第十話 面接番号四番 男の娘 峰太喜 & 五番 ボクっ娘 佐藤恋心 その1(脚本)
〇一戸建て
雪根サトシ「ハァハァ」
雪根サトシ「ハァハァ」
運動音痴の俺は、なんとか佳乃子を見失わずに追いかけて
家まで戻ってきたのだが・・・・・・
なんだろう
無性に入りづらい
あんなことを話したあと、俺はどうやってこの家に入ればいいんだ。
どんな顔をして妹と話せばいいのだろう
まぁ、自業自得なんだけど・・・・・・
???「Eくん、何してんの?」
俺は後方から声をかけられた。
それは、俺が幼い頃から聴いてきた”彼女”の声だった。
いや、厳密には、そう聴こえたのだ
恐る恐る、急速回転する時計の針みたいに体を動かし後方を確認する。
佐藤恋心「自分の家なのに」
佐藤恋心「ストーカーみたいに右往左往して・・・・・・」
雪根サトシ「・・・・・・」
雪根サトシ「ハート・・・・・・」
佐藤恋心「気持ち悪いよ」
佐藤恋心「ミミズより気持ち悪い」
雪根サトシ「それはミミズに失礼だろ」
雪根サトシ「俺なんかと比べるなんて」
佐藤恋心「おぉ!!」
佐藤恋心「立場をわきまえてて偉いぞぉ!!」
雪根サトシ「おぉ、褒めてくれてありがとう」
佐藤恋心「別に褒めてないんだけど・・・・・・」
佐藤恋心「どういたしまして」
褒めてないって・・・・・・
さっき『偉いぞ」って言ってくれたじゃん
雪根サトシ「俺はもう、どっかの赤髪面接官兼爆弾魔みたいな感じで」
雪根サトシ「罵倒であっても褒め言葉として受け止めるようにするよ」
佐藤恋心「ふーん、」
佐藤恋心「気持ち悪い」
佐藤恋心「さすが!E判定を取るだけのことはあるね」
雪根サトシ「どーも」
佐藤恋心「でさぁ、そんなミミズ以下のEくんは、自分の家の前で何をしていたの??」
雪根サトシ「そ、それは・・・・・・」
雪根サトシ「さ、散歩だよ!散歩!!」
佐藤恋心「E判定なのに、そんな余裕あるんだぁ」
佐藤恋心「すごいねぇ」
雪根サトシ「どーも」
なんか、腹立ってきた。
ポジティブ!ポジティブ!!
佐藤恋心「それに、家の周りをうろちょろ、うろちょろ」
佐藤恋心「そんなので散歩って言えるの?」
雪根サトシ「ま、まぁな」
雪根サトシ「俺の散歩は特殊なんだよ!!」
佐藤恋心「ふぅん」
雪根サトシ「あ!それとさぁ」
雪根サトシ「昨日のことなんだけど・・・・・・」
佐藤恋心「あぁ、デート楽しそうだったね」
彼女は、俺の話題転換に、餌を与えられた空腹犬にみたいに食いついてきた・・・・・・
佐藤恋心「E君は、僕と勉強するよりあの黒髪ロングを選んだんだよね」
佐藤恋心「えへへへへへ」
佐藤恋心「恋ってすごいねぇ」
佐藤恋心「だって、頭が悪いEくんが、もっとバカになっちゃううだもん」
佐藤恋心「いやぁホントすごいねぇぇ」
佐藤恋心「えへへへへへ」
笑い方こわ・・・・・・
佐藤恋心「なるほどねぇ」
佐藤恋心「あれがタイプか」
佐藤恋心「まぁ、いいんじゃない」
佐藤恋心「僕とは”真逆”で!僕とは”真逆”で!!」
なんで二回も言うの?
そのプロミネンス怖い・・・・・・
佐藤恋心「ほんと、僕と被ってるとこないじゃん」
佐藤恋心「僕は金髪ショートボブ、あのドロボウは黒髪ロング」
雪根サトシ「ドロボウって言いかた・・・・・・」
佐藤恋心「ぜーんぜんカブってないねぇ!!!」
佐藤恋心「ねぇ??」
雪根サトシ「はい・・・・・・ごめんなさい」
佐藤恋心「なんか、あの子バカっぽかったし」
佐藤恋心「E君とバカップルの完成だね」
佐藤恋心「頑張って少子化対策に貢献しなよ」
雪根サトシ「だから・・・・・・」
雪根サトシ「違うんだって!!」
佐藤恋心「なにが違うのかな・・・・・・」
雪根サトシ「と、ところでさぁ・・・・・・」
佐藤恋心「なに?」
雪根サトシ「前にさぁ」
佐藤恋心「うん」
雪根サトシ「偽装カップルのこと、話してたじゃん」
佐藤恋心「うん」
雪根サトシ「あれ、やらねぇ??」
佐藤恋心「は?」
雪根サトシ「俺とハートで」
雪根サトシ「やらねぇ?」
佐藤恋心「なるほど」
佐藤恋心「死ねよ」
佐藤恋心「カスが」
ついに、Eくんから”カス”へとジョブチェンジしました
やったね!!
佐藤恋心「ねぇ?浮気したいの??バカなの???」
佐藤恋心「なんでこんなことまで言っちゃうの?」
雪根サトシ「いやいや、その、事情はちょっとここでは話しにくいっていうか・・・・・・」
佐藤恋心「わかった・・・・・・」
佐藤恋心「じゃ、うちにきて」
佐藤恋心「今日ママいないし」
雪根サトシ「え?」
佐藤恋心「家で、さっきの公園でのことも聴かせてもらうから」
佐藤恋心「じっくりとね!!」
え???
公園って・・・・・・マジかよ
こいつ・・・・・・
〇広い公園
佐藤恋心「はぁ・・・・・・」
「お、俺は恋心(ハート)が好きなんだよぉぉ!!」
佐藤恋心「え??」
佐藤恋心「・・・・・・・・・・・・」
佐藤恋心「・・・・・・・・・・・・」
佐藤恋心「・・・・・・・・・・・・」
佐藤恋心「・・・・・・・・・・・・」
佐藤恋心「うへぇ」
佐藤恋心「うへへへへへ」
佐藤恋心「うへへへへへへへへへ」