第三夜:非力な妖精と怪物の声(脚本)
〇女の子の一人部屋
フェアリー「いやぁあああっっ!!!?」
フェアリー「ちょちょちょ!?」
怪物「デェエエエエッ!!!」
フェアリー(なななななんでっ!?)
フェアリー(あんな化け物がいるのっ!?)
フェアリー「ア"アッッ!?」
フェアリー「待っでっ!!!?」
フェアリー「それは推しのっっ!!」
フェアリー「クロエち"ゃあ"ぁんっ!!」
フェアリー「よ・・・」
フェアリー「よ【くも】やっだなっっ!?」
フェアリー「”くも”だけにっ!!」
フェアリー「あっごめんウソッ!!」
フェアリー「こっちこないで!?」
怪物「ガァアアアアッッ!?」
〇おしゃれなリビングダイニング
フェアリー「い、一旦妖精さんから──」
フェアリー「ヒィッ!!?」
怪物「デェエエエエッ!!」
〇広い和室
フェアリー「へ、変身を解除して──」
フェアリー「ファア"ア"ッッ!?」
怪物「ガァアアアアッッ!!!」
〇L字キッチン
フェアリー「ガァ、ガァンナーちゃぁんに変身して──」
フェアリー「暇がないぃっっ!?」
怪物「デェエエエエッッ!?」
〇本棚のある部屋
フェアリー(な、何なのあの速さはっ!?)
フェアリー(な、何かできないの・・・!?)
フェアリー(というかメルンさん・・・!)
フェアリー(能力ぐらい先に教えてよっ!)
フェアリー(カードの裏にでも書いてよもうっ!!)
フェアリー「速いってっ!!」
フェアリー「うぅ・・・!」
フェアリー「動けないぃっ・・・!」
フェアリー「し──」
フェアリー「しつこいのよっ!!」
フェアリー「大体何なのよっ!!」
フェアリー「気持ち悪いっ!!」
フェアリー「出てって!!」
フェアリー「消えてっ!!」
フェアリー(・・・?)
フェアリー(あれ・・・?)
フェアリー(怯んでる・・・?)
怪物「ガァァァァッッ・・・」
フェアリー「あっ・・・」
フェアリー「何か落ちた──」
──さん
ごめんなさい
本当に・・・
ごめんなさい・・・!!
フェアリー「うっ・・・!?」
怪物「・・・ネェェンンン」
フェアリー「・・・へ?」
怪物「メゴォオオオ・・・」
フェアリー「???」
フェアリー「えっえっえっ!?」
フェアリー「何!?」
七瀬楓「・・・やっと戻れた」
七瀬楓「一体・・・」
七瀬楓「何だったのよ・・・」
〇土手
子供「ねぇー」
子供「何?」
子供「もう帰らない?」
子供「暗くなってきたし」
子供「何言ってんだよ!」
子供「新種だぞ!!」
子供「だって逃してからさ」
子供「もう何時間も経ってるじゃん・・・」
子供「諦めようよ」
子供「いーやーだー!」
子供「諦めねぇっ!」
子供「あっちょっとっ!」
子供「もぉ!!」
子供「僕まで怒られちゃうじゃんか!!」
〇水中
怪物「デェエエエエッ・・・・・・」
怪物「ガァアアアアッッ・・・・・・」
〇川沿いの原っぱ
子供「ねぇー」
子供「何だよっ」
子供「流石に帰ろうって」
子供「いやだ!」
子供「怒られちゃうって!」
子供「新種持って帰れるなら別にいい!」
子供「もう・・・!」
子供「ん?」
子供「見つけた!?」
子供「いや、何か・・・」
子供「茶色っぽいのが・・・」
子供「茶色?」
子供「あいつ、青かったじゃん」
子供「それはそれでしょ?」
子供「青くないなら別にいいよ」
子供「とりあえず見てみようよ」
子供「新種かも・・・」
子供「ほんとかよぉ?」
「!!??」
子供「な、何だコイツ・・・!?」
子供「デ、デカい・・・!?」
子供「い、生きてるのか・・・?」
子供「動かないね・・・」
子供「こんな生き物見たことないや・・・」
子供「ほんとに新種かも・・・!」
子供「研究者の人にでも電話しようよ!」
子供「え!?」
子供「電話しちゃうのかよ!?」
子供「え?」
子供「最初からそのつもりだったんだけど・・・」
子供「でも何か勿体無くね?」
子供「何で?」
子供「だって俺らが見つけたんだぜ?」
子供「手柄を横取りされそうじゃん?」
子供「て、手柄って・・・」
子供「でも、でもさ!」
子供「お金がめっちゃ貰えるかもよ!!」
子供「お前・・・」
子供「本当にそれでいいと思ってるのか・・・?」
子供「だ、駄目かな・・・?」
子供「めっちゃいいじゃんそれっ!!」
子供「でしょっ!!」
子供「有名人にっ!?」
子供「なれるなれる!」
子供「億万長者にっ!!?」
子供「なれるなれるっ!!」
子供「モッテモテにっっ!!?」
子供「なれるなれるっっ!!」
子供「ウッヒョォオオッ!!」
子供「最高かよぉっ!?」
子供「でしょでしょっ!!」
子供「興奮してきたぁっ!!」
子供「早速電話だぁっ!」
子供「掛けろ掛けろぉっ!!」
子供「おっくまんちょうじゃっ!」
子供「ゆうっめいっじんっ!」
子供「そっしたらそっしたら?」
子供「モッテモテっ!!」
「フォウッッ!!」
子供「なぁなぁ!」
子供「まだぁ?」
子供「まぁ待ってよ・・・」
子供「早く掛からないかなぁ──」
子供「ん?」
子供「どうかした?」
子供「何か音しなかった?」
子供「え?」
子供「ヒィッ!?」
子供「い、生きてたのかよぉ!!?」
子供「わ、わわわっ!?」
子供「や、やべぇよやべぇよ!!?」
怪物「デェエエエエッ!?」
怪物「グガァァアッッ!!」
子供「ヒィッ!?」
子供「ご──」
子供「ごめんなさいぃっ!!?」
子供「うぇええっ!?」
子供「っっ!?」
子供「お──」
子供「置いていかないでぇっ!?」
〇おしゃれなリビングダイニング
楓の父親「楓?」
楓の父親「食欲ないのか?」
七瀬楓「あっううん!」
七瀬楓「大丈夫だよー!」
楓の父親「そうか・・・」
楓の父親「悩みがあるなら聞くぞ?」
七瀬楓「お父さん・・・」
七瀬楓「いつもありがとう」
楓の父親「いつでも相談に乗るから」
楓の父親「遠慮なく言いなさい」
七瀬楓「うん!」
楓の父親「あっそうだ!」
楓の父親「楓」
楓の父親「チョコとイチゴ」
楓の父親「どっちがいい?」
七瀬楓「へ?」
七瀬楓「何の話?」
楓の父親「おいおい」
楓の父親「ボケるにはまだ早いだろう?」
楓の父親「誕生日」
楓の父親「もうすぐだろ?」
七瀬楓「あっ! そうだった!」
七瀬楓「あーでも」
七瀬楓「どっちにしようかな──」
あらやだ楓・・・
ボケるにはまだ早いわよ?
七瀬楓「あ、あれ・・・?」
楓の父親「どうした?」
七瀬楓「・・・」
七瀬楓「お父さん」
七瀬楓「前にもそれ・・・」
七瀬楓「話さなかった・・・?」
楓の父親「えぇ・・・?」
楓の父親「話してないと思うが・・・?」
七瀬楓「あ、れ・・・?」
七瀬楓(じゃあ今のは・・・)
七瀬楓(一体・・・?)
楓の父親「い、一応言っとくが・・・」
七瀬楓「ん?」
楓の父親「お父さんボケてないからな?」
〇川沿いの原っぱ
メルン「おやおや・・・」
メルン「『やっぱり』ここにいるんですねぇ」
メルン「腐ってもあなたは・・・」
メルン「・・・フフッ」
メルン「あぁそれにしても・・・」
メルン「何て・・・」
メルン「何て醜いのでしょうか・・・!」
メルン「仕方ありませんねぇ・・・」
メルン「手出しはしたくはないのですが」
メルン「きっかけを作ったのは私ですし」
メルン「介錯」
メルン「してやりますかねぇ」
メルン「・・・・・・クフッ」
メルン「・・・・・・クハハハッッ!!」
恐怖・緊迫感・不穏といった要素の間に、巧みにコメディカルな要素が組み入れられていて、感情がジェットコースター状態です😂
ここから鬱要素が強くなってしまったら……逃げ出さないようにガンバリマス😰
あの……「お母さんどこ行ったの?」と思ってたんですが、まさ……か……?
読めば読むほど謎が深まりますね!
蜘蛛と対峙してるのに、『くも』だけにとか言ってる余裕があるカエデさんが愛らしいですw
子供も子供であんなデカい蜘蛛を見つけて、金に目が眩むのは何かリアルでしたw
そして、蜘蛛とメルンとの関係性が気になりますね、、