HEN・KUU(脚本)
〇ネオン街
(※)この物語はちょっとだけグロテスクな描写があります。
〇居酒屋の座敷席
同窓生「そっか。今そんなの作りよるんやね」
同窓生「昔から器用やったもんね」
同窓生「そうそう。高村君、来月結婚するらしいよ」
木津「みたいやね」
同窓生「プレゼントとか作ってあげれば?」
木津「うん、そうやね」
同窓生「あ?もしかしてそれ・・・」
同窓生「ちょっと、もっといいラッピングしいや」
同窓生「そういうところよ~君が結婚できんの」
木津「ははは・・・」
高村「~♪」
木津「なあ高村。お前の結婚式もやっぱなんとかヒルズなんか?」
高村「お前、ヒルズをなんだと思ってんだ?」
木津「わ、悪かったな。ずっと田舎暮らしで」
「ははははは!」
高村「でも偉いよ。ずっとこうして、毎年同窓会主催してきたんだろ」
木津「違ういや。お前を呼ぶために10年やっとったんじゃ」
木津「やっと来てくれたの高村。これで同窓会は終わりじゃけ」
高村「そう言うな。続けりゃいいだろ」
高村「本当はみんなの為にやってたんだろ?」
高村「相変わらず『へんくう(偏屈)』だな」
木津「へんくう・・・か。確かにのう」
高村「シメだ。食うか?」
木津「いや、俺のシメはいつもこれじゃけえ」
高村「・・・え?」
〇モヤモヤ
〇居酒屋の座敷席
高村「な、何それ?」
木津「見りゃ分かるやろ。セミの抜け殻いや」
木津「あれから止められんようになったそい」
木津「これしか食えんくなったんじゃ」
木津「お前のせいじゃ・・・高村」
高村「・・・!」
〇教室
きづまさし「いやだあああ!やめろーーーーっ!」
たかむらけいご「食ーえ!食ーえ!食ーえ!食ーえ!」
きづまさし「・・・うう」
たかむらけいご「・・・食った」
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かつて罠にかけられた獲物が今度は罠を仕掛けて、かつてのハンターが網にかかるのを10年かけて自身の縄張りで待っていた。その偏執的で悪趣味なやり方は、ホラーというよりイヤミスに近い読後感でした。地元で出来た借りを地元で返すからこそ価値があると信じる木津にふさわしい呼称はやっぱり「へんくつ」じゃなくて「へんくう」なんでしょうね。
私も彼らと多分同じ地域出身なので、偏屈を【ヘンクウ】というのもあって親近感を持ちました。クラスや職場に一人はいますよね、ヘンクウな人。でも私はこういうタイプに惹かれやすいです!