バグ・ラング・スクランブル

穂橋吾郎

#3 スカスカ(脚本)

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〇商店街
綾香「$&‘@:+“&!」
長江 宗太「え、あ、そうだね!」
長江 宗太(やっぱ綾香も「文字化け」してるか・・・)
綾香「#$(@:?」
長江 宗太「あ、そこのカフェ?」
長江 宗太「いいね、行こう行こう♪」
長江 宗太(クソっ、最初に用事あるっつって帰ればよかった・・・)

〇シックなカフェ
綾香「‘&%@:G@*。・」
長江 宗太「うんー、そうだねー」
長江 宗太(いや、むしろ会えて好都合だったか)
長江 宗太(チャットで連絡来たらいよいよお手上げだった)
ウェイトレス「&#‘R;:@D」
綾香「#‘%24@:!」
長江 宗太「ど、どうも」
長江 宗太(とにかく、怪しまれる前に早く切り上げねえと)
綾香「$&‘(TGk、:。;*~」
長江 宗太「うん、そうだねー」
長江 宗太(いっそ綾香には打ち明けるか?)
長江 宗太(流石に協力してくれるんじゃ・・・)
綾香「@:DG>M3V*+」
長江 宗太「あー、分かるわー」
長江 宗太(でもこいつ、口軽いんだよな)
長江 宗太(下手に話すとすぐみんなに広まっちまう)
綾香「$%@:+><・」
長江 宗太「うんうんー」
長江 宗太(早くしねぇとボロが出る・・・)
綾香「#‘GKLW@;/」
長江 宗太「ホントにそうだよなー」
長江 宗太(・・・て、あれ?)
綾香「+?@*<&%」
長江 宗太「なるほどなー」
長江 宗太(なんか、全然問題無く会話できてる?)
綾香「$&#(@:<>DG!」
長江 宗太(ちょっ、テキトーに相槌打ってるだけなんだけど!?)

〇商店街
綾香「#‘$@:&!」
長江 宗太「ああ、うん。またね」
長江 宗太(問題無くやり過ごせちゃった)
長江 宗太(電話?)
長江 宗太(「文字化け」してて、誰だか分かんないけど・・・)
長江 宗太「もしもし?」
「%&$(#@:」
長江 宗太(この声・・・母さん!)
「#‘$@:><D?」
長江 宗太「あー、えっと・・・」
長江 宗太(この時間に電話が来るってことは、たぶん晩御飯いるかどうかの確認か?)
長江 宗太「晩飯ならいらない。外で食うから」
「K‘%#@:DE」
長江 宗太「ああ、はーい・・・」
長江 宗太(あっさり、終わった。何言ってるか分かんないのに)
長江 宗太(いや、親との会話なんてそんなもんだろ)
長江 宗太(でも、綾香との会話は・・・?)
長江 宗太(俺らってどんな会話してた?)
長江 宗太(あーそうだ。チャットも「文字化け」してるんだった)
長江 宗太(でも、ほとんどスタンプ送り合ってるだけか。中身ねぇなー)
長江 宗太(他の友達とのチャットも似たようなもんか・・・)
長江 宗太「・・・俺、みんなといっつもどんなこと話してたっけ?」

〇公園のベンチ
金子 蘭「ちょっと準備に時間掛かっちゃった」
金子 蘭「間に合うかな」
長江 宗太「か、金子!」
金子 蘭「うわっ、あんた、まだ居たの!」
長江 宗太「さっき用事あるって言ってたから、待ってれば駅前通るかと思って」
金子 蘭「・・・何、急いでるんだけど」
長江 宗太「そんな睨むなって。さっきは、悪かったよ」
長江 宗太「お前みたいになりたくないとか言っちゃって・・・」
長江 宗太「反省してる」
金子 蘭「どうでもいい。用件は?」
長江 宗太「あのさ、俺って・・・」
長江 宗太「どんな奴に見えてた?」
金子 蘭「はぁ?」
長江 宗太「さっき、彼女とカフェに行ったんだけどさ」
長江 宗太「何言ってるか全然分かんないのに、テキトーに相槌打ってるだけで」
長江 宗太「普通に会話が成立するんだよ」
金子 蘭「・・・ふーん」
長江 宗太「それで俺って」
長江 宗太「いっつもどんなこと話してたか思い出そうと思ったんだけど」
長江 宗太「全然思い出せなくて」
金子 蘭「・・・・・・」
長江 宗太「自分って、どんな奴だったっけなーって、ちょっと分かんなくなっちゃった・・・」
長江 宗太「みたいな」
長江 宗太「ははは」
金子 蘭「私は普段のあんたなんて、これっぽっちも気に掛けたこと無い」
長江 宗太「うっ、だよな・・・」
金子 蘭「でも、あんたみたいにスカスカの会話する奴らのことなら分かる」
長江 宗太「なっ、スカスカ・・・!」

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コメント

  • こんにちは
    読みやすくて、ひきがうまくて次々とサクサク読めます
    文字化して、会話の中身がすかすかだったことに気付くなんて

    水の中楽しみです✊

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