voice【7】夢をバカにするな! タイムイズマネー? ドリームイズ……?(脚本)
〇高層ビルの出入口
???「今日も勉強になったー。 やっぱり大事だよね」
七海 さくら「さ、サブスクで観てみるね! 1970年代・・・生まれるずっと前だ」
???「話を弾ませるためには知識も必要ね。 他の若い子との差別化にもなるわ」
七海 さくら「お金かかんなぁ。 働いてると練習時間も足りんわ」
???「だから自由にならないと。 夢に向かうための環境って大事だから」
石動 凛子(あれって・・・勉強会の話よね?)
???「本当に腹立つ」
???「サーシャ、あの子は同じ養成所の子?」
石動 凛子「えっ!? うん」
???「あれはたしかに勉強会だよ。 参考になることだってもちろんある」
???「でもそれ以上、突っ込んだらダメだ。 勉強と環境作りをごっちゃにしたら大変なことになる」
石動 凛子「・・・それは、お金の話?」
???「・・・俺は友達が心配でここに来た」
???「あの子をどうするかは サーシャが決めて」
石動 凛子「まっ──!!」
???「働いてる友達も入って買ってくれれば さくらさんにも自動的にマネーが貯まるのよ」
???「その友達がまた新しい子を呼べば──」
???「そしたら働かなくても練習に費やせるし、 たくさん作品を観て勉強することが出来るよ」
七海 さくら「それは魅力的だけど・・・」
???「そういうのもあまり良くないよ? ちゃんとしたもの、ここで買えばいいし」
???「声優の●●さんも 喉のために市販のは買わないのよ」
七海 さくら「●●さんの愛用・・・」
???「今度詳しく話聞いてみない? さっき勉強会に来てた──」
七海 さくら「い、石動さん!? えっ!? なん─」
石動 凛子「ちょっと役のことで話があるから来て!」
七海 さくら「え、えええ!?」
???「急になんですか!? 警察呼びますよ!?」
石動 凛子「呼べば? 私の行動を咎める人、いないと思うけど?」
石動 凛子「・・・行こう」
七海 さくら「・・・・・・」
石動 凛子「マリン。 おねーちゃんはいつだって妹を守るから」
七海 さくら「──うん!」
〇繁華な通り
七海 さくら「・・・なんでこんなことしたんですか?」
石動 凛子「ああやって勉強しに行ってたんだ」
七海 さくら「業界のえらい人が来とるって聞いて」
石動 凛子「養成所以外でも勉強しようとして 頑張ってるんだね」
七海 さくら「バカにしんといてください! うち、本気で声優目指しとるんです!」
石動 凛子「うん。私もだよ。 私も本気で声優目指してる」
石動 凛子「古い作品を観るのも大事だよ。 その時代に育った人がこれから代替わりで表に出てくる」
石動 凛子「だからその人たちを驚かせるくらい、 いい演技をして役を掴まないとね」
七海 さくら「・・・お金も時間も必要なんです」
七海 さくら「石動さんみたいに大人じゃないから 貯金だってないんです!」
七海 さくら「みんなみたいに親元でのほほんとしとる余裕だってないんです!!」
七海 さくら「バカにしんといてください! みんなより下手だからいっぱい練習せんと」
石動 凛子「それは今の時間を捨ててでも?」
石動 凛子「未来にお金も時間も出来るかもしれない。 でもそれは『今、七海さんが情熱を注いでる時間』に匹敵するもの?」
七海 さくら「・・・・・・」
石動 凛子「決めるのは七海さんだよ。 私は未来じゃ遅いから、今に全力を注ぐだけ」
石動 凛子「また養成所でね。 今度はラピスとマリンで・・・」
〇開けた交差点
石動 凛子「・・・・・・」
???「幼なじみの家族があんな感じでさ。 ・・・もう縁ないからわかんないけど」
石動 凛子「・・・ありがとう。 私もその選択をする可能性はあったから」
???「待って! サーシャ!!」
???「・・・サーシャ?」
石動 凛子「・・・ごめんなさい」
???「どうして謝るの?」
石動 凛子「私、嘘ついてたから」
???「別に。 俺も嘘ついていたようなものだし」
石動 凛子「・・・アナ、だよね?」
???「・・・うん」
石動 凛子「そっかぁ。 アナって男の子だったんだぁ」
???「男の子ってそんな子ども扱い・・・」
???「サーシャ?」
石動 凛子「うえええええん!! アナが目の前にいるよおおお!!」
???「サーシャ、な、なんで・・・」
???「『サ、サーシャのハートにロイヤルストレートフラッシュ☆』?」
石動 凛子「は・・・ははっ。 アナの愛が刺さったよ」
石動 凛子(何考えてるのよ、凛子! 相手は大学生よ!)
???「ところでサーシャはなんの嘘ついてたの?」
石動 凛子「えっ!?」
石動 凛子「い、言わせないでよ」
???「いや、本当にわかんないんだけど」
石動 凛子「サーシャ改め、石動 凛子。 30歳です」
石動 凛子「バレちゃった。 サバ読みすぎだよね」
石動 凛子「この年齢で声優目指すとか、 年齢的にも現実的にもバカだよね・・・」
???「なんで? カッコいいじゃん」
???「むしろなんでそんなに卑下するの? 自分の力で頑張ることの何がおかしいわけ?」
石動 凛子「アナ?」
???「・・・ごめん。 俺、リアルだと直球すぎるからあまり喋らないようにしてて」
???「アナスタシアなら直球でも心配なくて」
石動 凛子(本当に、この人はアナだ。 私にたくさんの言葉をくれる大好きなアナ)
石動 凛子「ありがとう。 私、アナが大好きだよ」
???「えっ!? えっと・・・」
???「お、俺もサーシャが好きだよ」
???「やっぱり、凛としてグッと内側に入り込む声だ」
???「俺が一番好きな声。 俺の心に寄り添ってくれるサーシャ」
???「”声優”は声に優れたと書くけど、 サーシャは俺にとって”女優”でもあったんだ」
石動 凛子「アナの原稿は、 キャラクターの性格設定とか書かれてない」
石動 凛子(あぁ、気づいてしまった)
石動 凛子(私は一度たりとも 役になって話したことがないんだ)
???「サーシャ?」
石動 凛子(泣いていられない)
石動 凛子「また、アナの原稿を読んでもいい?」
???「もちろん! むしろ読んでよ! サーシャがいい!」
石動 凛子「・・・ありがとう」
石動 凛子(アナってずるいなぁ。 私の方が子どもみたい)
「ねぇ、その姿のときもアナでいいの?」
「えっと・・・本名がちょっと」
「穴星 紫亜(あなほし しあ)・・・」
(それでアナスタシア。 今どきの名前ねぇ・・・)
〇女性の部屋
〇幻想2
石動 凛子「ラピス・・・」
石動 凛子「私、あなたにはなれない。 だからあなたの言葉として台詞は読めない」
石動 凛子「私は私の言葉として台詞を読むわ。 それが少しでもあなたの心に寄り添えるなら 嬉しいの」
石動 凛子「でもわからないの。 それだと私の言葉で、話し方になってしまう」
石動 凛子「あなたはどんな風に話すの? あなたは私より若いからもっと・・・」
石動 凛子「・・・自分で見つけるしかないよね」
石動 凛子「頑張るから。 あなたと私が共鳴して、言葉を伝えられるようにがんばるわ」
石動 凛子「そして私、必ず声優になるから! そのために成さなければならないことは 決まってる」
石動 凛子「会いに来てくれてありがとう、ラピス」
石動 凛子「ローズマリー」
〇黒背景
石動 凛子「あれ?」
石動 凛子(ジェーン!?)
ジェーン「あなたに華やかさはないわ」
ジェーン「オーラって、注入するものじゃないのよ?」
ジェーン「それともこうかしら?」
ジェーン「ねぇ、本当に声優になれると思ってるの?」
石動 凛子「な、なるわよ! 声優になって私は──」
ジェーン「目指すのは吹き替えかしら? まだチャンスはあるものね」
ジェーン「アニメはそもそもオーディションも受けられないんじゃない?」
ジェーン「仮に事務所に入ってもオーディションのチャンスを与えてもらえるのかしら?」
ジェーン「事務所のマネージャーに気に入られないと。 でもその前に・・・」
ジェーン「養成所の講師に気に入られないとね?」
石動 凛子「待って──!!」
〇女性の部屋
「・・・キツイなぁ」
〇女性の部屋
〇オフィスビル前の道
石動 凛子「さぁ、今日もがんばるぞー!!」
石動 凛子「大丈夫。 私は必ず声優になる。有言実行、それが私!」
あーなるほどなるほど、だからサーシャって呼んでたんですね!声でわかったんですね!
アナは公私?ともにイケメンだった!
さくらちゃんが行っていた勉強会は、ネズミ講のようなものでしょうか? 怪しいですね💦
まさか彼がアナとは……
めちゃくちゃ良い人や😭😭😭
凛子を勇気づけてくれる大切な存在ですね。
お金事情は夢を追う人にとっては本当に避けて通れないモノですよね。バイトなり仕事なり時間を削ってお金を得ないといけない。でもそうすると夢の為に費やせる時間が少なくなってしまう。甘い言葉の誘惑に流されちゃうのが理解できてしまう。
素敵素敵!
アナがイケメン大学生だった〜♪
自問自答ばかりの凛子についに光が見えましたね✨
そして友達も出来そうな予感?
キャラそれぞれの心情が痛いくらいリアル丁寧に書かれていて、タップ止まらない😆