先輩と義妹に挟まれて

夏目心 KOKORONATSUME

7 先輩との試合(脚本)

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夏目心 KOKORONATSUME

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〇教室
  有れから数カ月、俺は毎日の様にバトミントンの練習に励んだ。少しずつ腕を上げて行き、前の冬の大会では準優勝にまで
  至った。舞香も何時も応援してくれて、毎日があっという間に過ぎて行き、先輩は志望校の心大学に無事受かっていた。
倉重海斗「先輩、お早う御座います」
雨宮聖奈「お早う海斗君。聞いたわよ、冬の大会で準優勝だなんて、あれから随分頑張ったのね」
倉重海斗「先輩の方こそ、心大学への合格、おめでとう御座います。これで先輩もバトミントンに戻れるんですよね」
雨宮聖奈「えぇ!この学校の部活には戻れないけど、やっと自分の居場所に戻れるわ!」
倉重海斗「何だか俺も嬉しいです。また先輩がラケットを振る姿が見れますから」
雨宮聖奈「でも、勉強に専念してたから、腕は大分落ちちゃったかな。私に取って、本当に大変なのはこれからよ」
倉重海斗「間違い無いですね。あの、先輩、お願いが有ります」
雨宮聖奈「何?」
倉重海斗「俺と・・・試合して下さい」
雨宮聖奈「・・・そうだったわね。私ももう直ぐ卒業だったわね。良いわ。私の復帰戦、付き合って頂戴!」
倉重海斗「はい!」
黒川唯斗「お早うさん。調子はどうだい?」
雨宮聖奈「黒川先生!」
黒川唯斗「海斗、いよいよやるのか?」
倉重海斗「はい!」
黒川唯斗「そうか・・・雨宮、海斗には前から頼まれててな。お前等二人の試合の審判、俺が請け負う事に成ってる」
黒川唯斗「今日の放課後に成ったら体育館を使わせるつもりだから、どっちも怪我しない様にな」
雨宮聖奈「はい!」
黒川唯斗「それじゃ、また後でな」
倉重海斗「先輩、楽しみにしてますね」
雨宮聖奈「私もよ。絶対負けないから!」

〇体育館の中
  放課後。
黒川唯斗「よぉ、二人共準備は良いか?」
倉重海斗「はい!」
雨宮聖奈「何時でも行けます!」
黒川唯斗「良し!じゃあルールだ。先に5点取った方が勝ち。一発勝負だから、二人共出し惜しみするなよ」
倉重海斗「分かりました」
雨宮聖奈「勿論です!」
黒川唯斗「良し、コートに立ちな」
倉重舞香「黒川先生!遅く成りました!試合は!?」
黒川唯斗「よう舞香さん・・・安心しろ、今から始まる所だ」
倉重舞香「よ、良かった!間に合った!でもどっちを応援しようかな・・・」
黒川唯斗「俺はどっちも応援するつもりだ。お前さんもそうしたら良いと思うぜ」
倉重舞香「そうですよね!私もどっちも応援します!」
黒川唯斗「だな・・・さてと・・・お前等、準備は良いな?」
雨宮聖奈「何時でも行けます!」
倉重海斗「始めて下さい!」
黒川唯斗「良し!それじゃ試合開始だ!」
倉重海斗「せい!」
雨宮聖奈「えい!」
  俺達はお互いに全力で走り、全力でラケットを振った。久し振りにラケットを握った先輩はやっぱりカッコ良かった。
  だけど俺は負けたく無かった。お互いに接戦で、どちらも一歩も引かず、気付けば4対4に成っていた。
雨宮聖奈「まだよ・・・まだやれる・・・!!」
倉重海斗「そこだ!!」
雨宮聖奈「あぁ!?」
黒川唯斗「ゲームセット!勝者、倉重海斗!」
倉重海斗「はぁ・・・はぁ・・・か、勝った・・・!?」
雨宮聖奈「見違えたわ海斗君。こんなに腕を上げてたなんて・・・!」
倉重海斗「夢・・・夢じゃ無いんですよね・・・!?」
黒川唯斗「おいおい、俺の話聞いてたか?ちゃんとお前の勝ちだって言ったぞ?」
倉重海斗「ほ、本当に!?」
黒川唯斗「あぁ、お前の勝ちだ」
倉重海斗「あ、はは、はははははは・・・」
雨宮聖奈「か、海斗君!?」
倉重舞香「お義兄ちゃん!?」
倉重海斗「だ、大丈夫・・・何か、こう成るとは思って無くて、勝ったって分かったんですが、何か力抜けちゃって・・・」
倉重舞香「いや、脅かさないでよ・・・」
倉重海斗「あはは・・・悪い悪い」
雨宮聖奈「海斗君、改めておめでとう」
倉重海斗「先輩」
雨宮聖奈「私の復帰戦、見事に負けちゃったけど、久し振りにやって楽しかったわ。私はもう直ぐ卒業だけど、海斗君、これからどうしたい?」
倉重海斗「これから・・・ですか?」
雨宮聖奈「そうよ。私は大学に行ってもバトミントンをやるわ。でも海斗君、貴方はどんな道を行っても私は止められない」
雨宮聖奈「就職先を見つけるか、私と一緒にバトミントンをやるか、私とは違う形でバトミントンをやるか、貴方はどうしたい?」
倉重海斗「先輩・・・俺にはまだ・・・」
雨宮聖奈「そうだよね。自分の事だから良く考えて。私は待ってるから」
雨宮聖奈「試合してくれて有難う!負けちゃったけど楽しかったわ!出来れば、また海斗君と勝負したい!」
倉重海斗「先輩・・・」
雨宮聖奈「さぁ、片付けましょう。私達も長居出来ないわ」
倉重海斗「はい・・・そうですね・・・」
  先輩との最後の試合は俺の勝ちで終わった。後片付けをして俺達は学校を後にしたが、俺はこれからどうするべきか迷っていた。

〇一人部屋
倉重海斗「もう直ぐ先輩は卒業・・・こうしてバトミントンのラケットを振るのってやっぱ楽しいな」
倉重海斗「ん?入って良いぞ・・・」
倉重舞香「お義兄ちゃん、調子どう?」
倉重海斗「何とも言えないな・・・」
倉重舞香「そうだよね・・・雨宮先輩、いよいよ卒業だもん」
倉重海斗「今度は俺が三年生・・・どうしようか真面目に考えて無かったな・・・」
倉重舞香「そりゃそうだよ、自分が何をどうしたいかなんて分からないから。やっぱこう、自分は本当はこうしたいって事して見たら」
倉重舞香「良いんじゃ無い?」
倉重海斗「俺が本当にしたい事?」
倉重舞香「うん。お義兄ちゃんは先輩に憧れてバトミントンを始めたんでしょ?」
倉重海斗「そうだな・・・」
倉重舞香「だったら、そこからお義兄ちゃんはどうしたい?」
  舞香に諭されて俺はこれまでを振り返った。
  先輩に憧れ、俺はバトミントンを始めた。やっていく過程の中で、俺はバトミントンが好きに成って、今でも先輩が好きだ。
  だったら、俺が出す答えは一つだけだった。
倉重海斗「うん・・・決めた・・・」
倉重舞香「本当!?お義兄ちゃん、何をしたいの?」
倉重海斗「舞香のお陰で、やって見たい事に気付けたよ・・・良く聞いて、俺は・・・」

次のエピソード:8 目標

コメント

  • いいところで区切りましたね・・・
    ですが、さすがのセンスです!
    憧れていても勝負は分からない・・・努力を続ければ勝つことだってできると教えられるいい話でした!
    黒川先生が教えた通りですね。
    さて・・・倉重の答えとは?

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