オネおじと俺の華麗なる日常

純鈍

ある日『後輩くん』(脚本)

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〇高層ビル群
  とある平日、俺は高校からの帰りに”奴”を見つけた。
  一緒に住んでいるオネおじ、あつ子(本名 敦彦)である。
  営業から帰って来て、大好きな後輩と職場の外で休憩しているようだ。
  俺はアイスを買ってもらうために観察しながら策を考えたいと思う。
あつ子「やだ、イケメン・・・・・・」
後輩「なんですか? 先輩、何か言いました?」
あつ子「いや、何も言ってない」
やこ「あつ子」
あつ子「やこ! やだ、どうしてここに? 来たら駄目だって言ったで──」
後輩「先輩?」
あつ子「だろう?」
やこ(なんだ、このオネおじ、喉にボイスチェンジャーでも仕込んでんのか?)
やこ(後輩から声掛けられた瞬間に声のトーン下がったぞ?)
やこ(あと「言ったでだろう?」ってなんだ?)
やこ「アイス買ってもらおうと思って・・・」
やこ「つか、やこじゃくて靖彦だっての」
あつ子「・・・・・・」
やこ(無視かよ)
やこ(ちょっと揶揄ってやろ)
後輩「先輩、弟さんですか?」
やこ「いや、息子です」
やこ(見よ、あつ子、この意地の悪い俺の顔を)
後輩「あ、こんなに大きなお子さんがいたんですね」
  イケメン、戸惑いの色が隠せない。それもそのはず、オネおじも俺のおじさんなだけであって、まだ三十代なのだ。
あつ子「え、あ、いや」
やこ(オネおじよ、何故、イケメンと同じように戸惑っている? ただの親戚と言えば良いだろうに!)
やこ(俺はアイスのため、上げて落とす戦法に移らせてもらうぞ)
やこ「冗談です、親戚のお兄さんです」
あつ子(あんた、良い子に育ったじゃないのよぉぉぉぉぉぉおおお!)
あつ子「そう、うん、そう」
後輩「あー、そうだよね、はははは」
あつ子「お前、もう帰るだろう? 退勤処理してきてやるから、ここでちょっとコイツと待っててくれないか?」
あつ子「分かってるわよね? ちゃんとアタシのこと良い人アピールしとくのよ?」
やこ「はいはい」
後輩「高校生を一人にするのも危ないですもんね? 分かりました」
やこ(いや、可愛い女子高生じゃねぇんだから、いつも一人で帰ってるっての)
やこ(ちょっと天然が入っているのか?  先輩の思惑に気付けよ、イケメン)
あつ子「じゃあ、宜しく」
やこ(目がマジだったな、あの人)
やこ「うちのおじとは長いんですか?」
後輩「いや、まだ二ヶ月くらいかな」
やこ「尊敬出来るところあります? うちだとちょっと抜けてるところがあるっていうか・・・」
  敢えて、こちらが否定的なことを言うことによって、相手に肯定的なことを言わせようという作戦である。
  ちなみに、オネおじに抜け目など無い。
後輩「うーん」
  後輩が悩んでいると何やら彼のスマホがピロンと鳴った。仕事のことかもしれないと思ったのだろう、徐にそれを確認し出す。
後輩「尊敬出来る点というか、肌が凄く綺麗だよね」
やこ「ほんとですか? 叔父が喜びます」
やこ(もらった! なんか違和感はあるが、これで今日の俺のアイスは確実のものとなった!)
やこ(やってやったぞ! 情報を手に入れた! 見よ、あつ子、これが俺の真のちか・・・・・・)
後輩「あ、でも・・・・・・」
やこ「え?」
後輩「って、君に言えって先輩から今言われたんだよね。絶対調子に乗るからって」
やこ(クソがぁぁぁぁああああ! 仕込んでやがったなぁぁああ!?)
やこ(スマホで密告文書送ってんじゃねぇよ! 後輩に何言わせてんだ!  お前のために聞いてやってんだろうがぁあぁあああ!)
  (※アイスのためである)
後輩「先輩って、あんなに優しいのに、ちょっと意地悪なんだなあ・・・・・・」
やこ(嬉しそうに笑って、ちょっと脈ありじゃねぇかぁぁぁあああああ!)
  この後、イケメンな後輩にアイスを買ってもらった。あつ子に食われた。
  全世界の俺が泣いた。

次のエピソード:ある日『ブーケトス』

コメント

  • この会話の空気感、楽しいですね!
    会話の中に隠し事が入ることにより、その内容やらキャラの様子やらがブレッブレになっていてww

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