失恋中の俺は姫と公国再建中

ルーデンス

第四話 アシリア女王陛下万歳(後編)(脚本)

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〇ヨーロッパの街並み
コリンズ司令官「小隊、止まれ。ヘンリーはどこまで逃げたんだ」
コリンズ司令官「どうしたんだい?村長」
村長「オズワルドが・・・殺された」
コリンズ司令官「ええっ!警察は?」
村長「オズワルドが警察官だったから今は不在じゃ」
コリンズ司令官「そうか、私でよければ指揮を執るよ」
村長「助かります、それでは、現場へ」

〇屋敷の書斎
村長「ここじゃ」
コリンズ司令官「酷い」
  コリンズは床に落ちてた携帯に目を向けた
コリンズ司令官「何だこれ?」
村長「オズワルドはそれで魔物と連絡を取っていたようですのじゃ」
コリンズ司令官「ふむふむ、手掛かりになるかも・・・ところで、村長。ヘンリーを見なかったか?」
  そう言うと手配書を差し出した
村長「オズワルドの息子じゃぁないか・・・彼が?」
コリンズ司令官「国王夫妻殺しの容疑者の一人なんだ」
村長「ええっ!」
コリンズ司令官「ヘンリーはよくオズワルドを訪ねてきたのか?」
村長「はい、その度にオズワルドと言い争いに」
コリンズ司令官「何を話してたか聞いてるか?」
村長「何でも魔物を動員するとか、しないとか」
コリンズ司令官「オズワルドは魔物と繋がりがあるとでも?」
  村長は寂しくかぶりを振った
村長「オズワルドは魔物を動員する力はないとヘンリーに言ってました」
コリンズ司令官「そうか、我々はヘンリーを捕縛する使命を帯びてるので先に進むが後の処理はよろしく頼む」

〇戦線のテント
  その頃、マクシミリアン伯爵軍は山とシクエヌス湖に挟まれた細い街道にある草原に野営していた
ダフィット(アリシア姫を捕える事ができず作戦は失敗した事を何て弁明しようか)
兵士「司令官殿、ヘンリーと名乗る者が面会をしたいと申しております」
ダフィット(( ´ー`)フゥー...やはり儂は正攻法で行くのが性に合っているな)
ダフィット「ヘンリーか・・・通せ」
ヘンリー「ダフィット、約束通り俺は国王夫妻を殺害した・・・次はお前がトルメニアを占拠し俺を国王にする番だ」
ダフィット「その件だが、チョット計算違いが起きてしまってな・・・一旦国に帰る」
ヘンリー「な、何それでは、約束が」
ダフィット「そもそも、お前は后の隠し子であって国王の血筋ではない」
ヘンリー「その隠し子を国王になれると俺様に焚き付けたのはお前じゃぁないか」
ダフィット「じゃぁ、魔物軍団は引き連れて来たんだろうな」
ヘンリー「そ、それは」
ダフィット「約束違反はお互い様だな・・・この話なかった事にする」
ヘンリー「そ、そんなー騙したな」
ダフィット「伝令兵・・・皆に伝えよ帰還する」
ヘンリー「俺もマクシミリアンまでついて行く」
  その時、ダフィットの剣先がヘンリーの肩を切った
ダフィット「お前が我が国に来たらこの陰謀がばれちまうんだよ」
ヘンリー「クソ、騙したな」
ダフィット「歩哨、逃げた男を斬れ」
歩哨「騎兵が向かってきます」
  ダフィットは遥か後方に土埃を見た
ダフィット(ヘンリーを追って来たのか・・・まぁ、いい手柄の一つもないと責められるからな)
ダフィット「重装歩兵はここで道を塞げ、軽装歩兵と騎兵は林の中に隠れて命令を待て」

〇河川敷
  コリンズ司令官達が湖の横の道を馬で駆けて来た
コリンズ司令官「な、何でこんな所にマクシミリアン伯爵軍の重歩兵がいるんだ?」

〇戦線のテント
ダフィット「者共、存分に暴れてこい」
ダフィット「今だ、重装歩兵突撃せよ」

〇河川敷
兵士「重装歩兵がこちらに突撃して来ます」
コリンズ司令官「ぬぅ、蹴散らせ・・・騎兵突撃」

〇戦線のテント
ダフィット「よし、今だ軽装歩兵は敵の背後をつけ」

〇河川敷
兵士「背後より敵の軽装歩兵が、司令官」
コリンズ司令官「ぬぅ、挟まれたか」
兵士「敵の重装歩兵前線を突破して来ます」
コリンズ司令官「よし、後方の軽装歩兵を先に退治するぞ、突撃!!」

〇戦線のテント
ダフィット「かかった!!よし、騎兵は敵の脇腹に押し出して敵を湖に突き落とせ」

〇河川敷
コリンズ司令官「なに?今度は横から騎兵だと・・・イカン隊列が湖に押し出される」
  こうしてトルメニア軍の兵士達が湖に突き落とされシクエヌス湖畔の戦いは終わった

〇謁見の間
  その夜、ずぶ濡れの姿でコリンズが戻ってヘンリーを捕まえられなかった事、ダフィットに敗北したことをアシリア姫に報告した
アシリア姫「たわけ、わらわは、ヘンリーを捕縛しろと命じたはずじゃ、生きているならなぜ帰還せずヘンリーを追跡しなかったのじゃ」
コリンズ司令官「ご報告が先かと・・・」
アシリア姫「もうよい、衛兵こやつを牢へ」
神座慎吾「お待ちください。戦の勝敗は時の運・・・寛大なご処置を」
アシリア姫「指示に背きおって、戴冠式の警護を任せられんな・・・当分謹慎じゃ」
アルバート国務大臣「それでは、姫様戴冠式の警護はどなたに」
アシリア姫「そうじゃ、明日の戴冠式、わらわの警護をそちに頼むぞ慎吾励め」
神座慎吾「ええっ!」

〇貴族の応接間
  深夜、アルバート国務大臣が書類の束を抱えて俺の部屋にやってきた
アルバート国務大臣「よっコラショと」
アルバート国務大臣「それでは、この警備書類の決済をお願いしますね」
神座慎吾(めんどくせぇ、俺は書類が嫌いなんだよな)
神座慎吾「そうだ町でバートラム王子にお会いしましたよ」
  アルバートはバートラム王子の名前を聞くと顔をしかめた
アルバート国務大臣「あぁ、あの分家筋の陰謀家」
神座慎吾「町では大層な人気ですよね」
アルバート国務大臣「あの人の言葉には真心がありませんので何を考えているのやら」
神座慎吾「でも王位継承でアシリア姫の対抗馬でしょ」
アルバート国務大臣「国王夫妻暗殺の容疑者としてヘンリーの次に怪しい人物だと私は思います」
神座慎吾「そうなんだー、人は見かけによらないね」
アルバート国務大臣「決済は明日までですのでよろしくお願いしますね神座殿」
神座慎吾(イヤ、本当に参った)
  その時、ソフィアが買い物袋をたくさん抱え楽しげに入ってきた
ソフィア「遅くなりまして神座様」
神座慎吾「お帰りソフィア、町は楽しかったかい?」
ソフィア「えぇ、とても」
神座慎吾「慎吾でいいよ。ヘンリーの町での噂はどうだった?」
ソフィア「ヘンリーは魔物とお后様との間に出来た子供で国王が監視する為に召使にしたそうよ」
神座慎吾「だとすると、その監視を嫌がって逃げる為国王夫妻を殺めたのかな?」
ソフィア「でも変ですわね。ヘンリーは以前から王位を継ぐって吹聴してたそうよ・・・であれば逃げるためかしら?」
神座慎吾「そうだねー・・・そうなると戴冠式の警護は厳重にしないと」
ソフィア「警備を引き受けたんですか」
  俺は書類の山を指さした
神座慎吾「明日までだそうだよ」
ソフィア「私にお任せくださいな」
  ソフィアはそう言うなり書類の束を抱えて部屋を出ていった

〇後宮の一室
ソフィア「出でよ、千手」
  ソフィアが叫ぶと幾つもの手が現れた
ソフィア「書類を完成させ、内容を私の頭に入れてね」
  すると、数多くの手が動き出して瞬く間に書類の決裁は出来た
ソフィア「よし出来たわ」

〇英国風の部屋
アルバート国務大臣「こんな夜遅く、誰だ?」
アルバート国務大臣「そ、ソフィア殿・・・こんな夜遅く」
ソフィア「書類が出来ましたのでお届けに参りました」
ソフィア「お休みなさいませ国務大臣殿」

〇貴族の応接間
神座慎吾「もうこんな時間か・・・寝るとするか」
  その時だった、俺のスマホが鳴り響いた
神座慎吾「ハイハイ神座」
早乙女綺羅の声「早乙女ですが転送時期は・・・」
吉澤美香の声「ヤッホー久しぶり元気?慎吾」
神座慎吾「み、美香・・・どうして?」
早乙女綺羅の声「チョット、吉澤さん割り込まないでくれます?」
神座慎吾「場所は?」
???「転送は明日のセントエレニア教会の祭壇最前列です・・・当日焦点を合わせますから動かないで下さい」
神座慎吾「でも、その日は戴冠式で・・・」
  電話が切れてしまった
神座慎吾「その日は戴冠式だって言うのに・・・どうしよう」

〇大聖堂
  戴冠式当日、俺はヘンリーが現れないか周囲を見張りながら祭壇最前列に陣取った
バートラム王子「君、戴冠式にその服か?」
神座慎吾「すみません、これしかなくてバートラム王子」
  その時だった、俺のスマホが鳴り響いた
神座慎吾「はい」
早乙女綺羅の声「転送の準備は出来たわ」
神座慎吾「了解」
吉澤美香の声「店員さんこのダイヤル・・・」
早乙女綺羅の声「だ、ダメ触らないで吉澤さん」
神座慎吾「美香、なんでそこに?」
吉澤美香の声「だって、帰ってくるんでしょ慎吾」
  との返事だけが耳に木霊し、電話は切れた
神座慎吾(やはり、美香は俺の事を・・・)
  厳かな曲に合わせて戴冠式が始まった
神座慎吾(ヘンリーが式典を邪魔しないようにしないとな)
大司教「では、御列席の皆様アシリア姫を時期女王にする事に異議はございませんね」
バートラム王子(分家の俺様を除け者にして後で吠え面をかくなよアシリア)
  会場から異議なしの大音声が響いた
神座慎吾「はい」
早乙女綺羅の声「位置を固定しましたので、後3分で転送開始しますね」
神座慎吾「了解」
  俺は現世に戻れる喜びで胸が一杯になった
神座慎吾(現世に帰ったら美香とよく話し合ってもう一度同棲から始めるかな)
  俺が上の空でいた一瞬をつき祭壇の脇からヘンリーがアシリア姫に掴み掛った
神座慎吾(あっ!!)
バートラム王子(でかした、ヘンリー。アシリアを殺せ・・・さすればお前を成敗して俺が次期国王だ)

〇西洋風の受付
ヘンリー「我こそは次期国王のヘンリーである」
  ヘンリーはアシリア姫を後ろから羽交い締めにし、そう叫んだ
アシリア姫「覚悟のない愚か者め・・・そなたには国王が務まらぬわ」
ヘンリー「うるさい!国王夫妻同様殺すぞ」
アシリア姫「後ろにある国民との契約署名・・・そちは守れるのか」
ヘンリー「そんなもの・・・逆らう奴は斬る」
アシリア姫「駄目じゃな・・・国王は民の平穏な暮らしを第一に考えなくては」
ヘンリー「正義は我にあり国王としての正当性もある」
アシリア姫「そちの正義とはなんじゃ」
ヘンリー「学業成績は常にトップ、戦闘でも武勲を挙げた・・・同じ血筋ではないということで国王に選ばないのは間違ってる」
アシリア姫「フン、そんな事は下郎のする事・・・国王の能力は民の安寧を如何に守るか、その気概があるかじゃ」
ヘンリー「そんな事は無能な弱虫の言い訳だ」
アシリア姫「どうでもよいが、後ろの国民との契約に署名しなければ国王と認められんぞ」
  ヘンリーは忌々しげに後ろの書類に署名しようとアシリアから目を離した
  アシリア姫は王冠を手にすると俺目掛けて放り投げた
ヘンリー「あっ、俺様の王冠」
  ヘンリーは王冠を追いかけて俺に突進してきた

〇劇場の座席
ヘンリー「クソ、王冠は俺様のものだ・・・どけ!!邪魔だ」
  ヘンリーは俺を突き飛ばし王冠を拾おうとした
神座慎吾(ま、マズイ転送位置からずれてしまった)
早乙女綺羅の声「動かないで・・・神座さん」
吉澤美香の声「それより、慎吾の今の位置にダイアルを」
早乙女綺羅の声「だ、ダメそのダイヤルは転送後の次元ダイヤル神座さんは現世に戻れなくなるわ」
  その瞬間、ヘンリーと王冠は消えた
早乙女綺羅の声「あぁぁ・・・見失ったじゃないどうすんのよ吉澤さん」
神座慎吾「皆様、狼藉者のヘンリーはこの世から私が追放いたしました」
アシリア姫「神座、大義である」
  会場には「アシリア女王陛下万歳」の声が鳴り響いた
バートラム王子「ムムム、所詮ヘンリーはあの程度か・・・次の手を考えなくては・・・絶対に王位を奪ってやる」
「大変です女王陛下」
アシリア姫「何事じゃ、騒々しい」
「マクシミリアン伯爵が我が公国に宣戦布告しました」
アシリア姫「な、何だと」

次のエピソード:第五話 宣戦布告

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