第十涙 相応しい人(脚本)
〇祈祷場
〇睡蓮の花園
『祈る心』も・・・
『別れる心』も・・・
『恋する心』も・・・
『見送る心』も・・・
全て大切な想いだから・・・
奪ってしまって悪かった
そなたの全てを
『愛しい』と想う
この気持ちは・・・
そなたが思い出した
大切な想いよりも・・・
勝るだろうか?
そなたを『愛する心』が
そなたの記憶に残ってくれるよう・・・
願わずにはいられない
〇神社の本殿
瑚蓮(これん)「棗さん! 『七夕の節句』お疲れ様でした!!」
棗(なつめ)「あら! ありがとう!!」
瑚蓮(これん)「とっても素敵でした!!!!」
棗(なつめ)「・・・」
棗(なつめ)「瑚蓮さん・・・」
瑚蓮(これん)「私も見習って・・・頑張ります!!!! ・・・って── はい!! なんでしょう?」
棗(なつめ)「・・・何かあった?」
瑚蓮(これん)「えっ!?」
棗(なつめ)「前は・・・ 嘘くさい笑顔だったけど・・・」
棗(なつめ)「最近は・・・ 良い顔するようになったじゃない!?」
瑚蓮(これん)「ええっと・・・?」
棗(なつめ)「これも全て・・・ 彼氏さんのおかげかしら?」
瑚蓮(これん)「彼氏?」
棗(なつめ)「とぼけないでよ・・・!!」
棗(なつめ)「ね?ね? どこまで進んだの!? 教えてちょうだい♪」
瑚蓮(これん)「いや・・・進むって・・・???」
棗(なつめ)「キャあぁああぁぁ♡ ここでは言えないトコロまで 進んでいるのね!!!!!!」
瑚蓮(これん)「いや、何も始まってないですし・・・ 棗さんの期待に添えられるものは・・・ 何も・・・?」
???「瑚蓮ー!!」
棗(なつめ)「早速、彼氏さんのお迎えね!」
佐須良(さすら)「瑚蓮!棗殿!」
棗(なつめ)「佐須良さん! ごきげんよう♪」
佐須良(さすら)「ごきげんよう!!棗殿!! いやぁ・・・!! 素晴らしい舞であった!!」
棗(なつめ)「ありがとう!! 褒めていただいて嬉しいわ!! ・・・でも・・・」
棗(なつめ)「佐須良さんは・・・ 瑚蓮さんが舞った方が・・・ 嬉しいのではなくて?」
瑚蓮(これん)「えっ!?」
佐須良(さすら)「そうだな!! 瑚蓮の舞は・・・ 我にとって格別だからな!! 心の臓が 止まるやもしれん!」
棗(なつめ)「キャぁぁぁ!!!!!!もうッッッ!!!! 惚気ないでよ!? ご馳走様♡」
棗(なつめ)「二人のやり取りをずっと眺めていたいけど・・・ 残念だわ・・・ これから用があるから・・・」
棗(なつめ)「じゃあ、またね?」
瑚蓮(これん)(何か・・・棗さん・・・ 会う度に・・・ 壮大な勘違いを・・・!?)
佐須良(さすら)「我等も帰ろう!」
瑚蓮(これん)「う、うん!」
〇草原
瑚蓮(これん)「・・・ねぇ?佐須良?」
佐須良(さすら)「ん?どうした?」
瑚蓮(これん)「・・・私・・・変わったかな?」
佐須良(さすら)「ん?」
瑚蓮(これん)「いや、さっき棗さんに・・・ 『変わったね』って言われてね・・・」
瑚蓮(これん)「良い顔で笑うようになったって!」
佐須良(さすら)「・・・それは・・・きっと・・・」
佐須良(さすら)「『心』が舞い戻ったからだな・・・」
瑚蓮(これん)「『心』?」
佐須良(さすら)「菖は『四つの平行世界の記憶』と共に・・・ そなたの『四つの心』も 食べていたのだろう・・・」
佐須良(さすら)「その記憶と共に心も・・・ 蘇った・・・ その心あってこそ 本来のそなたなのであろう・・・」
瑚蓮(これん)「うーん・・・ 自分じゃよくわからないんだけど・・・」
瑚蓮(これん)「でもね・・・ 何か心に空いた穴が埋まったような・・・ そんな・・・気分」
瑚蓮(これん)「無理しなくてもいいんだ・・・ って思えるような・・・?」
佐須良(さすら)「四つの記憶は・・・ そなたの・・・重荷になってないか?」
瑚蓮(これん)「最初は・・・ 悲しくて・・・辛かった・・・」
瑚蓮(これん)「けど・・・今は・・・ 蘇って良かったって思えるの!!」
瑚蓮(これん)「普通は・・・ 平行世界の記憶なんて 覚えてないし・・・ 『知らなくてもいい記憶』・・・」
瑚蓮(これん)「でも! 私には、その記憶が四つもあるの!」
瑚蓮(これん)「ちょっと得した気分♪」
佐須良(さすら)「そうか・・・」
佐須良(さすら)「瑚蓮は強いな!! 惚れ直したぞ!!!!」
瑚蓮(これん)(そう言えば・・・ この間・・・)
瑚蓮(これん)(佐須良から『愛しい』って 言われてたのよね・・・ あの時・・・ 返事がうやむやになっちゃってたんだけど・・・)
佐須良(さすら)「・・・瑚蓮・・・ あれから・・・ 彼奴らは・・・夢に介入して来ないか?」
瑚蓮(これん)「えっと!? 彼奴らって・・・ 萱草と紫苑のこと!?」
佐須良(さすら)「ああ」
瑚蓮(これん)「大丈夫!! 今のところ何もないから!!」
佐須良(さすら)「・・・何かあったら・・・ すぐに言うのだぞ?」
瑚蓮(これん)「・・・佐須良は 私を甘やかし過ぎ!!」
佐須良(さすら)「ハハハッ!!」
佐須良(さすら)「瑚蓮・・・ 手を繋いでもいいか?」
瑚蓮(これん)「うん いいよ・・・」
佐須良(さすら)「ちょっと・・・寄り道して帰ろう」
瑚蓮(これん)「?」
〇睡蓮の花園
瑚蓮(これん)「うわぁぁ!! やっぱり・・・ この時間帯の水源ってキレイだねー!!!!」
瑚蓮(これん)「ふふ・・・」
佐須良(さすら)「ん?どうした?」
瑚蓮(これん)「・・・佐須良とはじめて逢った時を 思い出しちゃった・・・!!」
佐須良(さすら)「・・・ぁぁ・・・あの時は・・・ すまんかったな・・・」
瑚蓮(これん)「この辺だっけ? 佐須良、倒れてて・・・ あの時は・・・ びっくりしたよ!?」
瑚蓮(これん)「『我の嫁ーー!!!!!!』」
瑚蓮(これん)「──って、起きるなり 抱きついて来るんだもん!!」
佐須良(さすら)「すまん・・・すまん」
佐須良(さすら)「あの時は・・・ 別の平行世界を翔けた直後でな・・・ 時差ボケみたいなものだ」
瑚蓮(これん)「そうだったのね・・・」
佐須良(さすら)「・・・ところで・・・瑚蓮」
瑚蓮(これん)「ん?なぁに?」
佐須良(さすら)「この世界で・・・ 好きな奴は・・・ 誰かおるか?」
瑚蓮(これん)「んん???」
佐須良(さすら)「おるならば、全力で力になるぞ!!」
瑚蓮(これん)「んん!? えっと・・・?」
佐須良(さすら)「ん?・・・やっぱり菖か!?」
佐須良(さすら)「それとも・・・ 我の知らない誰か・・・──」
瑚蓮(これん)「ちょっと待って? ちょっと待って!佐須良!!」
佐須良(さすら)「ん?何だ? 恥ずかしいのか?」
瑚蓮(これん)「・・・いやいやいや!! 話が見えないって言うか・・・!?」
瑚蓮(これん)「佐須良は? 佐須良は・・・ 私の事、好きなんじゃないの!?」
佐須良(さすら)「何を言う! もちろん大好きに 決まっておろう?」
瑚蓮(これん)「・・・じゃあ・・・ どうして? 私が他の男の人と 仲良くしても・・・ いいの?」
佐須良(さすら)「嫌だ!!!!」
瑚蓮(これん)「んん???」
佐須良(さすら)「・・・嫌だが・・・ 我は・・・ そなたが幸せならば・・・ 身を引こう・・・」
瑚蓮(これん)(瑚蓮・・・ レッスン1よ・・・ 考えろ・・・考えろ・・・)
瑚蓮(これん)(怒る前に・・・ 相手の気持ちを・・・ 考えろ・・・!!)
佐須良(さすら)「こ、瑚蓮?」
瑚蓮(これん)「・・・それも・・・ 私を想っての・・・ 言葉・・・だよね?」
佐須良(さすら)「ああ 我よりも相応しい者が──」
瑚蓮(これん)「佐須良は・・・ 自分が私に相応しくないって 思ってるの!?」
佐須良(さすら)「いや・・・それは・・・!!」
瑚蓮(これん)「・・・じゃあ・・・!! 私も佐須良に相応しくないかもしれない!!」
佐須良(さすら)「!?」
瑚蓮(これん)「・・・私よりも・・・ 佐須良にお似合いの女の人と・・・」
瑚蓮(これん)「お幸せに!!!!!!!!」
佐須良(さすら)「こ、瑚蓮!!!!!!」
〇草原
瑚蓮(これん)「・・・菖さん・・・ ダメだった・・・」
瑚蓮(これん)「せっかく助言してくれたのに・・・」
瑚蓮(これん)「また・・・怒っちゃった・・・」
瑚蓮(これん)「・・・」
瑚蓮(これん)(自分で言ってて・・・何だけど・・・)
瑚蓮(これん)「私の方こそ 佐須良には似合わないよ・・・」
瑚蓮(これん)「・・・イヤな女の子って・・・ 思われちゃったかな・・・?」
瑚蓮(これん)「・・・嫌われちゃったかな・・・?」
???「なーにブツブツ言ってんの!?」
瑚蓮(これん)「──って・・・菖さん・・・──!?」
菖(しょう)「帰りが遅いから心配して来てみれば・・・ 佐須良は? 一緒じゃないの?」
瑚蓮(これん)「し・・・菖さ〜ん!!!!」
菖(しょう)「何!? どうしたの!?」
恋心を不器用ながら育んでいこうとする2人を見てニヤニヤが止まりません😂
そして、棗さんのシーンではいつも笑ってしまいます🤣