〇教室
田村「それでさー」
田村「弟がVtuberに ガチ恋してて引いたわー」
月「ガチ恋？」
田村「ガチ恋っていうのは」
田村「例えばコンカフェでお客さんが 推しに本気で恋しちゃうことだよ」
月「そうなんだ」
田村「陽奈は気を付けないとダメだよ？」
月「なんで？」
田村「陽奈、共学だったら 絶対男子を勘違いさせるタイプだからさ」
田村「特にコンカフェに来るお客は DT多そうだから」
月（DT？　プロレスの技？）
田村（陽奈、それはDDTだよ）
田村「ちょっとこじらせてる人多そう」
月「うちのご主人様たちは平気だよ」
田村「なら、いいんだけど」

〇メイド喫茶
月「おかえりなさいませ、ご主人様」
客「どうも」
月「こちらへどうぞ」
月「今日も楽しいな」
ガチ恋番長イワッチ「たのもー」
月「おかえりなさいませ、ご主人様！」
ガチ恋番長イワッチ「あみーなちゃんはいるかい？」
月「いますよ」
あみーな「おかえりなさいませ、ご主人様」
あみーな「わー、イワッチさんだ」
ガチ恋番長イワッチ「どうも」
月「お席にご案内しますね」

〇メイド喫茶
ガチ恋番長イワッチ「あ、あの」
ガチ恋番長イワッチ「これ、プレゼント」
あみーな「ありがとう！可愛い！」
あみーな「私が好きなキャラ覚えててくれたんだ」
ガチ恋番長イワッチ「うん」

〇広い厨房
月「店長推しのご主人様なんですね」
マイマイ「イワッチさんは長いからね」
月「常連さんなんですね」
マイマイ「凄いよ、生誕祭には 10万円のボトル入れたし」
月「すご！」
マイマイ「ただね」
月「どうかしました？」
マイマイ「多分ガチ恋してるんだよね」
月「あのガチ恋ですか？」
マイマイ「そう」
マイマイ「あみーな店長には優しいけど 私たちキャストには素っ気ないんだよね」
マイマイ「話しかけても煙たがることあるし」
月「それは困りますね」
マイマイ「あとは頻繁にSNSにDMを送って いろいろお誘いしてるらしいよ」
マイマイ「店長、そういうの慣れてるから いなしてるらしいけど」
月「さすが店長」
月「そういうのあるんですね」
マイマイ「月ちゃんもそんなことあったら すぐに店長とか私に相談してね」
月「わかりました！ ありがとうございます！」

〇メイド喫茶
ガチ恋番長イワッチ「じゃあ、今日は帰るね」
あみーな「また来てね」
ガチ恋番長イワッチ「うん」
えるる「相変わらず凄いですね」
えるる「開店から閉店までいてくれるなんて」

〇電器街
ガチ恋番長イワッチ「あみーなちゃん、出てこないな」
えるる「イワッチさん!?」
ガチ恋番長イワッチ「えるるちゃんか」
ガチ恋番長イワッチ「あみーなちゃんはまだ出てこないの？」
えるる「出待ちは禁止ですよ」
ガチ恋番長イワッチ「違うよ、たまたま通りかかっただけだよ」
えるる「そういった理屈は通じませんよ」
ガチ恋番長イワッチ「ねえ、あみーなちゃん呼んでよ」
えるる「だからですね」
ガチ恋番長イワッチ「あみーなちゃんと この後食事に行きたいんだ」
えるる「これ以上、こんなことされますと 今後出禁にさせていただきます」
ガチ恋番長イワッチ「えっ──」
ガチ恋番長イワッチ「それは困る」
ガチ恋番長イワッチ「仕方ない」
ガチ恋番長イワッチ「今日はこれで帰るよ」
えるる「はい」
えるる「よかったぁ」
えるる「とりあえず店長に報告しとこ」

〇店の事務室
あみーな「今日の売り上げも上々」
あみーな「オーナーも喜んでくれるはず！」
えるる「店長」
あみーな「えるちゃん、帰ったんじゃなかったの？」
えるる「実はお話がありまして」
あみーな「何？」
あみーな「そっか」
あみーな「イワッチさんがね」
えるる「一線超えてきましたね」
えるる「たまにある、常連の自分は 特別という勘違いですかね」
あみーな「それもあるかもね イワッチさん長いから」
えるる「どうしましょう 一回の注意で治ってくれたらいいけど」
あみーな「本当は良いご主人様だから 出禁とかにはしたくはないんだけど」
あみーな「ルールは守ってほしいな」
えるる「SNSでルールについて 周知しておきましょう」
あみーな「そうだね」

〇電器街
ガチ恋番長イワッチ「あ、ふれてんのSNSで 出待ちについて注意喚起されてる」
ガチ恋番長イワッチ「入りづらい」
月「チェキのフィルム買いに行かないと」
月「あれ？　イワッチさん」
ガチ恋番長イワッチ「え、えっと」
ガチ恋番長イワッチ「誰だっけ？」
月「ふれてんの月です」
ガチ恋番長イワッチ「そっか」
月「ご帰宅しないんですか？」
ガチ恋番長イワッチ「えっ、えっと」
ガチ恋番長イワッチ「ちょっと入りづらくてね」
月「何かあったんですか？」
ガチ恋番長イワッチ「え、えっと、、、」
月「そういうことがあったんですね」
月「確かにルールを破ったのは 悪いかも知れません」
月「でも、これから挽回すれば いいんじゃないですか？」
ガチ恋番長イワッチ「名誉挽回か」
月「そうです」
月「誰にだって間違いはあります」
月「一回の過ち それも取り返せない過ちじゃありません」
月「だから、気にせずに入っていいと思いますよ」
ガチ恋番長イワッチ「そうかな」
月「ちゃんとルールを守るご主人様なら キャストは大歓迎ですよ」
月「気になるんだったら、店長に謝りましょう」
ガチ恋番長イワッチ「後光が見える！」
ガチ恋番長イワッチ「し、しんぞうが！」
月「イワッチさん!?」
ガチ恋番長イワッチ「・・・・・・」

〇雲の上
天使様「さーて、今日のお仕事は終わりっと」
天使様「今日は合コンのあとは徹夜麻雀だから 早く帰らないと」
ガチ恋番長イワッチ「ここは!?」
天使様「さてと」
ガチ恋番長イワッチ「ひいいい!?」
天使様「今日はイケメン来るかな🎵」

〇電器街
ガチ恋番長イワッチ「はっ!?」
ガチ恋番長イワッチ「ここは!?」
月「少しだけ意識失ってましたよ」
ガチ恋番長イワッチ「そ、そっか 金属バットでしばかれたような」
月「イワッチさん面白いですね」
月「それで、どうしますか？」
月「店長に会いにいきますか？」
ガチ恋番長イワッチ「そうだね」
ガチ恋番長イワッチ「あみーなちゃんに謝りに行くよ これからもずっと、ふれてんに 通いたいからね！」
月「きっと店長喜びますよ！」
月「じゃあ、一緒に行きましょう」
ガチ恋番長イワッチ「ああ！」

〇メイド喫茶
月「ご主人様お連れしました！」
あみーな「はーい！」
あみーな「あっ！イワッチさん！」
ガチ恋番長イワッチ「あ、うん」
月「ほら、イワッチさん」
あみーな「ん？」
ガチ恋番長イワッチ「昨日は出待ちなんかしてごめん」
あみーな「えっ？」
ガチ恋番長イワッチ「僕は勘違いしてた」
ガチ恋番長イワッチ「いつもあみーなちゃんが良くしてくれるから 友達だと思い込んでた」
ガチ恋番長イワッチ「でも、それであみーなちゃんに迷惑かけて 会えなくなるのはもっと嫌だ」
ガチ恋番長イワッチ「今度からちゃんとルールを守るよ」
ガチ恋番長イワッチ「だから、迷惑かけてすみませんでした」
あみーな「そっか」
あみーな「わざわざ謝りに来てくれたんだ」
あみーな「嬉しい！」
ガチ恋番長イワッチ「許してくれる？」
あみーな「もちろん！」
ガチ恋番長イワッチ「良かった！」
月「一件落着ですね！」

〇メイド喫茶
あみーな「♫」

〇メイド喫茶
ガチ恋番長イワッチ「あみーなちゃん楽しそう」
月「ご主人様がルールを破ると キャストは悲しくなります」
ガチ恋番長イワッチ「僕はあみーなちゃんを 悲しませるところだったんだね」
ガチ恋番長イワッチ「良かったよ」
月「キャストは皆のものですよ」
ガチ恋番長イワッチ「そうだね」
ガチ恋番長イワッチ「キャスドリ入れたりして 独占しようしてたから勘違いしてたよ」
月「推しがみんなから人気って 誇らしくないですか？」
ガチ恋番長イワッチ「そうだね」
ガチ恋番長イワッチ「ちょっと悔しいけど、その通りだ」
ガチ恋番長イワッチ「推しが楽しそうにお給仕する」
ガチ恋番長イワッチ「その姿を見れることが幸せなんだ」
月「店長もそういったご主人様のことが きっと好きですよ」
ガチ恋番長イワッチ「ありがとう、月ちゃん」
ガチ恋番長イワッチ「君がいなかったら 僕は一生後悔するところだった」
ガチ恋番長イワッチ「これからはキャストみんなと仲良くするよ」
月「きっと店長喜びます」
ガチ恋番長イワッチ「それから、君も推しとして 応援させてもらうよ」
ガチ恋番長イワッチ「もちろん、ルールをちゃんと守ってね」
月「ありがとうございます！」

〇電器街
　　次回予告
　　持ち前の器量で、ご主人様を改心させた月
　　初めてのお仕事を任せられるのだった
　　しかし、トラブルに巻き込まれてしまう
　　次回『初めてのビラ配り』
月「次回も萌え萌えてん！」
月「お店に入ったらまずはハウスルールを 確認しましょうね」