慈愛(脚本)
〇ホテルの部屋
さくら「今日は出掛けないの?」
聖人「どこか行きたい所でもあったかな?」
さくら「久しぶりに海に行きたい!」
さくら「せっかく朝から目が覚めたんだから 今から行こう!」
聖人「しょうがないなぁ。 じゃ、行くか」
〇海辺
さくら「朝のうちに来てよかったわね」
聖人「あぁ。 ほとんど誰もいないから、静かだ」
さくら「あ!」
さくら「遠くの方にヨットが見えるよ!!」
聖人「なかなか見ない光景だな」
さくら「朝から来てよかったでしょ?」
聖人「確かに、良い提案でした」
聖人(何気ないことも、 彼女といられたら幸せだな)
〇海岸線の道路
さくら「道路の向こうに自販機があるから」
さくら「私、聖人のぶんも一緒に買って来る!!」
聖人「じゃ、頼んだ」
あまりにも
いつもの穏やかな日だったから
油断をしていたんだ──
聖人「さくら危ない!!」
さくら「え────────」
聖人「さくら!!」
さくら「う・・・」
聖人「お、おい! さくら!!」
さくら「だ、大丈・・・夫・・・」
聖人「血が・・・」
聖人「おい!! しっかりしろ!!」
聖人「さくら!!」
聖人「頼む!!──目を開けてくれ!!」
聖人「頼むから・・・」
聖人「さくら──」
「まだ、間に合いますよ」
聖人「え?」
黒猫「これからも、彼女に添い遂げられるのなら」
聖人「猫が喋ってる!?」
聖人「これ、は・・・夢なのか?」
聖人「さくらが事故に遭ったのも・・・」
黒猫「いいえ、これは夢ではありません」
黒猫「ぼくは魔法の生きた、 アンティークショップの住人です」
黒猫「あなたの心の叫びを聞きつけて やって参りました」
黒猫「あなたの心しだいで、彼女は助かります」
聖人「・・・・・・・・・」
黒猫「今、ぼくがしているネックレスは、 永遠の契りを交わすもの」
黒猫「これを、今すぐあなたと彼女が 見につければ、彼女は助かりますよ」
黒猫「だだし、あなたの寿命が 半分になります──」
聖人「それで、本当にさくらは助かるのかい?」
黒猫「それは間違いありません」
聖人「わかった。 それを俺にくれるかい?」
黒猫「彼女に寿命を半分、 分け与えることになります」
黒猫「本当に、それでもいいですね?」
聖人「ああ、それでいい」
黒猫「では・・・」
聖人(さっきまで誰もいなかったのに、 いつの間にか、人だかりが出来てる・・・)
さくら「ん・・・」
聖人「さくら?」
さくら「もう、大丈夫よ・・・」
聖人「よかった・・・よかった!!」
救急隊員「救急隊員です。 女性に意識はありますか!?」
聖人「先ほど意識を取り戻しました!」
救急隊員「では、担架で運びますので、 離れてください」
〇宝石店
黒猫「間に合ってよかった」
黒猫「今回は成功だね」
魔女「機嫌が良さそうね」
魔女「上手くいったなら、よかったわ」
魔女「引き続き、店番を頼んだわよ」
不安しかないですね。彼女がこの後浮気をする、もしくは二股進行中の匂いがしそうな雰囲気でした。猫が成功した、と喜んでるので素直に喜んでいいのかな…。ドキドキです。
前話のこともあり、黒猫さん登場後に果たしてハッピーエンドになるのかドキドキしながら読んでしまいました!安心感も加わり気持ち良い読後感です!