グレート=ダーティ☆エスケイプ

澤井 軽野

第1話 卑怯な=ダーティ☆ガイ(脚本)

グレート=ダーティ☆エスケイプ

澤井 軽野

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〇闇の要塞

〇地下室
ヒーロー=ナイトレイ「ぐ⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ヒヒヒ⋯不様よのォ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「それでもヒーローかナイトレイ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ワシの前では手も足も出んようだな」
(いや、大幹部様の拘束術のおかげだろ⋯)
川渡 シシオ(かわど ししお)「吐け!何の目的でこの基地を嗅ぎ回っていた」
ヒーロー=ナイトレイ「⋯ここに」
ヒーロー=ナイトレイ「こ⋯子供が居るはずだ⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「子供?」
川渡 シシオ(かわど ししお)「この基地に搬入されるのは労働力になる人間だけだ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ガキなぞこの50年見た事がないわ」
ヒーロー=ナイトレイ「⋯ククッ」
ヒーロー=ナイトレイ「な⋯何も⋯知らないんだ⋯な」
川渡 シシオ(かわど ししお)「黙れ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ペッ」
ヒーロー=ナイトレイ「汚ねっ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ペッペッ」
ヒーロー=ナイトレイ「わっちょっ」
(えぇ⋯)
川渡 シシオ(かわど ししお)「万一貴様の拘束が解けた時の制圧用」
川渡 シシオ(かわど ししお)「大幹部特製の音響弾」
川渡 シシオ(かわど ししお)「至近距離で発動したらどうなるかのぉ?」
(オイ!そんな事したら俺達まで──)
ヒーロー=ナイトレイ「⋯やれよ」
ヒーロー=ナイトレイ「俺の耳が潰れたら尋問もできまい」
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯チッ」
ヒーロー=ナイトレイ「ぐ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ハァハァ⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「今日はここまでだ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「犬!」
怪人=ピート「へいッ!」
川渡 シシオ(かわど ししお)「着替えるから飯を準備しとけ」
怪人=ピート(ハァ!?また俺が金出すのかよ)
川渡 シシオ(かわど ししお)「早よ行け」
怪人=ピート「へ、ヘイッ」

〇城の会議室
川渡 シシオ(かわど ししお)「何じゃこの飯は」
怪人=ピート「え?いつもの基地の料理人のですが⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「そんな事聞いてんじゃないんだよ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「冷めてるって言ってんだよ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「すぐに作り直させろ」
怪人=ピート「⋯チッ」
怪人=ピート「ヘイ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「待て」
川渡 シシオ(かわど ししお)「何片付けようとしとんじゃ」
怪人=ピート「へ?だって今⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「それは置いといて新しいの持って来い」
川渡 シシオ(かわど ししお)「急げ」
怪人=ピート「へ、ヘイッ!」

〇暗い廊下
怪人=ピート「クッソあんの爺ィ~!」
怪人=ピート「何で俺があんな実力もないクズに!」

〇黒背景
怪人=ピート「どうせなら種族も近い」
怪人=ピート「犬吠埼の旦那の下が良かったぜ⋯ッ」
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)「?」

〇暗い廊下
怪人=ピート「いつか噛みちぎってやる⋯!」

〇城の会議室
川渡 シシオ(かわど ししお)「犬族は上官には逆らわんから扱いやすい」
川渡 シシオ(かわど ししお)「この怪人社会の基地の中でワシより立場が上なのは」
川渡 シシオ(かわど ししお)「大首領と四人の大幹部だけ!」
川渡 シシオ(かわど ししお)「人間で幹部まで昇りつめたのはこのワシ一人」
川渡 シシオ(かわど ししお)「能力持ちの怪人どもを押し退けて ただの人間のワシがこの地位なんじゃから」
川渡 シシオ(かわど ししお)「実質、ワシの方が上という事よのぉ~」

〇黒背景
  結局この世は地位と金!
  どんな手を使ってもこの二つを掴んだ者が勝つ
  それができん無能は全員ワシにひれ伏せ
  50年かけて築き上げたこの地位と金
  死ぬまで守り抜いてやる!

〇闇の要塞

〇王妃謁見の間
川渡 シシオ(かわど ししお)「子供?」
大幹部=ノーザンランド将軍「そうだ」
大幹部=ノーザンランド将軍「基地から連れ出し」
大幹部=ノーザンランド将軍「200キロ以上離れた街まで行って処理しろ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「しかしガキなぞ基地で処分すれば」
川渡 シシオ(かわど ししお)「それこそ赤子の手をひねるような物でしょう」
大幹部=ノーザンランド将軍「ダメだ」
大幹部=ノーザンランド将軍「全て秘密裏にお前一人で行え」
大幹部=ノーザンランド将軍「ただし夜は動くな」
川渡 シシオ(かわど ししお)「はぁ」
大幹部=ノーザンランド将軍「これがその子供だ」
川渡 シシオ(かわど ししお)(確かにガキだ⋯なぜ基地に?)
川渡 シシオ(かわど ししお)(ナイトレイが言ってた奴か?)
大幹部=ノーザンランド将軍「それと腕輪は外すな」
川渡 シシオ(かわど ししお)(ほぉ⋯高価そうな腕輪)
大幹部=ノーザンランド将軍「2日以内に行い、全て終わったら報告しろ」
大幹部=ノーザンランド将軍「以上だ 行け」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ハッ!お任せを!」
川渡 シシオ(かわど ししお)(上の者には絶対服従!下の者には徹底抑圧!)
川渡 シシオ(かわど ししお)(これが地位を守る秘訣よ!)
女の子「⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯嫌な目付きじゃ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「来い!」

〇闇の要塞
川渡 シシオ(かわど ししお)「面倒だが人間の街も久々だ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「後ろに乗れ」

〇車内
川渡 シシオ(かわど ししお)(それにしても⋯)

〇黒背景
  久しぶりに見たが
  子供ってこんなに小さかったか⋯?
  腕も首もヒョロヒョロ細くて
  触れただけで折れてしまいそうではないか
  ワシのような屈強な漢とは比べ物に──
女の子「⋯ぇ⋯ねえ」

〇車内
女の子「ねえってば」
川渡 シシオ(かわど ししお)「うぉっびっくりした」
川渡 シシオ(かわど ししお)「いつの間に横に」
女の子「おなかすいた」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ハァ?」
川渡 シシオ(かわど ししお)(これから消されるのも知らずに何を呑気な⋯)
川渡 シシオ(かわど ししお)「ダメだ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「怪人部隊同行なら略奪でも何でもできるが」
川渡 シシオ(かわど ししお)「今日はワシ一人」
川渡 シシオ(かわど ししお)「金を出さんと食い物も手に入らん」
川渡 シシオ(かわど ししお)(⋯いや待てよ)
川渡 シシオ(かわど ししお)「やっぱ何処か寄るか」

〇商店街の飲食店
川渡 シシオ(かわど ししお)「ここがええ」

〇ホテルのレストラン
川渡 シシオ(かわど ししお)「子供連れじゃ」
店員「お子様は無料となります」
川渡 シシオ(かわど ししお)(人間社会は少子化で)
川渡 シシオ(かわど ししお)(子供を優遇する店が増えとるからな)
川渡 シシオ(かわど ししお)(ちっとの金でも守った者が勝つんじゃ!)

〇ホテルのレストラン
川渡 シシオ(かわど ししお)「全部ガキの分として注文したから全部タダ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「全部ワシのじゃ!」
川渡 シシオ(かわど ししお)「さーて食うか!」
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯何ちゅう眼で見るんじゃ」
川渡 シシオ(かわど ししお)(⋯ガキが食う所も見せんと料金取られるか)
川渡 シシオ(かわど ししお)「一口食ってええぞ」
女の子「⋯いただきます」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ゲッ!丸呑み!?」
川渡 シシオ(かわど ししお)「オイ!ちょっ⋯」
女の子「⋯おいし」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ワシの飯⋯っ」
女の子「おかわり」
店員「追加注文は料金を頂きます♪」

〇車内
川渡 シシオ(かわど ししお)「クソ⋯とんだ散財じゃ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「その細っこい身体のどこにそんなに⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「またいつの間に隣に!」
女の子「ね」
川渡 シシオ(かわど ししお)「あ゛!?」
女の子「おいしかったね」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ワシゃほとんど食っとらんわ!」
川渡 シシオ(かわど ししお)「何なんじゃコイツ⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「大体、基地を出てからずいぶん様子が違うではないか⋯」

〇黒背景
  あの死んだような眼
  黙って何か訴えてくるような
  いつか何処かで見たような
  あのイラつく眼⋯!

〇魔王城の部屋
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)「あんな卑怯モンに任せて良かったのか?」
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)「今からでも俺の『能力』で引き離した方がいいンじゃねェのかい?」
大幹部=スカーレット・ウェスト「バカねぇ⋯それじゃ始末する奴がいないって」
大幹部=スカーレット・ウェスト「何度も言ってるじゃない」
大幹部=ノーザンランド将軍「安全装置なら用意した」
大幹部= ブライト伯爵「僕の腕輪だね♪」
大幹部=ノーザンランド将軍「だが」
大幹部=ノーザンランド将軍「奴は自分の不利益になる事は絶対にしない」
大幹部=ノーザンランド将軍「その点にかけては組織の誰よりも信頼できる」
大幹部=ノーザンランド将軍「単独での極秘任務」
大幹部=ノーザンランド将軍「成功すれば出世の目」
大幹部=ノーザンランド将軍「それ以外は地位も金も失う」
大幹部=ノーザンランド将軍「この任務、奴には裏切る理由が無い」
大幹部= ブライト伯爵「なんか僕の事言われてるみたい」
(自覚あんのかい卑怯者──!)

〇ラブホテルの受付
川渡 シシオ(かわど ししお)「二人とも小柄だから一人部屋で⋯」
ホテルマン「ですが⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ん?」
川渡 シシオ(かわど ししお)「あのガキどこ行った」
川渡 シシオ(かわど ししお)「お~い」

〇カフェのレジ

〇ラブホテルの受付
川渡 シシオ(かわど ししお)「おい、まさか⋯」

〇カフェのレジ

〇ラブホテルの受付
川渡 シシオ(かわど ししお)「ノーッ」
川渡 シシオ(かわど ししお)(夜は動くなと言われとる)
川渡 シシオ(かわど ししお)(揉め事はマズい!)
川渡 シシオ(かわど ししお)「菓子代精算してくれ⋯あと二人部屋で」

〇英国風の部屋
女の子「わ⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「跳ねるな」
女の子「ね、シシオ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「何じゃ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯?ワシ名前言ったか?」
川渡 シシオ(かわど ししお)(ああ、宿帳⋯)
川渡 シシオ(かわど ししお)(案外目ざといガキじゃ⋯)
女の子「遊ぼ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ハァ~?お前自分の立場⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯寝とる!?」
川渡 シシオ(かわど ししお)「何なんじゃ本当に」
川渡 シシオ(かわど ししお)「まあええ、床に転がしとけば⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯二人部屋料金が無駄になる」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ベッドに乗せるか」
川渡 シシオ(かわど ししお)(⋯しかし何故こんなガキを始末しろと)
川渡 シシオ(かわど ししお)(コイツも怪人⋯?いや)
川渡 シシオ(かわど ししお)(ワシは危険への嗅覚には絶対の自信がある)
川渡 シシオ(かわど ししお)(コイツは危険な存在ではない)
川渡 シシオ(かわど ししお)「ま、どうせ明日処分するんじゃ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯今日はワシも疲れた」

〇黒背景
川渡 シシオ(かわど ししお)(怪人も大概だが)
川渡 シシオ(かわど ししお)(人間社会も面倒臭い)
川渡 シシオ(かわど ししお)(こんな不便をせんでいいよう)
川渡 シシオ(かわど ししお)(ワシは地位と金を何よりも──)
  あれ⋯でもそれだけだっけ
  何かもっと他に大切な──

〇埋立地
怪物「ア⋯ァ⋯」

〇暖炉のある小屋
父「捨てて来い」
父「汚ぇモン家に入れんな」

〇埋立地
子供時代のシシオ「今捨てたら死んじゃうよ」
子供時代のシシオ「死んじゃうよーッ」
  あぁ⋯そうだ、あの眼

〇黒背景
子供時代のシシオ「こんな事二度とさせない」
子供時代のシシオ「俺が誰よりも偉くなって⋯!」
  あの、ただじっとこちらを見詰める眼が
  同じなんだ──

〇英国風の部屋
川渡 シシオ(かわど ししお)「ん⋯」
川渡 シシオ(かわど ししお)「いつの間にワシのベッドに⋯!」
川渡 シシオ(かわど ししお)「お、押すな!」
川渡 シシオ(かわど ししお)「同じベッドで寝たら二人部屋料金が無駄に⋯」

〇車内
川渡 シシオ(かわど ししお)「いい気なもんだ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「自分の運命も知らず⋯」

〇埋立地
川渡 シシオ(かわど ししお)「スクラップ流砂じゃ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ここに置いていけば1時間もせず」
川渡 シシオ(かわど ししお)「飲み込まれて粉々になるじゃろ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「じゃあなガキ」
女の子「シシオは?」
女の子「どこか行っちゃうの?」
川渡 シシオ(かわど ししお)「当然」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ワシが50年かけて築いた地位がある」
川渡 シシオ(かわど ししお)「基地に戻るんじゃ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「何じゃその顔は」
川渡 シシオ(かわど ししお)「怪人に目を付けられたお前はどうせもう助からん」
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯直接手を下さんのはせめてもの情けだ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「そこで大人しく飲まれてろ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「さらばだ」

〇車内
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯助手席が広いな」
川渡 シシオ(かわど ししお)「たった1日だが清々するもんじゃ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯」
  あの眼

〇黒背景
  やはりあの時と同じ
  イラつくんじゃあの眼──!

〇埋立地
川渡 シシオ(かわど ししお)「予定変更じゃ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「今すぐ消えろ」

〇闇の要塞

〇魔王城の部屋
大幹部=ノーザンランド将軍「戻ったか」
川渡 シシオ(かわど ししお)「楽な仕事ですわ」
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)「始末したんだろうな」
川渡 シシオ(かわど ししお)「そりゃ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「仕事はキッチリこなすから」
川渡 シシオ(かわど ししお)「タダの人間のワシがここまで取り立てて頂いたんです」
川渡 シシオ(かわど ししお)「じゃ、ワシはこれで」
大幹部=ノーザンランド将軍「⋯待て」
大幹部=ノーザンランド将軍「そのポケットの膨らみは何だ」
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)「出せ」
怪人=ピート(うぉ!?)
怪人=ピート(面白くなってきやがった)
川渡 シシオ(かわど ししお)「す、すいやせん!」
川渡 シシオ(かわど ししお)「スクラップに飲まれるのも勿体なく、つい」
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)「コイツの部屋も調べろ」
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)(だが腕輪を外して生きてるって事ァ)
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)(確かに始末はしたって事か)
怪人「部屋にガキの上着も隠してました」
怪人=ピート(これでこのクズも失脚だ!)
大幹部=ノーザンランド将軍「⋯なぜ腕輪を持っていた」
川渡 シシオ(かわど ししお)「出来心で⋯」
大幹部=ノーザンランド将軍「違う」
大幹部=ノーザンランド将軍「これまでもお前は始末した人間の所持品を売っていた」
川渡 シシオ(かわど ししお)(ゲッ)
川渡 シシオ(かわど ししお)(今までのもバレてた!)
大幹部=ノーザンランド将軍「だがそれを持ち歩いたままにする失態など一度も無かった」
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯」
大幹部=ノーザンランド将軍「なぜ今日に限ってこれ見よがしに持ち歩いた」
大幹部=ノーザンランド将軍「貴様」
大幹部=ノーザンランド将軍「何を隠そうとしている」
川渡 シシオ(かわど ししお)「た⋯たまたま忘れて」
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)「今何か隠したな?」
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)「胸ポケットだ」
怪人=ピート「ヘイッ」
怪人=ピート「ん?」
怪人=ピート「音響弾──」
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)「逃げたぞッ」

〇暗い廊下
川渡 シシオ(かわど ししお)「やはりバレたか」
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)「待て」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ヒー」
大幹部=犬吠埼(いぬぼうざき)「直で音波喰らわせてやるよ」
大幹部=ノーザンランド将軍「馬鹿!その壁は⋯」

〇地下室

〇暗い廊下
「ナイトレイ」
大幹部=ノーザンランド将軍「変身済み⋯」
大幹部=ノーザンランド将軍「死合うか⋯!」

〇城のゴミ捨て場
川渡 シシオ(かわど ししお)「犬は走れば追ってくるから誘導しやすいわ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「戦闘狂の大幹部2人は」
川渡 シシオ(かわど ししお)「ナイトレイをぶつければしばらく動けん」

〇闇の要塞

〇車内
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯何をやっとるんじゃワシは」
川渡 シシオ(かわど ししお)「50年かけて築いた地位も全てパアじゃ」
女の子「⋯シシオ」

〇埋立地
川渡 シシオ(かわど ししお)「よし、それと上着を寄越せ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「貴様の身代わりだ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「遺留品で死亡を印象付ける」
川渡 シシオ(かわど ししお)「上着の代わりに餞別だ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「何処へでも消えろ」
女の子「待って」
女の子「いっしょに行く」
女の子「いっしょにいたい」
川渡 シシオ(かわど ししお)「⋯」

〇車内
川渡 シシオ(かわど ししお)(あの眼)
川渡 シシオ(かわど ししお)(あの眼を見るのだけは)
川渡 シシオ(かわど ししお)(もう二度と嫌なんじゃ!)
女の子「元気ない?」
川渡 シシオ(かわど ししお)「黙ってろ」
川渡 シシオ(かわど ししお)「舌噛むぞーッ」
  これはきっと
  置き忘れてきた何かを探す物語──

〇暗い廊下
大幹部=ノーザンランド将軍「クッ」
大幹部=ノーザンランド将軍「誰か奴らを追えッ」
大幹部=ノーザンランド将軍「あの子供を生かしておいたら」

〇街の全景
大幹部=ノーザンランド将軍「世界が滅びるぞーッ!」

次のエピソード:第2話 行方知れずの=ロスト☆ガイ

コメント

  • シシオぉぉおお😭✨!卑怯で普段保身に走ってそうなオッサンのくせに、あの女の子だけは昔の後悔と重なって見捨てられなかったという、なんとも人間らしい部分が良いですね!!憎めない、思わず応援してしまう主人公。魅力的です😊幹部の4人もかっこよいし、先の気になる1話でした🙌!

  • 最初の悪い印象でしたが、最後には不思議と応援したくなっちゃいました!(まさに猫を助けると良い人に見えるヤツ。笑)
    女の子が世界滅亡の鍵を握るのであれば、ヒーローサイド、怪人サイドの双方から追われることになりそうですね…。地位も金も失ったシシオがどう切り抜けていくか、続きも楽しみに拝見させて頂きます^^

  • 遅ればせながら読ませて頂きました。
    澤井さんの作品は絶対に面白いだろうなぁと分かっていたのですが、読んでみたら想像以上に感動のお話でした。
    コメダで読んでいたんですが最後に涙がポロッとこぼれてしまいましたよ😭こんなおじさん主人公に泣かされるとは……😱←すみません💦
    キャラ数が多いのにみんな魅力的なのが不思議です✨無駄な人物がいなくて台詞も秀逸で、世界観にひき込まれました😆

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