第十二話 面接番号四番 男の娘 峰太喜 & 五番 ボクっ娘 佐藤恋心 その3(脚本)
〇女の子の部屋
宮坂皐「では、面接を開始しましょうか!!」
雪根サトシ「宮坂さん・・・・・・」
雪根サトシ「なんで、ハートの家まで」
宮坂皐「いえ、先ほど、お二人がお家に入っていくのが見えまして」
宮坂皐「どうしようかなと悩んでいたときに、ちょうどお母様がいらっしゃったので、」
宮坂皐「お声がけして中に入らせてもらいました」
雪根サトシ「普通に、チャイム押せばよかっただろ・・・・・・」
宮坂皐「それでは、雪根さんは入れてくれませんよね」
雪根サトシ「さ、さぁ・・・・・・」
佐藤恋心「ねぇ、E君、この人さぁ、さっきの公園にいた人だよねぇ」
雪根サトシ「あぁ」
宮坂皐「宮坂皐と申します」
佐藤恋心「うーん、どっかで見たことあるような」
雪根サトシ「学校同じだぞ」
佐藤恋心「え?」
雪根サトシ「俺のクラスだ」
佐藤恋心「あ──」
佐藤恋心「言われてみれば、確かに」
佐藤恋心「いた気もする・・・・・・」
佐藤恋心「影が薄くて気づかなかったよ」
宮坂皐「はぁ???」
宮坂皐「”絶対に落としてあげるので”是非、彼女面接を開始しましょう」
始まる前から落とすの確定って・・・・・・
佐藤恋心「面接なんて、僕しないよ!」
佐藤恋心「なんで、そんなことまでして、E君の彼女にならなくちゃいけないのよ」
雪根サトシ「え?」
雪根サトシ「嫌なの?」
佐藤恋心「ぎゃ、逆に、なりたい人なんているの??」
雪根サトシ「・・・・・・」
宮坂皐「えぇ、いますよ」
宮坂皐「雪根サトシの彼女面接は超高倍率です」
まぁ、そりゃ彼女は一人だからな、基本的には
宮坂皐「それに、あなたもその一人なのではないですか?」
佐藤恋心「はぁ??」
宮坂皐「とぼけないでくださいよ」
宮坂皐「彼を連れ込んでるじゃないですか」
佐藤恋心「いや・・・・・・別に・・・・・・」
佐藤恋心「そういうわけじゃ・・・・・・」
宮坂皐「はぁ・・・・・・」
宮坂皐「ということで、今回はもう一人呼んで」
宮坂皐「二人が面接受験者となります」
雪根サトシ「え?」
雪根サトシ「まじでやるの??」
宮坂皐「えぇ」
雪根サトシ「さっきもやったじゃん」
宮坂皐「いいじゃないですか」
宮坂皐「楽しいでしょ」
雪根サトシ「胃が痛いんだが・・・・・・」
宮坂皐「ということで、お入りください!」
峰太喜「失礼します!!」
雪根サトシ「え・・・・・・」
宮坂皐「面接番号とお名前を教えてください」
峰太喜「面接番号4番、峰太喜(みねたいき)です!」
峰太喜「サトシ!よろしく!!」
峰太喜「いやさぁ、佐藤さんのお母さんめっちゃ美人だな!」
佐藤恋心「そ、そうだね・・・・・・」
ハートも、いきなりの来訪者(二人目)の登場で逡巡しているようだ
雪根サトシ「え??何やってんの?お前」
彼は、俺のクラスメイトで友達だ
”彼は”だ。
”彼”
そう、つまりは
男だってことだ。
いや、”男の娘”という表現が似合うかもな
峰太喜「そ・・・・・・そんなの決まってるだろ」
峰太喜「今回の面接で、彼女に立候補したからだよ」
峰太喜「お前の」
雪根サトシ「はぁぁ???」
雪根サトシ「嘘・・・・・・だろ」
峰太喜「わ、悪かったな!!ホモで!!」
雪根サトシ「え?マジで?」
峰太喜「マジだよ」
雪根サトシ「・・・・・・」
峰太喜「サトシ・・・・・・」
峰太喜「俺じゃ、ダメか??」
雪根サトシ「ダメェェェェェェ」
峰太喜「でもさぁ、今の世の中そういうのもアリだと思うんだよ」
雪根サトシ「まぁ、確かにアリだとは思うが」
雪根サトシ「俺はそっち系じゃない」
峰太喜「え?お前・・・・・・ホモじゃないのか?」
雪根サトシ「ちげーよ!」
佐藤恋心「え?」
佐藤恋心「E君ホモだったの??」
雪根サトシ「ちげーよ!!」
宮坂皐「はい、ということで、ハートさんは面接番号5番です!!」
佐藤恋心「えぇ??」
佐藤恋心「勝手に進めないでよ!!」
宮坂皐「いいえ、勝手に進めます」
宮坂皐「ということで、峰さんが雪根サトシに惚れた理由を教えてください」
峰太喜「まぁ、顔だな」
雪根サトシ「・・・・・・」
なんだろう、男友達からこんなことを言われる、この気持ち・・・・・・
めっちゃしんどい
いや、まぁ、別に悪いことではないんだけどさぁ
しかも、顔って
雪根サトシ「あとさぁ」
雪根サトシ「なんで、水着なんだよ」
雪根サトシ「しかも、女モンの」
峰太喜「いや、小田浜さんが言ってたから」
雪根サトシ「なるほどねぇ・・・・・・」
宮坂皐「汚駄浜さんより似合ってますよ」
峰太喜「ホントか??」
宮坂皐「えぇ」
峰太喜「はぁ・・・・・・」
峰太喜「うれし!」
宮坂皐「では、ハートさんは、どうですか??」
佐藤恋心「え??」
宮坂皐「雪根サトシさんのどこが好きですか??」
佐藤恋心「い、いや、僕別に・・・・・・」
ハートママ「ハートちゃん!!頑張って!!」
佐藤恋心「えぇ??ママ??」
ハートママ「大好きなサトシ君にしっかり”好き”って言うのよ!!」
佐藤恋心「やめてよ!!!」
ハートママ「ハートちゃんは、保育園児のときから、サトシくんのこと大好きだもんね!!!」
佐藤恋心「ちょっと、黙ってて!!!」
宮坂皐「はい、ということで」
宮坂皐「今回は、ハートさんのお母様が面接の見届け人として来てくださっています!!」
佐藤恋心「むにゅぅぅぅぅ」
佐藤恋心「なんで、こんなことに・・・・・・」
ハートママ「ハートちゃん!!頑張って!!」
佐藤恋心「だから、やめてよ!!」
宮坂皐「では、ハートさん」
宮坂皐「雪根サトシさんのどこが好きですか??」
佐藤恋心「なんで・・・・・・そんなこと言わなきゃいけないの・・・・・・」
ハートママ「それはねぇ、」
ハートママ「ハートちゃんが、保育園でケガしちゃったとき、サトシ君が優しく介抱してくれたからだよね!!」
佐藤恋心「ママ、もう喋らないで!!」
ハートママ「いいえ、喋ります!!」
ハートママ「ママ、ハートちゃんを絶対にサトシ君の彼女にしてあげるから!!」
ハートママ「任せなさい!!」
佐藤恋心「も──」
佐藤恋心「ホント、辞めて!!」
佐藤恋心「ていうか、なんで、今日はこんなに速く帰ってきたの?」
佐藤恋心「もっと、時間かかるって言ってたじゃん」
ハートママ「いやぁ、向かってる途中で、ママ友から連絡が来て」
ハートママ「熱出ちゃったから、やっぱりやめとくだって」
ハートママ「なので、すぐに帰ってきました」
佐藤恋心「はぁ・・・・・・」
佐藤恋心「なんで、それで、すぐに帰ってきちゃうかな・・・・・・ついでにどっかによってこればよかったのに・・・・・・」
ハートママ「えぇ??」
ハートママ「そんなにサトシくんと二人きりがよかったの??」
ハートママ「楽しい、楽しい、二人だけの時間を、じゃましちゃって」
ハートママ「ごめんなさいねぇ」
佐藤恋心「べ、別にそんなんじゃ・・・・・・」
宮坂皐「はい、ということで、次の質問に行きますね!」
宮坂皐「お二人が、もし雪根サトシと付き合ったとき、どのように貢献できますか?」
峰太喜「そうだな」
峰太喜「一緒に服を着替えることができるな」
雪根サトシ「それ、付き合わなくてもできるだろ・・・・・・」
峰太喜「でも」
峰太喜「恥ずかしい・・・・・・」
なんなんだよ、こいつ
宮坂皐「では、ハートさんは?」
佐藤恋心「えぇ!?」
ハートママ「ママが何でもやってあげます!!」
ハートママ「サトシ君に!」
佐藤恋心「それ、僕の貢献じゃなくない??」
ハートママ「いいえ!!ハートちゃんは居てくれるだけでいいのです」
ハートママ「それが一番の貢献です!!」
佐藤恋心「・・・・・・」
佐藤恋心「もう、しんどい」
宮坂皐「では、最後に自分のことを一言で表してください!!」
峰太喜「ホモ」
即答だったな・・・・・・
佐藤恋心「えぇ!?」
ハートママ「うーん、」
ハートママ「なにがいいかしらねぇ」
ハートママ「うーん」
ハートママ「一途?ですかね」
佐藤恋心「ママ!!ホントに黙っててよ!」
宮坂皐「なるほど、」
宮坂皐「今回は素晴らしい面接でしたね!」
宮坂皐「では、結果をご報告します!」
宮坂皐「今回は」
宮坂皐「どちらも”不合格”ということで!!」
ハートママ「そ、そんなぁ」
峰太喜「嘘・・・・・・だろ」
佐藤恋心「なに、この茶番・・・・・・」
宮坂皐「峰さんの不合格理由としては」
宮坂皐「水着を着てきたことが気に食わなかったからです!」
峰太喜「なんで・・・・・・」
峰太喜「さっき、似合ってるって言ったじゃん」
宮坂皐「いえ、でも」
宮坂皐「汚駄浜さんが気に食わないんで」
峰太喜「え・・・・・・」
宮坂皐「そして、ハートさんは」
宮坂皐「意欲が感じられなかったので」
宮坂皐「不合格です」
佐藤恋心「だ、だから」
佐藤恋心「別に意欲なんて・・・・・・」
はぁ・・・・・・
宮坂皐「ということで」
宮坂皐「雪根サトシは、私がもらっていきますね!!」
峰太喜「え??」
佐藤恋心「はぁぁ!?」
雪根サトシ「え・・・・・・」