エピソード1(脚本)
〇城の回廊
魔術学園の校舎裏にて
ロズールは女子生徒を呼び出していた
ロズール「俺のダンスのパートナーになってくれないか?」
女子生徒「ごめんなさい、もう先約があるの・・・」
ロズール「あーまたダメだったか・・・」
ダング「ロズール、何やってるんだ?」
友人のダングが現れた
ロズール「なにもしてねーよ」
ダング「そうか?」
ダング「話は変わるけど、ダンスパーティーまであと1ヶ月だな、パートナーが見つかってないと大変だよな」
ダング「もう間に合わないんじゃないか? めぼしい女はみんな相手がいるさ」
ロズール「見てたんじゃないか・・・」
ダング「まあな、渡り廊下からまる見えだったぜ」
ロズール「お前はどうなんだよ、相手は見つかったのか?」
ダング「俺はもう諦めた」
シシュア「何の話をしてるの?」
同じクラスのシシュアが来た
ロズール「ダンスパーティのパートナー探しだよ」
シシュア「そんなの相手探す必要なくない?」
ロズール「でも俺たち最終学年は全員参加だぞ それで相手がいないとかダサいだろ?」
シシュア「そんな理由で必死になる方がダサいと思うけどな」
ダング「シシュアは? 相手を見つけたのか?」
シシュア「私はそんなの必要ないし、一人で出て一人で踊ればいいじゃない」
ロズール「そんなダサいことできるかよ!」
ダング「そもそも踊る必要なくない?」
シシュア「まあいいじゃん」
ロズール「とにかく早く次を探さないと・・・」
シシュア「あ、待って! ロズールのこと探してたんだよ!」
シシュア「教授が呼んでた、成績のことで話があるから絶対にこいって」
ロズール「めんどくさいなぁ」
シシュア「来なかったら留年だって言ってた! 本当に行った方がいいよ!」
ロズール「留年? 嘘だろ?」
〇上官の部屋
ロズールは教授の部屋に行った
教授「おお、ロズール君、待っていたよ」
ロズール「教授、来なかったら留年って何ですか そんな脅し、ダメでしょ」
教授「それが脅しではすまないんだなぁ これ、君の成績なんじゃがね?」
ロズール「はぁ?」
教授「おまえ、このままじゃ、本当に卒業できんぞ?」
ロズール「えっ?」
教授「成績が悪すぎる、特に氷の属性魔術が全然使えてないじゃないか」
ロズール「炎魔術は上級まで覚えたんですよ? それでもダメですか」
教授「しかしなぁ、決まりは決まりじゃ」
教授「雷属性は初級がやっと、氷属性は全く使えん これでは卒業証書は渡せないぞ」
ロズール「そんなぁ、留年なんてダサすぎる! 何とかしてくださいよ!」
教授「最終試験までの2ヶ月で、氷属性の魔術を覚えるしかないな」
ロズール「無理ですよ!」
教授「君はファリンという生徒を知っているか?」
ロズール「知りませんけど?」
教授「君にとっては一学年下級生だが、優秀な魔術師だよ 氷属性を上級まで覚えたし、炎の初級と雷の中級も使える」
ロズール「一学年下なのに? すごい・・・」
教授「もう我々が教えるようなことはないのだが・・・ ちょっと人付き合いが悪くてな・・・」
教授「君、ファリンから氷属性を教わってきなさい」
ロズール「何で俺がそんな面倒なことを?」
教授「留年したいのか?」
ロズール「いや、その・・・」
教授「ファリン君は、いつも実習棟にいるはずじゃ とにかく、一度会ってみなさい それとこの手紙を持っていけ」
ロズールはファリン宛の手紙を受け取った
〇要塞の廊下
ロズールは実習棟にやって来た
実習棟の奥、倉庫ばかりのエリア、その奥にファリンがいるそうだ
ロズール「どこだよ、だれもいないし・・・」
迷っていたロズールは、荷物を抱えて歩く女子生徒を見つけた
ロズール「君、ちょっとすまない」
ファリン「何ですか?」
ロズール「ファリンって人を探してるんだ、なにか知らないか?」
ファリン「私がそのファリンですけど、」
ロズール「よかった、実は教授から手紙を預かっているんだ」
ファリンは荷物を抱えたまま、器用に手紙を開いて読む
ファリン「はぁ・・・ なるほど、なるほど・・・」
ファリン「あなたは私の仕事を手伝う、その代わり私はあなたに氷属性魔術を教えると・・・」
ロズール「え、俺は何を手伝うって?」
ファリン「案内します、ついてきてください」
ロズール「待ってくれ、教授は手紙になんて書いたんだ?」
ファリンは答えず、どこかに歩いていく
ロズール「待てってば!」
ロズール「くっそ、人付き合いが悪いって、ずいぶん控えめな言い方だったんじゃないか?」
ファリン「聞こえてますよ」
ロズール「・・・・・・・・・・・・」
これは面倒なことになりそうだなと、ロズールは思った
〇兵舎
ファリンは一つの部屋に入ると荷物をおろした
ロズール「何だよ、この部屋・・・」
ファリン「私が特別に使っていいことになっています」
部屋の中にはテーブルがあり、魔方陣が描かれた羊皮紙があった
ファリン「そこに手をのせてください」
ロズール「こうか?」
ロズールが手を乗せると、ファリンはその上に手を重ねてくる
氷のように冷たい手だった
ロズールは驚いて声をあげそうになる
ファリン「城の中に入りたいと願って!」
ロズール「え? 城? 入る?」
混乱するロズールの体を光が包みこむ
ロズール「うわあっ?」
〇ファンタジー世界
気がつくと、ロズールは知らない場所にいた
ロズール「どこだここ?」
ファリン「ここは魔術の箱庭、人間が中に入ることができます」
ファリン「魔物もいて、戦闘訓練もできますよ」
ロズール「ここで氷属性魔術を教えてくれるってこと?」
ファリン「それもあるけど、この中でだけ使える特別な魔術が目的です」
ロズール「特別な魔術? 何ができるんだ?」
ファリン「奴隷契約の魔術・・・」
ロズール「え?」
ロズール「え? これ何?」
ファリン「呪いの首輪です」
ロズール「何でだよ! 外せよ! 呪いって何だよ!」
ファリン「あなたは騙されたんですよ」
ロズール「はぁ?」
ファリン「あなたは今から私の奴隷です」
ファリン「私の命令に逆らったら死にます」
ファリン「箱庭の秘密をばらしたら死にます」
ファリン「私が死んでも一緒に死にます」
ロズール「な、何を言ってるんだ?」
ファリン「死にたくなかったら、私の命令を聞きなさい いいですね?」
ロズール「嫌だ、俺はおまえの命令なんか聞かないぞ! 俺にはやらなきゃいけないことがあるんだ!」
ファリン「やらなきゃいけないこと? 何ですか?」
ロズール「氷属性魔術を覚えて、卒業試験をクリアして、あとダンスパーティのパートナー探しもしないといけないんだ!」
ファリン「・・・・・・」
ロズール「・・・・・・」
ファリン「氷属性魔術はちゃんと教えます 卒業試験までに私の用は終わるでしょう」
ロズール「そうか」
ロズール「ダンスパーティのパートナー探しは?」
ファリン「知りません、諦めてください」
ロズール「ふざけんなぁ! それが一番大事だろうがぁ!」
美少女魔術師の誰も知らない秘密の箱庭で奴隷プレイができるなんて、そっちの趣味の人なら涙を流して喜びそう。ドSのファリンとポンコツのロズール…なんだか最強コンビ誕生の予感。箱庭でこれから二人がどうなるのか、気になります。