バグ・ラング・スクランブル

穂橋吾郎

#4 記憶に潜って(脚本)

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〇スポーツクラブのプール
長江 宗太「か、金子!」
長江 宗太「おい、大丈夫か!」
金子 蘭「ぷはっ!」
長江 宗太「お前、4分は潜ってたぞ!」
金子 蘭「はぁはぁ・・・」
金子 蘭「アイムオッケー」
長江 宗太「・・・は?」

〇スポーツクラブのプール
金子 蘭「フリーダイビング」
金子 蘭「酸素ボンベもつけず、身一つでどこまで深く潜れるか競う」
金子 蘭「頭のおかしなマリンスポーツ」
長江 宗太「そっか。お前がいっつも「潜る」とか言ってたのはこのことか」
金子 蘭「まあ、バイトしなくちゃいけないから、ここ来られるのは週の半分くらいだけど」
長江 宗太「え、お前バイトしてんの!」
金子 蘭「じゃなきゃどっからお金出るのよ」
金子 蘭「親は私がダイビングやることに反対してるし」
金子 蘭「下手したら死ぬ可能性だってあるからね」
長江 宗太「なんでそこまでして、ダイビングなんかしたいんだよ」
金子 蘭「その質問、昨日も教師にされた」
金子 蘭「進路希望調査票に」
金子 蘭「フリーダイビングのためにヨーロッパの大学行きたいって書いたらね」
長江 宗太「ヨーロッパの大学!?」
金子 蘭「他にもいろいろ聞かれてめんどくさくなったから保健室で寝てたら」
金子 蘭「もっとめんどくさい事に巻き込まれた」
長江 宗太「お、俺のこと?」
金子 蘭「今もずっとめんどくさい」
長江 宗太「進路希望調査・・・」
長江 宗太「俺、なんて書いたっけ」
金子 蘭「テキトーに書いたから覚えてないんでしょ」
長江 宗太「うっ・・・」
金子 蘭「それじゃ、次、あんたの番」
金子 蘭「私が自分のこと話したんだから、あんたも話しなさいよ」
長江 宗太「別に、俺はそんな話すこと無いから・・・」
金子 蘭「私はフリーダイビングのこと、初めて学校の人に話した」
金子 蘭「だからあんたも何か初めてのことを話して」
長江 宗太「初めてのこと・・・」
金子 蘭「体冷えるから、なるべく手短に」
長江 宗太「・・・俺さ」
長江 宗太「小学生のころ絵本作家になりたかったんだよね」
「・・・へえ」

〇教室
  作家になりたいって言っても、子供の言うことだから
  実際は好き勝手に絵を描いてただけなんだけど
  同じクラスの裕也ってやつと一緒に
  架空の動物とか、オリジナルのキャラクターとか描いたりして
  どっちが上手いか競いあってた
宗太「それ、なんでカバに羽生えてんだよ!」
宗太「サイコーじゃん」
裕也「でしょ」
裕也「色も黄色にするんだ。そうすると可愛いでしょ」
宗太「ホントだ」
宗太「やっぱすごいな、裕也は」
裕也「宗太の犬もいいよ。可愛い」
  クラスの奴にも描いてあげたりしてさ
  その頃はあんまり友達もいなかったから
  絵を描くとみんなに構ってもらえるのが嬉しかった

〇教室
  でも高学年になると
  誰も俺らの描く絵になんか興味無くなって
  むしろ馬鹿にされるようになった
「なんだコレ、牛? 鳥? 気持ち悪っ~」
裕也「ちょ、返してよ!」
「グロいから全部捨てていいよね。キモすぎる」
裕也「やめて!」
裕也「それ、宗太からもらったやつ!」
「ねえねえ宗太、捨てたらダメ?」
宗太「えっ・・・」
「ねえ、ダメ?」
裕也「ダメに決まってる」
裕也「だって、一生懸命描いたものでしょ!」
宗太「お、俺は・・・」

〇スポーツクラブのプール
長江 宗太「俺は」
長江 宗太「自分の絵を、自分で破いた」
長江 宗太「それから、裕也の絵も」
長江 宗太「他の奴らと一緒になって破いた」
金子 蘭「そんな・・・なんで」
長江 宗太「そうしないと、いじめられる側になるって思ったんだよ」
長江 宗太「絵を捨てるか、いじめられるか」

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