タッドポウル

山本律磨

第1話(脚本)

タッドポウル

山本律磨

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〇開けた交差点
音哉「ドーレー#レーファーファー」
音哉「シシシシシシシ」
音哉「ドッドッドッドッドッドッド」
音哉「シシシドッ、シシシドッ」
音哉「ラ~ラ~ソ~ラ~ラソミ~♪」
桜歌「あはははは。信号機ね」
桜歌「走る車のエンジン音からの。高いシは子供の足音、低いドはお父さんの足音」
音哉「シ~ソ~」
音哉「まあ、こんなもの何の役にも立たない特技だけどな」
音哉「足音はちょっと盛ってるし」
桜歌「それが音哉の世界観なの。むしろそういうのがアーティストには重要よ」
音哉「アーティストって、お前」
桜歌「ねえ前も言ったけどさ。作曲やらない?」
音哉「前にも言ったけど、俺、楽譜読めないし」
音哉「次のバイトも探さねーといけねーし」
桜歌「独学って人も一杯いるじゃん」
桜歌「作曲ソフトだってあるし。ギターもベースもドラムも、全部パソコンで出来るしさ」
桜歌「ボーカルだって」
音哉「まさか、天音KUMI?」
桜歌「そこは私だ!」
音哉「だと思った・・・」
桜歌「さあ親愛なる幼馴染の桜歌ちゃんにうまいこと乗せられちゃいなさ~い」
音哉「レドレド」
桜歌「やれやれ。じゃねーよ」
  こうして俺達はネット配信系音楽ユニット
  『O2(オーツー)』になった
桜歌「音哉と桜歌(おうか)でオーツ―ね」

〇仮想空間
桜歌「ぬばたまの闇夜も明けず涙も枯れず♪」
桜歌「恋せしむるは儚き夢の如く♪」
桜歌「醒めることなき夢の如く♪」
  まあ、そりゃ最初は誰も聞いてくれなかったけど
音哉「結局は自分たちがやりたい事やってただけだから苦労してるって自覚なかったよな」
桜歌「私もイラストとか小説とか書くの得意だったし。でも歌うのが一番好きだから」
音哉「俺も作曲は・・・」
音哉「・・・まあ別にそこまで」
桜歌「何よもう。私が一方的に自分の夢に引きずりこんだみたいじゃんか」
音哉「えーそんなわけでして。遂に俺達メジャーデビューを果たしました!」
桜歌「これも皆様のおかげです。これからも応援宜しく」
「からの~」
「グッドタップとチャンネル登録もよろしくお願いし~~~~まっす!」

〇白

〇魔法陣2
桜歌「先手必勝気炎万丈以心伝心落花流水!」
桜歌「覆水盆にかえらせる!これがワタシのDARKLOVE・・・」
桜歌「ごほっ!ごほっ!」
桜歌「ちょっと!一回止めて!」
桜歌「音、止めてって!」

〇撮影スタジオ(机あり)
音哉「チッ・・・」
桜歌「・・・ねえ音也。キー下げたらダメなの?」
音哉「ダメだよ。それじゃリアルじゃない。俺に響いてる世界はもっと激しいんだ」

〇魔法陣2
KUMI「センテヒッショウキエンバンジョウイシンデンシンヒャッカリュウスイ!」
KUMI「フクスイボンニカエラセル!コレガアタシノDARKLOVE!」

〇撮影スタジオ(机あり)
桜歌「私、天音KUMIじゃないんだよ」
音哉「当り前だろ。桜歌は桜歌だ」
音哉「お前の声だからみんなが聴いてくれるんだ」
桜歌「・・・音哉」
音哉「血の通った人間の声だから再生回数が上がるんじゃないか」
桜歌「・・・結局、また数字の話」
音哉「だからなんだよ!」
音哉「東京で勝負するんじゃねーか!」
音哉「奇を衒って虚を突いて芯食って!どんどんどんどん突っ走らねーと速攻飽きられちまうぞ!」
桜歌「・・・そうだね」
音哉「5分休憩」
音哉「次で決めろよ」
桜歌「・・・」

〇公園通り
「・・・」
桜歌「あ、見て」
音哉「なに?」
桜歌「シャインミュージックカレッジ台戸甲斐校受講生募集だって」
桜歌「私達が所属する事務所の学校じゃん」
音哉「知ってるよ。だから?」
桜歌「ねえ、私達ってさ。今まで適当にやってたじゃん」
音哉「適当?」
桜歌「いや、そういう適当じゃなくて・・・」
桜歌「勢いで配信して勢いでリスナーがついて、勢いでメジャーデビューして」
桜歌「でも、ここで立ち止まって、もっと基本を」
音哉「ああ?立ち止まる?ここで?」
音哉「こんな地方都市で?」
音哉「ありえねーんだけど」
桜歌「私たちまだアーティストの卵なんだから。ちゃんと声出せるようになって。ちゃんと楽譜書けるようになって」
音哉「最近、よく練習休むよな」
桜歌「ゴメン。大学の子たちと遊べるのも今だけだし・・・」
音哉「男か」
桜歌「・・・」
音哉「東京、生きたくなくなったか」
桜歌「そんな言い方・・・」
桜歌「考える時間が欲しいの」
桜歌「せめて次の春、大学卒業するまで」
音哉「いいよ。幼馴染だもんな」
桜歌「音哉・・・」
桜歌「あ、ありがと・・・」
音哉「次からボーカル、天音KUMIでいくから」
桜歌「・・・え?」
音哉「あ、次からじゃねーや」
音哉「これからずっと」
桜歌「それって・・・」
音哉「悪いけど先に行くから」
音哉「天音KUMIと一緒に」
桜歌「・・・そう」
桜歌「分かった」

〇魔法陣2
KUMI「センテヒッショウキエンバンジョウイシンデンシンヒャッカリュウスイ!」
KUMI「フクスイボンニカエラセル!コレガアタシノDARKLOVE!」
「最近О2ってどうよ?」
「全然ダメ。ただの早口言葉っしょ」
音哉「うるせえ」
「音楽性もグチャグチャだしさ」
「ボカロに助けてもらってるよね」
「まあ、この辺が素人の限界か」
「つか、田舎もんの限界っしょ」
音哉「うるせえ」
「桜歌クビにしたってマジ?」
「男女間のもつれでしょ。草生える」
音哉「うるせえ」
エージェント「申し訳ないが所属の話はとりあえず保留で」
エージェント「もう少し基礎をきっちり学んでから・・・」
音哉「うるせえ」
桜歌「色々振り回してごめんね」
桜歌「さよなら」
音哉「うるせえ」
KUMI「ウルセエウルセエウルセエウルセエ!」
音哉「うるせえうるせえうるせえうるせえ!」
KUMI「ウルセエウルセエウルセエウルセエ!」
音哉「うるせえうるせえうるせえうるせえ!」

〇白

〇公園通り
音哉「・・・」
音哉「・・・え?」
音哉「・・・」
音哉「・・・」
  聞こえねえ・・・
  何も聞こえねえんだけど・・・
  つづく

次のエピソード:第2話

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