5 その力の意味(脚本)
〇街中の道路
数日後、新しい職員が何人か入って来てこれまでより仕事がやり易く成って来て、また業績が伸びていた。
落選させてしまった人が居ない訳では無いが、これも仕事なので、仕方が無い。
黒澤友樹「社長、今日の商談も上手く行きそうですね」
黒崎瞬「皆が居てくれたからですよ。人員はまだ満足とは行きませんが、これからどんどん仕事をやり易くして行きますから」
黒澤友樹「はい!これからもっと忙しく成りそうですね!」
「ふざけるなぁぁぁ!!!」
黒澤友樹「社長!今の声何処かで・・・!?」
黒崎瞬「確かに聞き覚えが有ります!向こうの方ですね!」
突然聞き覚えの有る大声に俺達は驚き、急いで声が聞こえた場所に向かった。
黒澤友樹「あれは・・・!?社長!あの人!!」
相葉正孝「麻子!何なんだその男は!?」
浅田麻子「言うも何も、私の彼氏よ」
相葉正孝「か、彼氏ぃ!!??麻子の彼氏は俺だろう!!!」
齋藤拓馬「なぁデブのおっさん、こんな所でギャアギャア騒ぐなって。みっともねぇよ」
相葉正孝「お前が怒らせてるんだろ!!!大体、俺は何時だって麻子の為に尽くして来たんだ!!なのにそんなぽっと出を選ぶって」
相葉正孝「言うのかよ!!!」
浅田麻子「御免ね正君、私初めて会ったあの日から貴方の事お財布としか見て無かったの」
相葉正孝「はぁぁぁ!!??」
浅田麻子「その時の私、欲しい物が沢山有ったし、私が言えば正君ホイホイお金出してくれるから、だから態と媚売ってたのよ」
浅田麻子「セレブごっこも満足したし、拓君が最近戻って来たから、私達これから結婚するのよ」
相葉正孝「そ、そんなぁぁ!!俺が今までやって来た事は何だったんだよ!!」
浅田麻子「正君ってお金だけでしょ?幾ら私でも相手は真面目に選ぶわよ。元々豚さんに興味無いし」
相葉正孝「ぶ、豚さん・・・・・・」
齋藤拓馬「まぁそう言うこった。なぁに大丈夫。麻子は俺が幸せにして見せるから、豚さんはこれからも女に御奉仕してるんだな」
齋藤拓馬「行こうぜ麻子」
浅田麻子「うん!」
相葉正孝「豚さん・・・・・・豚さん・・・・・・」
黒澤友樹「しゃ、社長・・・・・・」
黒崎瞬「あぁ、とんでも無い現場を目撃しちゃいましたね。麗華の言ってた事、本当だった・・・・・・」
黒澤友樹「社長、取り合えず戻りましょう。皆が待ってます」
黒崎瞬「お、おう、そうですね先輩」
色んな意味でレアな光景を目の当たりにしたが、今相葉社長に関わったら絶対後悔すると察した俺達は、静かにその場を
後にした。
〇研究施設のオフィス
黒澤友樹「・・・と、その様な事が有りまして」
葛城麗華「成る程、そんな事だろうと思ったわ。まぁ相葉社長がどう成ろうと知った事じゃ無いけど」
黒崎瞬「あぁ、腹黒い人達が集まって驚いたよ。幸い俺達は気付かれなかったけど・・・・・・」
小野寺圭一「相棒、戻ってたのか」
黒崎瞬「どうした?何かトラブルか?」
小野寺圭一「う〜ん・・・トラブルって訳じゃ無いが、お前等が前に居た宝石屋って、相葉ジュエリーショップだったよな?」
葛城麗華「そうだけど、小野寺君、何か有ったの?」
小野寺圭一「さっき仕入れた話なんだが、今さっきそのジュエリーショップが倒産したって話だ」
黒崎瞬「え!?マジで!?」
小野寺圭一「あぁ、原因は大方分かってる奴の方が多いと思うが、何日か前から馬鹿見たいな値上げしてたろ?それで人員も足りなく成って」
小野寺圭一「やり方がおかしいとかSNSで拡散されて大炎上。後ろ盾も力貸せなく成ってそれまでの功績はズタズタだ」
小野寺圭一「だから仕事も回らなく成って給料も無し。どれもこれもあのデブの社長さんが稼いだ金を私物化したのが原因だ。そこに居た人達は」
小野寺圭一「あの社長さんが金を湯水の様に使ってたのは皆知ってたし、それまでの鬱憤と来たらな」
葛城麗華「それは・・・酷過ぎて言葉が出ないわね・・・・・・」
黒崎瞬「右に同じく。所で、相葉社長は今何処に?」
小野寺圭一「ジュエリーショップには居ない見たいだが、何処行ったかまでは分からねぇな。一応、損害賠償は5億だって話だから、」
小野寺圭一「もう先は見えてると思うぜ」
黒崎瞬「あぁ、泣きたくても泣けない話だ・・・・・・」
黒澤友樹「社長!大変です!」
黒崎瞬「どうしました先輩?」
黒澤友樹「一階に相葉社長が来て、騒ぎを起こしてます!」
黒崎瞬「はぁ!?何で此処に!?まぁ良いや!先輩、一緒に来て下さい!」
黒澤友樹「分かりました!」
葛城麗華「小野寺君、相葉社長が来た理由って・・・・・・」
小野寺圭一「言わずとも分かるって奴さ。まぁ俺達は大人しくしてようぜ」
葛城麗華「そ、そうね・・・・・・」
〇研究施設の玄関前
警備員「困ります!行き成り社長に会わせろだなんて!事前のアポは取りましたか!?」
相葉正孝「そんな事は良いだろ!!此処に俺の部下が働いてるってのは前から知ってたんだ!!俺はそいつ等の社長!!上司なんだよ!!」
警備員「しかし、そうは言われましても・・・・・・」
黒崎瞬「すみません!!」
警備員「あぁ、社長!!」
黒崎瞬「警備員さん、此処は俺達が請け負います!」
警備員「畏まりました!」
相葉正孝「黒澤、黒崎ぃ・・・・・・!!!」
黒澤友樹「お久し振りです。相葉社長。我々に何か?」
相葉正孝「聞いてくれよぉ!!俺の会社が倒産しちまったんだ!!それもこれも部下共がちゃんとやらなかったから!!お陰で5億の」
相葉正孝「借金背負う事に成っちまったよ!!」
黒崎瞬「そうですか・・・それで此処へ何しに?」
相葉正孝「お前等の経営は上手く行ってるんだろ!?だから社長命令だ!今直ぐ5億円払え!!」
黒澤友樹「相葉社長、貴方は自分の立場を理解してらっしゃるのですか?そもそも社会的な繋がり、我々は持って無い筈です」
相葉正孝「そんなの有るに決まってるだろ!!お前等は俺の部下だ!!上司が困ってる時、部下が助けるのは当たり前だ!!」
黒崎瞬「・・・それ、本気で言ってます・・・?」
相葉正孝「当たり前だ!だから頼むよ!!!」
黒澤友樹「本当に・・・」
黒澤友樹「ふざけるなぁぁぁぁ!!!」
相葉正孝「く、黒澤!?」
黒澤友樹「このクソガキ!!テメェには何度も話しただろう!!相葉ジュエリーショップにはな、テメェの父親、先代の相葉社長に」
黒澤友樹「憧れて入った人が沢山居たんだ!!それをお前見たいな軟弱野郎がズタボロにしやがって!!俺は先代が大切に築き上げた」
黒澤友樹「あの店を守りたかった!!俺だけじゃ無い、泣く泣くあの店を辞めてったあいつ等もだ!!社長に成って、その力の意味すら」
黒澤友樹「理解しようとせず、只遊び呆けてたお前には何も分からないだろうな!!」
相葉正孝「黒澤・・・お前・・・・・・」
黒澤友樹「もう俺はあんたの秘書じゃ無い。俺は此処に居る、黒崎社長の部下だ!!5億でも10億でも確り返すんだな!!」
相葉正孝「な、何でだよ・・・お前等は俺の部下なんだよ・・・・・・!!俺の言う事は絶対なんだよぉぉぉ・・・・・・!!」
白鳥美由紀「やっと追い付きました。相葉社長」
相葉正孝「白鳥ぃぃぃ!!助けてよぉぉぉ!!俺の部下が助けてくれないぃぃぃ!!」
白鳥美由紀「そうですか。ご安心下さい。私達は貴方を助けます。どうぞこちらへ」
相葉正孝「有難う!!お前は俺を助けてくれるんだな!!」
白鳥美由紀「はい、何処の国でも最も安全な場所、刑務所に貴方をお連れして、刑務所で働く皆様に助けて頂きましょう」
相葉正孝「えぇぇぇぇぇ!!!???」
黒崎瞬「すみません、貴方は一体・・・・・・」
白鳥美由紀「あ、申し遅れました、私はこう言う者です」
黒崎瞬「国税調査局職員、白鳥美由紀さん?」
黒崎瞬「ってマジかよ・・・・・・」
白鳥美由紀「ご安心下さい。今回私が相葉社長の元へ送られたのは相葉社長の不祥事を公にする為です。彼が社長ではどの道」
白鳥美由紀「相葉ジュエリーショップは破滅してました。この様子だと5億円を返済する事も叶いませんので、後は我々にお任せ下さいませ」
白鳥美由紀「一応警告です。彼の様に横領等の不祥事を働いた場合、その時は手加減等出来ないので、そのつもりで居て下さい」
白鳥美由紀「お騒がせして申し訳有りませんでした。それでは失礼致します」
相葉正孝「待て、待ってくれぇぇぇ!!!」
黒崎瞬「何だろ・・・色んな意味で怖かったな・・・・・・」
黒澤友樹「社長、これで、もう大丈夫ですよね」
黒崎瞬「そうですね先輩。俺達も気を付けましょう。相葉社長は、俺達に取って良い反面教師に成りました。今後誰か一人の為に」
黒崎瞬「会社を潰して仲間を傷付けると言った事が、内の職場で無い様に改善しましょう!」
黒澤友樹「はい!もう誰かにあんな思いはさせたく有りません!行きましょう社長!」
確して、相葉社長はこれまで犯して来た不祥事を公にされ、5億の借金を返済する為に刑務所へ送られる事と成った。
彼が再び外へ出られたその時は、もう何もかもが変わってる事だろう。