Xヒーロー

語り部

第14話 異母師弟(脚本)

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〇大聖堂
  2021年 北海道 千歳市 大隈町カトリック教会
イヴァン司教「お前達『告解文書』を奪い、神の道理に背く愚か者共に裁きを与えよ」
  イヴァン司教の号令と共に数人いた教徒達は魔法陣を手にかざし、斎王達に近寄り始める
  しかしエンチャントはそれに屈せずイヴァン司教に怒鳴りつける
エンチャント魔導法士「この異端者が!主の声を聞き我らの声を届ける神聖な教会を」
エンチャント魔導法士「くだらん争いで流れた血で汚す気か!!?」
イヴァン司教「そう思うなら告解文書を渡してください、私達はそれを灰にできればそれでいいんですから」
エンチャント魔導法士「聖パウロの福音書の22節!覚えがいいお前なら言えるだろ、言ってみろ!!」
イヴァン司教「···『汝異教を恐れてはいけない、異教も等しく救われるべき命である』」
エンチャント魔導法士「カトリックが宗教弾圧をやめた際できた経典だ、異教もまた信じる物がありそれを尊重しろと言う意味だ」
エンチャント魔導法士「お前···ロシア正教で本当に何を習ってきた?誰がそそのかした?」
  エンチャントが説得を試みるもイヴァン司教は彼を真っ直ぐ見つめ、教徒達に攻撃するよう命じる
斎王幽羅「うまく言えないけど···多分あの人も被害者なんだよね?まず···こいつら片付けようよ」
エンチャント魔導法士「わかっとる!ちっ···明日は筋肉痛かもしれん···」
  エンチャントがそう言うと教徒達は魔法陣から鞭を出現させエンチャントを捉える
  斎王はエンチャントを助けようとするも、エンチャントはそれを止め斎王に潜るよう伝える
  教徒達は勝ち誇った様子にやにやと笑っていたが、同じようにエンチャントも笑っていた
エンチャント魔導法士「よくまぁ···こんな古臭い魔術でどうにかできると思ったなお前ら」
ロシア正教 教徒「お前はそんな古臭い魔術で拘束されているのが分からないのか?ついに痴呆か~?」
エンチャント魔導法士「バカだなお前ら『戦車を取り囲む原始人』を見て、どちらが不利かなんてわかるだろ?」
  突如エンチャントを拘束していた鞭が発火し、瞬く間に教徒達に燃え移る。
  教徒達は必死に水の魔術を使い消そうとするもその隙をついて、地面から斎王が現れ飛びかかろうとする
  瞬間エンチャントは斎王に魔術を掛け斎王が2人に分裂、同時に2人を地面に埋め込み斎王は地面から上半身のみを出す
斎王幽羅「すごいねエンチャントさん、2人同時に引きずり込めたの初めてだよ」
エンチャント魔導法士「隣見てみろ斎王」
斎王幽羅「うわぁぁぁぁあああ!!俺がいるぅぅぅうう!!?」
エンチャント魔導法士「あっはっはっは!複製魔術だ、お前の見てるのはただの鏡に映った自分だから安心しろ!」
ロシア正教 教徒「クソっ···バカにしやがって···!一体どんな魔術を使って燃やした!?」
エンチャント魔導法士「まーだ気づかんか、 お前達がワシを引っ張ってワシはそれに抵抗した」
エンチャント魔導法士「自ずと生じる『摩擦』を魔術によって増幅、発火させたって訳だ」
ロシア正教 教徒「ふざけんな!じゃあなんでお前は燃えてないんだよ!!」
エンチャント魔導法士「そこがワシとお前らとの違いだ、うまい具合に防炎する方法があるんだよ」
エンチャント魔導法士「試しにお前らを燃やしてやろうか?」
  ヘラヘラしながらエンチャントが言うと、教徒達は分が悪いと思ったのか
  魔法陣から剣を作り出しエンチャントににじり寄る
エンチャント魔導法士「全く···魔術で勝てないと分かれば実力行使か、まだまだガキだな」
斎王幽羅「この数だと流石にキツいよ、どうするの?」
エンチャント魔導法士「斎王、地面が盛り上がるから直ぐ潜れ。いいな?」
斎王幽羅「分かった、タイミングは合わせるよ」
  エンチャントの言う通り地面が盛り上がりそこから現れたのは
ロシア正教 教徒「この何も無い環境からゴーレムを作り出しただと!?どうなってんだ!!?」
  ゴーレムの攻撃と共に中に潜り込んでいた斎王が教徒達を翻弄しながら地面とゴーレムに埋め込む
  エンチャントの複製魔術もあってかあっという間にエンチャントと斎王は教徒達を戦闘不能にしていった
斎王幽羅(ゴーレムの攻撃のタイミングと俺が出てくるタイミングがピッタリだ。すごいな、エンチャントさん)
斎王幽羅(キングと鸞との連携でもここまでうまく繋ぎ合わせられる事は早々ない)
斎王幽羅(半信半疑だけどこれでわかった、この人は本当にあの一騎当千の『三代目の時代』を生きた人なんだ)
エンチャント魔導法士「さて、後はお前だけだなアズリエル魔導審士。あ、今はイヴァン司教だったか?」
イヴァン司教「そのようですね、私と戦いますか?エンチャントさん」
  一触即発の空気が流れ、斎王も構える。ふと斎王は2人の顔を見ると
  2人は『笑っていた』。とてもこれから殺し合いをする者の表情では無い、まるで『遊び感覚』なのだと
  それを感じた瞬間、突如斎王とエンチャントは天井に引っ張られ激突をする。
  驚いているのも束の間、イヴァンは魔法陣から鞭を召喚し告解文書に向け鞭を放つ
  エンチャントはこの状況に慣れているのか、魔法陣の盾を作り出し鞭を防御しイヴァンに話しかける
エンチャント魔導法士「お前はまだ懲りずに『空間魔術』を使っとるのか!お前は才能があるから他の魔術もやれと言っただろ!」
イヴァン司教「苦手を克服するより自らの特技を伸ばせと仰ったのは貴方でしょう!」
イヴァン司教「それに貴方の言った通り、全ての魔術は基礎部分でのみ繋がっている。それをお見せしましょう!」
  エンチャントの周りに瞬時に大量の魔法陣が現れ、魔法陣から先程と同様に鞭が出現し襲いかかる。
  エンチャントはそれらを捌き切ろうとするも、あっという間に無数の鞭に捕縛され告解文書を奪われてしまう
イヴァン司教「確かに頂きました、それではまたどこかでお会いしましょうエンチャント魔導法士」
斎王幽羅「行かせて···たまるか···!!」
  斎王が飛び出そうとした瞬間、エンチャントはゴーレムから石柱を作り出し斎王は一気にイヴァンに迫る
  斎王がゴーレムから飛び出し手を伸ばしあと僅かの所で斎王は地面に急速に落下し、めり込む程に重力がかかる
イヴァン司教「どこかで見たと思いましたが···灰色の悪魔『斎王幽羅』ですね?」
イヴァン司教「貴方のお母様、残念でしたね。確かこんな風に死んでいったのでしたっけ?」
  イヴァンはそう言うと斎王を仰向けにし腹部を何度も殴りつける
斎王幽羅「ぐぁぁぁああ!くっ···うああぁぁぁっ!」
イヴァン司教「おやおや可哀想に。貴方のお母様もこうやって腹を殴られ首を絞められレイプされて死んでいったのでしょう?」
イヴァン司教「『銀の夢』と恐れられたんでしたっけ?最後に見た夢は女として無様な最後でしたね」
  斎王は魔術による超重力を加えられた攻撃を何度も受けながら、それでもイヴァンを睨みつけていた
  そして斎王の顔に血管がひとつ、またひとつと浮かび上がるにつれ『変化』が始まる
エンチャント魔導法士「あいつ···『姿が揺らいでいる』···?」
  しかしここで警察のサイレンが鳴り、イヴァンは魔術を解き教会を出ようとする
  イヴァンは去り際にエンチャントに向けこう言葉を残して行った
イヴァン司教「рождение короля близко(王の誕生は近い)」
  エンチャントはそれの真意を聞こうとするもサイレンの音が大きくなるのを感じ
  ステンドグラスを狼に作り替え斎王と共にキング達の元へ戻る。

〇古めかしい和室
  北海道 千歳市 大隈町内 とある一軒家
エンチャント魔導法士「おい!鸞今すぐ斎王を治すの手伝え!」
鸞「わかった、だがひとまず何があったか説明してもらうぞエンチャント」
  鸞とエンチャントと共に斎王を治す間、エンチャントは皆に事の経緯を伝えた
キング「イヴァンって野郎許せねえ···斎王の母ちゃん関係ねぇじゃねえか···!」
フェード「そいつやけに死因に詳しいな、斎王の母親を殺したヤツじゃないのか···?」
エンチャント魔導法士「雪月雪羅が死んだ日現場に残っていたのは『塵と雪と氷』だけだったと聞いている」
エンチャント魔導法士「この3つは斎王勇次郎、雪月頼、鬼月冷羅の3人の覚醒能力だと後にわかってる」
エンチャント魔導法士「あの日の事件を実行した20人は全員さっき言った3人に能力で『殺されている』」
エンチャント魔導法士「事件の詳細はあくまで警察側の憶測でしか発表されていないが···遺体から見て妥当に考えれば誰でも『そう思うぞ』」
凪園無頼「つーかさ、俺らもヤバいんだよね。だよね?鸞」
鸞「あぁ、言いそびれてすまないがエンチャント。お前達がいない間」
鸞「『紅色派』が付近を徘徊しているとカラスが教えてくれた、見つかるのも時間の問題だぞ?どうする」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第15話 二面迷走

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