4 先輩と義妹(脚本)
〇体育館の中
倉重海斗「せい・・・せい・・・!!」
朝方、俺は朝一に起きて早めに学校に来て、一人で朝練に励んで居た。先輩に振られたとは言え、今より腕を上げて先輩と
試合する為だ。
倉重海斗「今日から先輩も頑張る・・・負けちゃ駄目だ・・・!!」
黒川唯斗「何だか騒々しいと思ったら、倉重、朝練とは精が出るな」
倉重海斗「あ!お早う御座います!すみません勝手に!」
黒川唯斗「何、責める気は無い。そうやって頑張ってくれると教えた甲斐が有るってもんだ。そうだな・・・倉重、先生といっちょ、」
黒川唯斗「勝負でもして見ないか?」
倉重海斗「良いんですか!?是非お願いします!!」
黒川唯斗「あぁ、俺も朝の会議とか有るから長くは付き合えない。3点先取で行くぞ」
倉重海斗「はい!!」
朝方に顧問の先生に朝練を見られ、先生は自ら俺と勝負をしてくれる事と成った。顧問と言うだけ有って動きに無駄が無く、
何とか1点は取れたが、先に3点を取られて俺は負けてしまった。
倉重海斗「あぁ!良い感じだったんだけど・・・!」
黒川唯斗「はは!俺の勝ちだな」
倉重海斗「・・・此処まで力の差が有ると悔しいな・・・」
黒川唯斗「そうだな。何処の世界でも勝ったら嬉しい、負けたら悔しい。世界には、倉重や雨宮よりも強い奴は沢山居る」
黒川唯斗「倉重、どんな事でも負けを否定したら自分の負けだと思え。失敗から学んで、そこから進んで、そこで初めて得られる物も有る」
黒川唯斗「本当に倉重が勝たなきゃ行けないのは、先生でもライバルでも無い。自分に勝つんだ。忘れるなよ」
倉重海斗「・・・有難う御座います!俺、まだやれますよね!?」
黒川唯斗「勿論!そうだ、今日から内に新しいマネージャーが入る事に成った。朝方お前が居てくれてるから、此処の事教えてやって」
黒川唯斗「くれないか?」
倉重海斗「マネージャー?良いですよ」
黒川唯斗「それは有難い!そろそろ来ると思うんだが・・・」
倉重舞香「黒川先生、お早う御座います!」
黒川唯斗「お早う!来てたのか!」
倉重舞香「はい!」
倉重海斗「えぇ!?先生、もしかしてマネージャーって・・・」
黒川唯斗「あぁ、こいつだ。倉重舞香・・・って、良く見たら名字被ってたな。お前等兄妹か?」
倉重舞香「はい!義理の兄妹ですけど・・・」
黒川唯斗「成る程ね。今後はややこしく成るから二人共下の名前で呼ばせて貰うよ。それじゃあ海斗。俺は此処までだ」
黒川唯斗「兄妹なら、色々やり易いだろ。じゃあな」
倉重海斗「え、えっと・・・舞香だよな・・・マネージャーに成るって、何かの間違い?」
倉重舞香「え?私本気でマネージャーに成りに来たんだけど・・・」
倉重海斗「嘘でしょ!?諦めたんじゃ無いの!?」
倉重舞香「私諦めるなんて一言も言って無いよ?私、前からバトミントン部のマネージャーやりたいって思ってたんだよね」
倉重舞香「お義兄ちゃん居るし」
倉重海斗「そ、そうか・・・なぁ舞香、考え直さないか?今から言えば辞めさせて貰えるかもだし・・・」
倉重舞香「何で直ぐにマネージャー初めて辞めなきゃいけないの?そんな事したら先生に失礼でしょ?」
倉重海斗「それはそうだが、マネージャーって意外と大変見たいだし、お前に務まるか?」
倉重舞香「あのねお義兄ちゃん、世の中にはね、こんな有難い言葉が有るの」
倉重海斗「そ、それって・・・」
倉重舞香「自分に負けるな。だから辞める気は無いし、これから宜しくね」
倉重海斗「あ、はい・・・」
あろう事か、舞香は俺の居るバトミントン部のマネージャーに成る事と成った。しかも俺が何を言っても辞めようとしない。
昨日は昨日で婚姻届を出して来たが、これから何を仕出かすかと思うと、何だか気が重かった。
〇図書館
倉重海斗「なぁ、本当に俺が勉強教えるの?別に家でやっても変わらないと思うが・・・」
倉重舞香「えぇ?何も気にする事無いじゃん。学校だから出来る事が有るんだよ」
倉重海斗「全く・・・教えるのは引き受けるが、変な事しないでくれよ?」
倉重舞香「そうで無くちゃ!じゃあ早速教えて!」
昼休み、俺は舞香に言われて図書室で勉強を教える事に成った。マネージャーの話は正式に決まって、本人もやる気なので
無理に追い出したら周りの目が怖いので何も言わない事にした。
倉重舞香「お義兄ちゃん、此処のやり方どうだったっけ?」
倉重海斗「此処?あぁ、此処はね・・・」
雨宮聖奈「あ、あれ!?あれって・・・」
倉重舞香「あ〜!やっと理解出来た!」
倉重海斗「そうそう!それで此処はこうすると・・・」
雨宮聖奈「何・・・どう言う事・・・!?倉重君、私に告白したよね・・・!?私が断ったから、もう別の女に目移りしたの・・・!?」
雨宮聖奈「信じられない・・・!?」
倉重海斗「あれ?今誰か居た様な・・・」
倉重舞香「お義兄ちゃん?どうしたの?」
倉重海斗「いや、気の所為だった見たい。さて、続きやろうか」
倉重舞香「うん!」
この時、俺は雨宮先輩にこの光景を見られた事を、全く気付いて無かったのだった。
〇学校の廊下
倉重海斗「あれ?先輩!」
雨宮聖奈「・・・・・・!?」
倉重海斗「先輩が引退した後、俺も今日からバトミントンに今まで以上に力入れる事にしました。今日黒川先生と勝負して負けちゃって」
雨宮聖奈「何でそんなに気安く話し掛けられるの・・・!?」
倉重海斗「先輩?どうしたんです?」
雨宮聖奈「倉重君、君がそんな軽い人だとは思わなかったわ!そんな人に告白されるなんて最低!倉重君の事見損なったわ!!」
倉重海斗「え?どう言う事です!?俺何かしましたか!?」
雨宮聖奈「告白して振られて直ぐに別の女に目移りする人なんか信用出来ないわ!もう私に関わらないで!!」
倉重海斗「べ、別の女?誰の事言って・・・」
倉重海斗「・・・!!もしかして・・・!?」
〇学校の屋上
雨宮聖奈「はぁ・・・はぁ・・・倉重君があんな人だなんて知らなかった・・・今までそんな素振り無かったのに・・・」
倉重海斗「あぁ!やっと追い付いた!」
雨宮聖奈「あら倉重君・・・何?可愛い彼女連れて来て、私に自慢したい訳?」
倉重海斗「先輩!落ち着いて、俺の話を聞いて下さい!」
雨宮聖奈「この期に及んで言い訳?私の事馬鹿にするのがそんなに楽しい訳!?」
倉重海斗「お願いです!話を聞いて下さい!この娘は俺の義妹なんです!!」
雨宮聖奈「え!?い、妹さん・・・!?」
倉重舞香「そうなんです先輩!私達似てないって良く言われますが、お互いの親が再婚して、私達は義理の兄妹なんです!」
倉重舞香「だから、お義兄ちゃんを責めないで上げて下さい!」
雨宮聖奈「ぎ・・・義理の兄妹・・・!?」
倉重海斗「・・・!先輩!大丈夫ですか!?」
雨宮聖奈「あ、あは、あはははは・・・何してんのよ私、勝手に勘違いして、勝手に舞い上がって、本当馬鹿見たい・・・!!」
倉重海斗「先輩・・・」
雨宮聖奈「倉重君、勝手な解釈して御免ね。兄妹だって言うなら、もっと早く話してよ」
倉重海斗「御免なさい・・・確かに、もっと早く言えば良かった」
雨宮聖奈「ねぇ、さっき図書室に居たでしょ?何してたの?」
倉重舞香「あぁ、さっきお義兄ちゃんに勉強教えて貰ってたんです」
雨宮聖奈「そうだったんだ。勝手な解釈するなんて、私もまだまだ子供ね」
倉重海斗「はい。俺達は義理だけど、本物の家族だって事は間違い無いです」
倉重舞香「只の家族じゃ無いですよ!私達、結婚の約束もしてますから!」
雨宮聖奈「け、結婚!?」
倉重海斗「ま、舞香!お前何言ってるんだ!?」
倉重舞香「何って・・・お義兄ちゃんの好きな人ってこの人でしょ?なら、今の内に宣戦布告して置こうと思って」
倉重海斗「しなくて良いし、そんな約束した覚え無い!!」
雨宮聖奈「あ、あの義妹さん・・・確認なんだけど・・・貴方達は家族よね?今の本気で言ってるの・・・?」
倉重舞香「はい、本気です。そもそも血の繋がりは無いし、義兄妹なら結婚出来るって先輩も知ってますよね?」
雨宮聖奈「そりゃ知ってるけど・・・倉重君の気持ちはちゃんと聞いた?」
倉重舞香「ちゃんと聞きました。その上で今アタックしてる所です」
雨宮聖奈「倉重君・・・この娘なんかヤバいんじゃ無い?」
倉重海斗「い、いやぁ、最近こいつがブラコンだって事、俺も知ったばかりで・・・」
倉重海斗「昨日も婚姻届書かされそうに成った物で・・・」
雨宮聖奈「な、何て恐ろしい行動力・・・」
倉重舞香「幾らお義兄ちゃんが好きな人でも、お義兄ちゃんが他の女とくっつくのは私嫌なんで、出来たら近付かないで貰えます?」
倉重海斗「舞香!何て事言ってんだ!」
雨宮聖奈「分かったわ。これは私に対する挑戦状として受け取るわ。私が貴方のお義兄さんに相応しく成れば、私の勝ちって事で良いかしら?」
倉重舞香「別に構いませんが、お義兄ちゃんにくっつく悪い虫は私が退治しますね」
倉重海斗「あの、二人共落ち着いて・・・話がややこしく成ってる・・・」
折角誤解が解けたと思ったら、舞香の発言でとんでも無い展開に成ってしまった。告白して振られただけで、
何だか慌ただしい事に成ってしまった。
展開が凄いですね・・・
妹は隠すのではなく、素直に真相を教えていますし・・・
そのお陰か先輩はバトミントンよりも倉重との恋愛を優先する事を決めていますしww
というより妹の行動力!
凄すぎるでしょww
先輩はこれに対抗するってわけですよね・・・
更に凄い事になりそうですね!