精霊の湖

桜木ゆず

第5話 初めての街(脚本)

精霊の湖

桜木ゆず

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〇ヨーロッパの街並み
ホープ「・・・zzz」
ルーフェン「ホープ起きろ」
ホープ「はっ!」
ホープ「な、なんですか?」
ルーフェン「街についたぞ」
ルーフェン「ここで宿をとる」
ホープ(ま、街だ!広い!)
ホープ「夜なのに人がたくさんいますね」
ルーフェン「俺は先にあそこの馬宿に馬を預けてくる」
ホープ「はい」
ルーフェン「ホープは先に宿に入って、 二人部屋の空きがあるか聞いてきてくれ」
ホープ「分かりました」
ホープ「・・・」
ホープ「街かぁ・・・ 綺麗だな」
ホープ「おじいにも・・・見せてあげたかった」
ホープ「・・・」
ホープ「よし、宿はあそこね」
ホープ「こ、こんばんは」

〇怪しげな山小屋
宿屋の主人「ふぁ~・・・たくっ 眠いな」
宿屋の主人「あぁ、いらっしゃい」
ホープ「こ、こんばんは 部屋は空いてますか?」
宿屋の主人「なんだボウズ 泊まりたいのか?」
ホープ(また男の子に間違えられた・・・)
ホープ「二人なんですが」
宿屋の主人「空いてっちゃ空いてるが・・・ ってボウズ、金もってんの?」
ホープ「え?えっと・・・」
宿屋の主人「ありがてぇことに、 今は祭りの時期で部屋がかなり一杯なんだ」
宿屋の主人「三階の部屋なら二つ空いてっけど、 どっちも三人部屋になるんだが」
宿屋の主人「つまりその分、部屋代が高くなるんだが、 金は足りるかい?」
宿屋の主人「ちなみに一泊、2000タウだよ」
ホープ(わ、私、ルーフェンさんが いくら持ってるか知らない・・・)
宿屋の主人「どうすんの?」
ルーフェン「部屋は空いてたか?」
ホープ「空いてたんですが、三人部屋で。 一泊2000タウだそうです」
ルーフェン「三人部屋で2000か ・・・安いじゃないか」
ホープ(そうなんだ)
ルーフェン「じゃあそこにするよ」
宿屋の主人「どーも!」
ルーフェン「今日の分だ」
宿屋の主人「はいはい、 まいどあり」
ホープ「・・・」
ホープ(ずっと奴隷として生きてきたから)
ホープ(私、物事の価値が全然分からない)
ホープ(これから先、一人で・・・ 生きていけるんだろうか)
ホープ(ルーフェンさんはいつまで、 私のそばに居てくれるのだろう・・・)

〇可愛らしいホテルの一室
ルーフェン「部屋が三階だったとは・・・」
ホープ「・・・?」
ホープ「高い所が苦手なのですか?」
ルーフェン「いや、足が・・・」
ルーフェン「──」
ルーフェン「なんでもない」
ホープ「足?」
ルーフェン「・・・ほら、風呂に入ってこい」
ルーフェン「俺はその間に、 一階の食堂に夕食の手配をしに行くから」
ルーフェン「これからのことは明日話そう」
ルーフェン「風呂に入って、ご飯を食べたら、 今日はもうさっさと寝るぞ」
ルーフェン「とにかく今はゆっくり休め」
ホープ「分かりました ありがとうございます」
ルーフェン「あぁ、また階段の登り降りか」
ルーフェン「はぁ・・・ 面倒だ」
ホープ「久しぶりのお風呂だな」
ホープ「汗と血でベタベタする・・・」
ホープ「早くお風呂に入ろう・・・」

〇可愛らしいホテルの一室
ホープ「・・・」
ルーフェン「・・・」
ホープ(私、これからどうなるんだろう・・・)
ホープ(私、この先どうしたらいいの? おじい・・・)
ホープ(どうして死んでしまったの・・・?)
ホープ(みんなどこにいるの・・・?)
ホープ「ううっ・・・」
ホープ「ぐすん・・・」
ホープ「っ・・・」
ルーフェン「・・・」
ルーフェン「・・・」
ホープ(もう眠ってしまおう・・・)
ホープ(全て、全て忘れられたら楽なのに)

〇可愛らしいホテルの一室
ルーフェン「・・・よく眠れたか?」
ホープ「はい こんなにフカフカのベッドは始めてでした」
ルーフェン「そうか」
ルーフェン「・・・なぁホープ」
ホープ「はい?」
ルーフェン「これからのことを、 決めなくてはならないと思うんだ」
ホープ「えっ・・・」
ルーフェン「お前の家族は? 故郷はどこにある?」
ホープ「それ・・・は」
ルーフェン「俺の知っている所なら、 連れていってやれる」
ルーフェン「そこで、大切な人と穏やかに、 自由に暮らすといいさ」
ホープ「私は・・・」
ホープ「私に家族はいません」
ルーフェン「えっ?」
ホープ「いえ、正確には過去の記憶がありません」
ホープ「私には奴隷になる以前の 記憶がないんです」
ルーフェン「記憶がない・・・?」
ホープ「私は7歳の時、 どこかの森で倒れていた所を──」
ホープ「偶然、奴隷商人が通りかかって、 私は奴隷になりました」
ホープ「いや、本当はその当時、 7歳かどうかも分かりません」
ホープ「その時、私は記憶がなくて、 自分の名前すら思い出せなかったんです」
ホープ「その後に出会った奴隷仲間に、 ホープ、という名前をもらいました」
ホープ「そして7年間、奴隷として生きてきました」
ルーフェン「・・・」
ルーフェン「そう、だったのか・・・」
ホープ「私には行く宛も帰る宛もありません」
ホープ「どこに行けば良いのか分かりません・・・」
ルーフェン「・・・」
ルーフェン「話してくれてありがとうな」
ルーフェン「そうか・・・、 お前が安心できる場所に 早く帰してやりたかったんだが」
ルーフェン「不安にさせてしまったな 悪かった」
ホープ「いいえ!」
ルーフェン「お前がどうするか決めるまでは 一緒にいよう」
ルーフェン「大丈夫だ お前をいますぐに放り出したりしないさ」
ホープ「・・・」
ホープ(この人には迷惑をかけっぱなしだ・・・)
ホープ「ごめんなさい・・・」
ルーフェン「・・・」
ルーフェン「大丈夫だホープ 俺の旅は急いでないから」
ルーフェン「しばらくこの街に滞在しよう」
ルーフェン「それでいいか?」
ホープ「はい 本当にありがとうございます」
ホープ「ありがとうございます・・・」
ルーフェン「さぁ、 今後のことはゆっくり決めるとして・・・」
ルーフェン「今日は街を少し見て回ろう」
ホープ「はい!」

〇西洋の街並み
ホープ「街って賑やかで楽しいなぁ」
ホープ「それに雪道を歩くのって楽しいですね」
ルーフェン「雪道か・・・ 普通の道でさえ歩きづらいのに」
ルーフェン「雪道なんてなおさら バランスがとりづらくて構わん」
ホープ「そ、そうですか?」
ホープ(足元に・・・なにか恨みでもあるんだろうか・・・)
ルーフェン「ホープ、服屋に行くぞ」
ホープ「えっ?また服を買うんですか?」
ルーフェン「それ一着だけじゃ、何かと不便だろ」
ルーフェン「それに俺も新しい服を もう一着欲しかったんだ」
ルーフェン「二人とも新しいものを買おう」
ホープ「ええ、分かりました お願いします」
ホープ(お金をたくさん出してもらってる・・・)
ホープ(何か恩返しできたらいいのに)
ルーフェン「・・・?」
ルーフェン「ちょうど服屋の看板があるな」
ルーフェン「あそこに入ろうか」

〇アパレルショップ
ホープ「ごめんください」
「・・・」
ルーフェン「誰もいないな 奥に控えているのかもしれない」
ルーフェン「あのベルで呼んでみようか」
「はいはい、はいよ」
服屋のおばあさん「いらっしゃいまし」
ルーフェン「服を探してるんだ」
ルーフェン「旅に最適で丈夫な服は置いてあるか?」
ルーフェン「それと、この子の着れそうな、 子供用の服は置いてあるだろうか?」
服屋のおばあさん「ええ、 丈夫な服ならたくさん扱ってますよ」
服屋のおばあさん「ただお兄さんは背が高いからのぉ 入るかどうか・・・」
ルーフェン「着てみてもかまわないか?」
服屋のおばあさん「ええどうぞ」
服屋のおばあさん「ところで・・・」
服屋のおばあさん「何でそちらのお嬢さんは 男物の服を着ておるのかね?」
「えっ・・・」
ホープ「・・・」
ルーフェン「そう、なの・・・か?」
ホープ「・・・」
ルーフェン「ホープ、お前・・・」
ルーフェン「──」
ルーフェン「女だったのか・・・」
ホープ「ご、ゴメンナサイ・・・」
ルーフェン「・・・」
ルーフェン「はぁ・・・、ばあさん この子に適当な服を見繕ってやってくれ」
ルーフェン「俺は少し外に出てるよ ホープ、服が決まったら呼んでくれ」
服屋のおばあさん「ありゃ? 何か悪いことしてしまったかいの?」
ホープ「い、いえ。いつかバレたんです。 これで良かったんです」
ホープ「たぶん・・・」

〇西洋の街並み
ルーフェン「・・・」
ホープ「あの、服決まりました」
ホープ「あと、黙っててごめんなさい」
ルーフェン「別にいいさ・・・」
ホープ「怒ってますか?」
ルーフェン「なぜ怒る必要がある?」
ルーフェン「勝手にそう思ってたのは俺だ」
ルーフェン「・・・」
ルーフェン「だが・・・、 今度勘違いしている時は言ってくれ」
ルーフェン「はぁ・・・」
ルーフェン「俺も服を選んでくるから」
ルーフェン「この辺りで待っていてくれ」
ルーフェン「そうだなぁ・・・ そこの屋台で何か買って食べてるといい」
ルーフェン「これで足りるだろう」
ホープ「ありがとうございます」
ホープ「なんだか悪いことしちゃったな」
ホープ「ルーフェンさんって、 表情があんまり変わらないから」
ホープ「何を考えてるのか分からない・・・」
ホープ「どう思われただろう──」
「みなさーん!こちらにお集まり下さーい!」
ホープ「何だろう? あの通りからだ」
ホープ「何かあったのかな? ちょっとだけ覗いてみよう」

次のエピソード:第6話 精霊祭

コメント

  • おお…女の子ってバレましたね。急にルーフェンの態度が変わったりしなくて良かった。街で少し落ち着ければいいのですが。

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