〇ライブハウスのステージ
舞姫　ミナミ「みんなーっ！今日はありがとーうっ！」
舞姫　ミナミ「来週から放送される【僕らはまだ何も知らなかった】に、主人公の友人役で出演するので」
舞姫　ミナミ「良かったらみてね〜!!」
安藤　卓「うぉおおおっ!!!!!!ミーナーっ!!!!!!!!!!!!!!!!!もう予約したぞーっ!!!!!!」
安藤　卓「愛してるーっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

〇ライブハウスのステージ
　　この時、俺は人生で１番幸せだった。
　　1番、幸せ【だった】

〇本屋
安藤　卓「おっ、あったあった」
安藤　卓「あとは」
安藤　卓「よしっ」
安藤　卓（地下アイドルだったミーナを推して早５年。昔は小さなライブハウスで活動していた彼女も）
安藤　卓（今や雑誌で特集されたり、実写映画の主人公だ）
安藤　卓（ファンとして彼女の出ている雑誌は勿論、原作を全部買うのもマストだよな）

〇本棚のある部屋
安藤　卓「今日も営業疲れたな」
安藤　卓「ご飯の前に今日のミーナ情報をチェックしないと」
安藤　卓「えっ!?」
安藤　卓「・・・ミーナがトレンド入りしてる」
安藤　卓「もしかしてアルバムが決定したとか!?」
安藤　卓「いやいや念願の武道館ライブかも!?」

〇黒
　　この時、本当は心のどこかで嫌な予感がしていた。
　　こう言う時のトレンド入りには大きく分けて２種類あり
　　ライブなどの嬉しい報告か
　　炎上などの不祥事か
　　そして、こう言う時の嫌な予感は
　　大体当たるのだ

〇本棚のある部屋
安藤　卓「・・・」
安藤　卓「・・・ミーナが結婚？」
安藤　卓「!」
安藤　卓「しかも、不倫もしてる・・・？」

〇SNSの画面
もものすけ「ミーナ推しガチ恋勢多いのにやっちゃったなぁwwwwwwwミーナ推し生きてるぅ？wwwwwww」
ゆみりんを見ろ「前に友人役で出てたタイトルなんだっけ？【僕らはまだ何も知らなかった】だっけ？」
ゆみりんを見ろ「ファンに対する見事な伏線回収で草wwwwwww」
moimoi「不倫相手、有名企業のお偉いさんじゃん。ファンからの金だけじゃ足りなかったのかな」
さよなら「ミーナ関連のもの全部捨てます垢ももう消しますお元気で」

〇本棚のある部屋
安藤　卓「そんな・・・」
安藤　卓（ざっと調べた情報によれば、ホテルに入って行く現場をファンに目撃されSNSで拡散）
安藤　卓（大炎上し、数時間後に本人が実は３年前に結婚していたことと）
安藤　卓（不倫を認める内容を公表した・・・と）
安藤　卓「マジか・・・」
安藤　卓（俺が仕事に勤しんでいる間にそんなことになってたなんて）
安藤　卓「君はあの時」

〇ライブハウスのステージ
舞姫　ミナミ「ミーナの事務所は恋愛自由だけど」
舞姫　ミナミ「ミーナはファンのみんなが大好きだから、今はみんなが彼氏なの」
舞姫　ミナミ「だけどもし、いつかその時がきたら」
舞姫　ミナミ「絶対にみんなに報告するからお祝いしてね〜！」
「ミーナ俺と結婚してーっ!!!!!!」
「ミーナは自慢の彼女だよーっ!!!!!!!!!!!!」
安藤　卓「ミーナのこと信じてるよーっ!!!!!!」
「ミーナーっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
舞姫　ミナミ「ありがとー!!!」

〇本棚のある部屋
安藤　卓「もしかして、あの時すでに・・・」
安藤　卓「結婚だけならお祝いしてた。隠してたのは悲しいけど、アイドルにも色々と事情があるだろう」
安藤　卓「だけど、不倫はダメだ」
安藤　卓「誰も幸せにはならない」
安藤　卓「昔、たまたま友人に誘われたライブでミーナを見て以来ずっと応援してきたし」
安藤　卓「彼女に元気を貰っていたのは確かだ」
安藤　卓「だけど、これからも俺は同じ気持ちで彼女を応援出来るだろうか・・・」
安藤　卓（俺は）

〇ライブハウスのステージ
　　こんな時だからこそ、彼女をこのまま応援し続けた方が良いのか

〇本棚のある部屋
　　彼女のことは忘れて、新しい何かを見つけるか

〇黒
「あなたならどちらを選びますか」