ラクリメント

ico

第九涙 愛の理由(脚本)

ラクリメント

ico

今すぐ読む

ラクリメント
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇睡蓮の花園
菖(しょう)「・・・そろそろ行こう・・・ ここに長居するのも 危険だ・・・」
佐須良(さすら)「ああ そうだな!!」
瑚蓮(これん)(佐須良は・・・ 肝心な事は・・・ 何も言わない・・・)
瑚蓮(これん)(全部 自分の所為だと言うけど・・・)
佐須良(さすら)「瑚蓮・・・行くぞ?」
瑚蓮(これん)「・・・うん」
(私は・・・ 知りたい・・・)

〇祭祀場
  はじまりは
  
  戯れ
  命の灯火の一つを・・・
  幼い橙鬼と蒼鬼に
  
  選ばせた
  その命の灯火が消えた時・・・
  幼い蒼鬼には
  
  その魂を・・・
  幼い橙鬼には
  
  この座を・・・
  くれてやると・・・
  
  戯れた
  そう・・・
  これは”戯れ”
  戯れなのだ

〇太子妃の御殿
菖(しょう)「・・・もうここまで来たら 大丈夫だろ・・・」
瑚蓮(これん)「うん ありがとう」
菖(しょう)「・・・オレは天界に報告して来る 佐須良 瑚蓮に付いてやってくれ」
佐須良(さすら)「いや、我が天界へ報告を──」
菖(しょう)「いいから!! 瑚蓮の事、頼んだわよ!!」
瑚蓮(これん)「・・・行っちゃった・・・」

〇後宮の一室
瑚蓮(これん)「・・・なんか・・・ 疲れたね・・・」
佐須良(さすら)「おう 今日は、もう休め」
佐須良(さすら)「我は部屋のすぐ外で見張っているから・・・」
瑚蓮(これん)「佐須良! 一緒に寝て!!」
佐須良(さすら)「えっ!?」
佐須良(さすら)「わ、我は嬉しいが!? その!! まだ我等には早かろう!?」
瑚蓮(これん)「???」
瑚蓮(これん)「──って・・・」
瑚蓮(これん)「い、一緒に寝てって・・・ そういう意味じゃないからっ!!!!!!」
佐須良(さすら)「何だ!? 違うのか・・・!! そうだよな!! 違うよな・・・!!」
瑚蓮(これん)「ご、ごめん 変な事言って・・・」
佐須良(さすら)「・・・良い良い・・・ ・・・不安なのだろう?」
瑚蓮(これん)「・・・うん・・・」
佐須良(さすら)「・・・では そなたが眠るまで 添い寝してやろう!」

〇御殿の廊下
夕顔(ゆうがお)「遅いぞ! 菖!! 待ちくたびれた──って・・・」
夕顔(ゆうがお)「満身創痍だな!?」
菖(しょう)「夕顔様・・・ 報告が遅くなり・・・ 申し訳ございません」
夕顔(ゆうがお)「瑚蓮は・・・ 無事であろうな!?」
菖(しょう)「平行世界の記憶・・・ 全てが蘇ってしまいましたが・・・」
菖(しょう)「命は無事です・・・」
夕顔(ゆうがお)「・・・そうか・・・ ご苦労であったな・・・」
夕顔(ゆうがお)「天界が瑚蓮を護れるのは・・・ 沙羅の國にいる時だけ・・・」
夕顔(ゆうがお)「やはり・・・ この箱庭の外では・・・ 護れなかったか・・・」
夕顔(ゆうがお)「だが・・・これ以上・・・ 天界も黙ってはおれんっ!!」

〇後宮の一室
瑚蓮(これん)(・・・添い寝してくれてるのは・・・ ありがたいけど・・・)
瑚蓮(これん)(やっぱりちょっと・・・ ドキドキするな・・・)
佐須良(さすら)「・・・眠れないのか?」
佐須良(さすら)「眠れないのなら・・・」
佐須良(さすら)「ほら! この羽根をやろう・・・」
瑚蓮(これん)「あっ! この羽根って・・・!!!! 佐須良の羽根だったの!?」
佐須良(さすら)「うむ! 安眠効果がある ありがた〜い羽根だ♪」
瑚蓮(これん)(・・・そっか・・・ いつも・・・ 見守ってくれていたのね・・・)
瑚蓮(これん)「・・・ありがとう」
瑚蓮(これん)「・・・私・・・ 佐須良に謝らなきゃ・・・」
佐須良(さすら)「ん? 何故だ?」
瑚蓮(これん)「・・・前に・・・ 『私の事、何も知らないのに・・・』って 怒って・・・ ごめんなさい」
瑚蓮(これん)「佐須良は・・・ 全部知ってたのに・・・」
瑚蓮(これん)「知ってて・・・ 私を心配しての言葉だったのに・・・」
佐須良(さすら)「・・・もう良いのだ・・・」
瑚蓮(これん)「ねぇ? 佐須良」
瑚蓮(これん)「どうして菖さんに 私の平行世界の過去を 食べてって・・・ 頼んだの?」
瑚蓮(これん)「教えて?」
佐須良(さすら)「・・・」
瑚蓮(これん)「どんな理由でも・・・ もう無闇に怒らないから・・・」
佐須良(さすら)「何から・・・ 話せば良いか・・・」

〇歯車
  我は──神馬
  穢れを祓い──刻を翔ける事が出来る──
  神馬なのだ
佐須良(さすら)「はじまりは・・・ そなたの父母を助けたのが・・・ はじまりだった・・・」
佐須良(さすら)「助けた礼に・・・ そなたの父母は こう言った」
「この子を あなた様の嫁に!!」
佐須良(さすら)「我は・・・嬉しかった」
佐須良(さすら)「・・・だが・・・ そなたの父母が殺され・・・」
佐須良(さすら)「・・・その約束を憶えているのは・・・ 我だけになった・・・」
佐須良(さすら)「そして・・・想ったのだ・・・」
佐須良(さすら)「無理矢理・・・ 我の許嫁であるよりも・・・」
佐須良(さすら)「瑚蓮の未来に・・・ きっと・・・ 我よりも──」
  相応しい伴侶がいるのではないか?と
  そなたの幸せを願って・・・
  翔けたが・・・
佐須良(さすら)「どれも── そこに待つのは・・・」
佐須良(さすら)「そなたと伴侶の──」
佐須良(さすら)「『死』か 『悲しい別離』──」
佐須良(さすら)「平行世界の過去など・・・ 誰も知らないで生きていけるだろう・・・」
佐須良(さすら)「だが・・・ そなたは・・・ どうやら・・・ 『夢見』でその平行世界の記憶が 見えてしまうらしい・・・」
佐須良(さすら)「だから・・・ 願った・・・」
  思い出したくない記憶なら──
  呪いたくなるような記憶なら──
佐須良(さすら)「『忘れてしまえ』」
佐須良(さすら)「──と願った」
佐須良(さすら)「そして──」
佐須良(さすら)「今の平行世界に辿り着き・・・」
佐須良(さすら)「菖に出逢った・・・」
佐須良(さすら)「菖も言った」
菖(しょう)「見ているだけは もう嫌よ!」
菖(しょう)「アタシは、瑚蓮の俱生神・・・ 未来を見る力を持つ姉さんはもういないけど・・・」
菖(しょう)「イヤな過去を食べて・・・ 記憶から消す力なら・・・あるわ!!」
佐須良(さすら)「ならば、頼めるか? 我が見てきた 瑚蓮の『辛い過去』を・・・ 消してくれ・・・!!!!」
菖(しょう)「それで・・・ 瑚蓮が幸せに暮らせるならば・・・ 喜んで!!」
菖(しょう)「・・・でも・・・ アタシが平行世界の過去を食べたら・・・」
菖(しょう)「この世界では・・・その食べた過去の伴侶には・・・ 出逢えなくなってしまうわ・・・」
菖(しょう)「アタシが食べるって事は・・・ 『瑚蓮の未来の可能性』を失くすって事だもの・・・」
菖(しょう)「姉さんの力があれば・・・また別の可能性が拓けるのかもしれないけど・・・ 姉さんは・・・ もういない・・・」
佐須良(さすら)「それでも・・・ 我は──!!!!」
佐須良(さすら)「これ以上、瑚蓮の辛い姿を見たくないッッッ!!!!!!」
佐須良(さすら)「・・・身勝手な願いだ・・・」
佐須良(さすら)「瑚蓮に恨まれても構わん!」
佐須良(さすら)「瑚蓮が幸せになるならば・・・ 笑顔でいられるならば・・・」
佐須良(さすら)「『消してくれ』」

〇後宮の一室
瑚蓮(これん)「佐須良は・・・」
佐須良(さすら)「ん?」
瑚蓮(これん)「・・・佐須良は・・・ どうして・・・ そんなに私を・・・ 気にかけてくれるの?」
佐須良(さすら)「・・・それはだな・・・」
佐須良(さすら)「そなたが・・・ 我の嫁だからだ!!」
瑚蓮(これん)「・・・父さま母さまは・・・ もういない・・・ 佐須良の方こそ・・・ 私に縛られる必要なんて・・・ ないんだよ?」
佐須良(さすら)「・・・我は・・・ そなたの父母と約束を交わさなくとも・・・」
佐須良(さすら)「そなたを見つけて・・・ 好きになっただろうな!!」
瑚蓮(これん)「えっ!?」
佐須良(さすら)「我は・・・ そなたが・・・ 好きなのだ・・・」
佐須良(さすら)「・・・この気持ちが『愛』ならば・・・ 我は・・・ そなたを・・・ 愛しく想っている・・・」
佐須良(さすら)「・・・それが気にかける理由・・・ では・・・駄目か?」
瑚蓮(これん)「ダメじゃない・・・けど・・・ 佐須良なら・・・ 他にも・・・ 私じゃなくても・・・」
佐須良(さすら)「我は!! 瑚蓮しか見えておらんからな!!」
瑚蓮(これん)「・・・」
佐須良(さすら)「って──もう朝か!?」
佐須良(さすら)「瑚蓮! 我はちょっと外を見回って来る! そなたはもう少し・・・ 寝ておるのだぞ!!」
瑚蓮(これん)「・・・行っちゃった・・・」

次のエピソード:第十涙 相応しい人

コメント

  • 閻魔パパの思いからの〜明かされるサスラの気持ち!
    不器用さんたちの遠回りな愛が、ついに報われるのかしら。ワクワク✨
    コレンもまんざらでも無い様子に、終始ニヤニヤしてしまいました😍

  • 瑚蓮から添い寝を求められて、照れたり喜んだり悶えたりという佐須良の様子が🤣 これまでの作中に張り詰めた空気がすっと緩んだ感じですね😂
    そこからの二人語り、その真っ直ぐで清明な内容に目頭が熱くなってしまいました🥲

  • ここ最近コレンが辛い目にあう展開ばかりだったので甘々なロマンス展開にヒュ〜😘と囃し立ててました笑
    これから産まれる娘を嫁に!となかなかなパワーワード(笑)でしたが、サスラの献身的な想いはその言葉に縛られたものではなく、純粋にコレンへの愛情であるということが分かり一安心です☺️

成分キーワード

ページTOPへ