第5話 『黒いなにか』(脚本)
〇黒
こいつを殺しますか?
→はい
いいえ
〇立派な洋館(観測室の電気点灯)
〇洋館の廊下
梵嵐「あれ・・・あれって・・・」
鎧坂蕗子「蓮介、君・・・!?」
嵐は思わず廊下を駆け出した。
岡崎大志「嵐!」
〇洋館の廊下
梵嵐「・・・やだ、いやだ!」
岡崎大志「ひとりで行くんじゃねえ!!」
梵嵐「離してよ!」
梵嵐「レンくんが、レンくんが・・・!!」
梵嵐「・・・っく・・・うう」
正岡きらり「ふたりともよく見てください!」
正岡きらり「あ、あれ、本当に蓮介君・・・ですか?」
梵嵐「・・・え?」
正岡きらり「服は確かに蓮介君と同じで、姿形も似てるけど、でも、身体が・・・」
正岡きらり「なんていうか・・・あの『黒いの』に、似てません、か?」
岡崎大志「・・・確かに」
梵嵐「・・・あれ、レンくんじゃないの? 本当?」
岡崎大志「決めつけるにはまだ早いってことだ」
正岡きらり「鎧坂さんも、そう思いますよね?」
鎧坂蕗子「・・・・・・」
正岡きらり「あ、あの。鎧坂さん?」
鎧坂蕗子「・・・えっ?」
鎧坂蕗子「ええ、そう・・・そうですね」
岡崎大志「大丈夫か」
鎧坂蕗子「ごめんなさい、混乱してて」
岡崎大志「落ち着け」
鎧坂蕗子「岡崎君・・・」
鎧坂蕗子「私たちも玄関へ行きましょう」
鎧坂蕗子「まだ、蓮介君は下にいるかもしれないし、そうでなくても途中で会えるかも」
正岡きらり「えっ!? でも待っててって蓮介君が・・・」
鎧坂蕗子「彼が危険な目にあってるかもしれないのに、待っているなんてできない」
正岡きらり「それは・・・」
岡崎大志「俺は行く」
梵嵐「早く行こうよ! レンくん助けてあげないと・・・!」
正岡きらり「でも、あの黒いのがいつ出てくるかもわからないのに・・・」
鎧坂蕗子「正岡さん、行きましょう。 もう、絶対にひとりになってはダメ」
〇洋館の玄関ホール
梵嵐「レンくん、どこ!?」
梵嵐「返事して! レンくん!!」
正岡きらり「あ、嵐ちゃん、もっと静かに」
岡崎大志「いねぇな」
鎧坂蕗子「・・・ええ」
蕗子は窓を調べるが、押しても引いても叩いても窓はびくともしない。
ふと外を見ると、窓の外には澄んだ星空が広がっていた。
鎧坂蕗子「・・・蓮介君」
〇観測室
鎧坂蕗子「あの・・・気をつけて。早くね」
醍醐蓮介「任せて」
〇洋館の玄関ホール
蓮介のことを思いながら、蕗子は夜空にまばゆく輝く星々を見つめる。
しばらく星空を眺めたのち、ふと何かに気づいたように声を漏らした。
鎧坂蕗子「え・・・なんで獅子座がこの時期に」
岡崎大志「だめだ、この窓も開かねえ。 鎧坂、そっちは?」
鎧坂蕗子「あ・・・ええ、こっちもだめ」
鎧坂蕗子「やっぱり正攻法じゃ外へは出られないみたい」
岡崎大志「・・・どうするか」
梵嵐「・・・うう」
鎧坂蕗子「・・・嵐」
梵嵐「レンくん、いないよ。 どこ行っちゃったの?」
梵嵐「私のことおいてっちゃうなんて、今まで一度もなかったんだよ?」
鎧坂蕗子「・・・それは」
梵嵐「やっぱり、あの黒いの──」
正岡きらり「だ、大丈夫です!」
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