第1話 ボクはミライなのだ(脚本)
〇東京全景
ミライ「建物がいっぱいあるのだ」
ミライ「未来だ。ここは未来なのだ~」
〇渋谷の雑踏
ミライ「すごい人なのだ」
ミライ「ボク、こんなにたくさんの人見たことないのだ」
ミライ「人が多すぎて、なんか頭がくらくらするのだ」
ピエール「ミライ様、大丈夫ですか?」
ミライ「・・・」
ピエール「大丈夫じゃないみたいですね」
ピエール「とりあえずここから移動しましょう」
〇広い公園
ピエール「ここで少し休みましょう」
ミライ「ん? あそこに誰かいるのだ」
ミライ「行ってみるのだ」
〇住宅街の公園
ユウキ「はあ・・・」
ミライ「お前、何かあったのか?」
ユウキ「えっ!?」
ミライ「お前、元気がないのだ。辛そうな顔をしてるのだ」
ユウキ「・・・」
ユウキ「あの、君たちは?」
ミライ「ボクはミライなのだ」
ミライ「こっちはボクの下僕のピエールなのだ」
ピエール「下僕ではなくて、参謀です」
ユウキ「はあ・・・」
ミライ「・・・」
ピエール「ミライ様、どうしました?」
ミライ「ボク、お腹がすいたのだ」
ミライ「もう動けないのだ・・・」
ピエール「ミライ様!」
ユウキ「あの、これを食べるかい?」
ミライ「いいのか?」
ユウキ「お腹すいてるみたいだし」
ミライ「いただくのだ!」
ミライ「おいしいのだ!」
〇池のほとり
ミライ「ありがとうなのだ。えっと・・・」
ユウキ「僕はユウキ」
ミライ「ユウキ、とてもおいしかったのだ」
ミライ「ところで、ユウキはどうしてそんな暗い顔をしてるのだ?」
ユウキ「・・・」
ユウキ「それじゃあ、僕はこれで・・・」
ミライ「ユウキ、待つのだ」
ミライ「!!」
ミライ「ユウキ、お前は会いたい人がいるのか?」
ユウキ「えっ!?」
ミライ「でも、その人のいる場所がわからなくて、会えないのか?」
ユウキ「どうしてそれを・・・」
ミライ「ボクは、その人に会いたい人がいると、その会いたい人につながる線が見えるのだ」
ユウキ「?」
ミライ「ボクにはその人の居場所がわかるのだ」
ユウキ「何だって!」
ミライ「ボクの役目は、会いたい人同士を結びつけることなのだ」
ミライ「ユウキは誰に会いたいのだ?」
ユウキ「・・・」
ユウキ「僕には年の離れた妹がいる」
ユウキ「ちょうど君と同じくらいの年齢の妹が」
ミライ「妹なのに会えないのか?」
ユウキ「小さい頃に両親が離婚して、僕たちも離ればなれになった」
ユウキ「それ以来会っていない」
ユウキ「今はどこにいるかもわからない」
ミライ「会いたいのか?」
ユウキ「会いたい。会いたいけど、どこにいるかわからない」
ユウキ「それに・・・妹が僕に会いたいと思っているかどうかは、わからない」
ミライ「今から会いに行くのだ」
ユウキ「えっ?」
ミライ「ピエール!」
ミライ「ピエール、今から行くのだ」
ピエール「わかりました」
ピエール「ミライ様の役目は、会いたい人とつながる線を見つけること」
ピエール「そして、その線を頼りに具体的にその場所を見つけるのが私の役目」
ピエール「場所がわかりました」
ミライ「ユウキ、早く行くのだ!」
ミライ「妹に会いたくないのか?」
ユウキ「・・・会いたい」
ユウキ「わかった。行こう」
〇総合病院
ピエール「ここです」
ミライ「ユウキの妹はここにいるのだ」
ユウキ「病院?」
ユウキ「ってことは、妹は・・・ひかりは入院しているのか?」
ミライ「ユウキ、行ってくるのだ」
ユウキ「わかった」
10分後・・・
ミライ「早かったな。妹には会えたのか?」
ユウキ「いや、ダメだった・・・」
ミライ「何でなのだ?」
ユウキ「受付で僕の名前を言ったら、断られた」
ユウキ「家族から『僕が来ても妹には会わせるな』と言われているらしい」
ユウキ「きっともう僕には会いたくないんだろう」
ユウキ「せっかく居場所がわかったのに・・・」
ミライ「ボクが行ってくるのだ!」
ユウキ「えっ!?」
ピエール「ミライ様!」
〇大きい病院の廊下
ミライ「・・・」
ミライ「ここはどこなのだ」
ミライ「迷ったみたいなのだ」
エリコ「お嬢ちゃん、どうしたの?」
ミライ「えっと、その・・・」
ミライ「ひ、ひかりに会うのだ」
エリコ「あら、ひかりのお友だち?」
ミライ「?」
エリコ「こっちよ」
ミライ「うまくいった・・・みたいなのだ」
〇病室のベッド
エリコ「ひかり、お友だちがお見舞いに来てくれたわよ」
ひかり「お友だち?」
ミライ「ボ、ボクはミライなのだ」
ひかり「?」
ミライ「えっと・・・」
ミライ「ボクはひかりとお友だちになりたいのだ!」
エリコ「まあ。お友だちだったんじゃなくて、ここで入院してる子だったのね」
ミライ「そ、そうなのだ(嘘なのだ)」
ひかり「ミライちゃん、来てくれてありがとう!」
ひかり「よろしくね」
ミライ「よろしくなのだ!」
ひかり「ミライちゃんのお話聞きたい!」
ミライ「ボクは世界中を旅してるのだ」
ミライ「この前、ライオンを見たのだ」
ミライ「でっかい船に乗ったこともあるのだ」
ひかり「楽しそうでいいなあ。私も行きたい」
ひかり「ミライちゃん、もっといろいろ聞かせてよ」
ミライ「わかったなのだ」
エリコ「ひかり、私ちょっと先生のところに行ってくるね」
ミライ(今なのだ)
ミライ「ひかり」
ひかり「なあに?」
ミライ「ひかりはユウキに会いたいか?」
ひかり「えっ!?」
ひかり「ミライちゃん、お兄ちゃんのこと知ってるの?」
ミライ「会いたいのか? 会いたくないのか?」
ひかり「・・・」
ひかり「会いたい。すごく会いたい」
ひかり「だけど、お母さんが絶対に会わせてくれない」
ミライ「あんなにやさしいお母さんなのにか?」
ひかり「うん・・・」
ひかり「でも、会いたい!」
ミライ「わかったなのだ」
ミライ「ボクに任せるのだ!」
ひかり「ミライちゃん!」
〇総合病院
ユウキ「ミライ、遅いな」
ピエール「はい・・・」
ミライ「戻ったのだ」
ピエール「ミライ様!」
ユウキ「今までどこに・・・」
ミライ「ユウキ、ひかりに会いに行くのだ」
ユウキ「今から?」
ユウキ「こんな遅くに病院には入れないぞ」
ミライ「いいからボクについてくるのだ!」
ユウキ「おいっ!」
〇大きい病院の廊下
ミライ「こっちなのだ」
ユウキ「いや、勝手に入ったらまずいだろう」
ミライ「大丈夫なのだ」
警備員「そこで何してる!」
ミライ「大丈夫じゃなかったのだ」
ユウキ「まったく・・・」
警備員「勝手に入ったのか?」
ミライ「そう・・・なのだ」
ユウキ「すみませんでした」
ユウキ「僕が悪いんです」
ユウキ「この子は関係ありません」
ミライ「ユウキ・・・」
警備員「とりあえずこれから警察を呼ぶ」
ユウキ「はい・・・」
エリコ「待って」
エリコ「この2人は私が呼んだんです」
警備員「そうなんですか?」
エリコ「時間外にすみません。すぐに帰らせますので」
警備員「わかりました」
ユウキ「母さん」
エリコ「ミライちゃんはあなたの知り合いだったのね」
ミライ「ごめんなさいなのだ」
ユウキ「ミライは悪くない。悪いのは僕です」
エリコ「・・・」
エリコ「あなたは変わらないのね」
エリコ「いつも自分より相手のことを大切にする」
エリコ「あんなに辛いことがあったのに」
ユウキ「・・・」
エリコ「私はあなたを置いて、ひかりと家を出て行った」
エリコ「そして別の人と結婚して、新しい家庭を築いた」
エリコ「あの人は、私と別れた後あなたを置いてどこかへ行った」
エリコ「あなたはその後、施設に入ったのよね」
ユウキ「・・・」
エリコ「あなたは私を恨んでいると思った」
エリコ「あなたが私たちの住んでいるところを知ったら、復讐に来ると思っていたの」
エリコ「だから、あなたに会うわけにはいかなかった」
エリコ「ごめんなさい」
ユウキ「・・・」
ユウキ「僕は恨んでなんかないよ」
ユウキ「あのときは、ああするしかなかったんだよ」
エリコ「・・・」
エリコ「ひかりはこっちよ」
ユウキ「母さん・・・」
〇病室のベッド
ユウキ「ひかり!」
ひかり「お兄ちゃん!」
ひかり「お兄ちゃん、大きくなったね」
ユウキ「お前のほうこそ」
ひかり「お兄ちゃん、元気そうでよかった」
ユウキ「お前は・・・体は大丈夫なのか?」
ひかり「うん・・・」
エリコ「数年前からずっと入院してるのよ」
エリコ「病室にいるぶんには特に問題ないけど、外に出て走り回ったりするのは難しいの」
ユウキ「そんな・・・」
ひかり「そんなに悲しそうな顔をしないでよ」
ひかり「私は大丈夫」
ひかり「私にはお母さんもいるし、こうしてお兄ちゃんにも会えた」
ひかり「ミライちゃんっていうお友だちもできた」
ひかり「だから全然辛くもさみしくもないよ」
ユウキ「そうか」
エリコ「そうね」
ミライ「うえ~ん!」
ひかり「ミライちゃん?」
ユウキ「ミライ、どうした?」
ミライ「べ、べつに、母上が恋しくなったわけじゃないのだ」
ユウキ「そっか。ミライはお母さんを探して旅してるんだもんな」
ひかり「そうなの?」
ミライ「なんで知ってるのだ?」
ユウキ「昼間ピエールに聞いたんだよ」
ミライ「ピエールはおしゃべりなのだ」
ひかり「ミライちゃん、1人で旅してるの?」
ミライ「1人じゃないのだ。ピエールもいるからべつにさみしくないのだ」
ミライ「じゃあ、ボクはそろそろ行くのだ」
ミライ「2人とはここでお別れなのだ」
ひかり「待って!」
ひかり「お兄ちゃんは一緒に行かないの?」
ユウキ「え?」
ミライ「べ、べつに、ユウキに一緒に来てほしいなんて思ってないのだ」
ひかり「本当に?」
ミライ「・・・」
ひかり「お兄ちゃん、一緒に行ってあげなよ」
ユウキ「僕が?」
ひかり「だって、ミライちゃんのおかげで、私たちまた会えたんだよ」
ユウキ「・・・」
ユウキ「そうだな。お前の言うとおりだ」
ユウキ「ミライ、僕も一緒に行くよ」
ユウキ「君が早くお母さんに会えるよう協力するよ」
ミライ「本当か!」
ミライ「べ、べつに、うれしくなんてないのだ」
ミライ「でも、行きたいなら連れていってあげてもいいのだ」
ひかり「ミライちゃん、帰ってきたら旅のお話いろいろ聞かせてね」
ミライ「大冒険の話を聞かせるのだ!」
ミライ「それと、ひかりの病気を治す薬も手に入れてくるのだ!」
ミライ「治ったら一緒に冒険するのだ」
ひかり「ありがとう。楽しみに待ってる!」
ユウキ「ひかり、元気でな」
ひかり「うん。お兄ちゃんも」
〇総合病院
ミライ「今から出発するのだ!」
ミライ「母上はこっちの方角にいるはずなのだ」
ミライ「ピエール!」
ピエール「こっちです!」
ミライ「行くのだ!」
〇魔物の巣窟
ピエール「ここです」
ピエール「あれ?」
「・・・」
ピエール「間違えたようです」
「・・・」
ユウキ「どうする?」
ミライ「・・・」
ミライ「すぐに逃げるのだ!」
ボクたちの旅は始まったばかりなのだ
僕たちの進む先には何が待っているのか
ぼくらの未来は待っている
面白かったです。コンビで旅が始まる話なんですね「ドクターフー」を思い浮かべてしまいました。
ミライちゃん可愛い! 特殊能力とピエールのおかげで、今後も様々な絆を繋いでいきそうですね。
ミライがお母さんに会えますように…!応援しています😆
鷹志さんこんにちは!
お久しぶりです!
みらいちゃんとひかりちゃん、白髮の女のコめちゃめちゃ可愛いことに気付かされました😂みらいちゃんは強いけど守ってあげたくなるようなはかなさもあって