第46話 チャンバラ☆タイムトラベル!②(脚本)
〇風流な庭園
ミーコの背に乗り、桜の木の下にやってきたアテナ。
木に装着してたはずのタイムトラベルのスイッチは消えていた。
アテナ「スイッチがない!?」
〇屋敷の大広間
大きな広間に着物を着た人々が勢ぞろいしている。
高原みこ「すっごいごちそう! どれから食べようかなー」
ミチ「お見合いの席ではしたないですわよ。 要様に嫌われてしまいますわ」
高原みこ「かなめさまって誰?」
大広間の奥から、着物姿の二人の男性が入ってきた。
悪田「小娘、覚えておくがいい。蜘蛛丸要(くもまるかなめ)様は近い将来、この国を統べる男だ」
蜘蛛丸要「刮目せよ!」
悪田「おっと危ない」
要の振り子を注視した一同は、目の色が紫に変化した。
蜘蛛丸要「蜘蛛の糸のとりこたち、『獅子王家に伝わる宝刀を俺に渡せ』」
ミチ「! 『獅子王家に伝わる宝刀を要様に渡します』」
侍1「『渡します』」
高原みこ「ぐうー!」
蜘蛛丸要「おや、おかしいな。 一人眠っちゃったね」
ミチ「一葉様、起きてください!」
高原みこ「むにゃ?」
悪田「なんと、こやつが獅子王一葉だったか」
蜘蛛丸要「もう一度この小銭を見て。蜘蛛の糸のとりこたち、『獅子王家に伝わる──』」
高原みこ「んがー!」
蜘蛛丸要「・・・催眠術をかけられないなんて初めてだ。気に食わないなあ」
悪田「お、おい、宝刀はまだか! すぐに要様に差し出すのだ」
侍1「申し訳ございませぬ。獅子王家に伝わる宝刀は何者かに盗まれ、いまだ捜索中であります」
蜘蛛丸要「盗まれた?」
悪田「話が違うではないか! 宝刀がなければ、大いなる力も手に入らぬ!」
蜘蛛丸要「怒鳴るな、やかましい」
悪田「すみませぬ。しかし・・・」
蜘蛛丸要「一刻も早く探し出せ。わかったね?」
侍1「はっ、要様の仰せのままに」
〇屋敷の一室
高原みこ「なんで起こしてくれなかったの。 ごちそう全然食べられなかったよ」
ミチ「何度も起こしましたわよ」
高原みこ「お腹空いたよー! カップラーメン食べたいよー!」
???「お元気そうでなによりです、御主人(マスター)」
高原みこ「!」
窓の下にミーコに乗ったアテナが現れた。
アテナ「隙を見て一緒に逃げましょう。しばらく静かに」
高原みこ「アテナだ――!!!」
ミチ「誰かいますの!?」
アテナ「・・・はぁ。だから静かにと言ったのに」
〇屋敷の牢屋
ミチ「姫様らしくない振る舞いだと思っていたのですわ。けれど別人だったなんて・・・」
牢屋の鍵をミチが開く。
嘉成光「やっと自由の身だ~! 牢屋はこりごりだよ」
アテナ「・・・何故私たちを助けてくれるのです?」
ミチ「助けたのではありませんわ」
アテナ「え?」
ミチ「アテナ様と光様に、本物の姫様を探していただきたいのです」
嘉成光「なんで俺たちがそんなこと」
ミチ「姫様が戻るまで、みこ様には影武者をしていただきますわ」
アテナ「何を・・・」
ミチ「急いで見つけてくださいね。このままでは姫様のお見合いがめちゃめちゃになってしまいますもの」
嘉成光「お見合い!?」
ミチ「すでにお相手は姫様にご不満がおありのご様子。早く本物の一葉様と会っていただかないと」
嘉成光「な、何が起こってるんだ?」
ミチ「それに・・・家の者が姫様の入れ替わりを知れば、どんな行動に出るかわかりませんわよ」
アテナ「・・・脅迫しているのですか」
ミチ「いいえ。でも、私の言葉一つでみこ様の命はどうとでもなりますわね」
嘉成光「それを脅迫っていうんだよ!」
ミチ「姫様と姫様が持ち出した宝刀を家に戻してくれればみこ様は自由ですわ」
アテナ「宝刀? どういうことです?」
〇けもの道
獅子王一葉「お見合いから逃げ出すなんて、きっと屋敷は大騒ぎになっているわね」
宝刀を抜こうと力を込めるが、刀は鞘に収まったまま少しも動かない。
獅子王一葉「宝刀よ、なぜ私を当主として認めてくれないのです・・・」
〇城下町
アテナ「・・・晴れていれば充電できるものを」
嘉成光「ふわあ~、夜通し探したけど全然見つからないね」
ミーコ「フミャア~~」
アテナ「獅子王一葉もスイッチも手掛かりゼロです。急がねば」
嘉成光「ん? なんだろうこの甘い匂い」
アテナ「寄り道をする暇はありませんよ」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)