2 夏の大会(脚本)
〇会場の入り口
数カ月後、夏の大会当日。
倉重海斗「いよいよですね先輩」
雨宮聖奈「えぇ、緊張はするけど、今からが楽しみよ」
黒川唯斗「皆さんお早う御座います」
倉重海斗「お早う御座います」
雨宮聖奈「お早う御座います」
黒川唯斗「良し、皆揃ってるな。昨日も説明した通り、今大会はトーナメント方式だ。負けたらもう次は無い。一年と二年は来年が有るが、」
黒川唯斗「三年生はいよいよ最後だ。誰でも彼でも、全力を出して悔いの無い結果を出してくれ。これから会場に移動するから、」
黒川唯斗「更衣室で何時でも出れる様に準備しておけ」
雨宮聖奈「はい!」
期待と不安を胸に、俺達は会場へと足を運んだ。
〇野球場
倉重海斗「何時来ても広いな」
雨宮聖奈「えぇ、今日が終われば、私はもう来れないかもだけど」
倉重海斗「そう聞くとやっぱ淋しいですね」
雨宮聖奈「仕方が無いわよ。何時までも学生のままじゃ居られないし」
倉重海斗「そうですね。先輩、お互いベストを尽くしましょう」
雨宮聖奈「ふふ・・・貴方の言う通りね。悔い無くやってやるわ」
倉重海斗「先輩、俺も応援してます。大会が終わったら、話したい事有るんですけど、良いですか?」
雨宮聖奈「話したい事?良いわよ」
倉重海斗「本当ですか!?俺も頑張ります!」
黒川唯斗「おぉ、二人共此処に居たか。そろそろ時間だ。行くぞ」
雨宮聖奈「先生・・・分かりました!」
顧問の先生に呼ばれて、俺達は開会式に出た。トーナメント表が発表され、各々が気持ちを固めて試合へ赴く事に成った。
雨宮聖奈「倉重君、男子の部、頑張ってね」
倉重海斗「はい、先輩も負けないで」
俺達は各々の場所へと足を踏み入れ、いよいよ大会が始まった。
審判「これより、一回戦を開始する!出場選手はコートに着いて!」
モブ女子2「宜しくお願いします」
雨宮聖奈「宜しくお願いします」
倉重海斗「それ!!」
モブ男子「あぁ、しまった!!」
女性審判「ゲームセット!勝者、夏目高校、倉重海斗君!」
倉重海斗「良し!!」
雨宮聖奈「・・・・・・」
モブ女子2「あぁ!!」
審判「ゲームセット!勝者、夏目高校生、雨宮聖奈さん!」
雨宮聖奈「まだまだ油断出来ないわね・・・」
モブ女子2「悔しいけど、私の負けです」
雨宮聖奈「こちらこそ、有難う御座いました」
俺と先輩はそれぞれ一回戦を突破した。続く二回戦も何とか勝利を収めたが、三回戦で俺の方は、
倉重海斗「はぁ・・・はぁ・・・」
暗森誠一「せい!!」
倉重海斗「うわっ!!」
女性審判「ゲームセット!勝者、霧雨高校、暗森誠一君!」
倉重海斗「あぁ、此処までか・・・」
暗森誠一「どうも有難う。良い試合が出来たよ」
倉重海斗「・・・悔しかったけど、また何処かで勝負して下さい」
暗森誠一「あぁ、楽しみにしてる」
男子の部にて、俺は三回戦で負けてしまった。この後俺が試合に出る事は無いので、直ぐに先輩を応援しに行く事に。
倉重海斗「あの!先輩の状況は!?」
モブ女子「あ、倉重君!今女子の部は四回戦で、雨宮さんは接戦よ!」
倉重海斗「そうですか!先輩・・・!!」
雨宮聖奈「焦っちゃ駄目よ私!相手のペースに飲まれたらたら・・・!!」
芹沢茜「・・・・・・」
雨宮聖奈「あぁ!?」
審判「ゲームセット!勝者、紅女学院、芹沢茜さん!」
雨宮聖奈「・・・あ、有難う御座いました・・・」
芹沢茜「こちらこそ、どっちが勝つかヒヤヒヤしました!」
雨宮聖奈「・・・何時か・・・またやりましょう・・・」
倉重海斗「・・・!先輩・・・・・・」
雨宮先輩は四回戦で負けてしまった。どんなスポーツに置いても、上には上が居る。戻って来た先輩は他の女子生徒が
慰めに入り、俺が出る幕は無かった。その後、大会は何事も無く終わった。
〇会場の入り口
黒川唯斗「今回は優勝こそ出来なかったが、俺には皆の練習の成果が確り出てた様に見えた。この敗北を糧に、今後も精進してくれよ」
倉重海斗「はい・・・」
雨宮聖奈「有難う御座います・・・」
黒川唯斗「スケジュールは全て終わった。今日は解散。各自、成る可く早く家に帰るんだぞ」
雨宮聖奈「私の大会、終わっちゃったな・・・」
倉重海斗「先輩・・・先輩は頑張りましたよ・・・!!」
雨宮聖奈「そう言ってくれるだけでも嬉しいわ。でも暫くは何とも言えない」
倉重海斗「先輩」
雨宮聖奈「と言いたい所だけど、何時までもウジウジしてられないわよね。努力は辞めたら負けだし。また頑張れば良いよね!」
倉重海斗「そうですよ!ウジウジしたって何も成りません!」
雨宮聖奈「心配掛けて御免ね。ねぇ倉重君、朝方に言ってた話したい事って?」
倉重海斗「あ!忘れてた!先輩、此処じゃ難ですから、場所を変えませんか?」
雨宮聖奈「えぇ、構わないわ」
〇通学路
雨宮聖奈「それで倉重君、話したい事って?」
倉重海斗「はい。ずっと前から、考えてたんですけどね。俺が先輩に憧れてバトミントン始めたのは前に話しましたよね」
雨宮聖奈「えぇ、覚えてるわ」
倉重海斗「先輩がラケットを真剣に振る姿は何時見てもカッコいいし、俺も何時かあんな風に成りたい。だから何時も先輩の事見てました」
倉重海斗「これまでずっと先輩の事を尊敬してましたし、それはこれからも変わりません。先輩・・・」
倉重海斗「俺と付き合って下さい!」
雨宮聖奈「・・・・・・」
雨宮聖奈「そっか。私の事そんな風に思っててくれたんだ」
雨宮聖奈「でもその上でご免なさい。私今、誰かと付き合うつもりは無いの」
倉重海斗「先輩・・・」
雨宮聖奈「大会で負けて悔しいって気持ちは有るけど、それでも私、バトミントンを辞めるつもりは何処にも無いの。自分の進路を決めたら」
雨宮聖奈「絶対復帰して見せる。私はバトミントンを諦めたく無いの」
倉重海斗「・・・・・・」
雨宮聖奈「御免、勇気出して告白してくれたのに、私身勝手だよね!?」
倉重海斗「良いんです。振られる覚悟はして来たつもりですし、そもそも、これから忙しく成るのにそんな事する俺の方が身勝手でしたし」
雨宮聖奈「倉重君、振った事は悪いと思うわ!でも、私にもやらせて欲しいの!そこだけはどうしても分かって!」
倉重海斗「大丈夫です。俺寧ろ嬉しいんです。付き合えないのは残念ですが、俺の我儘で先輩の邪魔したら良く無いし、どうせ付き合うなら、」
倉重海斗「ありのままの先輩と付き合いたい。だから大丈夫です」
雨宮聖奈「倉重君・・・」
倉重海斗「先輩、有難う御座いました。俺、バトミントン辞めるつもり無いですから。これから進路で忙しく成ると思いますが、」
倉重海斗「一つお願いです。先輩が卒業間近に成ったら、俺と試合して下さい。それまでに腕を上げて来ます」
雨宮聖奈「倉重君・・・分かったわ。私は待ってるわ」
倉重海斗「はい!」
玉砕覚悟で挑んだ告白は見事に失敗に終わった。先輩は今日でバトミントン部を引退。俺はまだ残る事を選び、何時か先輩と
試合する約束をして、次へと進むのだった。だけど俺は知らなかった。これから、今よりもっと面倒な事に巻き込まれる事を。
男子の部で主人公に勝った相手選手・・・
霧雨高校で名字が暗森
思い込みなら申し訳ありませんが、明らかに自分を意識していますね。
名前を使って頂きありがとうございます!夏目心さん!
自分はバトミントンではなく剣道二段ですけど。
まあ自分の事はさておき二人とも勝てなかったのですか
勝負は強いものが勝つのではなく勝った者が強いと言いますからね。
主人公の告白は夢の為に断られましたがこの後が気になります