青鷺の午睡

ましまる

#1 2023.6.16 ①(脚本)

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〇屋上の隅
???「・・・もう・・・無理」

〇keep out

〇オフィスビル
  2023.6.16(Fri.) 20:36
  北海道札幌市
  於 FMしまふくろう
「では、続いてのお便りは」
「時沢市にお住まいの ラジオネーム【ランラン】さん 高校2年生、16歳の女の子からです」

〇花模様2
  リコ姐さん、こんばんは
  私の体験を聞いてください
  先週のことですが、学校祭の準備で
  遅くまで教室に残って作業していました
  ちなみに、残っていたメンバーの中には
  片想い相手のS君もいました (≧∇≦)
  だいぶ時間も遅くなり
  小腹が空いてきたと思ったとき
  クラスメイトで親友のMが
  買い出しから帰ってきて
  「おやき買ってきたよ~」と (*゚▽゚)ノ
  おやき、特に餡子が大好きな私は大声で
  「欲しいー、餡、餡!」 ᐠ(∗ᵔᗜᵔ∗)ᐟ
  と叫んでしまいました
  それを近くで聞いていたS君が
  「アンアン喘ぐな、淫乱痴女かよ!」
  
  って・・・。゚(゚´ω`゚)゚。
  そして、辺りから響く嘲笑う声
  翌日から、クラスでの私のアダ名は
  「淫乱」になってしまいました
  そんな私は淫乱どころか、人生これまで
  男子と一度もお付き合いしたことのない
  陰キャ女です
  ・・・恥の多い生涯を送っています

〇ラジオの収録ブース
RICO「うわー、それってショックー」
RICO「よりにもよって、片想い相手からって」
RICO「しかも、そんなアダ名まで・・・」
RICO「あっ、これ余談なんだけど 「おやき」って言葉 北海道外だと通じないことが多いから」
RICO「実は地域によって呼び方が違っていて」
RICO「「今川焼き」や「大判焼き」や 「回転焼き」や「御座候」など」
RICO「色んな呼び名があるから、覚えておいてね」
RICO「それで、話を戻すけど・・・」
RICO「【ランラン】さん、 アタシにも昔、変なアダ名があったから」
RICO「アタシの恥の多いエピソード ちょっと聞いてもらってもいい?」
RICO「高1のときかな 友達との会話の中で」
RICO「「昨日しこたまミルクティー飲んだ」って 話すことがあってね」
RICO「でもその友達、「しこたま」って言葉を 初めて聞いたらしくて」
RICO「「しこたま?」と何度も口にしながら 意味を考えて続け」
RICO「そのうち・・・」
RICO「「しこ・・・たま・・・ミルク・・・」 「しこしこ・・・たまたま・・・」 「タマタマ・・・シコシコ・・・」」
RICO「と、どんどん変な方向に連想し出してね」
RICO「そして気が付けば、私のアダ名が何故か」
RICO「「タマシコ姐さん」そして「シコ姐」に」
RICO「いまだに、高校時代の友達からは 「シコ姐」呼ばわりされているから」
RICO「そんな「シコ姐」も めげずに前向きに生きていたら」
RICO「こうして立派な大人になって コレも笑い話にできるようになった」
RICO「・・・あっ、立派ではないか、ゴメン」
RICO「【ランラン】さんも、そのうち 笑いのネタにできる日が来るから!」
RICO「さぁ前向いていこう!」
RICO「えっ「こんな大人になりたくない」?」
RICO「ゴメン、今のは ブース内の構成作家からのカンペ」
RICO「この構成作家センセイは ツッコミをカンペで挿し込む厄介者で」
RICO「そのほとんどが、読み上げられない 卑猥な内容だから、困ったものなのよ」
RICO「さて、以上「学生失格」のコーナーでした」
RICO「アナタの恥ずかしい体験談を」
RICO「「恥の多い生涯を送っています」 で締める文章にして送ってきてください」
RICO「アナタの体験談、お待ちしています」
RICO「では、曲に参りましょう」
RICO「ジョン・ケージ「4分33秒」 デスメタルバージョンです お聞き下さい」

〇ラジオの収録ブース
RICO「・・・ふぅ」
依田 大樹(構成作家)「おいおい 今日も下ネタ要素をぶっこんじゃって」
RICO「それよりも、放送できないワードを いつもカンペで挿し込むことのほうが」
RICO「問題視されるべきじゃないの、センセ」
依田 大樹(構成作家)「今更、問題発言が1つ増えようが 関係者に怒られるのには変わりねーだろ」
栗沢 大和(ディレクター)「あっ、RICOさーん」
栗沢 大和(ディレクター)「今日も放送終了後 専務のところに報告に行きましょーね」
RICO「はーい、恒例のお小言タイムね」
依田 大樹(構成作家)「お偉いさんからの説教なんて 栗沢1人に受けさせておけよ」
依田 大樹(構成作家)「そもそもの番組コンセプトの」
依田 大樹(構成作家)「「陰キャ学生達にも楽しい居場所を」 を履き違えて」
依田 大樹(構成作家)「「学生が下ネタで大はしゃぎする番組」 にしたのも栗沢なんだから」
RICO「いいえ」
RICO「「学生に楽しい居場所」ってコンセプトに 強く共鳴したのも、アタシ」
RICO「諸事情で下ネタで燥げない子に 場を提供したいという考えに 賛同したのも、アタシ」
RICO「だから、アタシもお小言を聞かなきゃ」
依田 大樹(構成作家)「でも、説教されて慎むことは・・・」
RICO「するワケないじゃないの!」
依田 大樹(構成作家)「そうそう、リスナーで 【さふぉーく】ちゃんっているだろ」
RICO「はいはい、緑山市の中2の子だよね」
RICO「ここのところ、メール内容が すごく暗くて病んでる感じだけど」
依田 大樹(構成作家)「ホント、よくチェックしてるなー」
依田 大樹(構成作家)「構成作家より早く現場入りして まず全メールチェックなんて そんなパーソナリティ、珍しいぞ」
RICO「これでも昔は、パーソナリティに加えて 台本・メール選別・音効までさせられる 過酷な現場にもいたから」
RICO「事前メールチェックもクセになってね」
依田 大樹(構成作家)「いやー感心するわ」
RICO「で、【さふぉーく】ちゃんがどうしたの?」
依田 大樹(構成作家)「さっき彼女から届いたメールが かなりヤバくて」
RICO「彼女、一体どうしたのだろ?」
RICO「5月の放送で取り上げたメールでは すごく素直でイイ子って感じだったのに」

〇雲と星
  リコ姐さん、先日は初めてのメールを
  読んでくださり、また、励ましの言葉も
  ありがとうございました
  実は私、クラス全体からいじめに遭い
  学校に行けなくなった不登校生徒なんです
  クラス全員から無視され
  親からも冷たく扱われていて
  私の居場所なんて
  この世にどこにもないと思っていました
  でも、リコ姐さんは、そんな私のメールを
  褒めてくれた、励ましてくれた
  私、褒めてもらえる存在なんだと思い
  とても嬉しかったです
  そのおかげで、これまではずっと
  「この世から消えたい」と思っていたのに

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コメント

  • おやきは信州の郷土料理のイメージでしたが、北海道だと今川焼きとか大判焼きとかと同じなんですね😳
    下ネタを披露しているかと思えば、リスナーのことを真剣に考えているリコ姐が素敵です✨
    これから、どう事件の真相を暴いていくのか楽しみです!

  • 拝読いたしました。
    じ、事件が……! そう思った直後の下ネタラジオ。こ、心が、揺さぶるる……!
    ちなみに、私はおやきの分かる人種です。
    素敵なお話をありがとうございました。

  • 実際に声が聞こえて来るぐらいリコ姐さん良いキャラしてます…!ラジオの雰囲気も本当にありそうですし、作品が生き生きとしているように感じました…!
    そんな中で起きるショッキングな事件が良い塩梅に作品に刺激を与えていて、構成もお上手で1話から独自の魅力を放っていました…!

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