1 コネ入社に注意したら左遷させられた件(脚本)
〇オフィスのフロア
霧雨大和「只今戻りました!」
古屋霞「あ、霧雨先輩!お疲れ様です!営業どんな感じでしたか?」
霧雨大和「う〜ん・・・一応検討してはくれるけど、まだ何とも言えないかな」
古屋霞「そうですか。向こうはそんなに厳しい感じですか?」
霧雨大和「あぁ、でもこれから俺の方で少しずつって感じには成りそう」
古屋霞「そうですか。頑張って下さいね。それはそうと先輩」
霧雨大和「ん?どうした?」
古屋霞「ネクタイが少し曲がってます。少しじっとしてて下さいね」
霧雨大和「お、おう・・・(また気を使わせちゃったよ。)」
俺は霧雨大和。掃除機や洗濯機等と言った生活器具を作成する夏目カンパニーの子会社に所属する会社員だ。先程営業から
戻って来て、1個下の後輩の古屋霞にネクタイを直されていた。有難いが少し申し訳無かった。
古屋霞「良し、直った!霧雨先輩、仕事は出来るのに身だしなみが少しあれですね」
霧雨大和「すまねぇ。一人暮しだとついね・・・でも有難う」
古屋霞「良いんです。貴方にしかやってませんし」
霧雨大和「そ、そうか・・・所で、海道はまだ来て無いのか?」
古屋霞「海道君?まだ見てませんよ?」
霧雨大和「そっか・・・これで何回目だ・・・?」
古屋霞「初日に来た後からずっとこうでしたし、もう居ない人だと思っても良い気がするんですが」
霧雨大和「そうも行かねぇよ。これでも俺が、お前と海道の教育係だからな」
海道礼司「大和、お早う」
霧雨大和「海道!?」
古屋霞「ちょっと海道君!連絡もしないで何してたの!?それに今何時だと!!」
海道礼司「いや〜、昨日夜中の2時までゲームしてて、起きた時は8時だった物で」
霧雨大和「あのなぁ・・・もう学生じゃ無いんだから時間の管理位確りやれよ。何時までもそんな事したら・・・」
海道礼司「何言ってるの?そもそも大和高卒だろ?一流大卒の僕に楯突けると思ってる訳?」
古屋霞「ちょっと!学歴は関係無いでしょ!それに、幾ら昔霧雨先輩と同級生だからって、職場では霧雨先輩の方が貴方より立場は」
古屋霞「上なのよ!」
海道礼司「あぁ、低学歴の分際で煩いなぁ・・・大和が高卒の低学歴なのは変わらないだろ?」
古屋霞「ちょっと海道君!?」
霧雨大和「落ち着け古屋。なぁ海道、お前こんな事続けてたら何時か破滅するぞ?今日の営業、俺と一緒に行く事に成ってたの覚えてるか?」
海道礼司「え?低学歴とそんな約束したか?」
霧雨大和「あのなぁ・・・後で始末書書いて貰うからな?」
海道礼司「はいはい、時間有る時にやっときまーす」
海道礼司。俺の高校時代の同級生で、夏目カンパニーの海道社長の一人息子だ。性格は我儘で自分勝手。社長に溺愛されて
あぁ成ったと思う。俺は高校を卒業して今の会社に勤めてるが、あいつは一流大学に行ったらしく、卒業後は親のコネで
この子会社に勤めている。余りにも自分勝手過ぎて俺の言う事は聞かない所か、学歴を自慢するばかりで手を焼いていた。
霧雨大和「あぁ、有れじゃ書きそうに無いな・・・」
古屋霞「本当、彼が此処に居るのって自分の実力じゃ有りませんしね。昔から裕福だったんでしょうか・・・」
霧雨大和「多分な・・・親の教育、自分の考え方に問題が有ったんだろう・・・俺も神様じゃ無いって事だよ」
古屋霞「まぁ、そうですよね。先輩、そろそろ戻りましょう。皆が待ってます」
霧雨大和「あぁ、業務優先だ」
古屋霞「あ、先輩!これ渡すの忘れてました!」
霧雨大和「ん?何だ?」
霧雨大和「あ、有難う」
古屋霞「えへへ、何時もお疲れ様です!」
古屋からクッキーとコーヒーを貰い、俺達は業務に勤しむのだった。
〇オフィスのフロア
霧雨大和「良し、これを部長に提出すれば・・・」
古屋霞「先輩、頼まれた資料出来ましたので確認お願いします!」
霧雨大和「おぉ!出来たか!どれどれ?」
霧雨大和「此処も良し・・・有れも良し・・・こっち少し違うな。此処だけやり直して」
古屋霞「分かりました!他に間違った所有りますか?」
霧雨大和「そこだけ直せば大丈夫」
古屋霞「有難う御座います!これ渡しときますね!」
霧雨大和「おぉ、有難う。(お菓子とかのストック幾つ用意してるんだ?)」
古屋霞「それじゃあ、直ぐ戻りますね!」
霧雨大和「あぁ、頼む」
霧雨大和「さてと、後は海道に頼んだ仕事だが・・・」
霧雨大和「おい海道」
海道礼司「何だ大和か。何しに来た?」
霧雨大和「何しに来た、じゃ無いよ。頼んだ資料出来たか?」
海道礼司「あぁ、そこに適当にやっといたから」
霧雨大和「適当って、ちゃんと教えた事やっただろうな・・・」
霧雨大和「・・・・・・」
霧雨大和「おい海道、これ全部間違ってるぞ?」
海道礼司「え?何か文句有る訳?」
霧雨大和「いや有り過ぎるわ。一体何してた訳?」
海道礼司「面倒臭いから適当にやった。はい御免なさい」
霧雨大和「謝罪する気持ちとやる気が全く感じられないな・・・自分でやったミスは自分で訂正しろよ」
海道礼司「あのさぁ大和。そう言う面倒臭い仕事は実力の無い奴のやる事だろ?そもそも僕は高学歴で本社の海道社長の息子」
海道礼司「此処に居る職員は全員何時か僕の部下に成るんだ。だからその資料はお前がやれよ」
霧雨大和「おい、これは俺がお前に頼んだ仕事だ。頼まれたからには最後までやり切れ」
海道礼司「はいはい・・・っと、僕そろそろ外回りなんで行って来まーす」
霧雨大和「おい待て海道!って、行っちゃったよ。只でさえ時間無いのに・・・」
海道に資料の書き直しを頼むが、海道に無視されてしまった。資料の書き方を見る限り、海道は最初からやるつもりが無かった
様だ。机の下でこっそりスマホゲームをしてたのが見えた。
霧雨大和「仕方が無い、俺が何とかするか・・・」
海道礼司「大和の奴、低レベルの仕事を押し付けやがって・・・こんな地味な会社、僕が居るだけで成り立ってるってのに・・・それに・・・」
古屋霞「・・・・・・!」
海道礼司「低学歴のクセに自分は女の子とイチャイチャしやがって・・・」
海道礼司「・・・!良い事思い付いたぞ!これなら・・・」
不敵な笑みを浮かべた海道が、この後俺に対して何かをする事等、俺は思いもしなかった。
〇オフィスのフロア
霧雨大和「部長、お呼びですか?」
部長「霧雨君。実に残念だよ」
霧雨大和「はぁ?」
部長「今日、君に辞令が来た。読みたまえ」
仕事終わりの午後、俺は部長に呼び出された。部長の態度と行動に疑問を持ったが、手渡された辞令を見て驚愕した。
霧雨大和「俺が女性社員にセクハラして、自分の部下にパワハラしたですって!?何なんですかこの辞令!?何かの間違いでしょ!?」
部長「今日の午後、海道君が泣きながら私に訴えてね。霧雨君からは常にパワハラされてどうして良いか分からない程に」
部長「追い詰められていたそうだ。この事は既に上に報告して有る。明日から君は、田舎の支所に左遷が決まった」
霧雨大和「ま、待って下さい!確かに俺は海道に注意を呼び掛けました!ですがパワハラ等!」
部長「そんな言い訳が通用すると思ったか?とにかく、これは決定事項だ。色々大変だとは思うが、確り反省するんだぞ」
霧雨大和「・・・分かりました。仕事の引き継ぎ、資料に纏めて置きます」
やっても居ない事実に納得行かなかったが、何を言っても聞いてくれそうに無かった。やむを得ず俺は、これまでして来た
仕事の内容を纏め、荷物を片付けて職場を去る事にした。
〇大ホールの廊下
古屋霞「先輩!!」
霧雨大和「古屋か。どうした?そんな血相変えて」
古屋霞「どうした・・・は私の台詞ですよ!何で先輩が左遷されるんですか!?」
霧雨大和「それは是非俺が聞きたいね。やっても居ない罪を着せられてこのザマさ」
古屋霞「そんな!!先輩はそんな事する人じゃ無いのに!私から部長に言って来ます!」
霧雨大和「悪いけど、そんな事して貰うつもりは無いよ」
古屋霞「え!?どうして・・・」
霧雨大和「正直、丁度良いかなって思ってたんだよね。海道は自分の事棚に上げて何もしないし、俺が何言っても聞かないし、馬鹿にするし、」
霧雨大和「この際あいつが居ない環境も悪く無いかなって。そもそも、俺には教育係として向いて無かったんだって最近思ってたから、」
霧雨大和「俺が悪いって事にして左遷の話を飲む事にしたんだ」
古屋霞「でも・・・先輩が居なく成ったら私・・・」
霧雨大和「まぁ元気出せ!古屋には見込みが沢山有るから、まだまだ此処で頑張れるよ!俺、一度田舎で生活したいった思ってたし」
霧雨大和「どれもこれも丁度良かったから。じゃあ、明日からまた頑張れよ。じゃあな!」
古屋霞「・・・・・・」
古屋霞「決めた・・・!!」
最初のほっこりの仕事風景から一転し、今回も学歴でマウントを取ってくる奴がいますね・・・
カリスマ性の欠片もない奴が上に立っても誰もついてこないのが、大体の自滅ですが、どうなるのか・・・
しかし、冤罪を掛けられ移動・・・本人は厄介者の教育から解放たと結構ポジティブでしたが、どんな事が待っているのか楽しみですね。