第3話 有理乃の悩み(脚本)
〇遊園地の広場
四島裕太「あの・・・・・・悪ぃんだけどさ・・・・・・」
四島裕太「1万、貸してくんね?」
岡島有理乃「えっ、な、なんでよ・・・・・・」
四島裕太「今月苦しくて・・・・・・」
四島裕太(結構貢いじゃったからな・・・・・・)
岡島有理乃「でも・・・・・・私も生活苦しいし・・・・・・」
四島裕太「頼む!すぐ返すから!」
岡島有理乃「・・・・・・・・・・・・」
四島裕太「この通りだ!!」
裕太は、深々と頭を下げる。
岡島有理乃「わ・・・・・・わかった・・・・・・すぐ返してね」
四島裕太「ありがとう!」
四島裕太「やっぱ有理乃は優しいな!」
岡島有理乃「・・・・・・・・・・・・」
〇アパートの台所
岡島有理乃(デートって、やっぱりお金掛かるよね・・・・・・)
岡島有理乃(自分の分くらいなら何とかなるけど、裕太くんの分までは苦しい・・・・・・)
有理乃は、瑠里乃の寝顔を見つめる。
岡島有理乃「大丈夫、お姉ちゃん頑張って働くから」
〇居酒屋の座敷席
岡島有理乃「──ご注文、以上でよろしいでしょうか?」
お客さんA「あ、それと〜ポテトと、味噌カツ」
岡島有理乃「ポテトと味噌カツをお一つずつでよろしいでしょうか?」
お客さんB「うん」
岡島有理乃「ありがとうございます、少々お待ち下さい」
お客さんB「おい!もう三十分も経ってんだぞ!」
岡島有理乃「申し訳ありません、今お作りしておりますので、少々お待ち下さい」
お客さんB「少々ってどのくらいだよ!」
岡島有理乃「5分から10分程でお持ち出来るかと思います」
お客さんB「おせぇんだよ!このノロマが!」
岡島有理乃「っ・・・・・・!!」
岡島有理乃「も、申し訳ありません・・・・・・」
お客さんB「仕事出来ないならやめろよクズが」
岡島有理乃「っ・・・・・・申し訳・・・・・・」
店員さんA「はぁ・・・・・・有理乃ちゃん、変わるよ」
岡島有理乃「あ、ありがとうございます・・・・・・」
〇広い厨房
岡島有理乃(ノロマ・・・・・・クズ・・・・・・)
店員さんB「岡島さん、ぼーっとしないで」
岡島有理乃「あ、ごめんなさい・・・・・・」
店員さんC「しっかりしてよ、もっと気合入れて頑張って」
岡島有理乃「ごめんなさい・・・・・・」
〇ゆるやかな坂道
岡島有理乃「疲れた・・・・・・」
岡島有理乃(私・・・・・・役立たずだな・・・・・・)
岡島有理乃「明日もバイトか・・・・・・」
岡島有理乃「行きたくない・・・・・・な・・・・・・」
岡島有理乃「でも・・・・・・頑張んないと・・・・・・」
岡島有理乃「瑠里乃の学費も稼ぐって決めたし・・・・・・」
岡島有理乃「デート代も稼がないといけないから・・・・・・頑張らないと・・・・・・」
岡島有理乃「頑張らない・・・・・・と・・・・・・」
???「有理乃!」
岡島有理乃「えっ・・・・・・?」
咲須紗月「こんばんは、こんな遅い中1人で歩いてるなんて、危ないよ」
岡島有理乃「あっ・・・・・・」
岡島有理乃(えっと・・・・・・笑顔・・・・・・)
岡島有理乃「紗月、こんばんは」
咲須紗月「なんか足取り重そうだったけど、大丈夫?」
岡島有理乃「あ・・・・・・うん、大丈夫・・・・・・」
岡島有理乃「バイト長かったから、ちょっと疲れちゃってさ・・・・・・」
咲須紗月「今からアパート行ってもいい?」
岡島有理乃「今か・・・・・・今から!?」
咲須紗月「お泊まり会だー!」
岡島有理乃「あっ、ま、待って!」
〇アパートの台所
岡島有理乃「ただいま・・・・・・」
咲須紗月「お邪魔します・・・・・・」
岡島有理乃「瑠里乃、寝ちゃってるみたい・・・・・・静かにね」
咲須紗月「うん、有理乃はお風呂入ってきちゃいなよ」
岡島有理乃「そうするね」
咲須紗月「さて・・・・・・」
咲須紗月「作戦開始といこうかな」
〇アパートの台所
岡島有理乃「お待たせ!」
咲須紗月「・・・・・・・・・・・・」
岡島有理乃「紗月は・・・・・・寝ちゃったか」
岡島有理乃「・・・・・・・・・・・・」
岡島有理乃(寂しい・・・・・・誰もいない)
岡島有理乃(それなら・・・・・・元気なフリ、しなくてもいいか・・・・・・)
岡島有理乃「っ・・・・・・うっ・・・・・・」
岡島有理乃「っ・・・・・・ぅ・・・・・・」
咲須紗月「有理乃・・・・・・泣いてるの?」
岡島有理乃「あっ、紗月・・・・・・」
岡島有理乃「な、泣いてないよ・・・・・・」
咲須紗月「無理しなくてもいいんだよ」
紗月は有理乃を強く抱きしめる。
咲須紗月「大丈夫・・・・・・休んだっていいんだよ、無理しなくていいんだよ・・・・・・」
岡島有理乃「っ・・・・・・あっ・・・・・・うぅ・・・・・・」
岡島有理乃「でもっ・・・・・・私が頑張らないとっ・・・・・・」
咲須紗月「大丈夫・・・・・・私が有理乃を支えていくから」
岡島有理乃「紗月・・・・・・っ──!!」
岡島有理乃「っ・・・・・・!!」
岡島有理乃「な、なにするの・・・・・・?」
咲須紗月「なにってキスだよ?有理乃の初めての」
岡島有理乃「ひ・・・・・・ひどいよ・・・・・・」
岡島有理乃「そ、そんなことすると思ってなかった・・・・・・」
咲須紗月「え・・・・・・?」
岡島有理乃「わ、私・・・・・・恋人いるんだよ?」
岡島有理乃「それなのに・・・・・・ひどいよ・・・・」
岡島有理乃「ごめん、今日はもう帰って・・・・・・」
咲須紗月「ま、待ってよ・・・・・・初めての相手があたしじゃ嫌なの!?」
岡島有理乃「紗月とは・・・・・・そういう関係になりたくない」
咲須紗月「っ・・・・・・!!」
岡島有理乃「ごめん・・・・・・帰って・・・・・・」
岡島有理乃「帰ってよ・・・・・・!!!」
咲須紗月「あ・・・・・・あ・・・・・・」
紗月は逃げるように、部屋から立ち去った。
岡島有理乃「うぅっ・・・・・・なんで・・・・・・なんでなのっ・・・・・・?」
岡島有理乃「うぅ・・・・・・っ・・・・・・ごめん・・・・・・ごめんねっ・・・・・・」
岡島瑠里乃「・・・・・・・・・・・・」
岡島瑠里乃(キスって、これだけの意味があるんだ、私はちょっと軽んじてたな)
岡島瑠里乃(私も好きな人出来たら、ファーストキスはもらっちゃおうかな)
〇ゆるやかな坂道
四島裕太(有理乃、まだかな)
咲須紗月「ねぇ、悪いけど有理乃のファーストキスは貰ったから」
四島裕太「は?何言ってんだお前」
咲須紗月「貰ったから・・・・・・!!!」
咲須紗月(あたしがファーストキスの相手なんだ・・・・・・あたしが・・・・・・あたしが・・・・・・)
咲須紗月(あたしが・・・・・・あたしが・・・・)
咲須紗月(でも・・・・・・他のは取られちゃうかも・・・・・・)
咲須紗月(許せない・・・・・・許せない許せない許せない許せない許せない許せない)
咲須紗月「全部、私が貰ってあげないとねぇ」
〇玄関内
四島裕太「おーい、有理乃ー」
岡島瑠里乃「えっ、あ、お姉ちゃんは今日学校休むみたいです」
四島裕太「えっなんで?」
岡島瑠里乃「あっ・・・・・・ちょっと体調崩しちゃって」
四島裕太「今、会えるか?」
岡島瑠里乃「いますよ、入ってください」
〇アパートの台所
四島裕太「お邪魔しまーす・・・・・・」
岡島有理乃「あっ、裕太くん・・・・・・」
岡島有理乃「ごめん、今日ちょっと体調悪くて・・・・・・」
四島裕太「大丈夫か?何か買ってこようか?」
岡島有理乃「ううん、大丈夫・・・・・・学校、早く行かないと遅れちゃうよ・・・・・・」
四島裕太「確かに・・・・・・心配だけど、妹ちゃんもいるし・・・・・・」
四島裕太「・・・・・・最後に一つ」
四島裕太「咲須になにかされたのな?」
岡島有理乃「っ・・・・・・!!」
四島裕太「されたんだな・・・・・・!!」
岡島有理乃「あっ、まっ・・・・・・て・・・・・・」
岡島有理乃「・・・・・・・・・・・・」
〇教室
四島裕太「おい!!咲須!!来い!!」
咲須紗月「えっ、なに?」
四島裕太「お前・・・・・・有理乃に何したんだ・・・・・・!」
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有理乃さんのストレスを蓄積していく過程とその結果が、すごくリアルに描写されていますね……
そして、裕太くんのクズっぷりと紗月さんの強行、有理乃さんの心中たるや……
瑠里乃さんがファーストキスに執着する原点がコレだったとは!