1#ゆうしゃたるもの(フルボイスVer)(脚本)
〇黒
人を食べて人と成り
女によって殺される
〇巨大な城門
〇黒
ハックナイン「待ってくれ、オーリィン!!」
〇空
オーリィン「ハックナイン♪」
ハックナイン「本当に行くのか!?」
オーリィン「うん、ゆうしゃになるのが僕の道だから」
ハックナイン「どうして行っちゃうんだよ!!」
オーリィン「ごめんね──」
ハックナイン「君が居たから、俺は俺でいられた」
ハックナイン「君が俺の支えなんだ!!」
オーリィン「7回──」
オーリィン「7回だよ、ハックナイン」
ハックナイン「7回?」
オーリィン「そう僕を叩いた回数のこと」
ハックナイン「あ、最初の頃はゴメン・・・ 手をあげたりして」
オーリィン「それだけ君は傷ついていた」
オーリィン「それに比べたら全然痛くなかった」
オーリィン「大丈夫だよ」
オーリィン「辛いことがあっても負けたりなんかしない」
オーリィン「君は勇気をもって強く生きている」
ハックナイン「今の俺にそんな勇気はない」
ハックナイン「強くもない──」
ハックナイン「でも──」
ハックナイン「強くなる!! 誰よりも勇気を持って生きて見せる!!」
オーリィン「うん、だから僕は心配しない」
オーリィン「僕の心はいつでも君のそばにある」
オーリィン「先に行って待ってるね」
ハックナイン「俺は君の為に強くなる!!」
ハックナイン「好きだ、オーリィン!!」
オーリィン「旅立ちの前に言われても困るよ」
オーリィン「それに僕、男だけど良いのかな?」
ハックナイン「えーぇッツ!!」
〇城門の下
人生は喜びと悲しみの連続だ
僕は今日、ゆうしゃとして旅立つのだ
〇西洋の街並み
だから、今日でみんなとお別れだ
〇可愛らしいホテルの一室
クイーンクェ「オーリィン、準備は出来た?」
オーリィン「母さん・・・」
クイーンクェ「悲しい顔をしないの」
クイーンクェ「貴方には為すべきことがある」
オーリィン「うん、僕は魔王を──」
オーリィン「説得して、世界の半分を貰うんだ!!」
クイーンクェ「そうじゃなくて、呪いを解くのよ」
オーリィン「女性に殺される呪いは怖いので、男の人に囲まれて暮らしたいと思います」
クイーンクェ「オーリィンったら」
クイーンクェ「貴方は、その呪いを解くのよ。いずれね」
オーリィン「諦めるな、僕。負けるな未来の、僕」
クイーンクェ「ゆうしゃ、たるもの──」
オーリィン「!?──魔法は使うなっ!!」
クイーンクェ「折れるな!!」
オーリィン「挫けるな!!」
クイーンクェ「ゆうしゃの命令は」
オーリィン「絶対だ!!」
クイーンクェ「自分を!!」
オーリィン「大事に!!」
オーリィン「母さん!!」
クイーンクェ「大丈夫。貴方なら呪いに打ち勝てる」
クイーンクェ「じゃあね、オーリィン!!」
クイーンクェ「母さんは天界に行くから、地上を宜しくね」
オーリィン「見ててね母さん 僕、立派にやりとげるから!!」
〇謁見の間
王様(姫がさらわれて、一週間)
王様(勇者はまだ現れんか)
ヘイシ―「王様、勇者です。勇者が現れました!!」
王様「真か!?」
ヘイシ―「真でございます!!」
王様「その者の強さは!?」
ヘイシ―「騎士団を一瞬で殲滅する程に!!」
王様「なんと、そこまでの強者か!!」
王様「して、その者は!!」
王様「ええい、鬱陶しい!! なんじゃ、この子供は!!」
ヘイシ―「その方が勇者です」
王様「・・・冗談じゃろ?」
ヘイシ―「残念ながら・・・」
オーリィン「そうです、僕がゆうしゃ♪」
オーリィン「オーリィン・ヒロイックです!! 宜しくお願いします」
王様「ううむ、にわかには信じられん」
王様「その者、顔をよく見せい」
オーリィン「どうぞ、思う存分に堪能してください」
王様「むむむ!!」
王様「木道のオーラをまとうか──」
王様「ふむ、素質はあるのじゃな」
王様「仕方あるまい、支度品を持ってまいれ」
ヘイシ―「こちらに」
王様「勇者の剣と金貨じゃ 受け取るが良い」
オーリィン「ごめんなさい、受け取れません」
王様「なんでじゃ!!」
オーリィン「僕、金属アレルギーなんです」
王様「鎧を着ておるではないか」
オーリィン「これ、木工細工なんですよ」
王様「しかし、ろくな装備も持たずに 冒険に出るなど無謀も無謀」
オーリィン「大丈夫です その辺の枝を拾っていきますから」
王様「ワシの話しを聞いておったか!?」
オーリィン「それでは、魔王城へ行ってきます!!」
王様「いや、まずは邪竜に攫われた姫を救って欲しい」
オーリィン「はい、魔王の所へ向かいます」
王様「いや、邪竜の元へ・・・」
オーリィン「うーん・・・」
オーリィン「魔王の所ですね!!」
王様「ちっがーう!!」
王様「そもそも魔王城は遥か彼方じゃ 歩いてはとても行けん」
オーリィン「大丈夫です 走っていきます!!」
王様「海を渡らねばならんのじゃぞ」
オーリィン「走っていきます!!」
王様「聖竜でなければ超えられん山にも囲まれて──」
オーリィン「走りがいがありますね」
オーリィン「それでは王様、行ってきます!!」
オーリィン「世界の半分をこの手に!!」
王様「貴様、本当に勇者かぁ!!」
オーリィン「勇者じゃありません ゆうしゃです♪」
王様「そっちは壁じゃぞ!!」
〇魔界
世界の果て──
〇謁見の間
イエスマン「魔王様、軍団長達が出陣しました」
イエスマン「勇者一人に大袈裟では?」
ブレーバーン「旅立ったばかりの勇者を全力で倒す」
ブレーバーン「不服か?」
イエスマン「滅相もございません 当然、賛成でございますよ」
イエスマン「ところで魔王様 客人がお見えでございます」
ブレーバーン「客人?誰じゃ?」
イエスマン「その勇者でございます」
オーリィン「こんにちわ、魔王様!!」
ブレーバーン「なぜ勇者が!?」
イエスマン「我が軍団とは、すれ違ってしまったようですな、カッカッカ♪」
ブレーバーン「笑いごとではない!! なぜ勇者をここへ通した!!」
イエスマン「私は絶対の服従者 誰に対してもノーとは言いませんので♪」
イエスマン「では魔王様、どうぞ!!」
ブレーバーン「余を倒しに来たか、勇者よ!!」
オーリィン「いいえ、世界の半分を貰いに来ました」
ブレーバーン「綺麗な瞳とは真逆の心の持ち主!!」
ブレーバーン「貴様、本当に勇者か!?」
オーリィン「ひらがなで、ゆうしゃです!!」
ブレーバーン「勇の者ではないと?」
オーリィン「それは勇気を示した者への証です」
ブレーバーン「ただの蛮勇か、それとも勇者か──」
ブレーバーン「余が見極めてやろう!!」
ブレーバーン「フハハ、我が力に怯えるが良い!!」
オーリィン「魔法っ!!」
ブレーバーン「ヘルフレイム【獄焔殺】!!」
オーリィン「──は使うなっ!!」
ブレーバーン「魔法封じだと!?厄介な魔法を!!」
オーリィン「魔法じゃありません これは木跡です!!」
オーリィン「今度はこちらの番ですよっ!!」
ブレーバーン「木の枝!?」
オーリィン「ゆうしゃが使えば、それは伝説の武器!!」
オーリィン「木の枝も必定!!」
ブレーバーン「なわけあるかい!!」
オーリィン「屑竜之枝(トリュウノエダ) 【壱果】我竜鞭(ガリュウベン)!!」
ブレーバーン「グハァッ!!」
ブレーバーン「ただの枝が、なぜそれほどの威力を・・・」
オーリィン「それは僕が、ゆうしゃだからッ!!」
オーリィン「ゆうしゃは、折れないくじけない」
オーリィン「だから、ゆうしゃの木の枝も折れない くじけない!!」
ブレーバーン「そんな不条理がまかり通ってたまるかぁ!!」
オーリィン「条理は僕が決めます!!」
オーリィン「家訓その3 ゆうしゃの命令は絶対だ!!」
ブレーバーン「余は負けられん!!」
ブレーバーン「余には守らねばならん民達がいるのだ!!」
ブレーバーン「人に脅かされ、迫害され、辺境の果てに追いやられた」
ブレーバーン「その者達を守らねばならん!!」
ブレーバーン「貴様には分からんだろうがな!!」
オーリィン「分かります」
オーリィン「僕もそれほどに自分が大事です!!」
ブレーバーン「自分だと!?」
オーリィン「家訓その4 自分を大事に!!」
ブレーバーン「貴様には私欲しかないのか!?」
オーリィン「大事なのは自分を大事にすること!!」
オーリィン「そして相手も自分と同じ様に 大事すること」
オーリィン「僕が目指すのはそんな世界です」
ブレーバーン「・・・そんなことは人にも魔族にも」
ブレーバーン「天人にもできんよ」
オーリィン「折れるな、くじけるな やってみる前に諦めるな!!」
オーリィン「僕が絶対に作ってみせる!!」
オーリィン「貴方の大事な民も僕が引き受ける!!」
オーリィン「みんなの気持ちを、魂を受け取ります!!」
ブレーバーン(奴の心が流れ込んでくる そんなことを本気で信じているのか!?)
ブレーバーン(まさか余が感化されるとは──)
ブレーバーン(心が混じりあったか?)
ブレーバーン「ふっ、なるほど 勇ではないな」
ブレーバーン「さしずめ心を溶かし交わる融者──」
ブレーバーン「ならば見せて見ろ 貴様の矜持を!!」
オーリィン「受け取ってください、僕の思いを!!」
オーリィン「行きます!!」
オーリィン「屑竜之枝(トリュウノエダ) 【惨果】虎昇切(コショウセツ)!!」
ブレーバーン「ゴハッ・・・」
ブレーバーン「無念じゃ・・・」
オーリィン「無念じゃない!!」
オーリィン「折れるな、挫けるな!!」
オーリィン「民を導くのでしょう!!」
ブレーバーン「貴様、トドメを刺さぬのか?」
オーリィン「自分を大事にです」
オーリィン「勿論、貴方のことも」
ブレーバーン「完敗じゃ・・・」
ブレーバーン「本当なら世界の半分を渡したいが まだ手中にあらず」
ブレーバーン「ならばせめて、余の半分を差し出そう」
ブレーバーン「ルビネットよ、我が元に!!」
ルビネット「急に呼ばないでくれるかしら、お父様!!」
ルビネット「締めますわよ!!」
ルビネット「あら・・・」
ルビネット「ん、んん── こ、この子はどちら様かしら?」
ブレーバーン「余を倒したゆうしゃじゃ」
ブレーバーン「ゆうしゃは世界の半分を欲しておるが それは無理じゃ」
ブレーバーン「すまぬ、ルビネット・・・」
ブレーバーン「だから、お前を差し出すことくらいしか──」
ルビネット「私がこの子のモノに!?」
オーリィン「ひ、人を貰う訳にはいきません!!」
ブレーバーン「すまぬ!!」
ブレーバーン「お前にとっては迷惑だろう!!」
ブレーバーン「受け入れろと言う方が酷だ!!」
ブレーバーン「しかし、そこをなんとか頼む!!」
ルビネット「良いわよ」
ブレーバーン「そこをなんとか!!」
ブレーバーン「噓おぉッ!?」
ルビネット「だ、だから良いわよ」
ルビネット「うふふ、可愛がってあげるわよ」
オーリィン「あの、女の人はちょっと・・・」
ルビネット「人じゃないわよ、ま・ぞ・く♡」
ルビネット「じゃあ、この子貰っていくわね」
ブレーバーン「逆じゃぞ、お前が貰われる方じゃ」
ルビネット「も、貰われるだなんて、恥ずかしい」
ルビネット「お、お嫁さんってことじゃない!!」
ルビネット「ふ、不束者ですけど宜しくしてね♡」
ブレーバーン「いや、違うぞ・・・」
ルビネット「の、悩殺してあげますわ」
〇黒
僕・・・の呪いは──
女によって殺される
〇謁見の間
オーリィン(母さん大変です・・・)
オーリィン(この人は僕を殺す気です)
ルビネット「わたくしの魅力で虜にしてさしあげますわ」
〇黒