな人の書いた文章を 読めなくて今までよく平気だったな!」
ノココの旦那「はぅ‥‥‥‥」

〇西洋風の部屋
ノココの旦那「でもぉ、畑の修復もしなきゃだしぃ‥‥‥」
ギン「手伝ってくれる友達もいないんすか?!」
ノココの旦那「‥‥‥‥‥‥いるっちゃあ、いる、けどぉ」
ノココの旦那「あいつらに頭下げたくないなぁ〜」
ギン「奥さんの夢のために、 頭くらい地の底まで下げろ!」
ノココの旦那「は、はい‥‥‥」
ギン「ノココ先生が後世に語られる作家に なった時、あなたはどう描写されたい?」
ギン「「ノココ・エミュダ骨折時に何もして やらなかった旦那」? 「嫁の文学作品を読んだ事もない薄情」?」
ギン「‥‥‥イヤですよね?」
ノココの旦那「‥‥‥はい」
ギン「残るのなら、こうがいいじゃないですか」
  「読み書きの出来なかった旦那は、
  ノココ・エミュダ骨折時に
  代筆するために苦心して字を覚えた」
ギン「‥‥‥でしょう?」
ノココの旦那「‥‥‥ですねぇ」
ノココ・エミュダ「わ、私‥‥‥‥後世に残るレベルかなぁ?」
ギン「お互いに、残るようになりましょうよ」

〇空

〇草原の道
ギン「いや〜! 農家の朝メシは美味かったなぁ〜」
???「まずいほうが逆におかしい」
???「そういやお前、ゲン担ぎの 『こえだめ観察』しなくていいのか?」
ギン「こえだめの“運”はノココ先生のもんだから、 やっぱ部外者が吸収するわけにはいかねぇよ」
???「まぁ、あんな不運が続いたんだから 御利益もたかが知れてるだろうしな」
ギン「‥‥‥‥‥」
ギン「‥‥‥マジお前、薄情だったな」
???「‥‥‥‥」
  後に、しょうもない事で
  バチクソにケンカする数日前であった。

次のエピソード:8/A派かB派かで揉めているところに、新しく来る『Cな考え方』

コメント

  • あけおめ回を先に見たせいで飛ばしてしまっていました😂
    伝説の肥溜め回ですね(笑)。ん~~……ヒーラー氏のこの他者へのツンっぷりよ……。後の大問題よ……。
    旦那へのキレ方が熱すぎますよギン氏……👼かっこよ。

  • 好きな人の好きな事を続けさせてあげたいって気持ち、それは愛ですよねぇ🥰
    作家先生夫婦も、旦那はギンに説得されてもその気がなければ代筆しなかったでしょう。
    名前がまだ無いあの人も執筆作業に集中させる為に代わりに討伐するのも愛を感じました。
    作家先生とギンのやり取りに嫉妬もしているのではないかとも思いました。
    二組のカップルの先を見届けたいです。

  • もうそうとしか見えないwwww🤤🤤💕(唐突にw)
    ノココ先生の古参オタなギンさん😂✨…あ、それもちょっと気に食わなかったのかなサイコパスヒーラーすわん🤤2人旅めちゃくちゃえへえへしながら見させて頂いてます〜💕

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