精霊の湖

桜木ゆず

第8話 消えない傷跡(脚本)

精霊の湖

桜木ゆず

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〇古い競技場
ホープ「うわぁ、人がたくさん・・・! ここで戦祭りをするんですね!」
ルーフェン「あぁ、騒がしいな」
ホープ(私は賑やかで、 楽しいと思ったんだけどな・・・)
ルーフェン「なぁ、ホープ、 やっぱりその服は男っぽく見える」
ルーフェン「あまり着ない方がいいんじゃないか?」
ホープ「でもコレ気に入ってるんです 動きやすいですし」
ルーフェン「そうか、まぁお前がそれでいいなら、 これ以上俺は何も言わん」
戦祭り受付の女性「そちらのお兄さん! もしかして参加者の方かしら?」
ルーフェン「あぁ、そうだ。 ルーフェン・ディンという」
戦祭り受付の女性「はいはい、ルーフェン・ディンさんね」
戦祭り受付の女性「えーっと、 あなたは15番に割り振られてるわ 予定では午後の最初の試合ね」
戦祭り受付の女性「16番のバラバイ・サイドルさんと対戦よ」
戦祭り受付の女性「戦祭りはタイマン勝負でね、 魔法も武器も使用禁止よ」
戦祭り受付の女性「相手が戦闘不能になるか、 もしくはギブと言ったら勝ちね」
ルーフェン「了解した」
戦祭り受付の女性「基本的には審判の指示に従ってちょうだい」
戦祭り受付の女性「あぁ、それと・・・」
戦祭り受付の女性「この服に着替えてちょうだい」
戦祭り受付の女性「古代の戦士を模した衣装よ 武器の持ち込みを防ぐためと、 精霊様に楽しんでいただくためだから」
ホープ(半袖短パン・・・!)
ホープ(今の時期には明らかに寒そう・・・)
ルーフェン「・・・」
ルーフェン「断れないのか?」
戦祭り受付の女性「えっ?うーん・・・ 決まりだから、めったな事がないと・・・」
ルーフェン「・・・なぁホープ・・・」
ホープ「はい? なんですか?」
ルーフェン「少しあっちに行っててくれないか?」
ホープ「・・・分かりました」
ホープ(なんだろう・・・)
ルーフェン「実は・・・」
ルーフェン「──で、」
ルーフェン「──なんだ だから──」
戦祭り受付の女性「ええっ!? そうなの?それは・・・うーん」
ホープ(何て言ってるんだろう・・・ 周りがうるさくて良く聞こえないなぁ)
戦祭り受付の女性「大司教様に確認してみてもいいかしら?」
ルーフェン「あぁ、頼む」
戦祭り受付の女性「大司教様ー!」
大司教サマ「ん・・・?」

〇古い競技場
大司教サマ「・・・」
戦祭り受付の女性「大司教様! 実はこの方が──」
戦祭り受付の女性「──らしいのですが」
大司教サマ「うむ。かまわん。 それならば今の服で良いぞ」
ルーフェン「ありがとうございます」
ルーフェン「ホープ、もう大丈夫だ」
ホープ「何かあったんですか?」
ルーフェン「いや──」
ルーフェン「ちょっと頼みごとをな」
ホープ(聞かれたくなかったのかな)
ホープ(なんだろう なんだか寂しいな・・・)
大司教サマ「そんじゃあ、まぁ・・・」
ホープ(な、なんだろ 何かありがたいお言葉が・・・?)
大司教サマ「ワシは眠いから仮眠をとるでのぉ・・・」
ホープ「ぶっ・・・」
ホープ「ぶふぉっ!」
ホープ「あははははっ・・・!!」
ルーフェン「・・・」
ホープ「・・・!」
大司教サマ「んお?ふうーむ──」
大司教サマ「お主・・・」
ホープ「ご、ごめんなさい!」
大司教サマ「ふぉっふぉっふぉっふぉ」
大司教サマ「わしゃ明日は忙しいのんでなぁ 明後日は空いてるか? ワシの屋敷まで来るんじゃ」
大司教サマ「絶対じゃぞ?」
ホープ「わ、分かりました・・・」
大司教サマ「うむ。待っておるぞよ」
ルーフェン「お前・・・」
ルーフェン「失礼にも程があるぞ」
ルーフェン「まぁ確かに、 気持ちは分からんでもないが・・・」
ホープ「ごめんなさい」
ルーフェン「俺に謝ってどうする。 明後日、大司教に謝りに行けよ そしてきちんと許してもらえ」
ホープ「はい・・・」

〇古い競技場
ホープ「開始は10時からなんですね」
ルーフェン「そうだな、まだ少し時間があるな」
「おい!お前15番のルーフェンか?」
ホープ「だ、だれ?」
サイガ「オレはサイガだ」
ホープ(この子どこかで・・・)
サイガ「あんたが15番のルーフェンか?」
ルーフェン「あぁ、そうだ」
サイガ「だったら・・・」
サイガ「勝負は棄権するんだな!」
ホープ「えっ!?」
ルーフェン「・・・」
サイガ「あんたの対戦相手のバラバイは、 前回の優勝者なんだぜ!」
サイガ「だから怪我をしたくなかったら、 諦めろ!」
ホープ(あぁ、戦祭りの申し込みをした、 教会にいた子だ)
ホープ(確か、 師匠頑張れ~、とかなんとか──)
ホープ(思い込みが激しい子だな・・・)
ホープ「えっと、サイガって言ったっけ? 勝負する前に、 勝敗が分かる訳ないでしょう?」
ホープ「それにルーフェンさんは、 あなたが思っているよりもずっと強いよ」
サイガ「なんだお前? あぁ、こいつの弟子か」
ホープ「弟子? ち、違っ・・・」
サイガ「なんかお前、ガリガリだし弱そうだな」
サイガ「それに女みたいに弱っちい体格!」
ホープ「なっ!私は・・・」
サイガ「お前の師匠も、 オレの師匠より細っこいし弱そうだ!」
サイガ「ははっ!楽勝楽勝! 師匠の勝ちだな!」
ホープ「・・・!!」
ホープ「な、何を~! あんたは背も低いし、 私よりよっぽど弱そう!」
ホープ「それに私は男じゃなくておん・・・」
ルーフェン「ふっ」
ルーフェン「ふはっ!」
ルーフェン「・・・」
ホープ「・・・!!」
ホープ(ルーフェンさんがこんなに笑った顔、 初めて見た・・・)
ルーフェン「おい、サイガと言ったか?」
サイガ「そうだよ」
ルーフェン「師匠のことが好きなんだな」
サイガ「・・・」
ルーフェン「だったら、師匠の力を信じるべきだ」
ルーフェン「お前のその思いは 相手に棄権を説くことではなく、 師匠を激励することに使え」
サイガ「・・・」
「おい! サイガ!こんなとこにおったのか!」
サイガ「!! し、師匠!?」

〇古い競技場
バラバイ「こら、サイガ! うろちょろするなと言っただろ!」
サイガ「ご、ごめんなさい」
バラバイ「おや? あなた方は・・・?」
ルーフェン「ルーフェンだ あんたの対戦相手だよ」
ホープ「こ、こんにちは ホープです・・・」
ホープ(体格も大きくて、声も大きい・・・)
ホープ(なんだか騎士を思い出してしまう・・・ 怖いな)
バラバイ「あなたが15番のルーフェン・ディンさん!」
バラバイ「私はバラバイです どうぞよろしく!」
ルーフェン「あぁ」
バラバイ「うちのが迷惑かけませんでしたか?」
ルーフェン「ふっ かわいいお弟子さんをお持ちのようだ」
バラバイ「えっ?」
バラバイ「あっはっはっは!」
バラバイ「どうやらご迷惑をお掛けしたようだ」
バラバイ「どうもすみません」
バラバイ「ほら、お前も謝るんだ」
サイガ「ご、ごめんなさい」
ルーフェン「ああ」
バラバイ「ではそろそろ、 受付を済ませないといけませんのでな」
バラバイ「また試合で」
ルーフェン「ええ、よろしくお願いします」
ホープ「なんだか面白い人達でしたね」
ルーフェン「あぁ、そうだな そろそろ戦祭りが始まりそうだ」
ルーフェン「席に着いておくか」
ホープ「はい」

〇古い競技場
「それでは戦祭りの開幕でーす!」
ホープ(は、始まった・・・!!)
「まずは一番、ロクダンと 二番、ヘバの対戦だぁ!」
「それではレディ、ファイト!」
ロクダン「うおおおっ!」
ロクダン「おりゃっ!」
ヘバ「うわっ!」
ヘバ「このやろっ!」
ロクダン「っ!」
ロクダン「やったなぁ!! こいつ!!!」
ヘバ「うわぁっ!」
ロクダン「はぁはぁ・・・」
ロクダン「やったぞっ!」
「第一戦、勝者ロクダン!」
ホープ「・・・!」
ルーフェン「・・・」
ホープ(これは・・・)
ホープ(戦祭りというよりも、 ただの喧嘩だ・・・)
ホープ(なんだか嫌だな・・・)

〇古い競技場
「さーて!次の試合は・・・」
ホープ「・・・」
ホープ「ルーフェンさん、あの・・・」
ホープ「会場の外に出ていてもいいですか?」
ルーフェン「ん? ・・・どうかしたのか?」
ホープ「いいえ、なんでもありません 少し外に出てますね」
ルーフェン「わかった あまり遠くまで行くなよ」
ホープ「はい」
ルーフェン「・・・?」

〇噴水広場
ホープ「ふぅ」
ホープ「戦祭りかぁ 思い出しちゃうな・・・」

〇貴族の応接間
ホープ「なんだか頭がぼーっとする・・・」
ホープ「風邪、かな・・・」
ホープ「もう夕方だ! 早く掃除を終わらせて、 家畜の世話をしなくちゃ・・・」
ホープ「あっ!」
ホープ「ど、どうしよ・・・」
執事長「なんだ今の音は・・・」
執事長「なっ!」
ホープ「ご、ごめんなさい!」
執事長「貴様ーっ!」
ホープ「痛っ!」
執事長「この花瓶の割れた分だけ体に刻んでやる!」
ホープ「・・・!」
ホープ「っ!」

〇噴水広場
ホープ「・・・」
ホープ「はぁ」
「あら、坊や・・・」
レギン「やっぱり!」
レギン「えっと、ホープ君・・・だったかしら?」
ホープ「レギンさん!」

次のエピソード:第9話 その祈りは運命をも変える

コメント

  • 相手もなかなかの強者。ルーフェンはどうも義足の様子…となると、素手での勝負は不利ですね。下半身の踏ん張りがきかないのに勝ち目はあるのでしょうか。騎士特有の体術とか?
    続きも楽しみです。

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