エピソード2(脚本)
〇宇宙空間
・・・AM01:02
「CONTINUE」を選択。
「OK?」を選択。
〇温泉旅館
バスは宿に着いた。
バスで一緒に運ばれてきたボストンバッグが運転手、教師たちの手で下ろされる。
積み上げられた鞄の中から自分のものを探せ、
と、教師が言った。
山積みの鞄を見ていると、
“もう少し効率のいい方法があるだろう”
と思い、鼻で笑いそうになる。
コントローラーで目線を移動すると、
自分の荷物は目立つ色の鞄の隣にあり、すぐに見つかった。
だけど、見つからないフリをした。
宿の部屋に入れば、長い時間の始まりだから。
〇仮想空間
部屋は6人部屋。
クラスのムードメーカーの彩加、
彩加のグループの絵理と沙紀、
仲良し2人組の愛と真由、
そして私の6人だ。
みんな、嫌がらせをするような人達ではない。
むしろ和に入れるようと気を遣ってくれるタイプだ。
「気を遣われている」という空気を強く感じさせてくるタイプ。
彼女たちの正義感、
“私たちって優しいでしょ?”
という押し付けなのだろう、か。
〇旅館の和室
そんなことを考えて荷物を探すフリをしていたつもりが、
気が付くと荷物を持って部屋に居た。
いつの間に歩いていたのだろう。
最近、こういう瞬間が多い。
無意識のうちに、コントローラーで自分を歩かせているのだろう
速くゲームを終わらせたいのだろうか。
それとも、
本当は前に進みたいのだろうか。
〇旅館の和室
部屋では5人が楽しそうに、
はしゃいでいた。
すぐにコインを使ってアイテムを購入する。
スマホだ。
スマホの購入には10コインも必要だが、
スマホをいじっていれば、話しかけにくいだろう。
話しかけにくい。
・・・・・・話しかけないで。
沙梨「ほっといて」
〇時計台の中
私はこうして、いつも自ら檻を張る。
画面を見ると、自分の周りに、
薄く檻が張られていた。
「現実の世界」と「ゲームの世界」の違いだが、
「見えるか」「見えないか」だけだ。
現実の世界にも檻はある。
何もないところで転んだり、
突然、頭痛がしたりするのは、
『誰かの檻』なのかもしれない。
〇旅館の和室
彩加にトランプをしようと誘われたが、
沙梨「バスに酔っちゃったから、少し音楽でも聞いて休むね」
と、嘘を言って断った。
「気分が悪いのにスマホを見るんだ~」
と思われないための自己防衛だ。
檻を張り、嘘を付き自己防衛する。
私はこんなことをするためにゲームをしているの?
こんなことをするために産まれてきたの?
〇旅館の和室
・・・AM03:45
この檻は外せるのだろうか?
コントローラーを使い試そうとした。
が、
やめた。
目がクラっとする。
頭がガンガン痛む。
思い出した。思い出した瞬間には遅かった。
〇宇宙空間
ルールはくり返し確認することを推奨します。
ルール③
一瞬でも迷えば最初に戻ります。
モトノセカイヘ
ゲームの断り方が好きでした
手慣れていて偽って退屈をするくらいなら1人でいるほうが楽というのが伝わってきます
主人公と親友の会話も楽しみにしています
リアルの修学旅行、というか集団行動の息苦しさや煩わしさが思い起こされますね!
現実世界さながらの煩わしさを感じるこのゲーム、その正体がとても気になります!