指揮官の器

夏目心 KOKORONATSUME

3 相棒(脚本)

指揮官の器

夏目心 KOKORONATSUME

今すぐ読む

指揮官の器
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇個別オフィス
相葉正孝「・・・・・・」
白鳥美由紀「相葉正孝社長、お早う御座います。起きて下さい」
相葉正孝「何だよ黒澤、お前は何時も通りって・・・誰だあんた?」
白鳥美由紀「本日付けで、相葉社長の秘書と成りました、白鳥美由紀と申します。以後、お見知り置きを」
相葉正孝「新しい秘書?黒澤はどうしたんだ?」
白鳥美由紀「黒澤友樹氏は、昨日退職致しました。私は人員補充の為、この職場に異動命令が来たのです」
相葉正孝「そうなんだ。何か何時もより静かだと思ったらそう言う事か」
白鳥美由紀「はい。今此処には必要最低限の人員しかおりません。ですので、」
相葉正孝「あ〜はいはい、取り合えず勝手にやっといて。俺は眠い・・・・・・」
白鳥美由紀「・・・・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
  先日、社長の40%値上げに伴い相葉ジュエリーショップを退職した俺は仲間と共に新しい事業を立ち上げて居た。
  今度の仕事はアウトドア関連の商品を開発する事。俺自身も旅は好きなので、テントやロードバイク等の資材を扱う事業からの
  開発依頼を請け負って居た。
黒崎瞬「さて、次の依頼はと・・・」
葛城麗華「瞬」
黒崎瞬「ん?」
葛城麗華「えい!」
黒崎瞬「うわっと!!」
黒崎瞬「あのなぁ、もうこのクセ辞めたら?」
葛城麗華「辞めたら負けだよ」
黒崎瞬「何でだよ」
  場所は変わっても麗華のやる事は変わらない。正直困った物だ。
黒澤友樹「黒崎社長!新型ロードバイクの契約、無事成立しました!」
黒崎瞬「おぉ!流石は黒澤先輩!」
黒澤友樹「いえ、今の立場は僕より黒崎社長の方が上です!ビシバシ使って下さい!」
黒崎瞬「う〜ん、そこまで気にする事は無いんだけどなぁ・・・」
葛城麗華「良いんじゃ無い?瞬が小野寺君に頼んで、今こうして仕事が出来るんだから」
黒崎瞬「まぁ、そうだな」
葛城麗華「その小野寺君から言伝なんだけど、新しいオフィスがもう直ぐ手に入るって!」
黒崎瞬「え!?マジか!!流石小野寺!仕事が早い!」
黒澤友樹「社長、その小野寺さんとはどう言う人ですか?僕はまだ会った事が無いのですが」
黒崎瞬「え?あぁ、俺の学生時代の相棒です。物作りが得意で、何でも作ったり直したり出来るんですよ」
黒澤友樹「な、何でもですか!?全く想像出来ません・・・」
黒崎瞬「そりゃそうです。ジャンクパーツで携帯電話作る奴ですから。新しいオフィスに行けたら、会えると思います」
  今でこそ俺の自宅で仕事をこなしているが、昔の仲間で在る小野寺が新しいオフィスを手に入れるとの事で、あいつに会うのが
  今から楽しみだ。

〇研究施設のオフィス
葛城麗華「お〜!此処が私達の新しい職場かぁ!!」
黒崎瞬「あぁ、俺達はこれから、住み込みで仕事するからな」
黒澤友樹「社長、腕が鳴りますよ!」
黒崎瞬「先輩、むず痒いです・・・」
小野寺圭一「久し振りだな、相棒!」
黒崎瞬「小野寺!」
葛城麗華「久し振り!調子はどうかしら?」
小野寺圭一「まずまずって言った所か。相棒が企業するって聞いた時は頭湧いてるのかと思ったぜ」
黒崎瞬「すまねぇ、無理させちまって」
小野寺圭一「なぁに、俺とお前の仲じゃねぇか」
黒澤友樹「あの、貴方が小野寺さんですよね。初めまして、黒崎社長の下で働いてます。黒澤友樹と申します」
小野寺圭一「おっと、あんたが瞬の先輩さんか。こちらこそ初めまして、小野寺圭一。修理屋だ。俺もこれから相棒のチームでやってく事に」
小野寺圭一「成るから、まぁ気兼ね無く話してくれ。先輩さん」
黒澤友樹「はい!こちらこそ宜しくお願いします!」
小野寺圭一「それじゃあ相棒、これからどうするか決めてるか?」
黒崎瞬「そうだな、皆聞いてくれ!」
  新しいオフィスに来た俺達は小野寺と合流し、俺は今後の方針を打ち明けた。先ずは契約先を増やす事、アウトドア製品を
  作成する事。ある程度の資金が入ったら人員を増やす事。やる事は山積みだが、俺はこのメンバーと共にやり切りたいと思った。

〇研究施設のオフィス
  新しいオフィスでの生活が始まってから約一ヶ月。少しずつ成果を出して行き、契約先も徐々に増えて行き、アウトドア製品の
  売れ行きも良く成って来ている。
小野寺圭一「お、丁度良いや、お〜い、先輩さ〜ん!」
黒澤友樹「小野寺さん、お呼びですか?」
小野寺圭一「あぁ、ちょっとこいつを試して見て欲しいんだ」
黒澤友樹「ロードバイク。これをどうすれば?」
小野寺圭一「実際に漕いで感想を聞かせて欲しいんだ。こう言うのは、誰かの感想が凄い助かるんだ」
黒澤友樹「成る程!分かりました!」
  黒澤先輩はロードバイクに跨り、実際にペダルを漕いで見た。動きの方に問題は無く、軽やかに足が進んだ。
小野寺圭一「どうかな?」
黒澤友樹「バッチリです!これなら長期走行しても大丈夫だと思います!」
小野寺圭一「そうそう!そう言う素直な感想が一番有難いんだよ!」
黒澤友樹「いえいえ、私も素直な事しか言えないので。所で、小野寺さんと黒崎社長って、どの様な関係で?ずっと気に成ってたんですよ」
小野寺圭一「俺と相棒?そうだな。あいつがアウトドアが好きなのは知ってるよな?」
黒澤友樹「はい。知ったのは今の仕事を立ち上げてからですけど」
小野寺圭一「俺と相棒が初めて会ったのは高校一年の時でな。あいつは外をふらつくのが好きでな。その時乗ってたママチャリ、」
小野寺圭一「余程使い込んでたのか、突然大破しちまってな。それを見た時の驚き様と言ったら、今でも忘れられねぇ」
黒澤友樹「ま、ママチャリを大破させた!?」
小野寺圭一「たまたま俺はそこに居てな。丁度直し終わったロードバイクをそいつにくれてやったんだ。長距離走るならこれ使えって言ってな」
黒澤友樹「は、はぁ・・・」
小野寺圭一「で、そこから俺達は始まったんだ。あいつは外を走り回るのが大好きでな、夏休みとかは山だの海だの遠い所に行って、」
小野寺圭一「俺も使える素材を厳選して手作りの調理器具をあいつにプレゼントしたっけなぁ。バイトして釣り竿とか買って、自力で」
小野寺圭一「食材を調達して、料理も自力でやって。兎に角連休が有れば俺達は走りに行ってたな。今じゃ若干体力落ちちまったが」
黒澤友樹「何と・・・とてもアグレッシブだったんですね!」
小野寺圭一「まぁな。高校を出る前には、俺は元から好きでやってる物作りや修理の仕事に着いて、あいつは前にあんた等がやってた」
小野寺圭一「宝石屋に就職したって訳よ。営業のやり方覚えたいなら大学行けば良かったのにって思ったのは此処だけの話よ」
黒澤友樹「何と・・・黒崎社長はそこまで考えて!」
小野寺圭一「要するに、良く一緒に旅した仲って話さ」
黒崎瞬「皆、只今!」
葛城麗華「いやぁ、やっと終わったぁ!」
黒澤友樹「社長!結果はどうでしたか!?」
黒崎瞬「営業の結果?上手く行きましたよ」
黒澤友樹「おぉ!流石です!」
黒崎瞬「小野寺、そっちの調子は?」
小野寺圭一「出来て明日だな」
黒崎瞬「そっか。引き続き頼むぜ」
葛城麗華「小野寺君達は何の話してたの?」
小野寺圭一「俺か?昔の相棒はやんちゃだったなぁって話よ」
黒崎瞬「おいおい・・・」
葛城麗華「今も昔も変わらないと思うけど」
黒崎瞬「ぐうの音も出ねぇな」
  俺達の仕事は順長だ。もう少し結果を出せれば、この職場も人員を増やせるのは間違い無いだろう。

次のエピソード:4 面接

成分キーワード

ページTOPへ