4 妖狐と佐恵(脚本)
〇綺麗な一戸建て
久遠 陽菜(くおん ひな)「ああ~! 着替えてたら、佐恵がいな~い!」
久遠 陽菜(くおん ひな)(ん? 佐恵の家の前‥赤い、煙?)
久遠 陽菜(くおん ひな)(あっちにも!)
久遠 陽菜(くおん ひな)(佐恵の家の前から始まってる‥)
久遠 陽菜(くおん ひな)(ってことは、煙の方向に佐恵がいる?)
久遠 陽菜(くおん ひな)(煙って! ‥玲仁が言ってたヤツ?)
久遠 陽菜(くおん ひな)(緋色の煙‥見かけたら教えろって言ってたけど!)
久遠 陽菜(くおん ひな)(玲仁がいないときに)
久遠 陽菜(くおん ひな)(どうやって教えればいいのよお!!)
久遠 陽菜(くおん ひな)(だんだん煙が消えていってる‥)
久遠 陽菜(くおん ひな)(あ~! もう!)
久遠 陽菜(くおん ひな)(佐恵を探すほうが先! 玲仁には、あとで知らせればいいや!)
〇通学路
久遠 陽菜(くおん ひな)(えっと‥緋色の煙は‥)
久遠 陽菜(くおん ひな)(あった!)
〇川に架かる橋
〇林道
久遠 陽菜(くおん ひな)(ここ、林道の入り口じゃん)
久遠 陽菜(くおん ひな)(佐恵、この中に入っていったの?)
久遠 陽菜(くおん ひな)(暗くて怖いけど‥)
久遠 陽菜(くおん ひな)(‥よし!)
〇けもの道
久遠 陽菜(くおん ひな)(足元がよく見えない‥)
久遠 陽菜(くおん ひな)(ん!? 話し声?)
〇山の中
緋紗(ひさ)・九尾の狐「はぁ~! やはり木々は心地よいなぁ」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「佐恵の中にいる時も、楽しい時間であったぞ」
蘇芳 佐恵(すおう さえ)「それは、良かったです」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「佐恵、キズナ石をここに」
蘇芳 佐恵(すおう さえ)「はい」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「くそっ! まだふれられぬか!!」
久遠 陽菜(くおん ひな)(佐恵‥?)
緋紗(ひさ)・九尾の狐「玲仁が創りし結界か‥それとも、わらわの力が弱すぎるのか‥」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「ああ、忌々しい!」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「まあ良い。わらわの力も、そのうち復活するであろう」
緋紗(ひさ)・九尾の狐(しかし‥さすがに玲仁もキズナ石がないことに気づいている、か?)
緋紗(ひさ)・九尾の狐(わらわの封印が解けていることも‥)
緋紗(ひさ)・九尾の狐(昨日感じた玲仁の気は、わらわとキズナ石を探しているということか‥?)
緋紗(ひさ)・九尾の狐(もしそうなら、時間を稼がねば‥)
緋紗(ひさ)・九尾の狐(わらわの力が復活するまで)
緋紗(ひさ)・九尾の狐(先手必勝で、体力を削っておくか?)
緋紗(ひさ)・九尾の狐「のう佐恵。 おぬしには感謝しておる」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「佐恵のおかげで、外界に出ることができ」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「キズナ石を手中に収めることができた」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「ふれることは、叶わぬがな」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「キズナ石にふれられるのは、おぬしだけじゃ」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「佐恵、キズナ石をなくすでないぞ?」
蘇芳 佐恵(すおう さえ)「はい、緋紗様」
久遠 陽菜(くおん ひな)(佐恵の様子、絶対おかしい!)
久遠 陽菜(くおん ひな)「佐恵!」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「な、なんじゃ! 貴様!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「佐恵! ねえ佐恵!? 私と一緒に帰ろう?」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「佐恵は、わらわのものじゃ! 渡さぬ!」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「き、消えよった!」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「‥なにやつ」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「まさか、巫女‥!?」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「もしや、玲仁のさしがねか!?」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「あの巫女‥佐恵の名を呼んでおったな」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「佐恵、あやつとはどういう仲じゃ?」
蘇芳 佐恵(すおう さえ)「同じ‥学校に‥」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「学校‥佐恵が通っておった、あの場所か」
緋紗(ひさ)・九尾の狐「ふふふ‥いい事を思いついたわ」
〇林道
〇林道
玲仁(れいじ)・神弧「陽菜!」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜! おい!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲‥仁?」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜! 陽菜!!」
〇女の子の二人部屋
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜! 目覚めたか」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁? あれ? ここ私の部屋?」
玲仁(れいじ)・神狐「心配したぞ、陽菜」
玲仁(れいじ)・神狐「そなたになにかあったらと考えただけで、我は‥!」
久遠 陽菜(くおん ひな)(手‥あったかいと思ったら)
久遠 陽菜(くおん ひな)(ずっと‥握っててくれたの?)
久遠 陽菜(くおん ひな)「えっと‥私」
玲仁(れいじ)・神狐「我が天上から戻った際に、部屋におらぬから」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜を探していたら」
玲仁(れいじ)・神狐「林の入り口で倒れておったのじゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そうだ!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「佐恵! 緋色の煙! キズナ石! キレイな女の人にバーンって!」
玲仁(れいじ)・神狐「お、落ち着け! 陽菜!」
玲仁(れいじ)・神狐「なるほど‥緋紗と陽菜の友人、佐恵がキズナ石を持っていたか」
久遠 陽菜(くおん ひな)「緋紗って、着物姿のキレイな女の人のことだよね?」
玲仁(れいじ)・神狐「‥女人の姿をしておるが、あやつは九尾の狐、妖狐じゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「妖狐?」
玲仁(れいじ)・神狐「うむ。はるか古に、我が封印していた」
久遠 陽菜(くおん ひな)「佐恵のおかげで外に出られたって言ってたよ!」
玲仁(れいじ)・神狐「佐恵が‥そういうことか」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ねえ、佐恵の様子‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「緋紗のこと、『緋紗様』とか言ってて」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あきらかに変だったんだけど」
玲仁(れいじ)・神狐「‥傀儡の術やもしれぬな」
久遠 陽菜(くおん ひな)「なに? その術」
玲仁(れいじ)・神狐「自身の配下にし、意のままに操る術じゃ」
玲仁(れいじ)・神狐「佐恵は、なにか心に負の感情を宿していなかったか?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そんなの‥わかんないよ」
玲仁(れいじ)・神狐「心が弱っていると、つけこまれやすくなるのじゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「‥そんな!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「早く、佐恵を助けなきゃ!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ‥私、佐恵を連れて帰ろうとしたんだった!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「でもいきなり、緋紗に攻撃されて‥」
玲仁(れいじ)・神狐「・・・」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜。そなたは無謀がすぎる!」
玲仁(れいじ)・神狐「緋紗の攻撃をさけられたのは、無意識に巫女の力が働いたからであろう」
玲仁(れいじ)・神狐「もし、巫女の力が働いていなかったら‥!」
玲仁(れいじ)・神狐「‥まだ巫女の力は、覚醒しきっておらぬ」
玲仁(れいじ)・神狐「今回は運がよかったと思え」
久遠 陽菜(くおん ひな)「‥はい」
玲仁(れいじ)・神狐「まったく、緋色の気のことも話していたというに‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ごめんなさい、玲仁」
玲仁(れいじ)・神狐(はっ、厳しく言いすぎたか‥?)
玲仁(れいじ)・神狐「‥あ、あー」
玲仁(れいじ)・神狐「まぁ、陽菜は思うように行動すればよい」
久遠 陽菜(くおん ひな)「へ?」
玲仁(れいじ)・神狐「なにかあれば、我が必ずそなたを護る」
久遠 陽菜(くおん ひな)「‥玲仁」
玲仁(れいじ)・神狐「さて、これからすべきことじゃが‥」
玲仁(れいじ)・神狐「キズナ石は、邪悪な気を持つ者にはさわれない」
玲仁(れいじ)・神狐「だが、それを緋紗が知ったとき、キズナ石の破壊を画策するやもしれぬ」
玲仁(れいじ)・神狐「これは最悪の想定だが‥そうなる前に」
玲仁(れいじ)・神狐「巫女の力の覚醒が急務」
玲仁(れいじ)・神狐「覚醒させるための修練が必要じゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「修練‥?」
玲仁(れいじ)・神狐「日々の生活の合間で」
玲仁(れいじ)・神狐「我が直々に指南してやろう」
久遠 陽菜(くおん ひな)「お、お手柔らかに‥」
玲仁(れいじ)・神狐「では、陽菜」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ん?」
玲仁(れいじ)・神狐「体調がなんともなければ、行くのだろう?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「‥どこに?」
玲仁(れいじ)・神狐「昨日も行った、学校じゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ、あ! そう! 今日も学校だよ~!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「今って‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「この時間なら‥余裕余裕♪」
久遠 陽菜(くおん ひな)「佐恵、家に帰ってるかな‥?」
玲仁(れいじ)・神狐「我も共に向かおう」
久遠 陽菜(くおん ひな)「‥うん」
〇一戸建て
久遠 陽菜(くおん ひな)(昨日のことがあるから‥なんだか緊張しちゃう)
佐恵の母「はい?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ! 陽菜です! おはようございます!」
佐恵の母「あら、陽菜ちゃん? おはよう!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あの、佐恵さんは‥?」
佐恵の母「え? 佐恵って‥誰のこと?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「え!?」
〇市街地の交差点
久遠 陽菜(くおん ひな)「あり得ないあり得ない!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あり得ないよお~~!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「佐恵のお母さんが、佐恵のこと忘れてるなんて!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「早く学校に行って、確かめなきゃ!」
玲仁(れいじ)・神狐「・・・」
〇学校の廊下
山木 利香(やまき りか)「おっはよ~♪ 委員長!」
山木 利香(やまき りか)「こらこら~、廊下を走っちゃダメだぞ? なんて~♪」
久遠 陽菜(くおん ひな)「利香ちゃん、おはよう」
久遠 陽菜(くおん ひな)「昨日、佐恵が夜中に出歩いてたのを見かけたって教えてくれたでしょ?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「それで──」
山木 利香(やまき りか)「えー、そうだっけ?」
山木 利香(やまき りか)「てか」
山木 利香(やまき りか)「佐恵って‥誰?」
久遠 陽菜(くおん ひな)(利香ちゃんも、佐恵のこと忘れちゃったの?)
久遠 陽菜(くおん ひな)(佐恵の存在が‥みんなの中からいなくなってる!?)
久遠 陽菜(くおん ひな)(ああ、佐恵‥!)
スチルの挿入が、まるでアニメを見ているかのようにスムーズに流れているのは流石です。
コメディとサスペンスの融合も世界観がしっかりしているから可能なんだなと安心して見れますね。
ハラハラするサスペンス描写がいいですね!!
スチルはやっぱり臨場感があってすごいです 🤩
映画みたいで続きが楽しみですね!!
ドキドキしながら読み進めました!
次なる展開が楽しみです。
効果音などの使い方も素晴らしく
小説の世界に入り込める作品でした👏✨✨