Xヒーロー

語り部

第15話 二面迷走(脚本)

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〇古めかしい和室
  2021年 北海道 千歳市 大隈町 とある一軒家
鸞「『紅色派』が付近を徘徊しているとカラスが教えてくれた、見つかるのも時間の問題だぞ?どうする」
エンチャント魔導法士「斎王を無理に移動はさせられん。骨こそ無事だが内蔵はかなりダメージがでかい」
エンチャント魔導法士「フェード、お前のゲート・ディメンションで移動できる距離はどれくらいだ」
フェード「15mが限界だ、それにここら辺は建物が多い。ゲート・ディメンションが開いても大した距離を移動できるとは限らないぞ」
エンチャント魔導法士「それでもいいから斎王を連れて逃げろ、キングと鸞、凪園とワシで移動するぞ」
鸞「待て、どこに移動する気だ?教会以外に行く宛てはあるのか?」
エンチャント魔導法士「やむを得んが南下する他ない、教会にいるはずの知り合いもいない以上長居はできん」
  そうこう話していると扉を乱暴に叩く音が斎王達の居る部屋に聞こえ、よく聞くとエンチャントの名前を呼ぶ声が聞こえる
  エンチャントさん!私です、千歳カトリック教会の牧師です!
エンチャント魔導法士「西崎牧師、すまんが用向きなら後で聞く!ワシらはここを出なければならん!」
  シスターから事情は聞きました、安全な場所に案内しますので着いてきてくれませんか?
鸞「知り合いらしいが···本人の確証はあるのか?一応確認しておきたい」
エンチャント魔導法士「うーん···そうだなぁ···なんかあったか···」
エンチャント魔導法士「西崎牧師!確認で聞く、出会った頃一緒に行ったソープで対応してくれたネエちゃんの名前は!」
  えっ···確かアリスちゃんとユメノちゃんでしたよね?
  私がユメノちゃんでエンチャントさんがアリスちゃんでしたよね?確か延長も2回くらいして···
エンチャント魔導法士「もういいもういい!!···あいつは本物だ、ついて行っても大丈夫だ」
フェード「延長したのか··· ··· ···歳の割に··· ··· ···」
鸞「それ程良かったのだろう、それと暫く俺とフェードには近寄るな。頭が腐る」
エンチャント魔導法士「ええい、うっさいわ!さっさと行くぞ!」
凪園無頼「必死すぎてウケるんだけどー。じゃあさっさと行こうぜー?」
キング「すげぇ切羽詰まってるってのに、なんだこの空気感。よっと···斎王、少し揺れるが我慢してくれ」
  キングは斎王をおぶり、そのまま牧師の案内の中皆で空き家の地下に向かった。

〇地下室
  数十分後 千歳市 勇舞 空き家地下
エンチャント魔導法士「すまん西崎牧師、助かった。今度東京のいいソープ紹介しとくわ」
牧師「できれば飲み屋を紹介して欲しいんですがね···私も歳が歳ですし···」
エンチャント魔導法士「まぁ機会があればそっちを紹介しとくよ、鸞。斎王はどうだ?」
鸞「幸い内蔵が破れてる場所はない。だが腸内出血が起きてるから回復するまで待たなきゃならない」
エンチャント魔導法士「どれくらいで回復するんだ?」
鸞「2日だ。蟲組の忍者がいれば数時間で終わるが···」
フェード「2日だと···?かなりのダメージと言ってなかったか···?」
鸞「エンチャントと俺で治療したのが良かったってのもあるが···そもそもの再生能力が異常だ」
鸞「まぁ···考えてみれば両親が『人外』だから不思議な話じゃないが···」
キング「そういやそうだったな、斎王が人間だから忘れがちだけどこいつの父ちゃん母ちゃん『異種族』だったな」
凪園無頼「はぁぁー?マジで?俺聞いてねーんだけど!」
エンチャント魔導法士「物を知らんな最近の若いのは···学校で習わなかったのか?斎王勇次郎は鬼で雪月雪羅は雪女だぞ?」
凪園無頼「そーなんだー!でもなんで斎王俺らに話さなかったわけー?」
鸞「まぁひとつは血が薄い事だろう。父親は鬼と言っても引き継いでいる特性は怪力ぐらいだし」
鸞「母親も寒さに耐性があるくらいだからな、イメージしてるような鬼や雪女じゃないって事だ」
鸞「もう1つは··· ··· ···恐らく母親の事だろう」
キング「俺らだからいいけど、他のやつが聞いたりすると一気に機嫌悪くなんだよな···」
キング「斎王の父ちゃんの遺言にあった『何かがきっかけで激情に駆られると手がつけられなくなる』ってのがこれだよな」
鸞「だな···だからお前らも斎王に『母親の事』は絶対聞くな。いいな?」
  3人が一様に返事をする中、ひとまず牧師には帰ってもらうことに
  そして皆で今後の事を話し合う事に
鸞「まず···エンチャント、イヴァン司教とかいう奴が何を目的で動いているか見当はつくか?」
エンチャント魔導法士「わからん···なぜ告解文書をあそこまで欲したのかも謎だ」
エンチャント魔導法士「それに奴を操ってる奴が絶対いるはずだが···それも見当がつかん···」
鸞「冠位十階でロシア人は?そいつが操ってるって事は···」
エンチャント魔導法士「イヴァン司教ともう1人、片方はワシがカトリック狩りで殺してしまった」
鸞「法皇はどうだ?そもそもあんたが没落する原因になった法皇が裏にいるんじゃ···」
エンチャント魔導法士「それも違う、昔調べまわったが当時の魔導法皇は死んでおった。首吊りだったはずだ」
エンチャント魔導法士「恐らく御役御免で殺されたと考えとる、そうなると···誰になるのか···」
鸞「イヴァン司教も冠位十階なのだろ?そいつより高い位の人間じゃないの?」
エンチャント魔導法士「奴が第三位、第二位の奴は日本にはおらん」
フェード「なぜ言い切れる?」
エンチャント魔導法士「バチカンでローマ教皇の側近を今やってる、間違ってもプロテスタントに関わることはしない」
凪園無頼「もし関わったらどーなるわけー?」
エンチャント魔導法士「異端者と見なされ即日処刑だ。ローマ教皇は日本で言うところの天皇だ」
エンチャント魔導法士「天皇の側近に外国のスパイが紛れてたら然るべき対処をした後死刑にする、同じことだ」
フェード「うむ···しかしバレずにコソコソ活動はできるんじゃないか···?」
エンチャント魔導法士「バチカンでは入口付近で毎回『洗礼の儀式』をする」
エンチャント魔導法士「洗礼の儀式は己の身が穢れていない事を主にお伝えするものだが···仮に異教として活動していた場合」
エンチャント魔導法士「『人体発火が始まり焼死する』、だから冠位十階第二位のやつでは無いって訳だ」
キング「ひぇ~···おっかねえな···じゃあよ、紅色派が指示してるってのはどうだ?関東にいるはずの紅色派が北海道にいたんだ」
キング「幹部級の奴らが出張って指示してるとかよ、ありえんじゃねぇのか?」
フェード「かもしれないな、確か告解文書には『産後の母親を殺した』って書いてあったのだろ?」
フェード「妊婦を殺して胎児を回収する組織だ、何か···目的があってロシア正教を指示してる可能性もあるな」
エンチャント魔導法士「となると目的地は···紅色派の日本の最大拠点か。何処にある?」
フェード「『大阪』だ、場所もわかってる。大阪市浪速区の大型ビルを丸ごと拠点にしている」
キング「おいおい···大阪って···どうすんだ?」
鸞「通常なら飛行機か船だが···今回ばかりはキツイぞ···」
凪園無頼「つーかさー、エンチャントが船とエンジン魔法で作って行けばよくねー?」
エンチャント魔導法士「無茶言うな、物作りの魔術は必ず『構造』を把握してなきゃならん」
エンチャント魔導法士「例えばワシがパソコンをここで作り出したとしても、ワシはパソコンの中身を全く知らんから」
エンチャント魔導法士「ただ液晶がついただけのパソコンに似た鉄くずができるってわけだ」
  皆が一様に頭を抱える中、凪園が牧師は持ってきたラジオをつける。
  皆考えつつもラジオの内容に気を取られている様子であったが、そこにはとあるニュースが流れた
キング「おい、今のニュース聞いたか?『密出国により警視庁が犯人を追跡中』って···」
キング「この犯人どうやって空港出たんだ···?」
  鸞もその事が気になり入口から顔を出し、カラスを呼び調べることに
  そこから数時間後、カラスが到着し事の顛末を聞く。
  通常空港ではX線検査を必ずしなければならないが、2021年時点では個人用の飛行機に搭乗する際
  X線検査は任意となる。その事実を知った鸞達はそれを利用できないかと考え始める
エンチャント魔導法士「個人用の飛行機か···知り合いは皆海外だな···」
キング「クッソ~···誰か居ねぇもんかなァ~···」
  そしてここでフェードが何かを閃いたのか、エンチャントに話始める
フェード「エンチャント、パスポートを作れるか?中国人観光客として紛れて空港を出れるかもしれん」
エンチャント魔導法士「できるが細部までは作りきれんぞ、それでもいいか?」
フェード「問題ない。鸞、相手の思考力を削ぐ術とかないか?」
鸞「ないな、ただ···思考を統一させる術はある」
フェード「それでいい。後は···どこの空港に行くかだな」
鸞「旭川はどうだ?北海道の中心部で札幌からのアクセスも良い、観光目的なら俺は旭川を選ぶぞ?」
フェード「決まりだな。ひとまず斎王の回復を待つとしよう」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第16話 勇み足

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