夢(脚本)
〇空
夢は星の輝きのようなものである。
あまたの夢は輝きつつも消えていく。
彼方から見える星はわずかなもの。
その輝きを見るため作るため、
人は夢を見続ける。または追うのである。
果てなき夢を追い続け、
挫折もありながら人は夢を追っていく。
完全に挫折した時、輝きは消える。
──だが忘れるな──
少しでもいい。
夢に対する気持ちが残っていれば、
輝きは残る。
見られなくてもいい。
己にあるのならそこに輝きは存在する。
それがいつか大きく輝くことを信じて。
──作家志望 K.N
〇散らかった部屋
女「恥ずかしいわね」
K.N「ほっとけ」
K.N「俺は恥ずかしいとは思っていない」
K.N「有名な人物は名言を残すものだ」
女「有名じゃないのにそんなこと言ってるのが 恥ずかしいって言ってるのよ」
K.N「うるさい。 邪魔をしにきたなら帰れ」
K.N「執筆が進まん」
女「いいじゃない。 どうせ進んでないのでしょう」
女「それに──」
女「昼食は誰が作ったかしら?」
K.N「それくらいは自分でも・・・」
女「洗濯は! 掃除は! 誰がやってあげたかしら!?」
K.N「うっ・・・」
K.N「・・・」
女「・・・」
K.N「すまん・・・。 助かっている」
女「よろしい」
女「ところで実際、出来はどうなの?」
K.N「いつもどおり書いてるとしか言えん」
女「はあ・・・。 それじゃダメじゃない」
女「何か変えないと、受賞できないわよ」
K.N「それでもいい。 無理に自分を変えてまで受賞しようとは 思わん」
女「そう・・・」
女(確かに、変わったら君らしくないわね)
女(私の好きな君らしく・・・)
K.N「何か言ったか?」
女「い、いいえ」
K.N「そうか」
K.N「執筆に戻る」
女「わかったわ」
K.N(いつも助かっている。 俺の好きな君よ・・・)
女「ん?」
K.N「ん、いや。 ネタが口に出たか・・・?」
〇空
男は書き続ける。夢を叶えるために。
輝き続けるために。
女は応援し続ける。夢を見続けるために。
輝きを見続けるために。
この2人はいつか同じ夢で輝けるだろう。
きっと・・・。
徹頭徹尾現実的な彼女とそれにタジタジのK.Nさんに苦笑い。隣の芝生は青いし、隣の星は輝いて見えるものだから人生はなかなか厄介ですね。でも輝きは強弱が問題なのではなく、それが自分にとっていかに唯一無二の輝きであるかが重要ですよね。互いに互いを思いやる姿は側から見ているとそれだけで尊いし、二人で夢に向かって生きている、それだけでかけがえのない輝きを放っていると思います…。
私は実践的な仕事にしか就いたことがないので、この主人公達のようにまだ見えない光に向かって歩き続けることを知りませんが、人と人とが支え合うことの素敵さがすごく伝わりました。