異界転生 ~学校では教えてくれない、世界の救い方~

資源三世

異界兵器 ~少しのズレも許せない、せこい人間に思われてたよ~(脚本)

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〇空

〇文化祭をしている学校
放送「皆さんおはようございます。放送委員長の有江です。界陵学園祭はお楽しみいただけてるでしょうか」

〇学校の廊下
放送「多くの来賓の方、他校の方々が界陵祭に来てくださったこと、感謝申し上げます」
「ハッハー!」
不良リーダー「強ぇ奴がゴロゴロいる学校って噂たが、この程度か?」
風紀委員・後輩「こ、こちら巡回C班。た、他校の不良が暴れて、えっと、そのとにかく助けて~」
不良リーダー「さあ、次はどいつだ」
生徒「風紀委員、なんとかしろよ」
風紀委員・後輩「そ、そんなこといわれても」
どうでもいい風紀委員「剣を使えれば、こんな奴ら」
不良リーダー「その剣を真っ先に奪われた間抜けはどいつだよ」
不良リーダー「次はてめぇか? おら、来いよ」
風紀委員・後輩「ひぃー」
「やめなさい」
不良リーダー「どこだ?」
???「すみません、ちょっと通ります」
玲緒「ここです」
風紀委員・後輩「せ、先輩」
不良リーダー「他と服の色が違うな。中坊か?」
玲緒「高2! 風紀委員長です」
玲緒「剣の強奪に暴行ですか。学生の喧嘩の範疇を越えてますね」
不良リーダー「だったらどうする?」
風紀委員・後輩「せ、先輩が剣を抜いたら、あなた達なんてちょちょいのちょいなんだから。お願いします」
玲緒「え? 剣は抜きませんよ」
風紀委員・後輩「え?」
玲緒「承認なしに抜剣しちゃダメって、生徒手帳にあるでしょ?」
風紀委員・後輩「今、そんなこと言ってる場合じゃないんですが?」
玲緒「いついかなる時も、規律は守らないとね」
不良リーダー「なめやがって」
玲緒「まあ」
どこにでもいる不良「か、躱した?」
玲緒「剣を抜かなければ、規律違反になりませんよ」
風紀委員・後輩「さ、鞘で斬った・・・。いいの、これ?」
不良リーダー「つ、強ぇ・・・」
不良リーダー「黒服、風紀委員長・・・ お、思い出した」
不良リーダー「化物みたいな強さと冷徹非情さで、一切の規律の乱れも許さない、黒き風紀委員長がいると聞いた。まさか、貴様が、あの──」
不良リーダー「氷の女帝か」
玲緒「なっ!」
観客「女帝だ! 女帝が勝ったぞ!」
玲緒「だ、誰が──」

〇文化祭をしている学校
「誰が女帝だー!」

〇生徒会室
玲緒「女帝、女帝って、このままじゃ、悪名が外にまで広まってしまいます」
晴「大きな声出さないの。生徒会室の外まで聞こえるわよ」
玲緒「うぐっ」
晴「報告書、確認したわ」
晴「学園祭中に他校生が騒ぎを起こし、風紀委員が2名負傷。すぐに制圧するも、1名が逃走。目下、捜索中か。頭が痛いわね」
玲緒「今は偉い人も来てますよね?」
晴「そうよ。彼らに何かあったら、槍玉に上げられるわ」
晴「その時は女帝の力で黙らせてくれる?」
玲緒「出来るか」
晴「でも、後輩の首に手を伸ばしただけで、命乞いされたという噂があるけど」
玲緒「それは朝の挨拶運動で1年生に」
玲緒「タイが曲がっていてよ」
玲緒「的なのをやったら何故か泣かれただけです」
晴「世の中、知らなくていいことはあるのね」
玲緒「玲緒は規律に則ってるだけです」
玲緒「それが正しく素直に生きる方法だと思って、挨拶運動や標語作成、不良を倒したりと頑張ったのに」
玲緒「何故か規律の為なら躊躇なく人を切り捨てる人と怖がられ、嫌われて」
玲緒「気付けば、人に隙を見せられなくなり、本当の自分を隠して生きる日々ですよ」
晴(不良を倒して回るのが原因なんだけど)
晴「あのね、玲緒」
玲緒「あ、流れ星」
玲緒「幼女に慕われたい幼女に慕われたい幼女に──」
晴「それが本当の願いね」
玲緒「間違えました。ありのままの玲緒を──」
玲緒「なんですか、今の」
晴「まさか流れ星じゃなくて隕石?」
玲緒「山です! 煙がでてます」
  学園の西にある山林の中から、微かに土煙があがっているのが見て取れた。隕石かは分からないが、何かあったのは確かだ
晴「玲緒は山に誰も立ち入らないように、現場の指揮をお願い」
玲緒「はい」
玲緒「そういえば」
玲緒「不良は山の方に逃げたんだっけ。何もなければいいけど」

〇霧の立ち込める森
不良リーダー「な、なんだ、今の?」
「────」
不良リーダー「あ、あぁ。あんたの言ってたやつか」
不良リーダー「分かってるよ。派手に暴れりゃいいんだろ」
不良リーダー「待ってろよ、女帝」
風紀委員・後輩「どこへ向かってるんでしょう?」
どうでもいい風紀委員「仲間と合流するつもりなんだろ。まとめて捕まるとも知らずによ」
風紀委員・後輩「ほ、本当に私達で捕まえるんですか?」
性格悪そうな風紀委員「当然です。ここで手柄を挙げれば、黒服に一歩近づくというもの」
どうでもいい風紀委員「さっきの借りも、まとめて返してやるぜ」
風紀委員・後輩「で、でも先輩は報告だけしろって」
どうでもいい風紀委員「あんな規律マニアに任せられるかよ」
性格悪そうな風紀委員「今は抜剣許可もでてますからね。我々なら勝てますよ」
どうでもいい風紀委員「たりめーだ」
風紀委員・後輩「本当に大丈夫かな?」
不良リーダー「よぉ、楽しそうじゃねぇか」

〇山中の坂道
玲緒「ここにも規制線を張って下さい」
玲緒「こちら、氷狩──」
レシーバーからの声「せ、先輩、助けて! 不良が暴れて、ひぃっ!」
玲緒「ちょ、なんで交戦してるの?」
レシーバーからの声「ごめんなさい、見捨てないで~」
玲緒「全くもう」
玲緒「後はお願いします」

〇霧の立ち込める森
不良リーダー「ウィー! 最高の気分だぜ」
不良リーダー「さあ、次は」
不良リーダー「そこに隠れてるお前だ」
風紀委員・後輩「ひぃー」
不良リーダー「いくぜ、相棒」
不良リーダー「ぶっ潰せ!」
  不良が身長ほどの槌を振り上げると、槌からは血が滲み出し、力任せに振り下ろして、血飛沫が飛ばす
  血飛沫は黒い塊に姿を変えると、岩を砕き、木を抉り、辺りを踏みつぶしてゆく
不良リーダー「うっひょー!」
不良リーダー「あん?」
不良リーダー「女がいねぇ?」
玲緒「大丈夫ですか?」
風紀委員・後輩「先輩~、ごめんなさい~」
玲緒「静かに。見つかりますよ」
不良リーダー「どこ逃げやがった?!」
風紀委員・後輩「ひぃ~」
玲緒「何ですか、あの黒いの」
玲緒「剣で斬っても、凄い重さはあるのに刃は素通りだし。降り注いだ場所は鉄球で殴ったみたいに抉れて、破壊力ありすぎでしょ」
風紀委員・後輩「わ、わかりません~。いつの間にか、あれを持ってたんです」
玲緒「一つ一つの速度はそれほどじゃないけど、数が多いのが厄介ですね」
玲緒「そもそも槌から血が噴き出すとか、血が変化するとか、意味不明すぎます」
玲緒「常識外れ、まるで御伽噺の武器ですね。異界兵器のオリジナルじゃあるまいし」
風紀委員・後輩「か、勝てますか?」
玲緒「あの数を避けるのは無理ですね。第二抜剣を使わないと」
風紀委員・後輩「それって、やっぱり承認が必要だったりします?」
玲緒「はい」
風紀委員・後輩「あ、終わった・・・」
玲緒「こらこら、諦めない」
風紀委員・後輩「だって、承認がなきゃ使わないんでしょ!」
風紀委員・後輩「私達より、規律が大事なんですよね?」
玲緒「こら、静かにしないと」
不良リーダー「そこか」
玲緒「見つかっちゃった」
風紀委員・後輩「す、すみません・・・」
玲緒「私は別にあなた達がどうなってもいいと思ってませんよ」
玲緒「ただね、これだけは覚えておいてください。規律というのは鞘なんです」
玲緒「剣を持つ私達が、人を傷つけない為の、そして自分を守る為のもの」
玲緒「それでも剣を抜かなくちゃいけない時は・・・」
玲緒「バレないようにやりましょう」

〇霧の立ち込める森
不良リーダー「お前は! そうか、仲間を助けに来たか。ビビらずに前に出たことは褒めてやるよ」
玲緒「ビビる? 何にですか」
玲緒「あぁ、あれですか。確かに武器だけは怖いですね、武器だけは」
不良リーダー「なめてんじゃねぇ、ドブ虫が! お望み通り、最大火力で原型なくしてやるよ」
玲緒「第二抜剣<オーバードライブ>」
不良リーダー「っしゃあ、全弾命中! ざまーみろ」
風紀委員・後輩「先輩、そんな・・・」
玲緒「あれ? 今、何かしました?」
不良リーダー「へ?」
不良リーダー「な、なんで無傷なんだよ」
玲緒「反復横跳びで躱せましたよ」
不良リーダー「馬鹿にするんじゃねぇ。今度こそ、全部、ありったけ、ぶち込んでやらぁ!」
不良リーダー「今度は手を緩めねぇ。消し炭も残さねぇように徹底的にぶっ殺してやる」
不良リーダー「この世はな、強ぇ奴がルールなんだよ! 弱ぇ奴が規律だ何だと、てめぇらの土俵に乗せんじゃねぇ!」
玲緒「あの世で後悔するんだな、ぐへへ!」
不良リーダー「え?」
玲緒「いつまでやってるんですか?」
不良リーダー「てめぇ、いつの間に──」
不良リーダー「がはぁっ」
風紀委員・後輩(斬った?! ダメ、早すぎて、目で追えない)
玲緒「強い奴がルール? 悪事の言い訳にしてはお粗末ですね」
不良リーダー「俺達は誰にも縛られず、自由に生きてんだ・・・。それをてめぇらが悪事と罵るだけだろ」
玲緒「あなたのしてることは、自分の勝てる土俵で無責任に駄々こねてるだけ」
玲緒「あなたは逃げだしたとき、既に自分の掲げたルールを放棄してるんですよ」
不良リーダー「ちくしょう」
玲緒「また風紀を守ってしまいました」
風紀委員・後輩「凄い、強い。これが、先輩の本当の力」
風紀委員・後輩(私を助ける為に、規律を破ってまで戦ってくれるなんて)
風紀委員・後輩「先輩」

〇霧の立ち込める森
玲緒「一体、この武器はなんですか?」
不良リーダー「ひ、拾ったんだよ」
玲緒「拾った?」
不良リーダー「う、嘘じゃねぇ! ここにすげぇ武器があるって情報を買ったんだ」
玲緒(どこまで信じていいやら。武器を供与した黒幕がいるのは、間違いなさそうですが)
玲緒(一人で考えても仕方ないか)
玲緒「後輩ちゃん達は、下までこいつを連行して下さい」
風紀委員・後輩「先輩は?」
玲緒「周囲を見回ってから戻ります」
玲緒「武器が一つとは限りませんからね」

〇霧の立ち込める森
玲緒「などと格好つけてみたものの」
玲緒「夜の森って、思ってたより怖い」
玲緒「でも、こんなのが他にあっても困るし」
玲緒「というか、この武器も気持ち悪い」
玲緒「な、何、今の音」
玲緒「お化け・・・じゃないですよね?」
玲緒「え?」
玲緒「よ、幼女が落ちてる?!」

次のエピソード:異界交流 ~転生したら死体だった件~

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