第十一話 面接番号四番 男の娘 峰太喜 & 五番 ボクっ娘 佐藤恋心 その2(脚本)
〇一軒家
佐藤恋心「さぁ、入ろっか・・・・・・」
雪根サトシ「マジで入るの??」
佐藤恋心「はぁ?」
佐藤恋心「ここまで来て入らないとか・・・・・・」
佐藤恋心「ヘタレにも程があるよ」
佐藤恋心「E判定って勉強面だけじゃなくて」
佐藤恋心「人間としてもE判定なんだね」
雪根サトシ「う~む」
雪根サトシ「伸びしろはA判定だな」
佐藤恋心「おぉ!ポジティブだね!!」
佐藤恋心「そういうところが嫌いよ」
雪根サトシ「さいで・・・・・・」
雪根サトシ「てか、久しぶりにハートの家に入るから」
雪根サトシ「なんか緊張するわ」
佐藤恋心「大丈夫だよ!ママもいないんだから!!」
だからこそ、余計に緊張するんだよな
マジか・・・・・・
マジか・・・・・・・・・・・・
俺は、逡巡しながらも、幼なじみの家に数十年ぶりに踏みこんだ。
〇綺麗なリビング
雪根サトシ「なんか」
雪根サトシ「全然変わってないな」
久しぶりに入った幼なじみの家は、時が止まっていたのか?と錯覚してしまうほどに、数十年前からほとんど変わっていなかった。
佐藤恋心「まぁね」
佐藤恋心「へっ、部屋までいく?」
雪根サトシ「へ?」
佐藤恋心「だから!僕の部屋まで行く?って聴いてるの!!」
雪根サトシ「え?」
雪根サトシ「いいの??」
佐藤恋心「別にいいよ」
マジか・・・・・・
〇女の子の部屋
俺は、敵地に踏み入れる軍人のようにハートの部屋に踏み入れた。
なんだか、動機と脇汗が世界を埋め尽くしそうだ。
佐藤恋心「勝手に、部屋の物触らないでよ!」
雪根サトシ「はいはい」
佐藤恋心「じゃ、色々、聴かせてもらうから」
雪根サトシ「了解」
雪根サトシ「まずさぁ、昨日のことだけど」
佐藤恋心「あぁ、デートのことね」
佐藤恋心「はっきり言って、可愛くないよ。E君の彼女」
雪根サトシ「いやいや、可愛いくはあるだろ」
佐藤恋心「はぁ??」
佐藤恋心「死ねよ」
佐藤恋心「カス」
雪根サトシ「ごめんなさい」
雪根サトシ「ていうか、あの子は彼女じゃないんだよ」
佐藤恋心「はぁ?」
佐藤恋心「今になってごまかそうっての?」
佐藤恋心「E君ホントすごいねぇぇ」
佐藤恋心「すごいバカだねぇ」
雪根サトシ「はぁ・・・・・・」
雪根サトシ「ホントに違うんだよ」
彼女面接の件について話すのは、宮坂さんに止められているのだが
今なら大丈夫だろ。宮坂さんいないし。爆ぜないだろ
雪根サトシ「信じられないかも知れないけど」
雪根サトシ「面接をしているんだ」
佐藤恋心「はぁ?」
佐藤恋心「Eくん、ついに勉強が嫌になって、面接で大学受かろうと思ってるの?」
佐藤恋心「大学にもよるけど」
佐藤恋心「指定校じゃなかったら、E君は絶対受かんないよ」
佐藤恋心「受け答えできないでしょ?」
雪根サトシ「ハート・・・・・・」
雪根サトシ「逆なんだ」
佐藤恋心「え?」
雪根サトシ「俺が面接官側なんだよ」
雪根サトシ「まぁ、俺に決定権ないんだけど」
佐藤恋心「・・・・・・」
佐藤恋心「意味わかんないよ」
雪根サトシ「まぁ、その・・・・・・あれだよ」
雪根サトシ「”彼女面接”っていうのしてるんだよ」
雪根サトシ「昨日のは、その面接の一環なんだ」
佐藤恋心「はぁ?」
佐藤恋心「なにそれ?モテ男の豪遊?」
佐藤恋心「クソじゃん」
雪根サトシ「彼女面接をしているっていうか・・・・・・させられているっていう表現の方が、正しいかもしれないな」
雪根サトシ「俺さぁ、爆弾で脅されてるんだよ」
佐藤恋心「??」
佐藤恋心「話がロケットみたいにぶっ飛んでったよ??」
佐藤恋心「変なの食べた?」
雪根サトシ「悪いが、俺は机もティッシュも食ってないぞ」
佐藤恋心「何言ってるの??」
佐藤恋心「あぁ、そういえば、E君は元から変だったよね。ごめんね」
雪根サトシ「謝らなくてもいいんだよ」
雪根サトシ「どちらかというと、その”誤り”を正してほしいんだよ」
雪根サトシ「まぁ、そんなのどうでもいいや」
雪根サトシ「つまりは、俺は彼女面接に参加しないと、この体に入っている爆弾が爆発させられる可能性があるんだ」
佐藤恋心「ふーん」
佐藤恋心「わけわかんないよ」
雪根サトシ「それが原因で、昨日はハートとの約束を結果的には破ってしまったってわけだ」
正直、単に忘れていたっていうのもあるんだけど
それを言ったら、ここが俺の死に場所になってしまう気がする。
雪根サトシ「ホント、ごめんな」
佐藤恋心「うーん」
佐藤恋心「どうも理解できない」
佐藤恋心「まぁ、それはいいや」
佐藤恋心「一番聴きたいのは、そこじゃないの」
雪根サトシ「え?そうなの?」
佐藤恋心「その・・・・・・」
佐藤恋心「あのぅぅ」
佐藤恋心「うーん」
佐藤恋心「あのねぇぇ」
佐藤恋心「えっとぉぉ」
彼女は、体を左にしたと思ったら、次は右に向けて、なんだか、ムズムズと逡巡しているように見える。
雪根サトシ「なんだよ?」
雪根サトシ「早く言えよ」
佐藤恋心「むぅぅ」
佐藤恋心「むぅぅぅぅぅぅ」
佐藤恋心「言うよ!!」
佐藤恋心「言えばいいんでしょ!!」
佐藤恋心「はぁ・・・・・・」
佐藤恋心「僕のこと、ホントはどう思ってるの?」
雪根サトシ「え??」
佐藤恋心「E君は、僕のこと!!どう思ってるの!って、聴いてるの!!!!」
雪根サトシ「いや、まぁ、いい子だなぁとは思うよ」
佐藤恋心「それで?」
雪根サトシ「え?」
佐藤恋心「それだけ??」
佐藤恋心「さっき、公園で、なんか叫んでたよね・・・・・・」
雪根サトシ「あ・・・・・・」
そういえば、この子、さっき”公園”って言ってたな
雪根サトシ「も、もしかして・・・・・・」
佐藤恋心「うん。買い物行く途中にさ」
佐藤恋心「たまたま聴いちゃって・・・・・・」
???????
雪根サトシ「マジかよ・・・・・・」
雪根サトシ「マジかよ!!!!!!」
なんか、顔が熱くなっていくのを感じる。
なんか、脇汗が流出していくのを感じる。
ヤベぇ!ヤバすぎる!!!
クッソ恥ずかしい・・・・・・
佐藤恋心「あれ、どゆこと?」
ハートは上目遣いで小動物のように、こちらを見つめてくる
佐藤恋心「まさか、♡マークのことだとは言わないよね・・・・・・」
雪根サトシ「あぁ」
雪根サトシ「それに関してなんだがな・・・・・・」
雪根サトシ「さっきも言ったけど、」
雪根サトシ「ハートさぁ、嘘でも好きって言ったら、付き合ってくれるって」
雪根サトシ「前に言ってただろ」
佐藤恋心「う、うん」
雪根サトシ「もし、俺とハートが”表面上”でも付き合ったら、この面接は終わると思うんだ」
佐藤恋心「なるほど」
佐藤恋心「まったく意味がわかんないけど」
佐藤恋心「E君が男として・・・・・・いや、人間として最低なことを言っているのは理解したよ」
雪根サトシ「そうか、ありがとう」
佐藤恋心「感謝するとこじゃないでしょ・・・・・・」
雪根サトシ「とにかくさぁ、」
雪根サトシ「俺は勉強に時間を使いたいわけだ」
雪根サトシ「だから、今は彼女をつくってる場合じゃない」
雪根サトシ「あの面接をしている場合じゃない」
佐藤恋心「ふーん」
佐藤恋心「で、でも・・・・・・」
佐藤恋心「それは僕じゃなくてもいいよね?」
雪根サトシ「え?」
佐藤恋心「他の子と付き合ってるフリをしてもいいよね」
佐藤恋心「な・・・・・・なんで僕なのかな」
雪根サトシ「そ、それはなぁ、まぁ楽だからだよ」
佐藤恋心「え?」
雪根サトシ「幼なじみだしさ。それに、話をわかってくれそうだったから」
佐藤恋心「ふーん」
佐藤恋心「えへへへへ」
雪根サトシ「だからさぁ」
雪根サトシ「ハート・・・・・・」
雪根サトシ「矛盾しているかもしれないが・・・・・・」
雪根サトシ「大学受験が終わるまでの間でいいから」
雪根サトシ「俺と・・・・・・俺と!!・・・・・・」
「ハートちゃん!ただいま!」
下の階の方から包容力のある女性的な声が響いてきた。
佐藤恋心「どーしよ!!」
佐藤恋心「ママが帰ってきたんだけど!!」
佐藤恋心「今日は仕事で一日帰ってこないって言ってたのに・・・・・・」
雪根サトシ「え・・・・・・」
雪根サトシ「マズくね??」
佐藤恋心「非常にまずいね」
「ハートちゃーん、お友達遊びに来たから、そっちに上がってもらうね!!」
佐藤恋心「え・・・・・・」
佐藤恋心「友達??」
佐藤恋心「誰?」
???「失礼します」
佐藤恋心「え・・・・・・」
雪根サトシ「マジかよ・・・・・・」
宮坂皐「では、面接を開始しましょうか!!」
なんで、こんなとこまで来てんだよぉぉ!