第五話 宣戦布告 (脚本)
〇謁見の間
アシリア姫「マクシミリアン伯爵が攻めてくるとの報告じゃが?」
アルバート国務大臣「はい、陛下・・・ただ何処から攻めてくるのか?」
アシリア姫「どうする?コリンズ」
コリンズ司令官「先ずは、内陸の国境地帯に軍を展開すればよろしいかと存じます」
アシリア姫「そうか、それならコリンズが指揮を執る事を任せる」
コリンズ司令官「ハッ」
アルバート国務大臣「しかし、戦ともなれば費用が・・・」
アシリア姫「うむ、出来れば戦を避けたいもの・・・そうだ、神座を呼べ」
アルバート国務大臣「分かりました、呼んで参ります陛下」
アシリア姫「さて、どうしたものよ」
神座慎吾「お呼びですか?陛下」
ソフィア「この度は女王就任おめでとうございます陛下」
アシリア姫「ありがとう・・・」
アシリア姫「さて神座、ダフィットやヘンリーからわらわを守った事、大儀・・・じゃがなわらわからキスを了解もなしに奪ったこれは、死刑じゃ」
神座慎吾「あ、あの時はあれしか・・・」
ソフィア「ゆ、許せませんわ陛下・・・八つ裂きにしましょう神座を」
アシリア姫「ウン、いい考えじゃ・・・しかし薬を毎回神座から口移しで飲んでいたそちに言われてもな」
ソフィア「ええっ!」
神座慎吾「し、仕方ないんだ君のお母さんから直すにはそれしかないと言われて・・・」
ソフィア(母が言ったというなら母が慎吾が私の夫である事を認めた訳でしょ)
ソフィア「仕方ないわ、一つ貸ですわよ慎吾」
アシリア姫「話があらぬ方へ飛んだな・・・戯言じゃ神座、どうじゃ代わりに顧問にならんか?」
神座慎吾「死刑囚が顧問ですか?俺は細かい事が苦手で」
ソフィア「細かい事なら私に任せて慎吾」
アシリア姫「そちのやる事にわらわは白紙委任じゃ、面白いぞ」
神座慎吾「分かりましたソフィア共々陛下にお仕えいたします」
〇城の会議室
アシリア姫「しかし、マクシミリアン伯爵の真意が分からん」
アルバート国務大臣「さようでございます。顧問に任命された神座に真意を探らせては?」
アシリア姫「そうじゃな・・・神座を呼べ」
神座慎吾「お呼びですか?陛下」
アシリア姫「ウㇺ、マクシミリアン伯爵が宣戦布告したらしいが真意が分からぬ・・・マクシミリアン伯爵に会って真意を聞いてまいれ神座」
神座慎吾「矢張り、陛下が伯爵の第三夫人になれば戦いをしなくて済むのでは?」
アルバート国務大臣「ぶ、無礼者」
神座慎吾「でも、そうすれば戦は避けられますけど」
アシリア姫「わらわとしては戦いを止めて相互不可侵条約を結んで平和に交易したいものじゃ」
アルバート国務大臣「それで5日間でマクシミリアン伯爵と話をつけてくれ神座」
神座慎吾「たった5日間!!」
アシリア姫「そうじゃ、時間がないぞ早く行け」
〇貴族の応接間
神座慎吾「全く5日間だなんて行き帰りの日数にも足らないじゃないか」
ソフィア「あら、慎吾何を怒ってるの?」
神座慎吾「マクシミリアン伯爵に5日間で会いに行けだって・・・できる訳ないよ」
ソフィア「簡単ですわ・・・指輪を持ってる二人で行けば」
神座慎吾「ええっ!指輪を持っている人の場所にしか行けないのじゃぁ・・・」
ソフィア「とにかくマクシミリアン城へ行きますわよ慎吾」
〇要塞の廊下
神座慎吾「あれ?誰もいないぞ」
兵士9「誰だ?」
神座慎吾「私はトルメニア公国の女王陛下から依頼を受けマクシミリアン伯爵に会いに参りました神座慎吾と申します・・・御取次を」
兵士9「トルメニア公国の女王陛下からの使いという証拠を見せろ」
ソフィア「私のこの腕輪が証拠でございます」
兵士9「おぉ、確かにトルメニア公国の腕輪・・・失礼した、さっ、こちらへ」
〇謁見の間
神座慎吾「お目にかかれて光栄です伯爵」
マクシミリアン伯爵「フン、今頃命乞いに来ても遅いわ」
神座慎吾「ええっ!既に宣戦布告を我が国に出されたのですか?」
マクシミリアン伯爵「条件によるがな・・・例えばじゃ、税金の半分を我がマクシミリアンに払うとか、女王を退位させて我が国の代官を置くとか・・・」
神座慎吾「その条件を我が国が呑まなかったら・・・」
マクシミリアン伯爵「アブドラ帝国の二の舞いを覚悟した方がよいぞハハハ」
神座慎吾「こちらとしては、戦いを止めてくれたら相互不可侵条約を結んでも良いのですが」
マクシミリアン伯爵「話にならないな・・・お帰り頂こうか」
〇要塞の廊下
ソフィア「やはり、戦いは避けられないのかしら?」
神座慎吾「伯爵が強気だからね・・・それより出口はどこ?案内してくれた兵士も見当たらないなんて」
ソフィア「そうですわね、そう言えば衛兵が一人もいませんわ・・・帰ります?」
神座慎吾「戻る前に伯爵に痛めつけられたアブドラ帝国に寄ろう」
ソフィア「分かりました」
〇巨大な城門
ソフィア「随分としっかりした城ですこと」
神座慎吾「あぁ、伯爵にやられて防備を固めているんだろう」
兵士3「止まれ!!通行証を・・・」
神座慎吾「我々は怪しいものではないトルメニア公国の使節だ」
兵士3「し、失礼いたしました・・・お通り下さい」
神座慎吾「ありがとう、ところで、国王はご在宅かな?」
兵士3「城でお聞き下さい」
〇魔王城の部屋
ギギャ14世「ムムム、何奴・・・伯爵の手の者か」
神座慎吾「驚かせてすみません・・・我々はトルメニア公国の使節です」
ギギャ14世「おおそうか遠いところ大儀、で何用じゃ」
神座慎吾「伯爵に領土を奪われたって本当ですか?」
ギギャ14世「昔のことじゃ」
神座慎吾「今、伯爵は兵の大半を我が国に振り向けて城はガラ空きでした」
ギギャ14世「それが?」
神座慎吾「昔の借りを返しませんか?」
ギギャ14世「つまり・・・」
神座慎吾「今ならガラ空きのマクシミリアン城を奪えますよ」
ギギャ14世「ふむふむ・・・面白そうな話じゃな、本当なら」
神座慎吾「そうでしょ一泡吹かせますよね・・・良かったら検討してください、失礼します」
〇綺麗な港町
神座がマクシミリアン伯爵に会いに行ってから2日後
アシリア姫「やはり、第三夫人になっとけば良かったかのう・・・この長閑な風景が戦いの舞台にならなければ良いが」
見張り「軍船が多数湾に近づいてます陛下」
アシリア姫「どこの船じゃ」
見張り「マクシミリアン伯爵の旗を掲げています」
アシリア姫「な、なんだと!!」
アシリア姫「アルバート対策は」
アルバート国務大臣「ご安心ください。既に湾は封鎖し、傭兵達が町を守っております」
〇海
ダフィット「ハハハ、よもや海からの攻めてくるとは思ってなかったろう・・・者共一気に宮殿を攻めて女王を退位に追い込むぞ」
物見「湾が封鎖されてます」
ダフィット「手順通り、藁を積んだロングシップを封鎖線に当てろ」
物見「封鎖線に衝突してます」
ダフィット「よし、ギリシャ火を積んだガレー船を出せ」
ダフィット「よし、突っ込め」
こうして、湾の封鎖線は破られた
〇謁見の間
アルバート国務大臣「大変です陛下、湾の封鎖線が破られました」
アシリア姫「なに」
アルバート国務大臣「とりあえず、宮殿から抜け出しアープ城へ」
アシリア姫「分かった」
神座慎吾「あれ?陛下がいない」
〇暗い洞窟
アルバート国務大臣「さっ、陛下お急ぎください」
アシリア姫「しかし、この洞窟を使う事になるとは・・・」
〇闇の要塞
アルバート国務大臣「さっ、着きましたぞ陛下」
アシリア姫「ああ」
アルバート国務大臣「元気を出して下され・・・親衛隊も間もなくここに来ます」
アシリア姫「わらわの身の回りの品を持ってきてはくれんかアルバート」
アルバート国務大臣「分かりました・・・持ってまいります」
アシリア姫「こんな時、神座が傍にいてくれたら・・・」
〇謁見の間
神座慎吾「あっ、アルバート国務大臣陛下は?」
アルバート国務大臣「城に移られました君達もそこに行きたまえ」
「ハイ」
〇時計台の中
神座慎吾「陛下ご無事で」
アシリア姫「神座!!寂しかったぞ」
アシリア姫(よかった~わらわの慎吾が戻って来てくれた・・・ウーン、わらわを抱きしめてキスして欲しい)
アリシア陛下はそう言うと神座に抱きついてきた
神座慎吾(オイオイ、ソフィアがいるのに)
ソフィア(何よ、いくら陛下と言えども私の目の前で慎吾とイチャイチャする事はないでしょ)
アシリア姫(当たり前じゃ、ソフィアに慎吾がわらわの彼である事を分からしてやるのじゃから)
神座慎吾「恐れ多い・・・陛下、戻れましたのも、ひとえに我妻であるソフィアの魔術のお陰でございます。一言お言葉を」
アシリア姫(チッ、慎吾もわからぬ奴じゃな・・・)
ソフィア(我が妻ですって、嬉しい慎吾)
アシリア姫「おおそうか、ソフィア大義である」
アシリア姫(そうじゃ、今度、慎吾の寝所に忍び込んで誘惑してやれ)
アシリア姫「さて、国境地帯から攻めてくると予想したが海からの奇襲を受けてこの有様じゃ、至急コリンズをこちらに連れてまいれ神座」
神座慎吾「畏まりました陛下」
〇謁見の間
ダフィット「よし、アシリア女王を探せ」
兵士「国務長官を捕らえました」
ダフィット「よし、連れてこい」
アルバート国務大臣「何て事を、条約違反ですぞ」
ダフィット「条約は破る為にあるのさ・・・アシリアはどこだ」
アルバート国務大臣「陛下は城におわします」
ダフィット「そうか、案内せい」
〇ヨーロッパの街並み
コリンズ司令官「槍を持ったら各自持ち場に急げ」
伝令「司令官殿、都よりマクシミリアン伯爵軍の急襲との知らせが・・・」
コリンズ司令官「な、何だと」
神座慎吾「こちらでしたか、コリンズ司令官」
コリンズ司令官「おぉ、神座、陛下はご無事か?」
神座慎吾「宮殿裏の城にこもっておりますが、コリンズ司令官をお連れするようにとの指示が陛下よりございました」
コリンズ司令官「しかし、急いでも7日はかかるぞ・・・どうする?」
神座慎吾「その為のソフィアの魔術ですよ司令官」
コリンズ司令官「おぉ、それではこの兵達も一緒に連れてゆけると」
ソフィア「慎吾、それは無理ですわ」
神座慎吾「えぇっ、そんな・・・」
コリンズ司令官「兵は城に居るのか?」
神座慎吾「傭兵達ですから、戦が始まると逃げてしまいました」
コリンズ司令官「残ってるのは、豪族達から成る親衛隊のみか」
ソフィア「あのー、一つだけ方法がございますが」
神座慎吾「何だい?」
ソフィア「魔術のレベルを上げればいいのです」
コリンズ司令官「何でもいいからやってくれ」
その言葉を聞くなりソフィアは俺を抱きしめ唇を重ねようとした
神座慎吾「お、オイオイ、司令官がいる前で・・・」
ソフィア「魔術のレベルを上げるにはこうするしかないの慎吾」
と言うなりソフィアは俺に唇を重ねたが何も起こらなかった
神座慎吾「な、何も起こらないぞ」
ソフィア「しっ、集中して・・・美香の事を考えないで私の事だけ考えて」
神座慎吾(何で美香の事を知ってるんだ)
やはり、何も起こらない
ソフィア「陛下の事も考えないで私だけ・・・・・・」
コリンズ司令官「何も起こらないぞ」
ソフィア「おかしいですわね」
神座慎吾「なんて、色っぽい」
ソフィアは俺の口の中に舌を絡ませてきた
神座慎吾「ウッウッ!!」
〇闇の要塞
ソフィア「さぁ、着きましたわ」
コリンズ司令官「よし、突撃せよ」
〇戦線のテント
ダフィット「どうした奇襲か?」
兵士「騎兵です総司令官」
コリンズ司令官「突撃せよ・・・狙うはダフィットの首」