田舎のJK、東京に転校する(脚本)
〇古い畳部屋
内野 叶「おど・・・今のんて?」
内野 博之「・・・おど、東京さ転勤すらごどサなた」
内野 博之「だかきや、え族で東京さ引っ越すごどさなた」
内野 叶「そしたら・・・けやぐども離れ離れさのっちゃうの?」
内野 智子「たげへずねだべばって・・・しょうがねし」
内野 叶「やだし・・・けやぐもお別れサのんてのりたぐね」
内野 博之「すまね、叶・・・」
内野 智子「・・・長期休暇さは、いづだば津軽さ帰って来れらかきや」
内野 智子「だかきや、今は都会暮きやし出来らど思て前向きサ考えの」
内野 叶(そしたらごど言われても・・・私はこごが大好き)
内野 叶(別さ東京さあんつか住みてど思わねし・・・)
内野 叶(東京で上手こぐやて行つもっけるどは思えね・・・)
内野 叶「はぁ・・・」
〇大きな木のある校舎
4月の始業式の日──
内野 叶(こごが今日かきや通う若葉高校・・・)
内野 叶(さすがは東京。立派の学校だのぁ)
内野 叶(田舎の学校どは大違いだ)
女子生徒A「また私たち、同じクラスになれたね!」
女子生徒B「ねっ!今年もよろしくね!」
内野 叶(やっぱ都会のおなごはオシャレだのぁ)
内野 叶(それさ比べて私は地味で田舎臭い)
内野 叶(私、ちゃんど馴染まなぐらかのぁ?)
〇おしゃれな教室
内野 叶(東京の学校は教室もたんげいふりで綺麗!)
内野 叶(本当さこしたらどごさ私あんつかが通ってえんだべな?)
内野 叶「ん・・・?」
エミリオ・オリミエ「✤✡,♔♘❋❉❆✾✸✼?」
内野 叶「・・・は?」
内野 叶(何言ってんのかわがね・・・もだばってて外国語?)
内野 叶(英語もわがねばて知きやね国の言葉あんつかわからわげねし・・・)
内野 叶(だば無視すらわげさは行かね。なんが言わねど)
内野 叶「あ・・・はい」
エミリオ・オリミエ「♟♞♙♜エミリオ・オリミエ。✥✤✹✹?」
内野 叶(エミリオ・エミリオ・・・この人の名前?)
内野 叶「内野叶です。青森県から来ました」
エミリオ・オリミエ「✎⚮♧!ο✤✵❉内野サン!」
内野 叶(何言ってんのかわがねばって、会話ができた!)
内野 叶(だば、私の訛りも結構何言ってんのかわがねしきゃ・・・)
内野 叶(わっ、前の席のおなごわらしめごい!)
内野 叶(さっすが東京、レベルがんでねぇ)
内野 叶(前のおなごは上品だし、頭の中も上品のんだべのぁ)
生田 明日香(早く帰ってアニメみたいな〜)
栖原 萌香「ね〜、あなた見ない顔だね」
内野 叶「あっ・・・私、4月に転校してばかりなんで」
栖原 萌香「あーっ、なるほどね!」
栖原 萌香「アタシは栖原萌香!あなたは?」
内野 叶「内野叶です」
栖原 萌香「叶ちゃんね!つかタメなんだし敬語やめな〜」
内野 叶(明らぐてがへの人だの)
栖原 萌香「そだ!叶ちゃんLINEやってる?」
内野 叶「LINE・・・やってる」
内野 叶(東京さ来た時さ初まなぐてスマホ買ってもきやったんだっきゃ)
栖原 萌香「じゃ、交換しよ!」
内野 叶「うん」
栖原 萌香「えへへ、よろしくね〜」
内野 叶「よろしく・・・」
〇おしゃれな教室
内野 叶「えと、親の転勤で青森県から引っ越してきました内野叶です」
内野 叶「その・・・よろしくお願いします」
内野 叶(はぁ〜・・・たげ緊張した)
内野 叶(上手こぐできたかの?)
志村 信彦「若干、津軽弁のイントネーションがあるね」
志村 信彦「彼女、相当言葉が訛ってるよ」
鹿野 龍馬「青森県って、北海道の近くにあるとこだよな?」
志村 信彦「そう!青森県はりんごが美味しいんだ。それと郷土料理のけの汁も絶品!」
鹿野 龍馬「毛の汁・・・?ほんとに美味いんか?それ」
志村 信彦「あ、あとせんべい汁も美味しいよ!」
鹿野 龍馬「煎餅汁・・・そんな味噌汁もあるのか」
エミリオ・オリミエ「♜♗✾❋♟✸。エミリオ・オリミエ。♙✼❃✾✪■✻✷✤✸✻」
鹿野 龍馬「あいつ外国人か?何言ってんのかわかんね」
志村 信彦「多分、「僕はエミリオ・オリミエ」ですって自己紹介したんじゃないかな?」
鹿野 龍馬「なるほど〜、オメーかしこいなぁ!」
志村 信彦「・・・それにしても、どこの国の言葉だろ?」
志村 信彦「全然聞いたことの無い言葉だ」
栗山 梨沙「栗山梨沙でーす。よろしく〜」
鹿野 龍馬「お、俺っちの出番か」
鹿野 龍馬「おー、俺っちは鹿野龍馬!」
鹿野 龍馬「えーと・・・なぁノブ、何言えばいいんだ?」
志村 信彦「好きな食べ物でも言っておけばいいんだよ」
鹿野 龍馬「おー、好きな食べ物はラーメン!よろしく〜」
志村 信彦「志村信彦です!今食べたいものはとんかつです!」
長島 有河「とんかつってお前、共食いじゃん」
志村 信彦「うるせー!お前も食ってやる!」
鹿野 龍馬「・・・あるがって、うめーのか?」
志村 信彦「や、まずいと思うよ」
長島 有河「なんだと〜!」
藤宮 大光「志村たち、結構やるなぁ・・・」
星野 陽一「・・・でも、俺らだって負けてないよね?」
藤宮 大光「トーゼン!いっちょかましてやろうぜ!」
星野 陽一「おうよ!」
藤宮 大光「はいどーもー!若葉高校のお笑いコンビ『タイヨー』の藤宮大光です!」
星野 陽一「若葉高校のお笑いコンビ『タイヨー』のツッコミ担当の星野陽一です!」
藤宮 大光「彼はアホだけどツッコミやってるアホツッコミマンなんすわ!」
星野 陽一「そー俺がアホツッコミマン・・・って誰がアホツッコミマンや!」
内野 叶(東京の自己紹介はわのごどば話すだげだばのぐて笑いもどらんだ・・・!)
内野 叶(私の自己紹介、本当さあいでしがたのかの?)
〇大きな木のある校舎
内野 叶(東京は街も学校も人もたんげ輝いていら)
内野 叶(そしたら輝いていらものば見ら度、私が場違いさ感じら)
内野 叶「青森に帰りたい・・・」
栖原 萌香「叶ちゃん!」
内野 叶「萌香ちゃん・・・と高沢さんと塚野さん?」
高沢 美桜「そんなに畏まらなくても、美桜って呼んでくれて大丈夫だよ」
塚野 朱里「あたしの事も朱里でいいよ〜」
内野 叶「えと・・・美桜ちゃんと朱里ちゃん・・・」
栖原 萌香「ねぇ叶ちゃん今から暇?」
栖原 萌香「あたしら今からカラオケ行くんだけど叶ちゃんも来ない?」
内野 叶(・・・カラオケってなんだば?)
塚野 朱里「叶ちゃんの歌聞いてみたいな〜っ」
内野 叶(カラオケは歌うところか・・・)
内野 叶(正直歌は得意だばねばって、せっかぐ誘ってけだし・・・)
内野 叶「・・・行こうかな」
栖原 萌香「やった!じゃあ早速行っちゃおう!」
高沢 美桜「ふふっ、楽しみ♪」
若者が方言離れしているとよく聞きますが、彼女みたいにこんなに強い方言を使いこなす子がいることにとても新鮮味を感じました! 田舎の良さ、都会の良さを十分に満喫してほしいですね。
方言の中でも群を抜いてヒアリングの難解な津軽弁でのセリフの数々、最高でした。津軽弁が文字化・文章化できていることに感動すら覚えます。ナマハゲ県の人間なのでなんとかギリで理解に至りました。でもさすがにエミリオ・オリミエのセリフは無理でした〜。