1 無能な社長(脚本)
〇個別オフィス
黒澤友樹「お早う御座います、相葉社長!」
相葉正孝「ん・・・んぁぁ・・・お早う。悪い寝てた」
黒澤友樹「社長、本日のスケジュールの報告に上がりました。本日は・・・」
相葉正孝「あぁ、何時も通り適当にやっといて。今日やる会議も全部欠席」
黒澤友樹「えぇ!?また欠席ですか!?」
相葉正孝「俺には俺の仕事が有るんだ。俺は忙しいから邪魔しないで」
黒澤友樹「しかし・・・そうは言われましても・・・社長にも見て貰いたい事や確認して欲しい事は沢山有ります」
黒澤友樹「何より、先代の事も有りますし」
相葉正孝「煩いなぁ、父さんの事はもう良いだろ。俺は俺のやりたい様にやるし、仕事もどうせお前等が勝手にやってくれるだろ?」
相葉正孝「何も問題無いじゃん。必要な人材は揃ってる訳だし」
黒澤友樹「そうは仰られますが、もっとこう・・・」
相葉正孝「あ、ちょっと待ってて。電話だ」
相葉正孝「もしもしぃ?あ〜!麻子ちゃぁん!今日も暇だよ!あれ?約束してた高級料理屋さん行くの今日だったっけ?直ぐ準備するから」
相葉正孝「何時もの場所で待っててね〜♥」
黒澤友樹「社長、恐縮ですが、またお出掛けに成られるのですか?」
相葉正孝「おうよ!可愛い女の子を楽しませるのも男として大事な仕事だからな!じゃ、後宜しく〜!」
黒澤友樹「全く、何であんな人が社長なんてやってるんだ・・・・・・?」
彼の名前は相葉正孝。あんな感じだけど、この相葉ジュエリーショップの現社長なのだ。前社長は彼の父で、此処に居る職員の
殆どが彼に憧れてこの職場に入社したのだ。だけど最近、前社長が寄る年波に勝てずに退職。その後継者に息子の彼、相葉正孝が
選ばれたのだった。社長と言っても、此処に来てから彼は遊び呆けてばかり。秘書で在る黒澤友樹は、溜息が出るばかりだ。
〇オフィスの廊下
黒澤友樹「全く困った物だな。こんな時先代が居てくれれば・・・・・・」
黒崎瞬「お早う御座います、黒澤先輩」
黒澤友樹「あぁ!黒崎君!お早う!調子はどうだい?」
黒崎瞬「何時も通りです。昨日、チームメンバーが新しく作った製品、今日売り込みに行きます」
黒澤友樹「そうか!宜しく頼むよ!」
俺は黒崎瞬。相葉ジュエリーショップに勤務する一般社員の一人だ。先輩の黒澤さんとたまたま出会ったのでお互いに挨拶を交わす。
黒崎瞬「先輩、朝から窶れてますけど、また社長ですか?」
黒澤友樹「そうなんだよね。業務は全部僕等に丸投げ。自分は遊びに今日も出掛けたよ」
黒澤友樹「さっきだって、麻子ちゃぁん、なんてみっともない顔して意気揚々に成っててさ。あの人が社長なのが僕には理解出来ないよ」
黒崎瞬「先輩、余り無理しないで下さいね。場合に寄っては有給使って良いんですし」
黒澤友樹「それは無理だね。あんな人の為に君達に負担を掛けるのは先輩として好ましく無いよ。僕は大丈夫だから」
黒崎瞬「分かりました。でも辛く成ったら言って下さいね」
黒澤友樹「うん、有難う」
〇オフィスのフロア
黒澤友樹「お早う御座います!」
黒崎瞬「お早う御座います・・・って!!」
仕事場に入った直後、俺は行き成りコーヒーを投げて渡された。
葛城麗華「おっはよう瞬!今日も頑張って行こうね!」
黒崎瞬「麗華・・・差し入れは嬉しいけど、もっとマシな渡し方ってのが有るだろ」
葛城麗華「え〜・・・私と瞬の仲じゃん」
黒澤友樹「ははは!二人共今日も仲が良いね!」
黒崎瞬「そんなんじゃ無いですから」
葛城麗華「まぁまぁ!これ上げるから許して!ね!?」
黒崎瞬「あ、有難う・・・・・・」
彼女は俺の幼馴染で同い年の葛城麗華。この職場ではデザイナーとしてやっていて、周囲からも中々センスが良いと評判で有る。
只、何故か俺に差し入れするときは缶やお菓子を投げて渡す。
黒澤友樹「葛城さん、例の品物はどうだい?」
葛城麗華「はい、頼まれた物はこちらに成ります」
黒澤友樹「おぉ!中々良い感じじゃ無いか!それじゃあ予定通り、黒崎君、頼んだよ」
黒崎瞬「任せて下さい!」
葛城麗華「黒澤先輩、ちょっと良いですか?」
黒澤友樹「葛城さん?」
葛城麗華「今日の営業、私も瞬、じゃ無かった。黒崎君に付いて行って大丈夫でしょうか。今日のデザインの担当は他の子がやってくれますし、」
葛城麗華「何より、私が営業行く事に成った時の為に黒崎君のやり方参考にしたいんですが」
黒澤友樹「成る程ね!分かった!それなら黒崎君、今日は葛城さんと一緒に頼むね!」
黒崎瞬「分かりました。麗華、何時でも外行ける様にしといて」
葛城麗華「うん!」
黒澤友樹「さて、社長が戻る前に仕事終わらせるか」
〇街中の道路
黒崎瞬「終わった終わった!さて、まだ時間有るし、何処かで食ってくか」
葛城麗華「そうだね!それにしても、瞬、私が作ったバッグ、あそこまで理解してるなんてビックリよ」
黒崎瞬「そりゃまぁ、営業するなら商品の良し悪しは絶対把握するべきだから、こっちが分からないと売り込みなんて出来ないからな」
葛城麗華「そっか!でも私が作った物を瞬が良く見てくれてるの、何か凄く嬉しいな」
葛城麗華「ねぇ瞬、何か作って欲しいリクエスト有ったら教えてくれない?私そう言うのもやって見たくて」
黒崎瞬「リクエストか。そりゃまた難しい事言ってくるな」
黒崎瞬「そうだな。今は特に無いけど、何か有れば相談するよ」
葛城麗華「へへ、有難う!私今日天ぷら食べたいんだけど、瞬はどうかな?良いお店知ってるから」
黒崎瞬「良いね天ぷら。なら案内して貰おうかな」
昼食の相談をしながら、俺達は天ぷらを食べに行く事にした所、俺達の視界に見慣れた人物が現れた。
黒崎瞬「あ、あれは・・・!?」
葛城麗華「瞬、どうしたの?」
黒崎瞬「麗華、こっちだ!」
葛城麗華「え?瞬?わわっ!!」
俺は慌てて麗華の手を引いて物陰に隠れた。俺達が居た場所に、社長が通っていたのだった。
浅田麻子「あそこの高級料理屋さん、凄く美味しかったね!正君!」
相葉正孝「本当美味しかった!さて、これから何処行こうか」
浅田麻子「正君、私これからブランド品見に行きたいんだけど、一緒に来てくれる?」
相葉正孝「勿論!麻子ちゃんの行きたい所は何処へだって行くよ!」
浅田麻子「有難う、正君!」
黒崎瞬「あ〜危なかった。社長、こんな所で何してたんだよ」
葛城麗華「何時も遊び呆けてたって聞いたけど、まさか本当に遊んでたのね。そりゃ黒澤先輩も溜息出るわ!」
黒崎瞬「あの女の人、誰だろう。良くあんなのに媚売れるよな」
葛城麗華「瞬聞いて。女の子の中にはね、あんな風にお金持ちに取り入ろうとしてお金巻き上げる娘も居るの」
黒崎瞬「ん?それってつまり・・・」
葛城麗華「あの娘、社長の事好きでも何でも無いわ。社長は良い様に利用されてるだけ」
黒崎瞬「マジか。直談判した方が良いかな」
葛城麗華「多分無理ね。あの人今の自分に溺れ切ってる。また黒澤先輩の溜息が多く成りそうね」
葛城麗華「まぁあんな奴放って置いて、私達は天ぷら食べに行きましょう!」
黒崎瞬「それもそうか。でもこの事は先輩に相談するとして、確かに腹減ったな」
俺達は社長の無様な姿を拝見した後、麗華お勧めの天ぷら屋に足を運ぶのだった。
〇アパレルショップ
浅田麻子「わ〜!あの服も可愛いしこの服も可愛い!どれにしようか迷うなぁ!!」
相葉正孝「大丈夫だよ麻子ちゃん。お金も時間もタップリ有るから!」
俺達が天ぷらを食べてる頃、社長は麻子と名乗る女性とショッピングモールの服屋に来ていた。一応、この麻子と言う女性は
キャバクラで働いている人で、社長は良くキャバクラや夜の店に行く方で、この麻子と言う女性と会った時は初対面にも関わらず
社長と意気投合したらしいが、真相は如何な物か。
浅田麻子「どうしようかなぁ、このままじゃ日が暮れちゃうし、他のお店も行きたいし」
相葉正孝「麻子ちゃん、この際だから気に入った奴全部買っちゃえば?俺が全部払うからさ!」
浅田麻子「え!?有難う正君!それじゃあ、あれと、これと、それと!」
社長に促されて、麻子は気に入った服を片っ端から買い物カゴに詰めて、社長と一緒にレジへ向かった。
お店の店員「いらっしゃいませ!お会計で宜しいですか?」
相葉正孝「うん、これ全部ね!」
お店の店員「畏まりました!お会計は・・・・・・86万円に成ります!」
相葉正孝「はいはい!取り合えずこれでお願い!」
お店の店員「畏まりました!」
お店の店員「お買い上げ有難う御座います!またのお越しを心よりお待ちしております!」
浅田麻子「正君!有難う!」
相葉正孝「どういたしまして!今度は何処行こうか!」
一体どれだけ買ったのか、社長はクレジットカードで会計を済まして麻子と共に別の店へと歩き出した。その後も
靴屋やアクセサリーショップ等と店を周り、常人では払えない様な多額の買い物を楽しんだとか。
金持ちのボンボンはいいですね! 2代目 憧れます😀
社長のカードはブラックカード かな?
ワクワクするコメディ展開で先が楽しみです👍