悪役令嬢は、マージを研究することになりました。(脚本)
〇空
〇小さな小屋
「テラ・・・」
「フロンテラ、起きて?朝だよ・・・」
「フロン?」
フロンテラ「んん・・・あと少し・・・」
「ダーメ、ご飯が冷めちゃうよ?」
「ほら、起きて?愛しのお姫様・・・」
フロンテラ「ん・・・?貴女、今日少し変じゃなく・・・」
「あ、起きた」
フロンテラ「て・・・!!?」
ロゼウス「おはよう、俺のお姫様」
フロンテラ「ロゼウス・・・さま・・・?」
フロンテラ「き・・・」
ロゼウス「うん?」
〇暖炉のある小屋
フロンテラ「全くもう!全くもう!!」
ロゼウス「フロン、ごめんって・・・」
フロンテラ「ロゼウス様!いくら二人きりだからって、破廉恥が過ぎますわ!!」
ロゼウス「私はただ、お姫様に目覚めのキスをしたかっただけなんだけどなぁ・・・」
ロゼウス「フロンはそういうの嫌いかい?」
フロンテラ「勿論、憧れのシチュエーションですわよ?」
フロンテラ「でも、私達は未だ結婚もしていませんのに・・・」
フロンテラ「身支度もしていない乙女の部屋に入るなんて、破廉恥ですわ!!」
ロゼウス「うーん、貞操観念がしっかりしてると褒めるべきか堅すぎると言うべきか・・・」
ロゼウス「まぁ、怒ったフロンも可愛いからいっか」
フロンテラ「ちっともよろしく無いのですが・・・まぁよろしいですわ」
フロンテラ(そう・・・私はロゼウス様とこの最果ての地と呼ばれるツインホーンで借金返済に勤しまなければいけない身・・・)
フロンテラ(勿論イチャイチャもしたいけれど・・・今はグッと我慢ですわ・・・!!)
ロゼウス「えっと、フロン?仲直りってことでご飯にしようか!」
フロンテラ「これは・・・」
ロゼウス「君のメイドさんが持たせてくれたものだよ」
ロゼウス「温め魔法で温めておいたから美味しいはずさ!」
フロンテラ「あの子には感謝しないといけませんわね・・・」
「それでは、いただきますっ♪」
フロンテラ「美味しいですわ♪」
ロゼウス「君のメイドさんは本当に優秀だよね♪」
フロンテラ「とはいえ、持たされた物は多くありません・・・これからどうなさるおつもりですの?」
フロンテラ「見た所、周りには草原意外、何もありませんけれど・・・」
ロゼウス「うーん、まあ、無いものは作るしか無いよね?」
フロンテラ「また無茶を仰って・・・」
ロゼウス「いや、そうでもないよ?ツインホーンは、未開拓の地・・・」
ロゼウス「つまり、資源だけなら豊富って事だからね♪」
フロンテラ「確かに遠くには森も湖も鉱山もありますけど・・・」
フロンテラ「ツインホーンは魔素に侵された地・・・普通の人間は入ることさえ出来ないでしょう?」
ロゼウス「任せてよ、これでも大魔法使いだよ?」
ロゼウス「フロンに必要なものの一つや二つ、いや、全て私が用意してみせるよ!」
フロンテラ「た、頼もしいですわ、ロゼウス樣・・・!」
ロゼウス「そうそう!こっちに来るときに、ライオガッタに色々と頼んできたからね!」
ロゼウス「大勢の人が一気に動くわけだから、直ぐにとは行かないけど・・・」
ロゼウス「私達のこれからに必要なものを持ってきてくれるからね!」
フロンテラ「それは有難いですわ・・・!」
フロンテラ(ライオガッタはロゼウス様の筆頭護衛騎士。腕も確かだから道中も心配なさそうですわね・・・)
ロゼウス「だからね、フロン?それまでは二人でイチャイチャ・・・」
ロゼウス「・・・もとい、二人で彼等の受け入れ態勢を整えていかないとねっ!」
フロンテラ「うふふ、お戯れはさておき・・・」
フロンテラ「私は・・・、マージのスキルを使いこなせるようにならないといけませんわね!」
ロゼウス「そうだね。私も改めてマージの力を見てみたいかな?」
ロゼウス「昔、お花をマージして見せてくれたよね」
フロンテラ「そんな事もありましたわね、懐かしいですわ・・・」
フロンテラ「ですが、私も普段使わないので・・・マージを使うのは久しぶりなのです・・・」
フロンテラ「取りあえず、外に参りましょう!」
〇草原の一軒家
ロゼウス「フロン、確かマージは合成スキルの一種だよね?」
フロンテラ「えぇ、同じものを2つ合成して違うものを生み出すスキルですわ」
フロンテラ「そうですね、例えば・・・」
フロンテラ「このホワイトトーンに」
フロンテラ「もう一つホワイトトーンをマージすると・・・」
フロンテラ「・・・ブルーベルになりましたわね!」
ロゼウス「昔やってくれたような、お花のマージだね♪」
フロンテラ「ただ、マージで何を合成すれば何になるのかが記録された物が残されていないようで・・・」
フロンテラ「──・・・本当にこのスキルで500億イェーンも返せるのでしょうか・・・?」
ロゼウス「大丈夫だよ、フロン!」
ロゼウス「そんなフロンに、はい!これをプレゼントするよ♪」
フロンテラ「これは・・・?」
ロゼウス「先日、王室図書館の禁書庫で見つけたんだ」
ロゼウス「・・・マージについて書かれた、この国唯一の本だよ・・・」
フロンテラ「この国、唯一の・・・!?」
フロンテラ「そんな貴重な本・・・私が読んで大丈夫ですの?」
ロゼウス「父上に許可は貰ってきたよ♪」
ロゼウス「ただ、これも完璧じゃないみたいでね・・・」
ロゼウス「君にこれを託すから、少しでもマージの研究を進めてほしいってさ♪」
フロンテラ「ロゼウス様・・・私の為に、ありがとうございます・・・」
フロンテラ(物を2つ消費してしまう穀潰しとも言われるスキルですが・・・)
フロンテラ(ロゼウス様の、国王様の好意に堪えるためにも頑張らないとですわ!!)
フロンテラ「では、失礼して読ませていただきますね」
〇魔法陣2
マージは、合成により違うものを作りだす合成スキルの一種である。
合成したもの同士をさらに合成することで、より良いものが出来る傾向にある。
例えば小枝を木の枝に、薪に、木材に・・・と進化させられるのだ。
ただし、一度のマージに2つの物を必要とする為に、高位のアイテムを調べるには大量の資材が必要となる。
私の資産では一部の物を調べるのが限度だろう。誰かがこの研究を引き継いでくれれば良いのだがー・・・
ー
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ーーーーーーー・・・
最後に、このスキルが滅びの魔法にならないことを祈る。
マージの力を持つ者が、己の欲の為に無尽蔵にマージを使うことが無い事を・・・願う。
〇草原の一軒家
フロンテラ(滅びの・・・魔法・・・?)
フロンテラ(資源は有限、己の欲の為に使い果すなという戒めかしら・・・?)
ロゼウス「フロン、何か役に立ちそうかい?」
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イチャイチャシーンも、将来展望も、2人の間にある微妙なズレ具合がドキドキ感を増してくれますね😂
マージについても、この世界についても、どんどん興味がそそられてしまい、続きが気になります😊